健さんの
プラモコラム

その107 MG リックディアスの巻

( 1/100 MG リックディアス / バンダイ/RMS−099 リックディアス
「機動戦士Zガンダム」に登場)


 希望峰の発見者、バーソロミュー・ディアスなんて人を、リックディアスの解説を読んで覚えたという人、多いんじゃないでしょうか?最近ではザフトの兵器設計局のネーミングに、SF作家の名前を拝借したりしてますね。こういう事をもっと盛んに行えば、「ガンダムのファンは博学で、学校の成績もいいよね」てな感じで、もっと世間の認知度も高まったりして。

 キャラやMSの名前は歴史上の人物名、開発ナンバーは元素記号や公式、カラーリングは国旗の配色、階級章や部隊マークは地図の記号。地理のテストに良く出る地域を転々としつつストーリーが展開して、キットの定価が年号になってたり(端数で結構!)するとナイスです。・・・なんてバカな事を思ったりするボクは「萌える英単語」(もえたん)のファンだったりするんですが(笑)。では本題に移りましょうか。



 頭部は、内部に球体コクピット(脱出ポッド)を再現。胴体内部のくぼみにポッドをハメ込み、その上に頭部を被せる仕組みです。ポッドは横のハッチが開放状態で、内部も再現。パイロットを横から見れるキットはMGでも珍しく、面白いですね。組立後もポッドの着脱が可能ですが、指でツマミにくいので、ツマヨウジをハッチの穴に引っ掛けて、タコヤキをひっくり返す様に扱うと良いでしょう。極秘事項ですが、MGサザビーのポッド(着脱は不可)よりも、かなり大きくなってます。(笑)

 ポッドを収める胴体側のメカパーツが可動するので、首は上下左右に可動します。カメラアイにはクリアーグリーンのパーツを使用。バルカンファランクスはヘッドカバー裏に固定された配置。カバーを開く事でせり出し、さらに上下に可動します。友人から「軸位置が奥まっているので、開く時にうっかり破損しそうで気を使う」という感想を聞きました。心配な人は、一旦頭を外して、内側から丸見えのファランクスを目で確認しながら、ゆっくり開くと良いでしょう。

ヘッドマスター(海外版)みたいですね

 ボディは内部フレームを再現。肩とワキの下のケーブルはフレームに接続してあり、ケーブルで隠れた部分は装甲に覆われておらず、胸板と背中にだけ装甲が付きます。頭部がボディに埋没していてHGUCよりもカッコ良いですね。また、胸から腰まで(腕も?)の面構成やケーブルの配置等が百式に似ていて、開発の経緯をアレコレと想像するのも面白そうです。胸とウエスト、ウエストと腰の間がボールジョイントで可動。特に胸側は関節の位置を前寄りに配置してあり、前に大きくスイング出来ます。

 です。フロントアーマーは左右独立して可動。自由度が高すぎて、ポーズを変える度に勝手に動いて、浮いた感じになりがちです。こまめに調整してやりましょう。予想外に自由度が高い脚に合わせて調整出来る訳ですから、欠点と思わない方が吉です。サイドスカートは、内側に赤いパーツを貼り込んでディテールを再現。上から動力パイプが通っているので、本当はスラスターが仕込んであると思うんですけどね。リアスカートは可動式で、表面のスラスターを別パーツで再現。HGUCでは設定通りの丸バーニアが仕込んでありましたが、今回は角形にアレンジしてあります。



 は、ヒザ関節パーツが大きくてPGの様な迫力。モモは内部フレームの再現は無く、ヒザ関節をハサミ込む組立。ブロックビルドアップ(関節ごとに後ハメできる方式)を徹底してあった旧1/100キットを知ってる人には、ちょっともどかしく感じるかも知れませんね。でもこのゴツい脚で、ヒザ立てポーズが出来るのには驚きです。可動範囲を考慮した、この軸位置では後ハメ出来なくても仕方ないかも。



 スネは、ヒザ横の四角いパーツが別パーツになりました。説明書では、ここはメンテナンスハッチとなっていますね。HGUCを見た頃から、「ここは実機では別パーツなんだろうな」と思ってたんですが、どうせならフレームに出っ張りを付けて欲しくなかった様な。と言うのも、スネは一体成形という設定が有るので、外装からフレームが引き出せる形になっていないと変だと思うんですよ。あの四角い部分に内部メカが詰まっていると、、そこが引っ掛かって分解出来ませんからね。あるいは実機では、ここの内部メカも取り外せるという解釈でデザインされたフレームなのかなー?

