健さんの
プラモコラム

その385
 MG デルタプラスの巻

 MG 1/100
 MSN−001A1 デルタプラス
 バンダイ
 「機動戦士ガンダムUC」に登場
2011年8月発売 税別初出価格4500円



 変形が実現しなかった百式の、本来のプランを活かした再設計機がMG化です。劇中もプラモも、百式の登場から約10年。Zの技術がフィードバックされてる点も同じですね。ついでに言うと、MGではこの間にバリュートパック装備の百式が発売されています。あのキットを先に組んでおいたお陰で、手に取った時の感激がさらに高まった気がします。変形の実現は、オプション無しでの大気圏突入の実現でも有りますからね。あの特殊な装備を必要とした作戦が、今は普通に行えてしまうんですよ。机の上でも、脳内でも。

 てな感じで皆さんも是非、キットを並べてMS開発史の面から刻の涙を追体験して下さいませませ。では、各部を見ていきましょう。



 頭部は、ワンパーツ成形のフレームパーツに首のポリキャップを前からハメ込み、マスクで閉じ込める構成。目は表面にクリアーパーツを被せて、ゴーグルの奥にツインアイが光る設定を再現。ツインアイ自体はクリアー成形ではなく、フレームパーツにモールドされています。ヘルメットは左右貼り合わせ。頭部カメラと後頭部カメラは、中のクリアーパーツを一体で成形、これは外装パーツの芯も兼ねています。採光の意味も有るんですが、頭の後ろがカバーで覆われているため、効果はイマイチです。



 冠の様なアンテナはオデコパーツと一体で成形、センサーパーツで前から押さえます。畳む必要の無いコンパクトなアンテナは、頭部を収納する可変MSに最適ですね。非変形MSの時代が再びやってくる頃になって、アナハイムもようやくV字アンテナが飾りだと・・・いや、何でもありません。



 は、上がボール可動、下が前後スイングの二重関節で、筒状の外装を被せてあります。首の基部は、ボディ芯パーツのレールにハメ込んであり、エリごと上下に移動。形状再現と可動のパーツを分けてあると安心しますね。



 ボディは、背中と肩ヒモでつながった胸板がハネ上がる変形を再現。やはり背中・肩ヒモ・胸とも、外装パーツの内側にABSの裏面パーツを仕込んであり、可動を担当。接続はC字形ヒンジで行っています。



 は、変形時に腕ごとボディ内部に折り畳みます。Zも同様の機構を採用していますが、今回は単純なヒンジではなくアームで接続。MS時にはボディと完全に一体化したデザインになり、脇が独立したプレートになっていたZよりもシンプルな外観となっています。周囲の外装と噛み合うので強度も十分。ヒンジ無しで可動する端の白いパーツが、変形の最後に胸板とのポジションをロックする仕組みです。

 コクピットはZと同様、胸板中央にヒンジで釣り下がる感じで配置されています。リディのフィギュアをシートに座らせ、上下外装でハサミ込み。ハッチは天井を覆う形で、コの字形にコクピット本体の横をハサむ様に接続してあり、開閉します。MS時にはパイロットが下を向く配置で、腹部中央に収まります。



 ウエストは、WR時にスリム化して腕の収納スペースを作るため、左右が分離した構成になっています。首の上下スライドに使うレールの前に、上下2個のジョイントパーツで接続。パンタグラフの様に斜め上に畳まれ、幅を詰める様に変形します。ジョイントの接続はABSの裏面パーツが担当、外装と2枚重ねの構成です。真横に伸縮するMGリゼルと、幅詰めの方式を変えてあるのが面白いですね。

 は、ウエストとの間でボール可動。フンドシは左右貼り合わせで、その両側面に貼り付いたプレートは、変形時に股関節軸を移動させるアームの役目を果たします。MS時にはフンドシと、WR時には背中のスキマと噛み合ってロックされますが、移動中はボールジョイントだけで保持され、フリーとなります。フンドシ前部はヒンジで開閉。MS時には股関節のポジションをロックします。



 フロントスカートは、フンドシにボール接続されたウエスト保護用アーマーの下に、モモ上部保護用アーマーがボール接続で吊り下げてあります。正面から見ると股関節はムキ出しに近いですね。モモを上げる時などは、ウエスト保護用アーマーはそのままで、モモ上部保護用アーマーだけ動かすと良いでしょう。百式とゼータプラスの特徴を併せ持った様なデザインが、開発系譜を示している様で面白いですね。

