健さんの
プラモコラム

その423
 MG マラサイの巻

 MG 1/100
 RMS−108 マラサイ
 バンダイ
 「機動戦士Zガンダム」に登場
2012年5月発売 税別初出価格4000円



 ジオ、ジオング、マラサイ。今度MG化されるのはこの中のどの機体でしょう?そんなクイズに「人気機体だし、そのうち3つとも出るだろうな」と思ってたら、揃うのに10年かかってしまいました。しかも、サイズ的にも造形的にもスタンダードな感のあるマラサイが一番後発になろうとは意外。ある意味、人気機体から出している訳でも出しやすい機体から出してる訳でもないという、シリーズが尻すぼみにならない工夫がされている事の証明と言えるのかも知れません。

 さて、これからの10年は何がMG化されるのを楽しみにすればいいのかな?ここらでもう1回クイズを出してみるのも一興だと思うんですが。では、キットに目を通していきましょう。



 頭部は、C字形の芯パーツに一節ずつカバーを通した動力パイプをフレームにセットし、外装とクチバシでロック。左右可動するモノアイを仕込んでハイザックそっくりの頭蓋でフタをします。マラサイ独特のヘルメットはその上に被さる構成で、装甲が過剰な気がするもののハイザックとの関連性を取り込んだ面白い演出です。

 ところでのシコロに似た後頭部アーマーに手甲アーマー・・・長いスカートが草摺のイメージでシールドがだとすれば、発想は武者ハイザックなのかも知れませんね。装飾を追加してみたら面白いかも。



 モノアイを動かすツマミはハイザックの頭頂部に有り、マラサイの頭蓋を外して操作。着脱用スリットがアンテナ基部に見える様に処理してあるのは上手いですね。いっそこのスリットに、マラサイアンテナがフィットすれば良かったのに。



別売の発光ユニット(緑)を使ってモノアイを光らせています。このキットには発光ユニットは付属していません。また、キットのモノアイは無色クリアーです。

 モノアイは、筒状パーツにクリアー成形した首のボール軸とレンズを組み合わせ、エリの下に仕込んだ別売発光ユニットの光をを誘導出来る仕組み。自体も前後スイングし、エリ下では発光ユニットが振り子の様に動く事になります。



発光ユニットのスイッチ操作のために頭部を外した状態。天井の無いコクピットの中が見えるのが分かるでしょうか?

 スイッチのオン・オフや電池の入れ替え時には、エリごと頭部を外します。これ、AGEー3と同じ合体システムですね(違) 。そう言えば我が家の発光ユニットは買い足す事も無く、AGEシステムの様に新キットに移植されてますね。

 ボディです。コクピットはあえて球体を完全再現せず、パイロットを座らせたシートが収まる最小スペースの室内をパーツ化、胸板の内側から貼り付けてあります。エリが取り外せるため、天井が筒抜けになっていて、完成後も上から見る事が出来るのが嬉しいですね。もし選択式組み立てで発光ユニットを上下逆に仕込めたら、コクピットの中を照らすこともできたかも?



強引に発光ユニットを上下逆にセットしてみたところ。無色の発光ユニットも欲しいですね。

 ハッチは、スライドレールで前に引き出して上に開く構造。ヒンジを組み付け、胸正面から差し込んで取り付けます。

 肩関節MGザクVer.2.0と同じ構造で、前方斜め上に引き出せる関節ユニットを左右それぞれ組み立てて、ボディー前後でハサミ込み。その後、胸左右の装甲を横からかぶせます。



 ウエストは、左右貼り合わせの内部フレームに筒状の外装を下から被せる構成。フレームは胸前寄りにC字形ヒンジで接続してあり、前屈みのポーズに対応します。展開したバリュートにも良く馴染みそうですが、さすがに発売は無理かな?

