健さんのプラモコラム　その４４８・１／１４４　ウイングガンダムの巻

健さんの
プラモコラム

その４４８
　１／１４４　ウイングガンダムの巻

　1/144　ＸＸＸＧ－０１Ｗ　ウイングガンダム
　バンダイ
　「新機動戦記ガンダムＷ」に登場
１９９５年３月発売　税別初出価格５００円（フィギュア無）
２０００年７月発売　税別初出価格６００円（フィギュア付）

　ＨＧＡＣのバリエーションに行きたいところですが、まずは旧１／１４４キットを紹介しておきましょう。この頃は１／１４４と１／１００がそれぞれ月１体のペースで発売されてましたっけ。今では週１体かそれ以上かな？追いかけるのも大変な時代になりました。

　頭部は、頬ガードを含む顔パーツと後頭部、オデコの３パーツ構成。オデコが別になっている事で、塗装（またはシール貼り）が容易になっています。頭頂部カメラはレンズ面を奥まらせず、ギリギリまで前に出した造形で、こちらも塗装しやすくなっていますね。アンテナの取り付けはＨＧＡＣよりも頑丈で、変形時に気を使わなくて良いのが嬉しいですね。

　ボディは、前後貼り合わせのウエストを、胸と背中でハサミ込み。サーチアイと胸部ダクトは別パーツ化してあります。首はポリ製で、この時期の物は根元が無可動のハサミ込みタイプ。後頭部がそのままボール軸受けになっています。ウエストは、３６０度の回転と、引き出しての前後スイングが可能です。

　腰は、Ｖガンダム、Ｇガンダムで採用されていたポリ製フレームを廃止した、フンドシフレームとリアスカートの貼り合わせ。左右つながった軸可動式フロントスカートをフンドシ前部で押さえる構造は、今日まで続く事になります。この当時は左右を切り離したら金属線の軸を通して接続したりする必要が有りましたが、ＨＧＵＣの途中から抜け止めが付いたり、分割ラインが用意されたり、分割後にボール可動出来る様に変わって行きましたね。

　サイドスカートはポリキャップによる二軸可動式。１／１００のＦ９１がＣ字形ヒンジ、Ｇがボール接続だったので、これもこのキットが初でしょうか？こちらはＨＧＡＣウイングガンダムで採用された新機構が今後の定番になりそうですよね。１／１４４スケールのウイングは、ガンプラスタンダードのターニングポイントになってきたと言えるかも？

　脚です。モモは、股関節の球体を受けるポリキャップをハサミ込んでの左右貼り合わせ。ヒザは、そのままムキ出しでハサミ込む事を想定した、二重関節専用パーツです。Ｇガンダムも同様のヒザ関節でしたが、シェンロンガンダム、アルトロンガンダムの腕の展開にも使うためランナー内に４個セット。毎回余る定番のパーツでしたね。

　ヒザ関節の下は左右貼り合わせのエンジンでハサミ込み。エンジンはノズルまで一体で、スネ内部のポリキャップへ後ハメ可能です。バード形態への変形は各関節をいっぱいまで曲げれば良く、ＨＧＡＣよりも分かりやすいですね。エンジンとスネはヒザ横のクボミと丸ポチで噛み合う様になっています。必ずしも必要とは思えず、塗装後に引っかきキズが出来るのが心配な人は、ポチを切り取っても良いでしょう。

　スネは左右貼り合わせ。足首アーマーまで一体で成形されているのが残念ですが、アキレス腱付近のスキマを再現してあるのを改めて見ると、ちょっと感動しましたよ。

　足首は左右貼り合わせ。足裏も段差でディテールを再現してあります。足首関節は、スネ側に軸受けを配置したボール接続。アキレス腱が良いポリキャップ隠しになってくれます。

　肩アーマーは内部のスラスターも一体で、上腕を前後からハサミ込み。バードモードではＨＧＡＣほどキレイには閉じられませんが、大きめに造形してある事も関係してる様ですね。フチが前腕に当たる所までしか閉じられない訳で。

　腕です。上腕は前後貼り合わせで、ハサミ込んだポリキャップに肩関節軸を接続。ヒネリ可動は、後ハメ出来るヒジのポリキャップに任せています。

　前腕は、ヒジ関節とランディングクローをハサミ込んでの左右貼り合わせ。ヒジを完全に曲げるにはランディングクローを起こしてやる必要があります。

　手首は左右ともポリ製・ワンパーツ成形の穴開きゲンコツが付属。バード形態では外してやります。

　バックパックは、ランナー面積の都合からか白で成形。ポリキャップを仕込んであり、ウイング基部を二軸可動させます。メインスラスターは一体で成形、首の後ろのスキマは裏面パーツで隠してあります。

