健さんの
プラモコラム

その381
 1/35 バンブルビーの巻

 デュアルモデルキット 1/35 バンブルビー
 タカラトミー
 「トランスフォーマー」に登場
2011年6月発売 税別初出価格3800円



 歴史の長いメーカーには独自のブランドが有ったりしますが、タカラ(現タカラトミー)のデュアルモデルもその一つ。可動骨格に外装を被せてあるダグラムは、実機の仕組みをイメージさせる、素晴らしいトイでした。そのデュアルモデルが、プラモの、しかもトランスフォーマーのプラモのブランド名として引き継がれるとは。学生の頃、高くて買えなかったデュアルモデル。社会人になって夢中で集めたトランスフォーマー。しかもTFのアンケートハガキには必ず「プラモを出して下さい」と書いて送りましたっけ。四半世紀経って、願いがまとめて叶った様な至福のキット。寝て待たずして勝利なし!みたいな。(何それ?)

 てな感じで、これを買わずにおれますか!と飛びついた次第。人とプラモの不思議な絆。人がプラモを選び、プラモも人を選ぶのです。予算は4000、評価はA3つ、早速見ていきましょう。



 を開けると、ブリスターパックに収まった組立済フレームと、ランナー状態のパーツが入っています。たぶん中国製。間違いなく中国製・・・。メカパーツと外装パーツを成形色で色分けするだけでなく、塗装とタンポ印刷で細部のカラーリングも再現。ランナーに付いたままでは塗装が難しい一部のパーツは、切り離して塗装後に個包装してあります。



 フレームは購入した時点で、頭と手足の先端を除く、ほぼ全身が組み上がった状態。これにパーツを組み付けていくんですが、関連パーツを同じランナーに配置するといった配慮があまり無く、しかもマシーネンクリーガーみたいなゴチャメカだらけ。どこのパーツなのか説明書と番号を見るまで想像が付かない物が、あちこちのランナーに分散しているものだから、最初は面倒に感じました。が、外装は後回しで、まず全身のメカニックを組み上げてしまうのだと気付くと、作業の中盤まではメカ色のランナーだけ手元に置けば良いと分かり、よりスムーズになりました。



モデルの芯になる、フレームボディDKB14。アイドルグループの名前みたいですが(笑)、DKBはデュアルキットボディの略、14は完成時のサイズ、14cmの意味と思われます。
ランナーは塗装されている物が多いため、1枚ずつビニール包装。パッケージや梱包も、プラモとトイの中間といった感じですね。

 ゴチャメカだらけという点からも、フレームが組立済なのは有り難かったですね。どんなに謎の形をしていても、取り付けた瞬間に、どこを作っているのか分かる訳です。分からないまま各部が出来上がり、最後にブロックビルドアップで完成というのは、この複雑デザインには適していないかも?と思いましたね。興味の持続とか、そういった事も大事なのです。



フレームを芯にして組み上がった内部メカニック。この線の多いデザインが、説明書にも描かれている訳ですが、もうそのまま塗り絵が楽しめそうな緻密なスケッチになってます。CADデータを使って描いてると思うんですけど、本当、線画に変換すると密度に圧倒されます。

 また、人格を持ったキャラクターだけに、芯になる本体がすでに在るというのは、感情移入と言うか、臨場感に関わる、演出にもなっているかも知れません。パッケージには「完成品の手軽さ」なんて書いてありますが、フレーム構造の主な狙いは、むしろこっちじゃないでしょうか。(手軽という割に凝った内容ですし。)箱を開けた瞬間に出会う、いや、店頭でパッケージの窓越しに、バンブルビーに出会う。バラバラのキットじゃこうはいきません。タカラというメーカーは昔から人の心を掴むのが上手くて、つい乗せられてしまいます。



 頭部は、左右分割のメカパーツで首のポリキャップをハサミ込み、後頭部ディテールを貼り付け。は、裏面からクリアー成形のを差し込み、正面からセットします。ヘルメットを上から被せる他、ツノや側頭部は単独パーツ化。は上下ともボール式の二重関節で、前後にパイプパーツを取り付けます。



 バトルマスクを被った状態も再現可能で、この場合は素顔再現用とは別のヘルメットにマスクを固定して差し替え。ツノや側頭部も専用パーツを使います。側頭部がちょっと開いていたり、こんな細かい違いも再現。素顔を外さず、本当に覆ってあるのが良いですね。なんだかハリー大尉みたいです。



 ボディは、フレームを胸内部メカで多い、さらにゴチャメカを取り付け、外装を被せます。デュアル(二重)モデルと言いながら、実感としては3重4重にも見え、しかも完成後もパーツの重なりを楽しめます。エリのスキマの奥へ続く首のパイプ、胸外装のスキマの一段奥に仕込まれたクリアパーツのヘッドライト、たまりません。クラビカルアンテナ(違)もオシャレですね。