 サイドスカートは、ベースとなるフィンの上に、内部パーツと外装を被せる構成。上部がインテイク、下部がスラスターになっている様ですが、Zのテールスタビライザーに相当すると思えば良いのかな?このキットには腰骨が無く、それに相当するL字形のアームで、股関節に通す様に接続してあります。そのためボール可動するだけでなく、前後にズラす様な動きも可能となっています。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

 リアスカートは腰後部のヒンジに接続してあり、開閉を利用して移動式の股関節をロックしています。外装の内側から仕込むグレーのパーツには白い内壁パーツを組み合わせ、メインスラスター内側の色分けを再現しています。表面中央にはハードポイントが有り、ビームライフルをマウント可能。ウイングにもマウント出来ますが、大気圏突入時には加熱対策やバランスを考えてか、ここにマウントする様です。

 です。股関節はボールジョイントで可動します。モモは、ヒザ関節を左右からハサミ込んだフレームを内蔵。フレームは左右の脚で共通化してあります。外装は左右と後ろの張り出しの3パーツ構成。モモ内側には、WR時のポジションを固定するジョイント穴を設けてあります。



 ヒザは二重関節。ポリキャップと動力パイプをハサミ込んだ左右貼り合わせで、ヒザアーマーは関節正面に差し込む可動式となっています。アーマー本体と裏面パーツを貼り合わせ、先端は別パーツ化して色分け。普段はスネと一体化する様、上の関節を優先的に曲げてやると良いと思います。

 スネは、ヒザ関節と足首関節基部を、左右からフレームでハサミ込み。前面のシリンダーは可動式で、実機では足首関節基部を押し下げるための物なのだと思いますが、キットではシリンダーを接続してあるヒザ側のパーツは、スネを貫通して後部まで伸び、開閉式スラスターカバーの基部にもなっています。



 フクラハギの膨らみは、スネフレームに内部メカを取り付けておいてから外装を被せます。スネ前部のアーマーは左右から貼り付け、シリンダー前の支柱で連結。スネ後部アーマーは、支柱でつながった左右一体成形で、下に引き降ろせるレールスライド式。MS時にはスラスターカバーの先端を押さえていますが、WR時には一旦引き下げてから、開いたスラスターカバーの下にもぐり込みます。

 足首関節は、ABSのジョイントパーツを組み合わせてあり、スイング式の足首基部(スネ下端)にボール接続、足首側で2軸可動します。下側の関節は変形時に90度回転し、足をピンと伸ばすための物。スネと一体成形されたアキレス腱がカカトの空洞に入り込み、カカトとスネの外形も密着、ポジションがキッチリ決まります。



ウェイブライダー下面。シールドで覆っているのは顔とウエスト程度で、手も足もムキ出しになっています。耐熱アーマーで覆う事よりむしろ、衝撃波を受け流すシルエットの形成に主眼を置いているのかも知れません。あるいは装甲材の進歩や、冷却ガスの併用も有るのかも?

 足首アーマーは、百式の従来キットでは甲と一体成形されてきた部分ですが、今回は変形するとあって別パーツ化され、可動式となっています。コの字のアーマー本体にクルブシアーマーを噛み合わせ、足首関節の途中に接続。その内側の小さなアーマーも、同軸に接続してあり可動します。百式でも印象的なこの部分、靴下みたいで好きなんですよね。外側の足首アーマーはクルブシアーマーから外れやすいので、軸位置を横から押さえながら動かすと良いかも。



MG百式(左)との比較。グリプス戦役当時に可変機として完成していたら、シールドの代わりにメガバズーカランチャーを機首に合体させて飛んだりしてたんでしょうか。

 足首は、足首関節をカカトフレームで左右からハサミ込み、カカト外装を後ろから被せます。ツマ先は、カカトフレーム前に斜めに彫られたレールにフレームパーツをハメ込んであり、MS時の可動と変形時の伸縮を一箇所で実現。レール端の半円だけで可動軸を保持してある関節は、全身の加重を支える割にはアッサリしてる気がしますが、普段困らない程度の保持力が有る様です。少しでも保持力を高めたい人は、シリンダー下端と足首アーマーをしっかり下げて、足の甲を上から押さえさせると良いでしょう。



