健さんの
プラモコラム

その368
 RG シャア専用ザクの巻

 RG 1/144
 MSー06S シャア専用ザク/バンダイ
 「機動戦士ガンダム」に登場
2010年11月発売 税別初出価格2500円



 ブランドは第二弾が出て初めて「シリーズ」になりますが、ついにリアルグレードにも待望の第二弾が登場です。どこがリアルなのかと考えてみたんですが、単に精密とか凝ってるとかではなく、実物大で再現されたガンダムが存在し、それに準じた世界観を通しているという事なのかも知れませんね。RGガンダムが実物大ガンダムの縮小であると同時に、プラモに本当の意味でリアル(現実)の名を冠するためにも、まず実物大で作ってみよう、もっと言えば、この世にガンダムを出現させようという。

 プラモにも時々のトレンドや技術の進歩という物が有りますから、15年も展開していくうちに、MGの意味合いも「究極」から「最新」に変化してきた様に思います。RGは実在するガンダムを世界観の基本にする事で、もし長期に渡っても、これまで以上の一貫性が期待出来るんじゃないでしょうか。MGスタート時とほぼ同じ季節間隔で同じアイテムを選んできた辺りにも、MGのリベンジの匂いを感じてるんですが、果たして?!

 てな感じで、「お台場・静岡でガンダムの横に立ってるとしたらコレ」なザクに、早速目を通していきましょう。



 頭部は、下半分に内部フレームパーツを内蔵。外装はモノアイシールドの位置で上下分割され、前後のパイプ基部とクチバシが別パーツ化された、近年のスタンダードになっているパーツ構成です。モノアイは、首を左右に振るとギアで連動して可動。モノアイシールドやレンズには、クリアーパーツを使用してあります。



 動力パイプは、ランナー上に一直線に配置されたパイプカバーに芯を通し、ズラして密着させる方式。MGグフVer.2.0にも採用された物ですが、今回は芯がポリではなくABSで、より満足のいく質感になったかも。芯を通し終えたら余剰となる直線部をカットし、頭部に組み付けます。1節ごとのパイプカバーはモギ取りに適したタッチゲート式で、ゲートの太さをギリギリまで小さくしてあるので、作業もスムーズで仕上がりもきれいです。ただ、簡単に外せるという事は予期せず外れやすいという事でもあります。うっかり外れると節の順番が分からなくなるので、注意しましょう。



 は、下がボール可動、上がヒンジで前後可動する二重関節。と言っても四角い首外装を幅方向で囲ってあるので、下側も前後可動に特化してる感じですね。上のヒンジパーツからは左右スイングのピンが突き出ていて、ここで頭を左右に振ります。軸位置が後ろ寄りで頚椎の配置に近いのも良い感じ。「顔を右に振りつつ目で左を睨む」様なポーズを取らせたい時は、一度このピンの所で頭を引き抜いて、位置を変えて差し込んでやると良いでしょう。



 ボディは、芯パーツの前面にコクピットの内壁とシートを貼り付け、前後左右から外装を被せます。左胸のハッチは胸中央で保持してあり、開閉が可能。細かいので操作にはツマヨウジが欲しくなりますが、このサイズでMG並のギミックを仕込んであるのはスゴイ事です。さすがにシートの移動は有りませんが、乗降時のポジションである左側か、操縦時のポジションである右側を選んで取り付けられる、気の利いた仕様になっています。



 肩関節軸は、胸の奥のボールジョイントを起点に、途中で折り畳んだ形のジョイントパーツを採用してあり、主に前方向に引き出し出来ます。途中の関節を伸ばせば、真横に引き出す事も可能ですね。つまり腕の向きを変えずに、肩幅が増した体形にも出来る様な。スーパーカスタムザクF2000に採用すれば、増加パーツの着脱による体形変化にも対応出来そうな気がします。(え?出るの?!)RGガンダムの様な上へのスイング機構は無く、根元ボール部での上下可動にとどまっています。



 ウエストは、胸と腰をつなぐダブルボールジョイントの途中に、箱状のウエスト外装を引っ掛けてあります。動力パイプはやはり、ランナー上に並んだパイプカバーに芯を通してカットするタイプ。面白いのは、前側のパイプ基部を軸にして、腹部中央のパネルをハネ上げる事が出来る事。出来たスキマに腰をメリ込ませる事で、大きく前屈させる事が可能となっています。ザクはウエスト可動を仕込みにくいデザインで、ボディが無可動でも仕方ない機体だと長年思ってきましたが、今ではむしろ、特に良く動く機体の一つになってますね。いや、このキットのウエスト可動範囲はすでに、ガンプラの中でもトップレベルでしょうか。



