健さんの
プラモコラム

その431
 HGクランシェの巻

 HG 1/144 RGE−G2100 クランシェ
 バンダイ
 「機動戦士ガンダムAGE」に登場
2012年9月発売 税別初出価格1300円

 HG 1/144 RGE−G2100C クランシェカスタム
 バンダイ
 「機動戦士ガンダムAGE」に登場
2012年12月発売 税別初出価格1300円



 今にして思えば、3世代に渡る物語として描かれたガンダムAGEは、時代ごとに新しい量産MSが登場する、量産MS天国でもありましたね。今のご時勢、1年アニメを流せばガンダムは放っておいても複数出てくる訳でして、一番おいしい思いをしたのはジム系好きの人だったかも知れません。

 その登場の仕方もAGE−1からアデルが、AGE−2からクランシェが派生していて、ジムの開発経緯に近いんですが、鈍感なボクは、クランシェが量産型AGE−2だとはしばらく気づきませんでした。モデルグラフィックス2012年11月号の特集記事によれば、元々AGE−2のバリエーションキット前提の予定だったものが、デザイナーの要望とメーカーの了解で、完全新規OKのデザインになって描かれた物との事。(イイ話だなあ。)気付くのに時間がかかったのは、元デザインから昇華された証だと自己弁護してしまいましょう。よりAGE−2に近い試作機が有ったんじゃないかとか、そんな妄想モデリングも楽しそうですね。

 てな訳で紹介が遅れていたクランシェですが、カスタムも発売された事ですし、まとめて見て行くとしましょう。



 頭部は、アゴまで一体の内部メカパーツをハサミ込んで前後ヘルメットを貼り合わせ、正面からバイザーを取り付けます。ジェノアス の面影を残しつつも、これまでに無いメカっぽい顔つきが良いですね。



 ボディです。は、エリと2軸可動の肩関節をハサミ込んでの前後貼り合わせ。エリは上下にガタつきを持たせてあり、変形時に押し込む事で頭部の引き込みを再現しています。



 ウエストは、胸につながるポリキャップを上下からハサミ込み。変形時には、ここで下半身が丸ごと後ろに折れ曲がります。AGE−2と同じ変形ギミックですが構造的にはジェノアスに通じる物があり、この機体の登場によってジェノアスとAGE−2も開発系譜的につながった気がしますね。



 は、フンドシフレームと腰骨の組み合わせ。ウエストからのボールジョイントは、フンドシに縦成形された取り付け穴に接続します。フンドシ前部はランディングギアが収納されているという設定で、キットでは一旦外したフンドシ前部を、取り付けたランディングギアに被せる事で展開状態を再現。カケラの様なフタパーツと違って扱いやすく、省略される事もありませんね。デザイナーの作戦勝ち?!



 サイドスカートは、極小ボールジョイントで可動。飛行形態では進行方向に向きを揃えてやりましょう。



 リアスカートは左右一体で可動。ジェノアスを思わせるスラスターになっていて、飛行形態では起き上がり、モモ後部の張り出しと連続する配置になります。ヒンジの押さえはフンドシ後部に上から差し込む方式。ハメ込みピンが不要でコンパクト、しかも外れにくくて上手い構成だと思います。



 です。股関節は、ドラム状のモモ上部にポリキャップをハサミ込んだ軸可動式。モモは、芯パーツにポリキャップを閉じ込めておいて、左右と前面の外装を被せる方式。後部は空洞になっているのか、飛行形態ではリアスカートのスラスターと一体化します。キットでは露出した芯パーツがシャッターの色分けを担当しています。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースではなく、専用の飾り台が付属します。

 ヒザは左右貼り合わせで、上が後ハメ、下がハサミ込み式の二重関節スネは左右貼り合わせで、モモと連続したラインで構成されているのが面白いですね。しかも空気抵抗も小さくて済みそうです。ヒザ関節を階段状に曲げる変形を良く見かけますが、空気抵抗を考えるとうわ何をする。Zガンダムは大気圏突入時の高熱や衝撃波から脚を保護するという上手い理由付けが出来てますけども。



 クルブシアーマーは、ボール接続で開閉式。組み終わったスネのスリットに外から差し込む指示ですが、事前に差し込んでおいて、スネの内側からボール軸受けの定位置に押し込んでやる方が、組み立てが楽な気もします。



 足首関節はボール可動。足首は、クルブシで左右を貼り合わせて足首を閉じる関節を作り、ワンパーツ成形のクツとカカトを被せます。閉じなくても十分コンパクトですけども。



 肩アーマーは、肩ブロックの前後から貼り付け。側面にハサミ込んである可動式のスラスターは、インテイクとノズルを縦に連結してあります。取付部が長穴になっていて、上下スライドとスイングが可能です。



 です。肩ブロックは、ポリキャップの下から箱状のパーツを被せる構成。上半分はオープンですが見える事はまず無いですし、肩アーマー内のスペースを考えると好都合かも。



 上腕は、ヒジまで一体で左右貼り合わせ。左右から被せた外装で分断されて見えますが、中ではつながっています。外装後部はポリキャップ内蔵のハードポイントになっていて、腕カバーを後付け。腕カバーは表裏パーツの貼り合わせで、モモと同様、飛行形態時に肩側面のスラスターと一体化します。



 前腕は、ヒジ関節をハサミ込んでの左右貼り合わせ。この時点では手首のポリキャップはムキ出しになっていて、これに被せる事で袖パーツを固定、挿し直しで90度ずつ向きを変える仕組みです。シールド保持用のスリットは前腕本体側にあり、今回は袖を差し直してもシールドの向きは変わりません。



