健さんのプラモコラム　その４４１・ＨＧ　ガンダムＡＧＥ

健さんの
プラモコラム

その４３６
　ＨＧ　ガンダムＡＧＥ－１
　フルグランサの巻

　ＨＧ　1/144　ＡＧＥ－１Ｇ
　ガンダムＡＧＥ－１フルグランサ
　バンダイ
　「機動戦士ガンダムＡＧＥ」に登場
２０１３年４月発売　税別初出価格１６００円

　ガンダムＡＧＥ、３世代のガンダムが順番に登場する３部構成の物語かと思ってましたが、最後に３世代が揃って活躍する４部構成だったというのは意外でした。しかも３機とも何らかの改修を受けていて、換装によるバリエーションとは別に最終形態が用意された形になりました。登場時には「ゲスト扱いでなければ良いな」とちょっぴり心配していたフルグランサ、終了後ずいぶん時間が経ちましたが、無事にプラモが発売されて嬉しい限り。早速目を通していきましょう。

　例によって新規パーツを中心に紹介していきますので、変更ない部分については「その３９６　ＨＧガンダムＡＧＥ－１ノーマルの巻」を参照下さい。

　胸増加アーマーは、ボディ正面から被せておいて、上面パーツの端をエリに引っ掛けて固定。下面左右にはダクトを取り付けます。内側では胸の六角形に突起をハメ込む事で位置決めに利用。本当の中の人はAGEー１フラットなんですが、この位置決めのためにナンバー無しのフタパーツは付けずに組み立てましょう。（フラットの目の設定色は青でなく黄色なので、塗装時には要注意です。）

　ポーズを調整する際に胸を持っていると、増加アーマーがツルンと外れる事が有るので気を付けましょう。本体に穴を追加せずに保持してある、再現度と引き換えの部分です。着脱させる予定の無い人は接着してしまっても良いかも知れません。

　ウエストは変更有りませんが、球体ポリキャップによる接続が、若干抜けやすく感じました。ノーマルの時より着膨れした分だけ、ウエスト保持力の重要度が高まってると思うので、若干キツめに調整しておくとガシガシ遊べて良いかも知れません。

　腰です。フロントスカートは、表裏貼り合わせの増加アーマーでハサミ込んであります。実際は裏面を補強する必要は無いんでしょうけど、下端部ダクトがそのまま裏まで覆ってる形ですね。

　サイドスカートは本来の物をそのまま使用してあり、ビームサーベルの取り出しが可能です。

　リアスカートは、ワンパーツの増加装甲を被せてあります。わずかな突起でスカート本体の裏は端に引っ掛けてあるだけですが、幅方向を完全に押さえてある事もあり安定感は良好です。

別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

　スネ増加アーマーは、スネ本体を左右からハサミ込んでおいて、正面パーツを貼り付け。正面中央にはミサイルランチャーが仕込んであり、ヒンジで起き上がります。取り付けはパーツ裏からセットするシンプルな物で、引き出すとスキマからMS本体のスネがチラリと見えます。ハッチ式のマイクロミサイルではなく、それなりのミサイルを縦に仕込んであるのは、スパローのニードルガンからの流れでしょうか。

　ヒザやスソの辺りはMS本体の脚と装甲の二重構造である事が外から見ても分かる造形で楽しいですね。覆われて太くなった分、関節可動範囲は狭くなっていますが、ポージングに大きな支障は無いでしょう。スネ後部はパーツの合わせ目が目立つ数少ない箇所の一つ。ここを単独パーツ化してあればなあ、と贅沢を承知で思ってしまいます。

　肩増加アーマーは、上から被せる本体と横から被せるサイドアーマーを連結するという、珍しいハサミ込み方で保持してあります。このためサイドアーマーは可動しませんが、これは本来の肩アーマーごと腕が横に大きく上がる可動性の高さから、固定してしまってもポージングに大きな支障は無いと判断されたためでしょう。ヒンジが無い分スキも無く、良い感じの外観に仕上がっています。