 です。フンドシフレームはRGガンダム同様、上下前後の辺が平行四辺形に歪む機構を採用、ただでさえ充実したウエスト可動をさらに補って、ボディのポージングに躍動感を与えます。フンドシ前部はパーツを2枚重ね、パネルごとの色の違いを表現。フンドシ後部は、カケラの様な外装を下端にだけ取り付けてあります。フンドシ下にはコの字形のジョイントパーツを介して、別売のアクションベースを取付可能。取付穴を設けないだけでなく、フンドシフレームにモールドまで入れてあります。実物大ザクの股くぐりを妄想するのも楽しいですね。

 フロントスカートは、左右独立してボール可動。上下で色を変えてありますが、これは裏面パーツを露出させる事で実現しています。



 サイドスカートは、左右つながった帯状のヒンジをフンドシ上面にセットしてあり、ボール可動します。帯状ヒンジは途中で前後スイングも出来るので、MGザクVer.2.0の様にサイドスカートを後ろにズラし、モモの干渉をかわす事も可能。可動は充実してるんですが、ヒンジの表面に貼り付けてあるスカート本体が外れやすいのが難点ですね。ハメ直す場合は、一度脚を取り外してやると良いでしょう。

 リアスカートは、裏面パーツとの2枚重ね。2色使われている事で、分割された表面装甲を支えるインナーフレームが存在する事が、より明確に表現されている・・・かな?スカート自体がヒンジでスイング、上部中央は開閉式のバズーカラックになっています。



 です。股関節は3軸可動。ムキ出しの可動フレームにはメカっぽいディテールが入れてあるんですが、ヒネリ可動部の横に小さな丸穴が有り、スカートの短い機体に転用する時なんかには、ここに外装を付けたり出来るのかも知れません。

 モモは、可動フレームの前半分にメカパーツを被せておいて、四方から外装で覆います。前面は裏からパーツを重ねる事で、部分的な配色の違いを表現。触ってるうちに引っ込んでいかない様、軽く接着しておいても良いかも知れません。RGガンダム同様、前面の外装にはヒザの曲げに連動したスライド機構を採用。やはりスペースの都合もあって、スライドと言うより浮き上がる感じになりますが。



 それにしても、昔はモノコックだのセミモノコックだのと言って、連邦とジオンではMSの構造に違いがあるのだと語られていましたが、これでフレームやスライド装甲が主要3スケールで両軍のMSに導入され、キットで見る限り、ますます違いが無くなってきた感じですね。関節保護の観点から、ヒジ・ヒザに関わる所だけは例外とか、一時装甲には今でも構造材としての役割に違いが有るとか、そう考える事もアリでしょうか。例えばガンダムの影響を受けて、大戦末期のジオン軍MSは、連邦軍MSの構造に近くなっていったとか、そんな演出も面白いかも知れません。

 ヒザは、成形済みの二重関節に、左右からメカパーツを被せてあります。その横の丸モールドは、内と外を別パーツ化して色に違いを持たせる凝った構成。丸パーツを被せる突起にもディテールが入っています。内側のパーツを外すだけで、ダメージでカバーが脱落した様な表現が出来そうです。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

 スネは、可動フレームを前後左右から内部フレームで囲み、細切れになった外装を被せる構成。大型バーニア3発が配置された後部のメカは除外可能なランナー構成で、今回もS型の特徴としてある事が伺えます。外装の色違い部分はバーニアに被さっている部分を選んで配色してあり、作戦中の補給時に開く箇所なのだろうと想像しました。モモの後ろにも色違いの部分が有りますが、ここもプロペラントタンクと考えられてきた箇所ですね。

 動力パイプは、スプリングの両端にジョイントパーツをハメ込み、モモとスネの取付穴に後ハメします。パイプカバーはランナーに付いたままスプリングを通す、頭や腹部の動力パイプと同様の組み立て。スネのパイプ基部下にはクボミが有り、J型が発売される時はミサイルポッドが付くのかも知れません。



MGグフVer.2.0と同じ組み立て方を採用した動力パイプ。これは腹部動力パイプの組み立て。

 足首関節は上下ともボールジョイントで、成形済みのフレームをメカパーツでハサんであります。足の甲は、この部分に前から固定してあります。

 足首は、多重インサート成形のフレームでツマ先とカカトが可動。足の甲を足首関節に固定出来たのは、成形済みのフレームを採用したお陰でハメ込みピン等が不要になり、可動時に埋没するスペースが内部に確保出来たからなのかも。



動力パイプは、パイプカバーを通した後で余剰部分を切り落とし、キット本体に組み付けます。

 右肩のシールドは、表裏2パーツの間に黒いパーツをハサミ込み、裏面のクボミ底面だけを黒く色分け。MGザクVer.2.0と同様にL字形のアームで肩ブロックに接続してあり、回転や引き出しが可能です。