スネアーマーは前後分割ですが、接着後も分解可能にして欲しかった所。MGガンダムMK−2の様に、スネフレームが途中で分割してあって、スネアーマーの上下から差し込んで中で連結、ヒザ横の突起を取り付けてロックする様な仕組みも可能だったんじゃないかなー?なんて思うんですが・・・。

 スネ(横の張り出し部分)内部には、スカートと同様の赤い内壁パーツを貼り込んであります。今回もHGUC同様の四角いスラスターが仕込んでありますが、ディテールは格段に凝った物になりました。あと、スラスター横の偏向板が可動するのも芸コマ。スソの装甲断面のディテール再現は、ファンにはたまらない見せ場じゃないでしょうか。スライド金型で再現してある様です。

 足首は、とにかく巨大です。フレームは無く、足の甲・カカト・足裏の3パーツ構成。足首関節はダブルボールジョイントで、ズレやヒネリを加えて、かなり自由に動かせます。特に上側の関節は、前寄りと言うより「足首メカパーツの前」に軸位置を配置。こんな太い足が良く動くのには、それなりの工夫が有る訳ですね。ボールジョイント1箇所で可動するHGUCと比べると、充実ぶりが良く分かると思いますよ。

 肩アーマーはHGUCに比べて、前後のスラスターの形が設定に近くなりました。肩上のスラスターの内部も再現。アーマー内部のメカニックも再現してあり、スラスター内部のディテールは、メカパーツが露出した物です。肩の接続ピンにワキパーツを通す構成なので、腕とは独立して可動。しかもHGUC同様、アーマーを上にハネ上げる事も可能です。サイドアーマーの接続にはポリキャップが使われ、後ハメできる仕組みです。

 は、ボディ側に仕込まれた関節で、前後スイングが可能。特に前方向に大きく動きます。上下にも若干動きますね。フレーム再現は有りませんが、補強としてABSパーツが仕込んであります。ヒジは2重関節。関節横のスキマを補強パーツで塞いであるので、スカスカ感が有りません。前腕はHGUCに比べて、甲の幅の変化が大きくなり、より設定に忠実になりました。

夜〜の町〜にガオー!

 手首は、百式に似た手袋の様なタイプ。HGUCでは手首幅が前腕の幅よりもスリムだったため、動力パイプが途切れた様な外観になっていましたが、今回の手首は大きく、ちゃんとパイプが手首につながっている様に見えます。実機では親指と小指の根元に固定してあるんでしょうね。ビーム兵器へのパワー供給用だと思いますし。それを裏付けるかの様に、手の平には2つのパワー供給用コネクターが再現され・・・あ、武器保持用の取付け穴でした。

 は、5本の指が独立して可動。親指以外の4本は第二関節も可動します。「ボクはムーンレイスなんですよー」とか「オペを始める!」とか、色んなポーズが楽しめます。人差し指の根元にはトリモチランチャーの発射口(マルチプルディスチャージャー)を再現。他の指にも装備されていると思う(小指から信号弾を発射するシーンが有ります)んですが、複数を同時に使う事も少ないでしょうし、1箇所だけの再現で十分だと思います。説明書には、使用時だけ開く、シャッターが描かれています。

 背中のラックはプラ製ですが、内部の補強とバインダー基部、ビームピストルの着脱部にはABSパーツが使われています。ブースターバインダーはボールジョイントでグリグリ可動。中央部分は内部メカを再現してあり、黒いパーツを外して中身を見る事が出来ます。フタをつまんで外しやすい様、ディテールっぽい処理で、スキマを設けてあるのが親切で良いですね。



 武装です。ビームピストルエネルギーカートリッジが着脱式。カートリッジは百式のビームライフルの物と若干長さが異なりますが、後部の丸いラインは統一してある様です。なんとリックディアスのカートリッジは、百式のライフルに装着可能。同一形状ではないのにスキマなくフィットするとは、狙って設計してるんじゃないでしょうか。百式のカートリッジは、内側のピンをほんの少し短くしてやると、ディアスのビームピストルに装着可能になります。

 キットでは再現されてませんが、MJマテリアル4「Zガンダム」によると、ビームピストルの側面はストックで、伸縮可能なのだそうです。旧1/100キットの説明書にも収録されてますね。(頼りになるなぁ、旧キット。)背中に装着する時は、カートリッジ後部のギザギザをラッチとして利用、左右の角度を揃えやすくしています。実機でも、あのギザギザをギアで動かして射角を調節している?!・・・のかは分かりませんが、あの永野さんの事、カートリッジの曲面に、そんな意味が隠されている可能性は無いとは言い切れない様な。

上から、ビームピストル、ビームピストル(百式用カートリッジ)、百式のビームライフル(ビームピストル用カートリッジ)。百式用カートリッジは、着脱部のピンを若干短くカットしてあります。

カートリッジのカーブは、実際に射角調整に使う意図で付けられたのかは分かりませんが、フック部分がカーブの中心になっていれば、背中の収納部との干渉をかわしつつ容積を最大に出来るハズ。もう少し前寄りの配置の方が、より説得力が有ったかも知れません。

