健さんの
プラモコラム

その450
 HGUC
 ガンダムF91
の巻


 HGUC 1/144 F91 ガンダムF91
 バンダイ
 「機動戦士ガンダムF91」に登場
2013年12月発売 税別初出価格1200円



 少し前に終了したガンダムビルドファイターズ、毎週楽しくて夢の様な半年でしたね。ガンプラビルダーズから敢えて設定を変えて、さらに練り込まれたガンプラバトルの設定と世界観。主人公を二人組にする事で、製作専門の主人公がバトルで上達する猶予を与え、作る事に興味の無いバトル担当が次第に魅力に惹かれていく様を描く、長丁場だからこそ描けたストーリーでしたね。「人に作ってもらって遊ぶ」ような接し方を肯定した姿勢も、ビギナー(特に低年齢層)の入り口を広く構えた商品PRとして正しかった様に思います。

 また、最初はネタに走った様に思えたプラフスキー粒子の設定も、バーチャルでないバトルを実現する意味で欠かせない物でした。現物が動くという設定はダンボール戦機でも最大の魅力だったと思いますし、実はバーチャルって「キットを作らなくてもデータを持ち寄ればいいんじゃないの」と言われかねない危うさも抱えてるんですよね。

 さて、ぼちぼち本題のF91の話に入りましょう。この機体もオリジナル塗装でビルドファイターズに登場しましたね。プラフスキー粒子の効果で塗膜が剥がれて残像も再現。「トップコートは吹いてないらしいな」とか余計な事を考えながらも楽しませてもらいました。では各部に目を通していきましょう。



 頭部は、顔パーツを2つ用意して丸ごと差し替える事で、フェイスガードの開閉を再現。アゴを含む芯パーツにマスクを貼り付け、チョンマゲカメラの内部メカ部分をヘルメット着脱用のジョイントとしてあります。ヘルメットを上に引き抜く時に、頭ごと抜けてしまわない様に、首のボールジョイントは軸受けの後ろから差し込む方式を採用。顔を芯ごと交換して、再度ヘルメットを被せる事でモードチェンジします。内部パーツの詳細なディテール再現は有りませんが、雰囲気はギミック優先だったMGよりも劇中に近いですよね。



 ヘルメットは前後貼り合わせ。バルカン周辺のクボミを分割ラインが通っていて、ペーパーがけの難所になりそうですね。オデコセンサーは正面から貼り付け。アンテナは左右それぞれをV字形に成形した別パーツ。奴もまたV字を二つ配置した、V2ガンダムだったのです(笑)。



 ボディは、胸フレームに肩関節軸を一体成形。オールガンダムプロジェクト以降のキットでは腕側からボール関節を差し込む共通機構が採用されていますが、脇にレールギミックが入るこの機体の場合、スペース確保のためにボディ側を関節軸受けにする事は難しかった様ですね。胸フレーム後部から差し込むヴェスバーの軸受けは、脇外装の固定パーツも兼ねています。パーツ点数を抑える工夫は、このキットの大きな見どころです。



 背部ユニットは、エリ・腹部まで一体の左右貼り合わせ。胸フレームをハサミ込む時に、2ユニットずつ一体のスラスターもハサミ込んでやります。フィンで閉じ込めるために2ユニットをつなげてあるのでしょうね。パーツ点数を抑える狙いと、2ユニットまでなら一体化してもシャープさを維持出来るという判断も有っての事でしょう。



 胸の外装は、左右と上面の3パーツ構成。グレーの部分はフレームをそのまま露出させています。上面パーツはハメ込み部分が前後に長いレール状になっているので、ハッチに見立てて前にスライド(実際はキツいので差し直し)させても良いですね。厳密にはマシンキャノンは固定式で中央部だけがハッチなんですけど、なんとなくでも劇中の雰囲気を楽しめてしまいます。頑張ってパーツ左右をカットして固定すれば、より設定に近い開閉ギミックが手に入ってしまうので、上級者にも歓迎されるのでは?

 ウエストは縦にワンパーツ成形してあり、上下に球体ポリキャップを仕込んであります。胸フレーム裏に後ろから球体ポリキャップを取り付け、ウエスト側に前が開放になった軸受けを設ける機構は斬新。最近のザク系MSの前傾ギミックを上手く置換した様にも見えますね。位置が同じ事もあって、球体ポリキャップが球体コクピットにも見えました。直径が6mmだから、1/300〜1/400スケールくらいのコクピットに見立てる事も出来そうですね。えー、このキットは、ボクの脳内ではサイコガンダム・マーク91になりました。



胸上面パーツをスライド(前寄りに取り付け)した状態。

 は、フンドシフレームと固定式リアスカートで、左右スイング式の股関節軸をハサミ込み。例によって股関節軸の下は飾り台取付穴になっています。フロントスカートは左右分割してボール可動化も出来る一体スイング式。サイドスカートはウイングガンダム以降の共通ポリキャップで二軸可動します。ビームサーベルやシールドの取り出しギミックは再現されていません。

