健さんの
プラモコラム

その102
HGプロヴィデンスガンダムの巻

( 1/144 HG プロヴィデンスガンダム/ バンダイ/
ZGMF−X13A プロヴィデンスガンダム
「機動戦士ガンダムSEED」に登場)


 ゼクスに続く「シャア役」となるクルーゼ隊長ですが、ゼクスが「クワトロ」や「シャア総帥」「ヒロインの兄」の部分を強調した役だったのに対して、「策略家」「復讐鬼」の部分を思い出させてくれました。ある意味フレイをララァにしちゃうし、最後の敵としては面白かったんですが、もうちょっと出番が欲しかったなぁ。ムウがライバルだったおかげで、キラがいきなり超エースと渡り合う不自然さも無く、アスランとのドラマに焦点を絞れたのは良かったんですが・・・。

 そんなクルーゼ隊長の愛機が連続発売であります。来月にはシグー、再来月には・・・あれ?ゲイツは?(機体への愛着は仮面以下だし・・・泣)。では特集第1弾、プロヴィデンスを見ていきましょう。



 頭部は、目とアゴが一体で、マスクの裏面からハメ込む組立て。クルーゼの仮面を思わせるヒサシが別パーツなので、目の塗装が楽です。このパーツ構成はスタンダードになりつつある感じですね。目の横は、もう少しヘルメットに隠れていた方が設定画のイメージに近いかも。(コレはコレで、覆面みたいで好きですけど。パーツが赤い事もあって、にわか煎餅のお面の様な・・・)頭頂部カメラ側面のディテールまでも、根性で再現してあります。ヒケじゃないのでパテで埋めてしまわない様に注意!

 ボディは、両肩のバルカン(?武装には数えられていませんが。)まで色分け。HGとしては細かいパーツ分けかも?ここに限らず、いつもより若干パーツ分けが細かい気がしました。番組終了後半年たっても、ちゃんとキットを買ってる熱心なユーザーには、容赦なしって感じでしょうか?つまみにくいので、紛失しない様にしましょう。ダクトと、その内側の色分けも嬉しいですね。ダクト横(胸の両端)の薄い成形も、容赦なし?

 エリは、首のポリパーツを下から通しておいてからボディパーツで前後からサンド。エリを上から取り付ける構成の方が、塗装は楽だと思いますが、(分解目的等で)頭を引っ張った時に抜けない様にするためでしょうか?首を、ウエストパーツでサンドしておく構成なら、首が頑丈で、しかもエリが後ハメ出来たかも。

 ワキの下のケーブルは、コクピットドラグーンを繋ぐための物。本体の設計が完了した後で搭載が決まったために、露出しているそうです。キットでは、ケーブルはダクトのパーツと一体で成形。背中に近い、あまり目立たない所で前後に分割されてます。ケーブルとケーブルの間にスキマが出来る様に配置されているので、赤いウエストがチラリと見えたりして、パーツの重なりが視覚的に楽しめるデザインですね。



 です。フロントスカートは左右一体で可動。サイドスカートリアスカートは無く、着脱可能なドラグーンが配置されています。ドラグーン着脱用のジョイントはABS製。フロントスカートの様に、2基一体で可動する仕組みです。腰左右のブロックは、いつもならポリキャップで取り付ける部分ですが、今回はフンドシと一体成形。ドラグーンを引っ張った時に、一緒に外れてしまわないので良いのですが、脚を取り付ける時、ちょっぴり邪魔になります。ボクは股関節軸が良く見えないまま、手探りでモモを押し込んでいると、危うく軸を折りそうになりました。フロントスカートを取り付ける前にモモを取り付ければ、軸が見えやすいですよ。

 は、ヒザアーマー上の青い部分を色分けしてあります。このパーツは、ヒザアーマー裏のフタにもなっているんですが、普段見えない部分に、さりげなくディテールが入ってたりして、嬉しくなりますね。足首アーマーはハサミ込み式ですが、後ろのスラスターはポリキャップ使用で後ハメが可能。上下に可動します。

 足首はフリーダム等の様な、ツマ先とカカトが分かれたデザイン。可動や色分けが大変になり、このサイズでは省略やアレンジも行われてきたタイプの足首ですね。今回はツマ先からカカトまで一体になった足裏パーツにクツと足の甲を重ねておいて、上から取り付けるメカパーツで、クルブシの辺りを覆うという、画期的な構成になっています。土踏まずを塗装してやる必要が有ると言っても、立たせた状態では見えない部分です。