ちなみに、クレイバズーカを持たない時は、ガルバルディのビームライフルを持つのだそうです。

 クレイバズーカは、百式の物と同一の形状。ただ、マガジンのキツさが若干違うので、交換したりしない方が無難でしょう。百式の物と形は同じでも、パーツ分割は変更されてます。マズル部分が別パーツにしてあるので、パテで整形しなくてもクッキリと仕上がります。クレイバズーカ、ビームピストルともグリップに突起が有り、ここで手の平に接続します。見栄えが気になる人も多いでしょうが・・・。



 ビームサーベルはワンパーツ成形。クリアーのビーム刃が付属します。背中のサーベルラックへのハメ込みが、ずいぶんキツいので、塗装した後は着脱するのが恐いですね。まぁ、塗料がハゲても握れば見えないし、無問題?(おいおい!)サーベルには保持用の突起は有りませんが、握力だけで保持出来る様です。以上3種の武器が付属しますが、全て背中に背負う事が出来ます。何も持たずに力強く立つ姿は、実にカッコイイですね。

 組立時間は2時間15分でした。出来も良いですが、発売時期もベストでしたね。Zの映画化が正式に発表された直後に、Zの物語が始まるきっかけとなったMSを発売する訳ですから。説明書のフォトストーリーは事件前、アーガマがグリーンオアシスに向けて出港する所から始まっています。組んだキットを前にして読めば、映画への期待が高まってきますね。タイトル前に、出港の様子を描写する新作カットなんか有ったら良いかも。いや、すでに予定が有るのかなー?!

 今後の展開ですが、リアスカートやブースターバインダーのパーツが除外可能な配置になっているので、シュツルムディアスの発売も期待出来ると思います。ヒザアーマーヘッドカバーは、除外する意図が無い様に見えるので、余りパーツになるのかも知れません。あー、隊長機だけヒサシが長い(あるいは短い)なんて言う新設定をデッチ上げて、複数買いを促してみるのも良いかも(無責任発言)。もちろん色替えで赤い機体も出せるハズ。クワトロ大尉のフィギュアも、付けて欲しいですね。



 おまけ

 HGUC最新作、ジムコマンドを簡単に紹介しておきましょう。ジム寒冷地仕様のバリエーションキットですが、ほとんど同じに見えながら、新規パーツが多い事に改めて驚きます。頭部と腰は完全に別のデザイン、ビームサーベルは異なるタイプの物を装備。スネは側面スラスターの有無、腕は前腕のディテールが異なります。という訳で本体色のパーツは完全に新規金型です。



 多色成形のランナーは、クツや手首、アキレス腱、フンドシ等のパーツが共用ですが、ランドセルやシールド関係のパーツを切り替えてます。ABSランナーは腕の関節だけ共用。マシンガンだけでなく、シールドのグリップ、ヒザメカパーツ、ボディのダクトまで専用のパーツに切替え。ここまで違えば、OVA製作当時、寒冷地ジムが発売されなかった事情も分かる気がしますね。

 面白いのは、肩にアンテナが追加されている点。背中パーツ(A8)は新規でなはく、寒冷地ジムと共用のパーツなんですけど、アンテナ取付けのために切れ込みが追加されています。きっと成形後に職人さんが、ナイフで丹念に・・・いや、切れ込みの有無を切り替える、仕掛けが有るんでしょうね。突起が出てくるのか、コマを入れ替えるのか、詳しくないんで分かりませんが。



 武装は、GP01等と同形状のプルバップ・マシンガンと、新規のシールド、サーベルが付属します。シールドは旧キットに比べて曲面を強調した造形。エルガイムのバインダーに似てますね。厚みも意図的に強調してる様です。表には連邦マークをモールドで表現、裏面には予備のマガジンが付いていますが・・・これ、ジムライフル(MGクウェル等に付属)のマガジンじゃないですか?違うの持って出撃しちゃったかも(汗)。サーベルは2本付属。腰後部のラックから取り外せます。着脱に利用する穴には、もちろん他キットのクリアービーム刃がフィット。右手首と一体になったサーベルも付属します。

 金型流用と言うより、データ流用のキットという感じですね。寒冷地ジムとは細部と装備のみ異なるので、「環境や運用に関係ある所だけの変更」である事が伝わりやすく、比べて楽しいバリエーションになっていると思います。

2004.5.26  健 竹史

HCM-Pro リックディアス(赤)
HGUC リックディアス(赤)
MIA リックディアス(赤)
MIA リックディアス(黒)
MG リックディアス(赤)
MG リックディアス(黒)

HGUC ジムコマンド
HGUC ジムコマンド(宇宙仕様)


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