　ウイングは表裏貼り合わせの基部にハサミ込んであり、４枚とも開閉。大羽根の角が小羽根の展開を妨げている感じなので、少し面取りしてやるのも良いかも知れません。ＨＧＡＣの様に基部が起き上がるギミックが無いので、少しはポージングの助けになるかも。

　武装です。バスターライフルは左右貼り合わせ。グリップは畳まずにシールドに連結するため、極端に短く造形してあります。その前には補助的にハメ込みピンも設置。説明書には戦艦の主砲クラスの威力と解説してあり、番組開始当初は「ガンダムだし、そんなもんかな」と思ってましたが、本編であまり戦艦が活躍せず比較対象としてはピンと来ませんでしたね。

別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

　シールドはワンパーツ成形。左腕のピンに接続しますが、接続穴が奥まった配置なので腕が埋没した感じになります。打突武器として見れば良い感じですが、左手で同時にサーベルを持たせようとすると少し窮屈な握り方になってしまいます。

　ビームサーベルは、使用状態の物が１本付属。グリップは設定では丸く描かれていますが、ゲンコツの角穴に合わせて平行にカットしてあります。

　発売当初には付属していなかったんですが、後にヒイロの１／３５フィギュアが付属した物も発売されました。以後はフィギュア付に全て切り替わるのかと思っていたんですが、フィギュア無しで再販される事もある様ですね。アサフレックス製で、ネームの入ったベースが付属。固定したい場合には接着剤を使用します。ＴＶ版の１／１４４シリーズは全て同様のフィギュア付キットが存在し、初期５体のガンダム付属の物ではオープニングのポーズを再現。せっかくなので、入手可能ならフィギュア付をオススメしますよ。

　ビルドファイターズがスタートしてから、さらに勢いを増して新作キットがリリースされてる感じですが、それらを組んでて感じるのは、新規フォーマットはこの平成ガンダム旧１／１４４シリーズの時期の空気を意識して目指しているのではないか？という事ですね。仕組みは格段に進化してますが、手軽さと互換性の高さを欠かせない条件に置いて考えられている様な。そう思うと、あの当時もっと組み替え遊びみたいな事を積極的にやってみれば良かったなあ、なんて気にもなってくるんですが、もちろん今からだってＯＫです。基本的に５００円、再販されたら数体まとめて買っていきなりミックス組み、なんてのも楽しいかも知れません。

　フォーマットと言えば・・・ＨＧＵＣギャンって、ＨＧＡＣウイングガンダムよりも、こっちのキットの方に近い仕様なんですよね。ＨＧＵＣシリーズの歴史の長さを改めて感じさせてくれます。

　おまけ

　今年後半のマイブームは、魔法少女まどかマギカでした。新作アニメは膨大過ぎて、視聴環境も整ってないのでほとんど見ないんですが、映画化されるというのはアニメを見る大きなきっかけになりますね。今年は他にガールズ＆パンツァーと「あの花」を見ましたが、それも映画化決定の報が動機になりました。もちろん劇場版「あの花」にも行ったし、ガルパンにも行く予定ですよ。映画はＴＶを見逃した人にとって、リアルタイムで世の中と一緒に盛り上がれる２度目のチャンス、でもあります。

　まどかマギカ、かわいらしい絵柄で敬遠される事があると時々聞くんですが、一見ハードな内容と無縁に見えるからこそ、過酷な状況に巻きこまれるストーリーや、迷い込んだ別世界の異質さが活きてくると思うので、ミスマッチをん狙ったと言うより必然から出てきた計算だと思ってます。「あの絵柄でなければもっと早く見たのに」なんて意見も聞いた事ありますが、ボクはむしろ「あの絵柄でなければハマらなかった」かも知れませんね。状況に立ち向かえそうな強そうなキャラでは、作品のニュアンスが変わってしまいます。

　あと、最近見返して思ったんですが、ホームベース顔とも呼ばれるらしい独特の輪郭、横長の画面との相性がものすごく良いんじゃないでしょうか。（本気です、皮肉じゃないので石を投げないで下さい！）背景の省略やエフェクトに頼らなくても、アップに寄るだけで周囲を排除した表情いっぱいの構図になるんですよ。キャラが時おり見せる凛々しさを増量で感じさせる秘密がこの辺りにあるんじゃないかと。これも計算だとしたら大したものです。

　見てない方に勧める趣旨で書いてるので本当は触れない方がいいのかも知れませんが・・・テイストはヒーロー物に近いと思います。で、ヒーロー番組の意義の大きな部分が出自（ヒーローになった経緯、理由）にあるとするなら、第一話に相当する部分にほぼ全話を使うというのは、ヒーロー物で是非見たい、でも作品としてはリスキーな、相当な冒険じゃないかと思いますが、魅力的な話に上手くまとまってますよ。オススメです！・・・って、何で映画が終わる頃に書くんだよって？スミマセン。

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　2013.12.1　健　竹史