 は、左右貼り合わせのフンドシフレームに腰骨フレームを上から被せる構成。フンドシ前後は動力パイプの抑えになっています。動力パイプのカバーはD8を4個、D6を3個、D8を3個・・・と数えなくても良い様に、通す順番と個数に合わせてランナー内に3列に配置。パーツを失くした時に1パーツ単位で注文出来るのがうれしいですね。が左右つながったC字形なので、先に通したカバーの脱落を防ぐ意味で最後の1パーツはキツめにしてあると良いかも。



劇中の合体シーンを再現。(番組違うよ!)換装システムによってユニコーンVerやバリュート装備タイプに変化するぞ!(だから番組違うよ!)

 フロントスカートは表裏2枚貼り合わせで、左右独立してボール可動。サイドスカートは、腰フレームから張り出して前後両端を保持しているヒンジがチラリと見えるのがミソですね。やはり表裏2パーツ構成で、C字形のハメ込み。リアスカートは左右一体で可動します。設定画ではフンドシが隠れる様な配置に描かれているので、垂直に垂らさず、少し起こし気味にしてやると良いでしょう。

 です。股関節は、軸可動の組み合わせ。MGザクVer.2.0に準じた、股関節軸を前に寄せたタイプです。



 モモです。内部フレームはMGザクVer.2.0に準じたデザインですが、シリンダー等のギミックを廃したシンプルな貼り合わせ。外装はヒザ上の段差部分を筒状の別パーツとしてあり、フレームの上から通してセット。その後で左右外装を取り付けます。

 ヒザは二重関節。後部動力パイプと膝アーマー裏側パーツを仕込んでおいて左右貼り合わせ、モモとスネのフレームで挟み込み。ヒザアーマーはヒザの曲げに連動して動きますが、スネから伸びるのではなく、スネに埋没する感じ。関節から離れず保護し、スキも小さく抑える事を狙った動きですね。

 スネは、左右貼り合わせのフレームを内蔵。外装はHGUC同様ラインに沿った3分割ですが、固定をフレームに任せた事で外装パーツ同士が重ならない、より実機に近い構成になりました。スラスターは内側を色分け。偏向板はボールジョイントで可動します。側面にはハードポイントのフタパーツが付きますが、小さいので脱落に注意しましょう。



 足首アーマーは、ヒンジを兼ねた裏面パーツに表面パーツを貼り付け。最近は足の小さなモビルスーツが多いので、昔のモビルスーツはこんなに足が大きかったのかと驚きますね。足首関節は上が二軸可動、下がボールジョイントの二重関節です。

 足首は、上下貼り合わせたカカトフレームを左右からつま先フレームで挟み込み、足裏・クツ・甲を縦に被せる構成。可動の機構はMGザクVer.2.0と同様ですが、ポリキャップABSパーツも使わずにプラ同士でのつま先可動となっています。MGガンダムAGE−1でABSの廃止は既に行われましたが、これをさらに推し進めた感じですね。ランナー状態でもハッキリ分かる柔らかさを備えていて、感触から軟質樹脂を使っているのではないかと思ったのですが、どうやら新素材の様です。(きんさん、情報をありがとうございました。)



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

 過去にポリキャップ代わりに軟質樹脂が使われた事も有った様に記憶してますが、磨耗に強くて塗装しても安心なら、今後はABSに代わって、可動パーツのスタンダードになっていくかも知れませんね。専用パーツのためポリキャップよりも設計の自由度が高く・・・と言うより、何も内蔵せずに可動部が構成出来るので、省スペース・簡素・軽量化にもつながるかも。

 左肩アーマーは、ワンパーツ成型された内部フレームと外装を貼り合わせ。スパイクは外装を貫通してフレームに直結しています。シールドは、折り畳み部にポリキャップを内蔵。箱状の基部を囲む様な配置のジョイントを表裏パーツでハサミ込む事で、後ハメに近い組み立て易さとしてあります。劇場版Zで披露した折り畳み状態も再現出来ますよ。ああ、ジオングやジオより先にMG化されないで良かった〜。



 です。肩ブロックは、内部フレームや関節パーツの機構やデザインをMGザクVer.2.0と統一。スパイクやシールドにつながるジョイントは、MGグフVer.2.0と同じ二重関節としてあります。外装は前後貼り合わせ。台形のシルエットが特徴的ですね。

