健さんのプラモコラム　その４２２・ＨＧ　ダナジンの巻

健さんの
プラモコラム

その４２２
　ＨＧ　ダナジンの巻

　ＨＧ　1/144
　ｏｖｖ-ａｆ　ダナジン
　バンダイ
　「機動戦士ガンダムＡＧＥ」に登場
２０１２年５月発売　税別初出価格１５００円

　ＺＺを彷彿とさせる大火力ガンダム、ＡＧＥ－３が活躍するキオ編。ＺＺに倣って敵側でも恐竜的進化を遂げたＭＳが見れるかもしれないなぁ・・・と思っていたら、本当に恐竜が出て来ましたよ。いや、恐竜的進化ってのはこういう事じゃなくて。誰だよこんなの出したのは！もっとやって下さい（笑）！好調な某社ゾイドシリーズに触発されたのかどうか、何にせよ、こうしてデザインや商品の幅が広がっていくのは楽しい事です。

　作業用ＭＳであるモビルスタンダード、競技用ＭＳであるモビルスポーツに続いて、モビルサウルスなんて呼び方が似合っているかも。そんなカテゴリーをデッチ上げてみるのも良いかな？ＶガンダムのアレとかＳＥＥＤのソレとか、非人間型や奇抜デザインのＭＳの発売につながる事を願って強力プッシュしたいキットであります。早速中身を見ていきましょう。

　頭部は、上下貼り合せたマスクをアゴに乗せ、首の軸受けと一緒に左右からヘルメットでハサミ込み。ツノはヘルメットと一体、ビームシューターになっているアゴの先端は別パーツ化してあります。頬ガードが長いので、横から押さえて負荷をかけない様に注意しましょう。

　耳は、ボールジョイントで接続してあり可動式。飛行形態では顔を覆う様に閉じますが、こちらは別パーツに差し替えて再現しています。なんだか耳で羽ばたいて脱出カプセルになりそう。

　ところで、頭部がコクピットになっていると判明した今改めて見ると、変形時に頭部を収納しないのは、乗り降りの都合から考えても理に適っている様に思えますね。と同時に、頭を収納しないからこそ半人間型の面白い形に変形する事を強いられているのかな。ゼダスとか、飛行機になりきってないからこそ面白い形してますもんね。

　首は、黒い本体も外装も左右貼り合わせで、のど仏を正面から取り付け。節の上下は変形時に押し込んで密着する、スライド式の関節になっています。上は首用ポリパーツの受けになっている半球のジョイントが首内部でスライド。下は、首からのピンを差し込んだ球体ポリキャップがボディ内をスライドします。

　ボディは、肩幅引き出し用のポリキャップをスライドさせる芯パーツを内蔵、それを本体パーツでハサミ込み、さらに外装で覆う３重構造。背中のスキマからパーツの重なりがのぞいていて、凝った構造も無駄では無いなと感じます。キットでは無可動ですが、胸の中心にも、のど仏と同じディテールが有りますね。首と同じ構造が腰まで連続していて、フラットのスパイン（背骨）を連想させて興味深いです。

　ウエストは、腰との間でボール接続。埋没して見えますが３６０度の回転が可能、前後に大きくスイングします。

　腰は、左右独立して前後スイング可能な股関節を採用。普段は肩関節引き出しに使われるポリパーツを使っていますが、関節パーツはボールジョイントの反対側にピンを足す事でスイングを封じてあり、太めの一軸関節として機能します。ポリパーツも、引き出し用の軸をオフセットした固定ピンとして使う事で、コンパクトな腰フレームから股関節の根元がハミ出した様なレイアウトに利用。標準部品も使い方次第、目からウロコです。

　外装は左右・上面・尾翼と一体の後部の４パーツ構成。前部のダナジンキャノンはクリアーパーツを使わず、砲口内部はシールで色分けしてあります。

　尻尾はダナジンスピナーと呼ばれる格闘武器。ヴェイガンＭＳの特徴でありながら、外れない純粋な尻尾はこれが初めてでしょうか？キットは一軸可動の連続で、関節部の両端で上下可動し、途中で横スイングします。分割ラインを上下のパーツが隠してくれるので、関節の印象は良好ですが、組み立てには意外と時間がかかります。最低限の長さと関節数ながら、前に向けて突き刺すポーズはしっかり決まりますよ。