 手首は、左右の穴あきゲンコツと穴なしゲンコツ、3本指を開いた左手が付属します。



 バックパックは有りませんが、背中に武器ホルダーを装備しています。エリの後ろに引っ掛けてあるだけで頼りない構造ですが、ヒンジを仕込めるだけのスペースがない場合、この様に外れやすい方が破損しにくくて良いかも知れません。ハネ上がったポジションについては挿し直す事で頑丈に固定。飛行形態時にダレて来ないのは、ヒンジが無いからこそ、とも言えます。



 武装です。ドッズライフルは、左右貼り合わせの機関部にフィンファンネルの様な銃身を上下から貼り付け。グリップは下面に取り付けたガードから上に伸びる配置で、上部のカバーがヒンジで開閉します。持ってる時の外れにくさと着脱の容易さを両立しててナイス。AGE−3との関連性も感じさせますね。さらにここは飛行形態でのフェイスカバーになる部分でもあり、開いておいてからグリップを胸の下に差し込み、顔を覆う様に倒します。

 ところでレール誘導でビーム粒子がドリル状に収束するのかどうか分かりませんが、ドッズという呼び名が貫通力さえ高ければ別方式でもそう呼ばれているとか、そんな可能性も有るかも知れないなあ、なんて思っています。



 ビームサーベルはワンパーツ成形で、普段はシールド裏に埋没する様に収納。グリップは1本ですが、クリアーのビーム刃が2本付属します。この他、からビーム刃を発生出来るという設定で、キットでも再現されています。袖を高速回転させればドッズライフルと同じ理屈で貫通力がアップしそうな予感が!



 シールドは、表裏と表面の赤い部分の3パーツ構成。グリップは無く腕に直接マウントします。背中のホルダーに背負わせる事も出来、飛行形態時に機体上面のスキマを埋めるユニットでもあります。

 飾り台は、AGEシリーズではおなじみのベースがY字形になったタイプ。今回も左右組み合わせて支柱を取り付ける構成で、予備の手首パーツを裏面に収納出来ます。欲を言うならランディングギアも(略)支柱の先端には角度違いのピンが2本有り、ディスプレイ角度を選択可能。前傾したピンは飛行形態だけでなく、MS形態に使っても良い感じですね。



 飛行形態への変形です。背中の武器ホルダーを起こした位置にしてシールドをセット、頭部をエリごと押し込みます。腕をヒネって腕カバーを外側に配置、肩アーマーのスラスターを押し下げて一体化します。ウエストを折り曲げて下半身を後ろに向け、さらに脚をハネ上げ胸と水平の位置にします。ツマ先を閉じ、サイドスカートを後ろに向け、ヒジを曲げて手首をシールド下に隠します。ドッズライフルのグリップを胸に差し込んで機首を形成、上部カバーを倒して顔を覆えば完成です。駐機状態にするには、スネ前面の張り出しとフンドシ前部を一旦外し、セットしたランディングギアの上に被せてやります。



 基本的にAGE−2の変形機構を踏襲しつつも、ライフルのグリップが無可動で済むセット方式に簡素化されていたり、シールドが中央に位置して左右対称のデザインになったり、時代を経て改善されてる印象を受けました。腕カバー、脚、シールドが放射状に位置するシルエットも美しいですね。 



 また、前方に伸びた機首や機体下面に吊るされた太い脚のシルエット、肩後部に連結するカバーが、メタスを連想させるのも面白いと思います。Zを思わせるAGE−2からメタスが派生する開発順序、案外Z本編よりも自然かも?って言うか最近デルタファミリーが充実してきてメタスのポジションを脅かしてる気がするんですけどー。



 続いてクランシェカスタムです。頭部は、バイザーがコンパクトで鼻先が突き出た顔つきに変更、頭頂部には上からアンテナをセットします。ボクらは赤くてツノが付いてるのが偉い人、と長年刷り込まれてきた訳ですが、クランシェに限っては色よりツノの方が大事みたいですね。バイザーが複雑な形をしてると光が屈折しないかな?と気になるんですが、デザイン意図としてはをイメージさせる事でその左右にもイメージさせる狙いではないかと思います。高性能機ほど人間に近い顔をしている、ジム系にも見られる傾向ですね。



 モモは、前面パーツを2枚重ねにして増設されたスラスターを再現。ヒザ関節の前に突き出たフィンが被さり、よりAGE−2の構成に近づいた印象ですね。一般機ではモモとスネに連続性を持たせてあるので、並べた時に増設箇所が一層際立って見え、効果的なデザインだと思います。

 腕カバーは、コンパクトな基部の外側に回転式のユニットが有り、飛行形態では前方を向きます。さらにそこからハサミ込み式の可変翼が展開。MS時に内側に有ったウイングが飛行形態では外側に移動するので、見た目の変化も大きくて楽しいギミックです。薄いウイングを未使用時に保護しているとも言え、合理的だと思いますし。



 飛行形態は一般機と比べて横に大きく広がっていて、変更箇所が少ない割に印象がガラリと変わって見えます。簡単にユニット交換出来そうな変更内容と箇所に留めてあるのも良いですね。プラモでも中間型や、作戦ごとの換装等を想像しながら楽しめそうです。



 組立時間はどちらも1時間程度でした。従来だと可変機というのは高価ゆえに量産されない物が多かったんですけども、量産機の場合は変形前と変形後を並べて飾る事も出来、やってみると実際に楽しかったりします。リゼル等の前例が好評だった事を受けての登場だったのかも知れませんが、HGサイズで差し替え無しの変形が楽しめる点も、並べる上でポイント高いですね。今後の作品でも可変量産機がポツポツ登場したら良いなあ、と思うのであります。

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 2012.12.24 健 竹史

  

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