 上腕は、フレームを前後から外装でハサミ込み。ヒジ後ろがメクれた様な造形になっていますが、設定では全体に丸みを持たせたラインで構成されています。下半分が薄くならない方が折れ曲がった分割ラインとも相性が良い(強度が有りそうに見える)気がしますし、こだわりたい人は好みで修正を加えても良いかも。



 ヒジは、上腕・前腕のフレームをハサミ込む二重関節。後部にはヒザ同様の動力パイプを仕込んであります。

 前腕は、ヒジ横と袖を別パーツ化。袖部分はボールジョイントでスイングします。甲アーマーは3本のラインを取り付けるスリットを開孔するためにスライド金型を採用。凝ってて嬉しいんですが、ヘルメットやスソ、胸のラインと質感が統一されていると良かったかも。

 手首は、4本指をまとめて交換する方式で、銃持ち手・サーベル持ち手・完全に握ったゲンコツを左右とも再現。親指は可動式となっています。目新しいのは、銃持ち手に突起もスリットも無く、ライフルのグリップを親指の腹と4本指のキツさだけで保持する方式になっている事。手の平のディテールを損ねず外観は良いですが、少しズレるとライフルが脱落するので、今後定着するかはユーザーの反応待ちかも知れませんね。フィット感自体は良好で、その昔、接着を前提とした1/35ボトムズシリーズの手首を、銃に合わせて調整した事なんかを思い出しました。



 この他に、エモーションマニュピレーターと命名されたリアルな開き手が左右とも付属します。指の根元はボール可動式ながら自由度は低く、あくまで切り欠き等で外観を損ねない範囲のポーズ変更に限定。4本指の第二関節も内側に限れば、無可動になっている第一関節の見映えと比べてほとんど遜色有りません。

 手首関節軸は、2種の手首ともスイング機構を廃止。動くのは確かに楽しいんですが、手の平を薄く造形しないと2方向へのスイングは難しいですからね。Zの時期のMSはゲンコツのたくましいデザインが魅力であり特徴でもあり、今回は「らしさ」の再現が優先された様です。



 バックパックは、芯パーツに前後と下から外装を被せます。横のタンク端に押さえられる様に仕込んであるのは、開閉式のマウントラッチ。ここにはMG百式とセットで発売されているバリュートシステムを取り付ける事が出来、マラサイの発売に合わせてプレミアムバンダイでバリュート単体の通販も行われましたね。背負わせて作る場合は機種ごとの専用パーツを組み込むため、未組み立てのバリュートが必要です。

 武装です。ビームライフルは、左右貼り合わせた本体に銃口を取り付け。上半分は一体成型のカバーになっていて、上面に分割ラインが露出しません。フォアグリップはC字形のハメ込みで前後に可動。エネルギーケーブルは若干外れやすいので、接着しておくと良いかも知れません。センサーにはクリアーパーツを使用、マガジンが着脱可能となっています。



 ビームサーベルは、ツバ付近とグリップの2パーツを連結する組み立てで、 クリアーのビーム刃が二本付属します。収納時はシールド裏にマウント、手に持たせる時は専用指を使用し、キツさで保持します。

 アクションベース用のジョイントは、フンドシに取り付ける物だけでなく、バックパックに接続する大型のものも付属。これはラウンドフォーミングジョイントという名称で、別売バリュートパック用の取り付け穴にピン接続出来る他、バリュートパックの上からでも取り付けられる便利な物。背中全体をホールドし、角度調節にもレールを使った、強度も保持力も高いジョイントとなっています。自由落下のシーンを再現出来る等、マラサイにはピッタリのオプションですね。上下逆とか、以前から色んな空中シーンのディスプレイを試してきたボクとしても、嬉しい限りです。



落下シーンでは前屈みのポ−ズが様になるんですが、ウエスト関節には下半身を支えるだけの保持力は有りません。そこでバックパックと腰の間に詰め物をしてみました。写真ではアクションベースの先端ジョイントを使用しています。