 クツ外装は、足裏の主要部まで含めたワンパーツ成形。ツマ先フレームは一部足裏に露出し、色分けにも利用してありますが、内部再現は行っていません。足の甲は上から貼り付け。上端はメカ色のため、別パーツとなっています。

 肩アーマーは、箱状・筒状パーツを組み合わせたスラスターユニットと、回転式の前後アーマーの組み合わせ。アーマーの回転ギミックは、裏面パーツが担当しています。スラスターの内側は、フィンパーツに内壁パーツを被せて色分けを再現。肩関節軸を通す縦壁が肩ブロック上までL字形に伸びていて、その先端にC字形ヒンジで接続してあり、WR時にはユニットまるごと回転します。



腕と肩アーマーの変形。左がWR時、右がMS時の状態です。

 です。肩ブロックは、腕を横に上げるジョイントをフレームパーツで前後からハサミ込み、箱状の外装を下から被せてあります。肩関節軸とは直接つながっておらず、WR時には縦壁とのロックを外して、腕がまるごとズリ落ちた様に移動。こんな特殊な構造でも、肩関節軸は前にスイング可能です。脇のプレートにC字形ヒンジで接続してあるだけなので、保持力はイマイチですが。



 サイドアーマーはワンパーツ成形で、肩ブロックの前後をハサむ様に接続。WR時にスラスターから腕を保護する狙いでしょうか。上部が偏向板になっているのかも。

 上腕は、芯パーツの横からポリキャップを仕込んでおいて、筒状の外装を被せます。ヒジは、上下ともハサミ込み式の二重関節。前腕は、外装を各面ごとに貼り付けてありますが、スネ同様に露出したフレームとクッキリしたスジ彫りの効果で、部分ごとに複雑な分割をしている様に感じさせてくれます。両腕ともヒジの部分にハードポイントを装備。スイング可能な手首基部は、外装が箱状で後ハメ式となっています。



 手首は、左右とも可動指タイプが付属します。3本一体の指は切り離し可能で、手首の軸はスイング可動式。武器保持用の突起は左右どちらにも付いているので、サーベルとライフルを同時に持たせる事も出来ますね。

 バックパックは無く、背中の左右にバインダーのみ装備しています。テールスタビライザーも機首も背負ってないのでWR形態の上面はフラットで、従来の可変MSよりも仲間を乗せやすい気がします。グリップが付いてないのがもったいないですね(笑)。



 バインダーは、薄型ポリキャップを取り付けてハサミ込んだウイングが可動。上部には収納式のカナード(小さなウイング)も付いていて、こちらはポリキャップ無しで可動。上部のフチはカナードを囲う様に別パーツ化してあり、厚み部分に分割ラインが出ない構成となっています。背中へはABSのジョイントを組み合わせた関節で接続してあり、自在に可動。スイング方向を選ばないどころか、上下反転も可能です。バインダーは左右ともパイロンを備えていて、ビームライフルをマウント出来ます。



 武装です。ビームライフルは、MGリゼル一般機と同じ物が付属。流用を見越して、当初から単独ランナーで成形してありました。折り畳み式のグリップとケーブル、スコープを左右貼り合わせの本体でハサミ込み。銃身上面は別パーツ化されています。銃口は本体と一体化してあり、スライド金型で開孔。スコープはケーブル後部に有り、銃口上部のセンサーの画像を、ここから覗いて狙いを定める様ですね。スコープ表面にはクリアーパーツをハメ込んであります。



 エネルギーパックは、ライフル後部上面からハメ込んであります。2パーツ貼り合わせ式で、3個付属。予備のEパックの収納ギミックは無いので、2個は余りパーツ扱いになっています。HGUCの解説によると、デルタプラス専用の武器も存在するものの、Eパックが他の機体と共通でないため、劇中のロンド・ベル配備時には運用の都合からリゼルの武器を持たせているとの事。Eパックの携行に不自由しているか、交換を想定していないのかも知れませんね。おや?リアスカートの左右に、なんとなく差し込めてしまうんですが・・・(そこはスラスターだと思います!)