 リアスカートは中央スラスターを別パーツ化してあり、一旦取り外してバズーカラックを装着出来る様になっています。外したスラスターはラックパーツの下端に差し直す事でスライド状態を再現。上部を固定とし下部だけでラックのギミックを解決している事もあり、スカートの下端を越える位置までスラスターが移動してて目を引くんですが、バズーカの位置は低い方がポーズの自由度は高まりますね。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

 です。モモ上部は、縦と横の軸パーツを組み合わせて箱状パーツに閉じ込める、ウイングガンダム以降定番の構成で三軸可動します。モモは筒状に成形。ヒザ関節はモモフレームを左右からハサミ込んであり、スネ側のポリキャップでも可動する二重関節。ジャバラ風のモールドは今思えば、露出したフレームからは少しでも多くの熱を放出しようという工夫なのかも知れませんね。



 スネは、開閉式のフィンを3枚ハサミ込んでの左右貼り合わせ。フィンの裏には、一体でスラスターも再現されていますよ。ヒザアーマーは別パーツ化してあり、裏からセットするダクトパーツはヒザ中央の三角マークの色分けも兼ねています。黄色は塗装、またはシールを使う必要が有りますが、クッキリ感に貢献してますね。



 足首関節は、上が前後スイングする角形ポリキャップへの差し込み式、下がボール可動になった二重関節。前面にはモールドでシリンダーも再現してあります。足首アーマーは、関節パーツの途中にアキレス腱側から差し込むボール接続。少ないスキで良く動き、デザインとの相性が良い感じですね。



 足首は、甲とクツを縦に重ねてポリパーツを閉じ込める組み立て。の側面は片側を切り欠いてあり、ポリパーツがより大きく傾く事で開脚に対応する、左右専用パーツとなっています。足裏は肉抜きが放熱効果の高さを感じさせ・・・るのかと思ったら、今回は前後にだけ肉抜きが配置してあり、印象は比較的良好です。



 肩アーマーは、肩関節引き出し用と上腕接続用のポリキャップをハサミ込んでの前後貼り合わせ。肩関節引き出し用ポリキャップは、前に引き出せる向きで胸側に仕込んであるのが通例ですが、今回はアーマー側に縦に仕込む事で、肩アーマーを腕ごとハネ上げる機構としてあります。胸側のスペースの都合によるものながら、ヴェスバーが入り込む脇が窮屈でないというのは、ポージングのストレスを激減させてくれますね。上がらない肩アーマーの中で腕だけを下げるより、腕との位置関係を決めた後で肩アーマーを下げる方が楽な様に感じますし、脇自体が大きく開放されてヴェスバーも扱いやすいです。ロボット単体で見ても、この躍動感は魅力的。



左がフェイスガードを閉じた状態、右がフェイスガードを開いた状態。並べて撮影するために、右はハリソン・マディン機のボディを使用しています。

 再現度の点では、側面スラスターが一体化されているのが寂しい感じですが、フィンの差し替え再現も有り、これ以上の複雑化を避けた判断は妥当かも。フィンは収納・展開状態とも3枚一体で成形してあり、扱いやすいんですが、収納状態の下に突き出た突起が目立ってしまっています。ここはカットしても大丈夫な気もしますが、指の太さも人それぞれですし、各自の判断と責任で。突起をカットするのは簡単ですが、付けるのは難しい(接着しても強度が足りない)ので、遊びやすさの点では付いてて良かったと思います。



 です。肩ブロックは側面だけをカバー。上腕は筒状にワンパーツ成形してあり、ヒジからのシャフトを肩ポリキャップまで通します。ヒジは、8の字状の関節パーツの横から前腕・上腕フレームを貼り付ける二重関節。ディテール再現の点では居直った構成だと毎回感じますが、機体に合わせて普段より細めに造形してあり、好感が持てます。中心部にパイプを彫ったり描き込んでも良いかも。



 前腕は筒状に成形。左右別デザインで左腕には甲アーマーとシールド基部が付きますが、シールド基部のみ別パーツ化され、縦に差し込む構成となっています。ウイングガンダムの時にはズレやすく感じていた外装とフレームのキツさは、程よい具合に調整してあり、より遊びやすく仕上がっています。



 手首は、左右とも穴開きゲンコツと、トリガーに指をかけた武器持ち手が付属。左のヴェスバーは右手では持てませんもんね。いずれも手首本体と甲の2パーツ構成。手の平を省略してあるのは小型であるからだけでなく、MGの様な手首スイング無しでヴェスバーを持たせるため、握り穴にガタつきを持たせたかったためと思われます。

 武装です。ビームライフルは、グレー部分をワンパーツ成形してあり、左右からカバーで覆います。貫通穴が開いているとは言え、中身が詰まったパーツ構成はMGを組み立ててる様。フォアグリップはグレーパーツの一部として成形された固定式ですが、切り離せば可動式にも変更可能です。周辺を歪めない様、丁寧に切り取りましょう。ディオラマ等で片手持ちさせたい人は、そのままにしておけば定位置で固定されてキレイに見えますね。