　肩アーマー本体のフチを覆う様に配置されたミサイルランチャーは、コの字形にワンパーツ成形。増加アーマーとサイドアーマーの接続部を覆う様に斜めに被せます。

　発射口のフタパーツは位置をズラして差し直す事でスライド開閉を再現。ランチャー本体も差し直して発射状態のポジションを再現します。スライドの意図は分かりませんが、スキマを作る事で中に本来の肩アーマーが収まっている事が分かる、模型的な見せ場になっています。フタパーツは小さく扱いにくいので、ハメ込み穴に変な角度で引っ掛けて折ったりしない様に注意しましょう。

　前腕にはシールドライフルを装備。表裏パーツで銃口をハサミ込み、先端左右の突起を取り付けます。ここでビームを誘導してるのだろうと思うんですが、シャープなフチを見ると打突、斬撃にも有効そうですね。厚み部分が肉抜きされているので、埋めてやっても良いでしょう。

　シールドライフルは、差し替え式でヒネリを再現した袖のハードポイントにマウントするので、この類の追加装備としては珍しく取付面が自在です。フルアーマー物では前腕を覆うデザインが定番でしたが、可動が充実してくると今後は覆わない例も増えてくるかも知れませんね。腕が太くならないため従来の武器を持たせやすいと言うメリットも有り、そういう点でもプレイバリューの高さを保っています。そもそもアニメでは上腕が被弾・破損するというジンクスが有りまして（略）

　本体にアーマーを纏った状態がグランサと呼ばれ、さらにバックパックにグラストロランチャーを装備するとフルグランサと呼ばれるとの事。グラストロランチャーは、ウイングユニットと左右のランチャーから構成されます。

　ウイングユニットは、背中のシャフトに連結すると同時にウイング（AGEシステムのアンテナ）のスキマにも先端が入り込んで頑丈に固定されます。ユニット下部は箱状のランチャー基部の内壁をアーム状に一体化してあり、ドラム関節にピン接続。実質的なフレームパーツとなっています。箱状の基部はウイングと一体、これを上から被せれば出来上がりという簡単組み立ては、塗装派にも嬉しいですよね。関節と言えばハサミ込みだった昔からすれば夢の様です。

　ランチャーを保持するドラム関節はポリキャップを仕込んで貼り合わせ。前後に回転し、ランチャーにはボール接続してあります。F９１のヴェスバーの様に後ろから前に回り込んで発射体制になる訳ですが、脇ではなくヒジの下に位置するので構えさせるのも簡単。腕と同等の保持力があるドラム関節に支えられ、安定感も十分です。

　ランチャー本体は、黒い部分を箱状にワンパーツ成形。下面に貼り込む赤いパーツが、スイング部につながるポリキャップの押さえになっています。側面、砲口とパーツを貼り付けていきますが、砲口パーツが可動グリップの押さえになっているのが面白いですね。デザイン段階からヒンジ可動部をハサミ込まずに組み立てる事を想定してあるのでしょう。

　日頃だとパーツごとの機能がキッチリ分かれている物の方に説得力を感じるんですが、AGEの武器デザインはフラット化や簡素化を意識的に導入してる気がします。仮に内部メカは複雑でも、シルエット的にスッキリした外装で覆ってあるのかな？といった感じでしょうか。少しずつ時代が進んで遠い未来でターンエーの世界につながるのかも？なんて思ったりもします。

　組立時間は１時間１５分でした。ビームダガー用の短いビーム刃が除外されているものの、ＡＧＥ－１本来のパーツは基本的に全て付属。余りパーツ扱いのシールドとライフルも組み立てれば装備可能、MS本体はパーツを一切外す事無く増加装甲内部に収まっています。これ、フルアーマー物のお手本みたいな優良キットじゃないですかね。普通だったら増加装甲を固定するために穴が追加されたりするものですが。増加装甲が最初から設定されていたデュエルに負けてない気がします。

　案外、最初に設定をカッチリ煮詰めてあったＡＧＥだけに、後付けじゃないのかも知れませんけども、それならそれで、入念な準備が功を奏したという所でしょうか。着込んでいる事が分かる各部のスキマ、可動を妨げない増加パーツ。ウイングとテールによる広がりや、本体を過度に覆わない軽快なデザインも魅力ですね。フルアーマー好きな人には、是非手にとってみて欲しいと思います。ＭＧでＡＧＥ－１フラットを発売する口実にもなる装備だと思うので、こちらの続報も楽しみにしています。

　おまけ