 ビームサーベルは、グリップとビーム発生部を連結する2パーツ構成。2本付属し、普段はシールドに収納してあります。軽く差し込んであるだけなので、先端が浮くと簡単に脱落しますから、紛失に注意しましょう。持たせる時は、スリットを使って手の平の突起へ接続。クリアーのビーム刃が2本付属します。シールドに収まった状態でも、ビーム刃を発生させたりビームガンとして使えるそうです。



シールドの伸縮ギミック。ガンダムWなら、これで敵を串刺しにするかも知れません。

 シールドは、レールスライドするフレームパーツを内蔵。機首になる前半分との継ぎ目で伸縮し、さらに折れ曲がって機体下面に馴染みます。後端裏面もスライドし、エリ下のジョイントとの連結部と白いフィン(実は顔カバー)を、より後ろに移動。裏面中央部には引き出し式のジョイントが有り、MS時にはここで腕に接続します。機首のビームキャノンとグレネードランチャーはフレームパーツに取り付け。ビームサーベルも収納可能です。



 おまけに、立ち姿のリディオードリーのフィギュアが付属します。劇中ではコクピットに二人で乗り込む訳ですが、キットを見ると窮屈そうで、本当に横並び出来るかどうか。「ちょっと離れろよお前!パネルが・・・見えない・・・」(分かる人には分かる)みたいな感じで、操縦の妨げにならないか心配になります。



シールドを外したウェイブライダーの内部。エリの下に有るのがシールド接続用のジョイントです。WR時には前に伸ばしているこのジョイントを、MS時には倒して下に向けます。これが縦につっかえる事で、頭が引っ込む心配無く、自由に首のポーズをいじれるのです。

 ウェイブライダーへの変形です。胸のロックを解除し、脇の腕基部をフリーにします。コクピットをハネ上げ、エリ下のシールド接続用ジョイントを起こし、頭を押し下げながら胸板をハネ上げます。胸と背中を一体化させ、ウエスト幅を縮めます。フンドシ前部とリアスカートをハネ上げて股関節をフリーにし、足を外側に移動させたら背中とリアスカートを移動用アームに噛み合わせてロック。フロントスカートを折り畳んでフンドシ前部を元に戻します。

 はロックを外して肩関節から引き降ろし、肩アーマーを回転させます。腕基部を内側に倒して、脚が移動して出来たスペースに腕を収納します。は、スネがモモの前に来るようにヒザをZ字に折り曲げ。その途中でスネ後部アーマーを一旦スライドさせ、スラスターカバーが開いた状態にしてやります。ツマ先を縮め、足首を伸ばし、サイドスカートをモモ後部に移動します。カナードを引き出したバインダーを機体側面に移動し、シールドで機体下面を覆えば完成です。



WR形態保持用の補助パーツが付属。右側が取り付けた状態、左側が取り付けていない状態です。説明のため、腕は外してあります。

 必ずしも必要では有りませんが、腰の内側には移動した各ユニットをロックする、ポジション安定用の補助パーツを仕込める様になっています。左右各1パーツで、腰、ウエスト、腕基部、股関節軸、モモ、バインダーと突起で噛み合う仕組み。平らな形状ですが、表面にはメカっぽいディテールを入れてあります。仕込まない場合はバインダーのジョイントにスキマが出来ますし、ボディ内部に空洞が出来て腕やフロントスカートの位置を調整する手間がかかりそうですから、ちょっと面倒ですが仕込んでおくと良さそうです。

 また、フンドシと噛み合うジョイントを取り付ければ、別売のアクションベースに対応。ジョイントはMS、WR共通となっています。ランディングギアは付属していません。設定上存在しないのかも知れませんね。



WR形態でヒジをヒネれば、リゼルのグリップを掴む事も可能。ロンド・ベル隊は推進剤の節約を通じて、地球環境の保護に取り組んでいます。

 組立時間は2時間50分でした。リゼルもそうでしたが、MS形態だけ見ても満足出来ると言うか、変形ギミックを仕込む事の制約を感じさせない、良く出来たキットですね。変形とプロポーション、さらに可動ギミックも十分に両立していると思います。



 ポリキャップと武器だけですが、ZガンダムVer.2.0とリゼルのランナーを流用してあるキット構成は、機体の素性とダブって思えて、ニヤリとしてしまいます。また、MSフレーム1とかMSフレーム2といった、機体名を特定しないランナーが含まれているのも興味深いところ。デザインは発表されていますし、説明書の開発系譜にも紹介してありますから、デルタガンダムの発売も期待出来るんじゃないかなー、なんて思うんですが、どうでしょう。

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 2011.8.19 健 竹史

  

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