今回のセールスポイント、足首のパーツ分割。赤い土踏まずを塗装してやる必要は有りますが、ダークグレーのパーツとの境い目はディテールにも見えるので、パテで埋めなくても見苦しくは有りません。

 目立たない所を簡略化するコレクションシリーズで試行錯誤を重ねるうちに、目立つ部分の完成度を優先する発想が、定着してきたのかな?って感じです。パーツ数を増やさない方が、組立が簡単なだけでなく、頑丈ですから、構造はシンプルな方が良い訳ですが、「少ないパーツ数で再現する」という考え方だけでは、この分割は思い付かないかも。「分割ラインを、目立たない足裏に集中させれば、こんな分割も出来る」。優先順位のつけ方が適切だからこそ、辿りついたアイデアじゃないでしょうか。

 肩アーマーは前後2分割で、肩ブロックをハサミ込む構成。内部のスラスターが、良い補強(&パーティングライン隠し)になってくれてます。レイダーの肩アーマーに似てるのに、ずいぶん印象が違うなぁ?と思って比べてみると、装甲の厚み部分が斜めにカットしてあるんですね。プラパーツの厚ぼったさを感じさせない効果がある様に思います。もともとフェイスガードが、厚みを斜めにカットした鋭角的なデザインになっていますが、その辺がヒントになったのか、あるいは統一感を出そうという工夫なのかも知れませんね。



 は、上腕が筒状になった、おなじみの構成。装備を腕に通す都合からか、角張ったシンプルなデザインですね。キットでは、ヒジ関節の上や、前腕のハードポイント周辺のラインを、スジ彫りではなく段差で表現。追加ディテールに頼らずに、単調さを解消しています。説明書の塗装見本では、手首基部を本体色で塗装していますが、ダークグレーが正しい様です。参考まで。

 手首は、左右とも穴開きゲンコツが付属します。

 バックパックは、背中との接続部分にポリキャップを使用。本体の背中の方にピンが付いています。中央と、スラスター周辺の青い部分は色分け済み。スラスターは、3基一体成形のパーツです。ついでに底面まで一体。底面と、青い囲いパーツの間にはスキが設けてあるので、なんとなく内部メカっぽい雰囲気で良い感じ。

 武装です。MA−M221ユーディキウムビームライフルは、フォアグリップ銃口が別パーツで、本体が左右分割の4パーツ構成。あと1パーツ使って、スコープの内側が後ハメ出来れば嬉しかったですね。フォアグリップは可動しますが、左手が装備で塞がっているので、両手で持たせる機会は少ないと思います。「公式ガイドブック3」では、銃身を支えるため(に必要)と書いてあるんですが。左腕の装備は、ドラグーンと共に追加された・・・って解釈で、いいのかな?(草加君風に)

ライフルを両手持ちさせた状態。こんなポーズでは、肩アーマーのフチが(斜めカットで)薄く仕上げてあるのが、すごく活きてきますね。

 MA−MV05A複合兵装防盾システムには、クリアー成形のビーム刃が付属。ビームサーベル先端、ビーム砲、センサーは色分けされています。表面後部にある青い部分も色分けされてますが、このパーツはラチェットの役目をしているので、接着しない方が良いでしょう。前腕のハードポイント(のディテール)と噛み合ってロックされる仕組みです。ピン等に頼らない方式なので、600円のプロヴィデンスにも取付け可能。一部のハメ込みピンは、シールド裏面に露出するので、短く切らない様に注意しましょう。

 ドラグーンは、11基全てが着脱可能。フィン状の物はABSパーツに接続します。ワンパーツ構成で、取付け穴の成形には、スライド金型が使われています。円錐状の物は左右貼り合せで、先端は別パーツ。砲口には穴が開けてあります。ノズル部分は取付けピンになっていて、バックパック内部のポリキャップに接続します。8枚のフィンに2門ずつ、3つの円錐の先端に5門、胴体に4門で、合計43門って事なのかな?キュベレイとνガンダムのファンネルで同時攻撃って感じで、強そうなデザインですね。