 ウエストは、二重関節で胸と接続。腹筋を思わせる多数のシリンダーが胸の下端につながるデザインを見ると、二重関節を押し込んでZ字形に縮めたポジションが定位置の様ですね。左右回転はウエスト下に任せて、上は前後スイングに特化。引き出せばかなり大きく前後させる事が出来ますよ。



 ウエストは、前後左右からゴチャメカパーツを貼り付けてあり、密度感が楽しい部分です。背中側に貼り付けてあるのはテールランプでしょうか?このパーツは腰と干渉する事が多いので、接着しておくと外れ防止になり安心かも。



 です。ウエストとはボールジョイントで接続。前後のパーツはガッチリ固定出来ますが、両脇のパイピングは差し込み部分が小さく、組み付けにくい部分です。股関節の陰でもあるし、ここはナイショで一旦脚を外して作業すると良いでしょう。モモ後部装甲の保持パーツでもあるので、外れやすいと思ったら接着も検討してみると良いかも。



 ところで、フンドシ下には謎の穴が開いていて、偶然にも某社の某飾り台が接続出来たりします。ちょっと差し込みが浅いですけど、嬉しい偶然ですね。

タカラ!トミー!バンダイ!タ・ト・バ・タトバタ・ト・バ♪

別売の某社の某飾り台を使用しています。
このキットには某社の某飾り台は付属していません。

 です。股関節の球体は、近年MG等で良く見かける、半球の貼り合わせ。その下でモモのヒネリを行います。モモは、フレームが股関節球の外側に接する様に覆っているのが、見ていて心地よいですね。モモをヒネっても開脚しても、球体に沿ってツルーッと動くんですよ。モモ内側のカバーだけでなく、前面のシリンダー、パイピングも成形の都合で内側から貼り付け。外装は前からですが、ほとんど浮いた状態で配置してあるのが面白いですね。



 モモ後部の外装は、腰パイピング後端にボールジョイントで接続。脚を上げるとモモから離れていく訳で、取付方法はスカートに近いですね。

 ヒザは、軸っぽい丸モールドが2箇所有るので本当は複雑な引き出し可動をするんでしょうけど、キットでは後ろの丸の位置で軸可動。こういうのを見ると、1/20くらいでPGみたいなモデルが欲しくなりますね。



 スネはフレームが途中で止まっていて、この下にタイヤが収まる配置になっています。スネを左右からハサミ込むメカパーツの片側でタイヤを保持、ここが足首関節になります。スネ外装は前後左右の4面から取り付け。カケラの様に分割された小さな外装は、隣と一体化し、パーツ点数を抑えてあります。

 足首関節は、ゴム製タイヤパーツの中でホイールパーツが左右から貼り合せてあり、ホイール外面がスネに、ホイール内面が足首につながっています。実機、いや実車・・・本人?の場合は左右同じ仕組みでハサミ込んであるのだと思いますが。関節を曲げると、外側のホイールとタイヤは一体で回っているのに、内側はタイヤだけ回ってホイールが止まってたりします。自然な動きをする方を外側に配置してあるんですね。



右足首の可動に注目。足裏を全面接地したままでヒザをつく事が可能です。

 足首は、左右貼り合せのツマ先を、左右貼り合せの本体でハサミ込み。ツマ先が動く訳でもないんですが、ポーズをいじって固定モデルを作りたい時等に、分割が役立つかも。ツマ先の外装を被せる部分にはにシリンダーの表現が隠れています。足首関節は、甲の突起の後にボール接続。可動範囲が広く、極端な開脚ポーズにも対応します。カカトは外側のツメが固定式、内側のツメが前後スイング。貼り合わせになっているカカト先端が外れやすい場合は、接着しておくと良いでしょう。

 肩アーマーは、まず肩関節軸に筒状のジョイントを通して回転可能とし、その上に上面アーマーをボール接続。その横に、前後貼り合せのサイドアーマーを2軸接続。ポーズに追従するには十分ながら、不必要に大きく動く事もなく、程良く上腕をカバーする感じ。根元のジョイントは、肩関節軸のディテール再現も兼ねています。



 です。肩関節は半没式の球形で、前後にスイング。横回転は肩のドラムで行い、水平程度まで上がります。肩アーマーの中で肩ドラム自体をヒネってみると、意外と面白い動きをしてくれるかも。

 上腕は、側面の補強とシリンダーを取り付け、前後を外装で覆います。人間の骨格や筋肉を連想させるデザインですね。後部の外装は小さいながら、シリンダーとヒジだけは保護してます。ロボットもあそこをブツけると痺れるのかな?(笑)



 ヒジは二重関節ですが、上下の丸モールドに別々のデザインを用意するとか、芸が細かいですね。良く見ると全身の主要関節を別デザインにしてる様な。甲アーマーはヒンジで接続してあり、若干のスイングが可能です。

