健さんの
プラモコラム

その445
 HGUC ゾゴックの巻

 HGUC 1/144 MSM−08 ゾゴック ユニコーンVer
 バンダイ
 「機動戦士ガンダムUC」に登場
2013年9月発売 税別初出価格1700円



 バイアランカスタム被害者の会から、ゾゴックがキット化です。試作メカ4機の中でも一番のキワモノだと長年思っていましたが、模型誌でカッコイイ作例を見て以来、リファインキットを何年待ったでしょうね。ガンダムUCで活躍シーンを見れた事で、欲しい気持ちはますます高まってましたよ。では、早速目を通していきましょう。



 まずは頭部と一体のボディから。前後貼り合わせの内部フレームに、正面と背中の外装を被せる構成で、まるでMGを組んでる気分です。これはモノアイシールド内部を再現しているのに加え、上面がブーメランカッター収納部の内壁になっているためで、決して過剰に豪華な仕様な訳ではないんですね。



 モノアイは、ボールジョイントでグリグリ可動。顔の奥に、ウエスト用と同サイズのポリキャップを仕込むとか、あまり例が有りませんよね。モノアイを自作の武器に換装したい衝動に駆られます。もしかして、他キットの手足も移植出来るのでは?!目を動かしたい時には正面のモノアイシールドを外します。正面からハメ込み、端を押さえれば簡単に外れる様になっています。



 ボール式にした事で目の移動方向は自由になりましたが、移動距離はスイング範囲内に限られています。レール式なら上面や左右端まで動いたんでしょうけど、せっかく正面部分の面積が広いのだから、キットの判断はベターだったと思いますね。左右のモノアイシールドは深く頑丈にハメ込んであります。ここまで目が動けば、電柱の影から敵の動きを覗くとかにも使えそう。



 モノアイシールドの上面は正面と連続性が有るデザインですが、クリアパーツの継ぎ目が見えてしまいます。まあ実機でも分割してあると考えるのが妥当と思いますし、クリアパーツ端の厚いフチ取り部分も、実在する補強なのだと考える事も出来るでしょう。素材は金属に限らず、アクリル等なのかも知れません。



 腹部のダクトと胸のインテイクは正面からハメ込み、脇のインテイクはボディ組立時にハサミ込みます。腹部はMSV当時の設定ではワイドカッターとされていましたが、ユニコーン登場時にはダクトに改装されていたという、アニメに順じた設定で造形。ワイドカッターは頭部のブーメランカッターと同様の装備とされますが、固定ウエストが一般的だった当時と違い、関節との両立が難しいという判断から変更されたのかも知れませんね。



 と言いつつ、このキットのウエストはほぼ固定式となっています。腰から伸びた軸が筒状のウエストを貫通し、胸の奥にボール接続してあるんですが、背中のパイプがバックパックと腰をつないでしまっているため、ガタつき程度の可動しか出来なくなっています。もっとも、腰側の差込部からパイプを一時的に外すのは簡単なので、背中を見せないディスプレイに限れば、大胆なポーズを取らせる事も難しくありません。



ウエスト可動を制限しているパイプを外し、ボディにヒネリを加えたところ。以後のアクションポーズは、この様にパイプを外した状態で撮影しています。

 は、フンドシフレームの底面にポリキャップを仕込み、前後の外装でハサミ込み。後部と下部のノズルは別パーツ化されています。下部のノズルはアクションベース取付時に取り外すフタパーツ扱い。連続して発売されたウイングガンダムもそうでしたが、今後の新作アニメでは最初から取り外しやすい、フタパーツ化を想定したデザインが標準となるのでは・・・。



三角形をしたモノアイシールドの両端は、いっそ固定カメラかウインカーという事にしてしまえば・・・なんて事も思ったりします。(笑)

 です。股関節は、フンドシから真横に突き出た軸に、ポリキャップをハサミ込んだ球体を接続。モモは前後貼り合わせで、ヒネリ用とヒザ可動用のポリキャップをハサミ込み。スネに隠れる3つ目の節だけは筒状に成形された別パーツで、ここが上下とも後ハメ可能な、二重可動のヒザ関節になっています。