　脚です。モモは、内股の黒いパーツに股関節用ポリキャップを仕込んでおいて、前後からハサミ込み。ヒザは上下とも後ハメ式の二重関節です。ヒザアーマーはモモ下端をハサミ込む様に取り付けてあり、大きく可動。曲げたヒザに良く馴染みます。

　スネは、ポリキャップをハサミ込んでの左右貼り合わせ。人間型MSよりも短くてカワイイのです。ヒザ下側をいっぱいに曲げた状態では関節とスネのラインが揃い、ヒザアーマーが浮かずに密着する様に配慮されています。

　足首アーマーはC字形のパーツ。スネ下端をハサミ込む様に取り付けてあり可動します。足首関節は、上が前後スイングとヒネリ、下がボールジョイントの二重関節です。

　足首は、芯をワンパーツで解決したコンパクト設計。関節のボール軸受けは横をオープンにし、ツマ先可動のポリキャップも横からセット。カカトを下から被せ、左右貼り合わせのツマ先でハサミ込んであります。どう見ても恐竜なのにクツを履いた様なデザインが、ここだけ人間っぽい感じ。ヴェイガンＭＳって、着ぐるみ実写化に向いたデザインしてますよね（え？）。ちなみに、説明書の指示と左右を入れ替えて取り付ければ、より大きな開脚に対応出来ます。

ＨＧギラーガとの比較。大きくて迫力があります。

　肩アーマーは前後貼り合わせ。人間型MSと比べてずいぶんコンパクトで、しっかり恐竜体形に見えます。ハサミ混んである肩ブロックは小さ過ぎて、ポリキャップを閉じ込めた珍しい肩関節軸にしか見えませんでした（笑）。

　腕です。上腕はヒジ関節をハサミ込んでの左右貼り合わせ。ヒジは、前腕の前側から後ハメ可能な二重関節です。下側を曲げると引き出された関節が目立つので、上側を優先的に曲げると良いでしょう。

飛行形態を再現・・・おっと、作品を間違えましたね（笑）。脚は左右を入れ替えてあります。

　前腕は左右貼り合わせ。肩から上腕までは細くても、前腕から先はそれなりにボリュームが有って力強さは十分です。設定画よりも若干大きめに造形してあるかも。

　手首は左右とも、ビームバルカンが可動する平手と、ビームバルカンが一体固定式になった掴みかかる様な手が付属。他キットのビーム刃を流用可能です。

他キットのビーム刃を流用しています。このキットにビーム刃は付いていません。

　ウイングは３枚構成で、根元は２軸可動、途中の関節は球体ポリキャップでボール可動します。外側の２枚は表裏２パーツを重ねて、裏面の色分けと厚みを再現。一番内側が２枚重ねになっていないのは、厚みを抑えて動かしやすくするためでしょう。

　飛行形態への変形は、耳を別パーツに交換して目を塞ぎ、首を縮めて足を後ろに伸ばせば完成です。ビームシューターは、ちゃんと露出した状態になってるんですね。

　腰下のフィンバーニアを外せば飾り台取付穴が露出し、別売のアクションベースに対応します。しかし良く考えたら、飛行時こそバーニアが頑張っている状態だと言うのに、外してしまうのは如何なものかと思わないでもないですね（笑）。いやむしろ、フタパーツにするつもりで、ここにフィンバーニアを配置してあるのでしょう。

模型情報の表紙に描かれた、ドラゴン少女のイメージで。

　組立時間は１時間２５分でした。ボリュームがあって尻尾や羽根の変化も楽しい、遊べるキットだと思います。ポリランナーには延長パーツが付き、さらに球体ポリキャップを２ランナーも追加。可動箇所の多さが現れてますね。また、ポリパーツがいつもと違う使われ方をしている箇所が多いのも見どころでしょう。例えば球体ポリキャップを逆に取り付け、いつも根元になる部分を回り止めにして一軸可動させるとか。

　敵をギリギリ異星人に設定したからこそ、こんな異質なデザインにする事が出来た様にも思えますね。ひょっとしたら火星にはこんな形の恐竜がいて、こいつを捕まえてヴェイガンＭＳの材料に使っているんじゃなかろうかとか、そんなダンバインっぽい事も妄想してみたり。いっそ強獣っぽく塗装して、ダンバインと戦わせるのも面白いかも知れませんね。

　2012.6.24　健　竹史