 前腕は、ヒジ関節の下に連結し、ヒネリは90度ごとに向きを変えての差し替えで再現しています。手首のガードまで一体で、どの面が甲なのかハッキリしたデザイン。ヒジや手首の付近でヒネるよりも、こんな風に途中でヒネる方が人間の腕の動きに近いかも知れません。内側にはコード類の表現が入っています。



 手首は、左右とも平手とゲンコツが付属します。どちらも4本指のデザインを利用して、両端の指で中指をハサミ込み。なかなかリアルに出来てます。タカラのプラモと言えば男らしい造形のゲンコツとか、積極採用された平手とか、いろんな手首を思い出しますね。今回面白いのは腕との接続方法。前腕の延長ではなく、甲の裏に付いてる感じの配置なんですね。ポリキャップの2軸可動で接続してあり、内側に傾けたり左右に振ったりする、力を込めた様なポーズが得意な一方、回転方向の動きは廃止。前腕のヒネリに任せています。



 右手はヒジ下から取り外し、プラズマキャノンに交換可能。2パーツ貼り合せの本体に、筒状パーツを組み合わせた先端パーツや、周囲のユニットを取り付けていきます。砲口のクリアパーツは良い色をしていますが、これは無色透明のクリアランナーに塗装で着色した物。も同様です。無数のパーツを組み替える実写版の複雑な変形は、手から色んな物が出てくる描写にも説得力を与えてくれましたね。分解・分散・再構築してるという解釈なのか、そのままでは収まりきらない大きな武器もどんどん登場。映像的にも見ていて楽しいですよね。



 背中には、アームで保持されたタイヤやドア、プレート状の外装を取り付け。ボール接続を多用してあり、自由に動きます。背中自体は動きませんが、こうした付属品の配置を工夫すれば、筋肉の緊張に似た躍動感が加わるかも。ドアはトイでも省略されている厚みが再現されていて、良い感じ。貼り合せを利用してウインドウをハサミ込んであります。



左から、1作目のニューバンブルビー、スタースクリーム(ややウソ)、タミヤの1/35兵士フィギュア、1/35バンブルビー。
トイはタイヤ径やドアの上下幅を比べると3割ほど大きめで、全然別スケールかと思ったんですが、カーモードで全長を計ると、およそ1/35前後の様です。
ベアブリックは1/35フィギュアに近いサイズと判明。
サムやシモンズにリペイントしても面白いかも?

 背中からにかけてもメカパーツを取り付けてあります。一対ですが、肋骨の様なパーツが付いてるのが良いですね。は運動能力で回避したり軽微な損傷は修理・復元で対応するとしても、要所要所にこうしたバンパー的な保護は欠かせない、という感じでしょうか。
 
 組立時間は2時間10分でした。立体映えするし、動きは面白いし、これは是非手に取って欲しいキットですね。もう作ってる間、ずっと映画のBGMが脳内で流れっ放しでした。映画の前に気分を盛り上げるにも、映画の余韻に浸るにもピッタリの一品、いや、相棒ですよ。


 おまけ

 さて、今日のトランスフォーマー情報メモは、バンブルビー・ボイスミキサーを紹介しよう(笑)!買ったのは去年くらいなんですが、発売されたのはリベンジの頃だったと思います。よく似たアイテムとして、「その292」のおまけ記事で、オプティマスプライム・ボイスチェンジャーを紹介していますが、このボイスミキサーは、よりバンブルビーらしいサウンドギミックを採用しています。



 耳の所に電源スイッチと3つのボタンが在り、変形音やセリフを再生するのはオプティマスと同じですが、残る1つの機能は、ただマイクを通して喋るのではなく、再生されるサウンドに乗せて喋ってみようという文字通りのミックス機能です。現地の子が英語で喋る分にはサマになるのかも知れませんが、特に音楽もやってないボクが日本語で喋るのは、ちょっとムズかしかった様です。あと、よいこのためのオモチャなので、浮気がどうとか、大変残念ながらそんな歌は収録されてません。(楽曲を収録するとなると権利関係も煩雑でしょうし・・・)



 造形は今回も視界を広く取ってあり、完全再現とはいきませんが、幼年期のバンブルビーを想像させる、愛らしい外観ではあります。また、引っ掛けた時の安全対策だろうと思いますが、ツノが動くのがちょっと嬉しいですね。

 そう言えば、昔はブロードキャストの元になった、実際にラジオが聞けるラジカセロボなんかも有りましたね。ラジオが聞けるバンブルビーフィギュアなんか、キャラクターに合ってて楽しいかも知れません。ラジオでなくスピーカーでもいいですけど。洋楽を選んで流しておけますし。フラワーロックみたいに、声に反応して身振り手振りを付けてアゴをガクガクさせるオプティマスとかも・・・これはかなり高額になってしまうかな?

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 2011.7.7 健 竹史

  

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