 スネは左右貼り合わせたグレーパーツに、両側から茶色の外装をハメ込む事でフチ取りの色分けを再現。推進ユニットと思われる後部は別パーツ化してあり、スネ本体の組立時にハサミ込み。ユニットとフィンパーツの2枚重ねで、元デザインに比べてフィンの面積を縮小し、形も幅一定な直線的な物としてあります。機密性を感じさせ、フィンより上の位置にエンジンの存在を思わせる、説得力の高いアレンジですね。足首幅に対して余裕ある膨らみを持たせたスネのボリュームは、内蔵式推進ユニットと目の動きに着目して、ドムからの流れを意識させる狙いが有るのかも。



 足首関節は、上が二軸可動、下がボール式の二重関節です。足首は、甲・クツ・足裏を重ねるスタンダードな構成ですが、甲の傾斜に内と外で違いを付けた、左右専用パーツとしてあるのが新鮮。量産されなかった試作機らしさと感じるも良し、ファースト当時の空気を感じるも良しです。ポリキャップは足裏パーツから伸びた支えの先端に取り付け。今では珍しい構造では有りませんが、高さのあるこのキットでは、普段以上に有り難い、組み易さへの配慮ですね。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

 です。上腕は一節ごとに筒状成形されたワンパーツの連続。上側が軸受け、下側がピンになっていて、球体ポリキャップで連結します。肩アーマーも同じ構造で、実機でも可動域の拡大と関節保護のために大型化した、節の一つなのだという解釈も出来るでしょう。ABS関節で連結してあった初期HGUCのズゴック、ゴッグよりも、はるかに簡素で保持力が高く、数種類のサイズで発売して欲しいほど。最後の節はヒジ関節として、前腕内部の軸可動ポリキャップに接続します。



 ところでモモもそうですが、元デザインでは円柱だった外装がジャバラ式に変更されています。恐らく、どうしてもジャバラ式にしたかったのは可動範囲が必要な上腕の方で、モモは統一感のために合わせたのではないかと想像しています。



 前腕は2パーツ貼り合わせ。のラインはシールで色分けしてあります。すぼまった部分に真っ直ぐなシールを貼るため、シールには切れ込みを入れてあります。腕輪状の先端パーツは、手首関節用のポリキャップをハサミ込んでの貼り合わせ。ここは伸縮式のアームパンチで打ち出せるという設定ですが、キットでは伸びた部分を付け足す、差し替え式で再現しています。



 旧キットの様に伸縮ギミックを仕込んであるのも楽しいですが、伸びる長さに限度がある事や塗膜が痛む心配、保持力やガタつき防止の意味からも、簡単確実な差し替え式は、HGUCに適した選択だろうと思います。値段相応とか低年齢向けというだけでなく、小サイズだけにディオラマに適しているという意味も込めてですね。継ぎ目に目をつぶって左右2個分連結すれば、長さ2倍にもなりますし。解説によると、20メートル以上伸びたとする資料もある様ですよ。えーと、何個買えばいいのかな?



股下バーニアを伸ばして休憩。(サイライズの公式設定ではありません。)実は延長パーツで支えなくても、踏ん張りだけでこのポーズが取れてしまいます。

 手首は、左右ともリアルゲンコツと武器持ち手が付属。指の握り具合が異なりますが構造は同じで、甲・指・貼り合わせる指に加えて、手の平の外装を単独パーツ化してあり、とてもリアルです。その一方で、親指の外側という目立つ部分に、肉抜きを付ける事も忘れてはいません(何それ!)。工作慣れした人なら、肉抜きは比較的簡単に埋められるとは思いますが。



延長パーツをモモに付け足せばキックにも有効。(サイライズの公式設定ではありません。)その昔、3Dジャーナルに、スコープドッグのあちこちがアームパンチ式に伸びる4コママンガが有ったなあ。

 指の本数は4本で造形。旧1/144キットでは5本、パッケージイラストでは4本でした。線画ではなくカラー設定画ばかり公開されているので絵が小さい場合は特に分かりにくいんですが、MSVハンドブックには、かなり大きなイラストが掲載されています。それを見ると右手は5本、左手は4本、あるいは小指が隠れた状態の5本に見えます。実際はどうであれ、指の本数に混乱がある事自体がズゴックへのオマージュでありまして(ウソ)