 組立時間は3時間5分でした。発光ギミック自体も画期的ですが、それをフレーム再現よりも優先した事に注目したいですね。それに可動指の限界と固定指の限界に同時に挑んだ新しい手首、ただ浮かせるのでなく場面の再現を意識した飾り台対応と、新機軸を幾つも盛り込んできた意欲的なキット。(長年ガンプラファンをやってる方はお気付きでしょうが、独自の用語を作った時のバンダイさんは本気です!)初MG化なのでバージョンの表記は有りませんが、シリーズの第三世代的な意味でVer.3.0と呼びたい気分です。



 ABSの代わりに導入された新素材はABS独特のテカリも無く、塗装しない派の人にもより納得のいく質感の関節・フレームパーツを提供してくれそうです。気のせいかも知れませんが、以前からABSパーツは繊細な彫刻表現や急激な形状変化を避けていた様にも思うんですよね。

 そして時期を合わせたバリュートパックの通販。発光ユニットもそうですが、希望者だけパーツを買い足すとか、販売方法がスケールモデルに似て来たかな?と感じました。Bクラブ等で前例はいくらでも有りますが、時期まで合わせた例は多く無いのでは?このキットの仕様は、案外MGのターニングポイントになるかも?と思っています。


 おまけ



 この機会に、少し先に発売されたHGUCマラサイ ユニコーンVerも紹介しておきましょう。4巻に登場する事でMGマラサイ発売のタイミングを作った機体。HGUCは前哨である(笑)!従来キットと変更ない箇所については「その130 HGUCマラサイの巻」を参照下さい。



 MS本体は、基本的にHGUCマラサイの成型色を変更したもの。Zではティターンズが使用しましたが、ジオン残党軍が使用するにあたってグリーン系のカラーに変更。ギラドーガのご先祖様という印象も強まり、元キットと並べれば赤マラサイがシャア専用に見えてくるという効果も・・・もしかしたらシナンジュを際立たせるためにも、UCでは赤系のカラーを避けたかったのかな?バックパックのタンク両端は、カラーリング再現のために同形の新規パーツとなっています。



 UC4話で使われたフェダーインライフルが、新たに付属。パーツ構成はガブスレイに付属した物と同じですが、諸般の事情(整理整頓不十分のソフト表現:笑)により、形状比較が出来ておらず大変残念です。今回「ウェポン01」という単独ランナーでパーツ化され、「これはハンブラビ発売につながるのか?!」と期待してたら、本当にHGUC化が発表されましたね。Cランナーまでしか無いHGUCマラサイに、いきなりDではなくFランナーが付いたので、他キットに合わせた感アリアリでしたけれども。あ、D・Eランナーでバリュートを付けてくれる線も、まだあきらめてませんからね!



 フェダーインライフルは持ち方を変えて、ビームサーベルとしても使える設定。クリアーのビーム刃が付属します。



 もう1つ新規に付属するのが海ヘビ。こちらもハンブラビが使っていた装備ですが、UC4話に登場しましたね。フェダーインライフルと異なり、従来ランナーの延長部分で成型されています。



 グリップ・射出部分とも2パーツを連結する構成。リード線で射出状態を再現出来、ワイヤーのカーブも表現出来ますが、グリップに回り止めが無いので方向が定まりません。手首に接着するか両面テープで仮留めするか、あるいは写真の様に反対側の手で振り回している様なポーズにしてみるのも良いかも。

 従来のビームライフルやサーベルも付属し、武器の豊富さの点からも、よりギラドーガのご先祖様感がアップしています。搭乗したベースジャバーも発売されたので、出撃シーンを再現してみるのも良いでしょう。

2012年3月発売 税別初出価格1600円

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 2012.7.16 健 竹史

  

MG マラサイ
HGUC マラサイ
HGUC マラサイ ユニコーンVer

  

1/144 マラサイ
1/220 マラサイ
HGUC マラサイ エクストラフィニッシュ

  

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