間を置かずに発売された、ハリソン・マディン専用機。

 ビームシールド発生器は、ユニット単体の収納状態と、アームが一体になった展開状態の物を1パーツずつ用意。これで投擲シーンも再現出来るかな?と思いましたが、クリアーのビームパーツをハメ込む事が出来るのは、薄く造形し裏面をハメ込み部分としてある展開状態の物のみでした、残念。



 ビームシールドのアームは差し込み位置を選択出来る様になっていて、腕と平行の状態と前傾した状態を使い分けられる様になっています。前傾させると肩の干渉を避けやすく、ポーズが自然に決まります。元々このシリンダーは展開だけのためには不要かな?と思っていたんですが、角度調整のための物と考えれば納得がいきます。むしろ展開のために使われていないとすれば、腕の前方向に収納されるため長くても問題ない、とさえ思えてきました。



 ビームランチャーは、左右分割の本体に後部フィンを3枚と1枚に分けて一体化。その一方で砲口は根元と先端、上下の誘導板?と細かく分割。密度の使い分けが上手いですね。グリップは本体にハサミ込む可動タイプ。後端のノズルは別パーツです。ビームサーベルのクリアー刃を砲口に差し込む事が出来ますが、ビームを砲弾に見立ててランチャーと呼ばれる、という解説を読むと、何か違う発射表現をしたくもなってきますね。無色クリアーのエフェクトパーツに、砲弾っぽくビームを描き込んでみるかな?



 ビームサーベルは2本付属。ワンパーツ成形のグリップにクリアーのビーム刃を接続します。両手で回してビームローターにするシーンが印象的でしたが(誤解)、2本とも片側のサイドスカートに収納してるというのは、とっさの時に2本抜くのが難しそうですね。



 ヴェスバー(VSBR=可変速ビームライフル)は、レール移動を内部のアームの軸回転で表現する、おなじみのギミックで再現。アームはボディの組立時に仕込んでおきます。ヴェスバー本体は、左右貼り合わせの内部パーツで接続部の軸受パーツと折り畳みグリップをハサミ込み、後部を左右外装で覆います。砲身も、伸縮レールをハサんで貼り合わせ。ライフル同様、中身が詰まってMGっぽい組み立てです。



 組立時間は1時間5分でした。15.2mという設定そのままだと106mm程度のハズですが、全高115mm程度と、若干大きくなっている様です。十分小型に見えるサイズではありますが、せっかくだからキッチリ小さい正規サイズで見たかったなあ、という気持ちになりますね。



HGUCジェガン(左)との比較。これだけ機体サイズが違うのに、意外にも乗降高さはほぼ同じなんですね。MGジェガンが発売されたら、パイロット同士が身を乗り出して怒鳴りあってる様なディオラマも作れそうです。

 にしても7年前、MGがコンパクト設計のために廃止したポリキャップが、HGUCで戻って来るとは思いもしませんでしたね。今後のガンプラがどうなってるかも、同じ様に分からない、って事なのかも知れません。そう、7年後のガンプラが、謎の粒子で動く様になっていないと、誰が言い切れるでしょう(笑)。こう書いておくと、だいたい6割くらいの確立で実現するんですよ、ガンプラって。


 おまけ

 連続発売されたHGUCガンダムF91 ハリソン・マディン専用機も、併せて紹介しておきましょう。キットは基本的に白いF91のカラーバリエーションですが、オデコセンサー、アゴ、腰センサーと同ランナーだったクツが黄色に変更になったため、同一ランナーを赤と黄色で2枚成形してあります。



 元々ティターンズカラーみたいではあったんですが、連続発売されると、ますますガンダムMk−Uみたいですね。青・白2色だったMGとは異なりほぼ全身青一色ですが、これはMGが「クロスボーンガンダム スカルハート」に登場したカラーリング、HGUCが「クロスボーンガンダム」に登場したカラーリングを再現しているため。2体買ってミックスすれば、「それなりに」MGに近い物も作れそうですが、エンブレムもシールで欲しいですから、スカルハート版も発売してもらえると嬉しいですね。なあに、外装パーツのランナーを、全部2枚ずつ入れてもらえれば済む事です。出来ればお値段据え置きで(無茶)。



 ところでこのキットが発売されて何が嬉しかったかと言えば、HG「UC」扱いになっているという事です。コミック作品の全てが正史とは言い切れない中、傑作ストーリーとして個人的にもアニメ化を待望してるクロスボーンガンダムの機体が、「UC」を扱うプラモシリーズに加わった訳ですから。一歩前進と思っていいのかな?HGBFクロスボーンガンダム改も発売されましたし、この勢いで、是非アニメ化を!

 あと、どうでもいい事ですが、「F91 ガンダムF91」って表記、 「あさみかわいいよあさみ」みたいだと思うのはボクだけでしょうか?

2013年12月発売 税別初出価格1200円

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 2014.5.10 健 竹史

  

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1/100 ジーキャノン
1/100 ヘビーガン
1/100 デナンゾン

  

1/100 ビギナギナ
1/100 ベルガギロス
1/100 ダギイルス

  

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