 バックパックは、表裏2パーツを組み合わせ、バーニアとプロペラントタンクを貼り付け。4本の円柱パーツはノズルかマフラーか理解してないんですが、個人的には煙幕を出して欲しい気分です。旧1/144キットでは1本ずつ接着していましたが、今回は中央パーツと一体化されて強度アップ。うっかり押さえても根元が折れない様に、バックパックとのスキマは余剰パーツで埋めてあります。出来る所まででも削ってやると、見映えがアップするでしょう。円筒の部分にハメ込みピンが有るので、接着の必要が生じるかも知れませんが。



旧1/144キット(右)との比較。ブーメランカッターが直線的にアレンジされ、ディケイ度の高いデザインになりましたね。(意味不明)

 背中のパイプは、左右がバックパック内でつながった、U字形のパーツとして成形されています。バックパックで押さえて取り付け、フンドシ後部の丸穴に軽くハメ込んであります。少し広げて取り付ける方式なので、同じ要領で外すのも簡単。とは言っても、軟質素材ならそのままウエストが可動出来たと思うんですが。動力パイプではなく、背中のプロペラントから腰のノズルに燃料を送るパイプなのかも知れませんね。



斬新なウエスト関節のお陰で、背後にも死角無し。(そこ関節じゃないよ!)

 武装です。シュツルムファウストは2本付属。先端だけ貼り合わせになった2パーツ構成で、1/100かと思える程の大きさが魅力です。2本束ねられるホルダーの穴に通し、腰後部に装着可能。MSV当時から有る専用武器ではなく、マウントラッチを追加しての装備との事です。



 手に持たせる時は、ヒートサーベルと同じ武器持ち手を使用。両手持ちはキビシイですが、腕を延長すればどうにか構えられます。



 ヒートサーベルは、グリップと刃の2パーツ構成。これもグフ系MSの装備を拝借した物でゾゴック本来の装備ではないんですが、斬撃も含めて格闘戦と呼ぶ昨今、ゾゴックに良く似合う装備を持ってきたものだと思います。刃の部分はツバの片面まで一体で、クリアー成形の物と交換可能。これで待機状態と発熱状態両方の再現が可能となっています。どうせならグリップも2本付属していれば良いのに・・・という気持ちもありますが、握った手を分解する事無く刃を交換出来るって、手軽で良いですよね。



 ブーメランカッターは、同じサイズの物が10枚付属。頭部のスリットに1枚ずつセットし、着脱も可能。奥が良く分からないスリットに手探りでセットするため、角度を揃えるのが若干難しく感じますが、それでも向きを揃えて接着するのは旧キット最大の難所だっただけに「良い時代になったもんだ」と感じている人は少なくないのでは。を利用すれば、射出されたカッターが飛んでるシーンも飾り台で再現出来ますよ。アクリル棒でもOKかな?



アクションベースの丸ピンジョイント(赤いパーツ)が、ブーメランの穴にピッタリとフィットします。

 組立時間は1時間10分でした。キット化されただけでも嬉しいのに、機構を見直したジャバラ関節の保持力の高さは驚き。球体ポリキャップを50個くらい使えば、超絶可動する1/100センドビードタイプが作れるのでは・・・なんて、そんな事を思ってしまいました(笑)。


 おまけ




 UCC THE DEEP BLACK無糖に付いている「永遠の0」コレクション、一通り集めてみました。スケール表記は無いんですが、全幅を測ってみると機種ごとにバラつきが有るものの、どれも1/144より若干大きいサイズの様です。零戦で1/135程度でしょうか。



 ラインナップは、(前列左から)零戦二一型、二二型、五二型、(後列左から)紫電二一型甲、彗星三三型、九九艦爆二二型の6種。主翼、アンテナ支柱、機首、尾部を取り付け、共通の飾り台に乗せる組立です。キャノピーにはクリアパーツを使用。個体差により難しい場合も少なくない様ですが、プロペラは息を吹きかけると回転します。



 せっかくなのでキッチリ1/144だと嬉しかったんですが、続々発売されるガンプラの新作を追いかけるだけで手一杯で、アニメで女子高生が乗ったり擬人化でもされない限りスケールモデルに手を出す機会が無いのが実情(笑)です。手軽にガンプラの横に置いて楽しめる半完成品が一気に6種も手に入る訳ですから、興味のある方にはオススメしますよ。なあに、ガンプラもオーバースケールの場合が少なくないので、かえって大きいほうが丁度良・・・なんでもありません。

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 2013.10.19 健 竹史

  

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