装備いろいろ。ドラグーンは、4種11基が付属します。

 組立時間は1時間10分でした。どれも出来が良いと感じるSEEDのHGの中でも、特に頑張ってるキットの一つじゃないかと思います。デザイン的にも、上半身のボリュームが迫力あって良い感じ。グーン等の様な、もともとボリュームのあるデザインなのではなくて、ドラグーン増設のために途中で変更を加えられた事によるアンバランスさが面白いですね。

 ところで、SEED−MSVもスタートすると聞いてますが、模型誌で発表された開発系譜図には、プロヴィデンスのバリエーションと思われる機体も有る様ですね。今回のキットでは、ランナーに切替えは用意されてない様子でしたが、ドラグーンと、それに関連する腰ブロックが1枚のランナーに集中しているので、装備違いのバリエーションキットは発売しやすいと思います。異形っぽいデザインが好きなボクとしては、さらにとんでもない装備を背負ったプロヴィデンスが見れるんじゃないかと、ちょっとワクワクしてる所です。


おまけ

 やはり今回も、600円プロヴィデンスとの比較を少々。(コレクションキットも、ついにスタート時の倍額の物が登場した訳ですね。)頭部はHGと同様、ヒサシが別パーツ。目の横がヘルメットに覆われていたり、首周辺の四角い段差がクッキリと厚かったりと、HGよりも設定に忠実な部分もあって、あなどれません。エリはボディと一体成形。(胸ユニット上面)と首の高さが違うため、エリの内側後部にスキが出来ていますが、エリがクッキリと別パーツの様に見えて、かえって面白いですね。スキを埋めずに作ってしまうのもアリでしょう。



 ワキのパイプには、ちゃんとスキマが有って、ウエストと重なってる立体感はHGに劣りません。腰左右のドラグーンが、基部ごとサイドスカートの様に処理されているため、ウエスト周辺にはスキマが出来ていて、まるでHGのよう。むしろHGの方が、スキマが無い分、コレクションキットの様な印象を受けるという、逆転現象が起きています。サイドスカートを前に回して、Sガンダムのビームカノンの様に遊んでみたり。(実機でも可能かは疑問です。)ただし、ドラグーンは外れません。

 は、妙に短足な印象。「足が短いな」「あんなの飾りです」などと出撃シーンを妄想し、さすがは21世紀のジオング!と強引に納得しつつ、それでも「HGも同じプロポーションなのかな?」と心配もしてたんですが・・・。HGは、足全体の長さも、上半身のボリュームも同じですが、なぜか短足の印象が有りません。比べてみると、クツとスネの幅を増やしてあるんですね。スネは縦にもボリュームアップし、その分モモを短くしてあります。脚の長さが同じでも、各部の比率が変われば印象が変わるという事を、再認識出来ました。



 肩アーマーはワンパーツでスラスターの再現も簡易的ですが、肩ブロックの上に接続されているので、肩を反らせた様なポーズが可能。(この辺はHG・コレクションとも軸径が3ミリなので、WAVEのBジョイントを仕込めば、腕側は改造しなくても前後可動が出来ますよ。)は、左腕のみハードポイントに穴が開けてあります。右手首にはビームライフルに対応して角度が付けてあります。手首カバーごと可動してる様な表現や、手首の軸が見えないスキの無さ(軸が無いんだから当然ですが)は、固定モデルならではの魅力ですね。

 (肩の前後可動例については、こちらで解説しています。)

 バックパックは、スラスターを丸い彫刻のみで簡易再現。市販パーツを接着したい人には、サイズや位置の参考になるかも。ビームライフルドラグーンは、HGと同じボリュームながら、先端だけ小さくなっています。ランナー面積の都合で小さくしたい(あるいはヒケない様に小さくしておきたい)のかな?部分改造のみでHGと同じ形状に出来るので、全体を均等に縮小するよりは有り難いですね。装備のボリューム感を損ねては機体の魅力が伝わらないと思うので、ベターな処理じゃないでしょうか。複合兵装防盾システムはワンパーツ成形。サイズは同じですが厚みを抑えてあります。腕全体を覆うのはあきらめ、ピンで腕の横から取り付ける方式にアレンジ。肉抜きも有るしビーム刃も付属しませんが、センサー後部の形状は、HGよりも正確な気がします。



 こうして見ると、あなどれない点の多いキットですね。制約のある部分に関しても、より良い判断がされる様になってきてる気がします。組立時間は15分程度でした。

2004.3.28 健 竹史

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