 左肩のスパイクアーマーは、中心部を二枚重ねにする事でフチの部分と色違いにしてあります。3本のスパイクは別パーツ化してあり、1本ずつ取り付け。取付穴の中も簡単なディテールを入れてあるので、戦闘でスパイクが脱落した状態に作っても、それらしく見えると思います。肩ブロックへは、右肩シールドと同じアームを介して接続します。



 です。肩ブロックは、箱状の内部フレームに箱状の外装を被せた二重構造。上腕につながる可動フレームの直径部分にハメ込み、外装で押さえて固定してあります。外装の外側には穴が有り、肩アーマーやシールドを支えるアームは、ここから突き出した内部フレームのピンに接続。今回も内部メカと外装の役割は、可能な限り明確に分けてあります。

 上腕は、棒状のフレームを前後から外装でハサミ込み。フレーム上端のボールジョイントに肩ブロック内で筒状の軸受けを取り付け、肩関節軸に接続してあります。上腕後面がヒジの曲げに連動してスライドするギミックは今回も採用。RGガンダムでは全体がスライドしていたのに対して、今回は下半分がスライドする仕組みとしてあります。



 ヒジは、成形済みの二重関節にメカパーツを前後から被せます。今回もRGガンダム同様、金属色のシールが用意されていて、お台場ガンダムに近い印象の仕上がりが楽しめます。世界観の統一というか、仮想お台場が脳内に広がりますね。ハァハァ。上腕・前腕ともヒジの曲げに連動して、内部のレールに沿ってロッドが可動。上腕側は、外装のスライドに利用されています。

 前腕は、前後左右から外装を取り付けます。ヒジアーマーは、左右の張り出し部分でハサミ込み。腕内側の色違い部分は、説明書のイラストではメンテナンスハッチとして描かれていますね。ヒジ横の丸モールドは、ヒザ同様に内側のフタを別パーツ化。節状になったデザインの一番下は別パーツ化され、可動フレームの手首スイングに追従して動きます。関節カバーも含めて、もうちょっとグラつきが無ければ嬉しかったんですが。



付属の飾り台用ジョイントパーツはアクションベース2の使用を想定していますが、5mmプラ棒から自作したジョイントで、アクションベース1にも簡単に接続する事が出来ます。詳しくは「その358 RGガンダムの巻」を参照下さい。

 手首はRGガンダムと同様、無可動のゲンコツと、多重インサート成形の可動指タイプが付属します。指は第2関節も可動、第3関節は固定式で、いろんなポーズに対応するため、少し曲げた表情としてあります。自分の手で試した感じで言うと、第2関節を曲げずに第3関節を曲げる事は難しいみたいでしたが、これ以上の可動を求めるのは酷という物でしょう。いったい何の話かと言いますと、「HOW TO BUILD GUNDAM」直撃世代なもんで、指差しポーズがカッコ良く決まると嬉しいんだけど、という話であります。

 手の甲は別パーツ化してあり、ザクらしい丸みを帯びた造形。手首スイングのために切り欠きを入れてあります。無可動のゲンコツは、今回も多重インサート成形されたフレームから一旦引き抜いて使用。これはボールジョイントの密着度を確保するためであると同時に、可動ゲンコツと無可動ゲンコツを同じ素材で成形し、質感を揃える意味も有るんでしょうね。



 ランドセルは、外装と内部メカの二重構造。上半分の本体の下にスラスターユニットが接続してあり、丸バーニアは固定式ですがユニット自体が上下可動します。それにしても、先日から赤いランドセルを頻繁に見かける気がするんですが・・・えーと、今回はは付いていないのかな?(笑)

 武装です。ザクマシンガンは、左右貼り合わせの機関部でストックをハサミ込み、銃身、銃口を縦に連結していく組み立て。近年のMGに近い、実物を連想させるユニットごとのパーツ構成となっています。スコープは銃身根元のピンを軸に可動、レンズにはクリアーパーツを使ってあります。フォアグリップはC字形ヒンジで可動。グリップには手首に接続出来る引き出し式のジョイントが有り、左右どちらの手にも対応します。



 マガジンは2パーツ貼り合わせで、完成後は見えなくなりますが内部の弾もモールドで再現。予備が無いのは残念ですが、サイドスカートやリアスカートに装着する事が可能です。

 ザクバズーカは、本体を筒状にワンパーツ成形、中央のグリップ付近だけを左右貼り合せにしてあります。フォアグリップやスコープはC字形のヒンジで後ハメ可動、スコープのレンズ面にはクリアーパーツを使用してあります。



 ヒートホークは、ワンパーツ成形した本体に、ブレード部分を前からハメ込む2パーツ構成。グレー2色を使う事で刃を色分けすると同時に、厚みをしっかり表現する上でも都合の良い構成ですね。予備のブレードパーツが有れば、差し替えて赤熱した状態も再現出来たんじゃないかと思うんですが。スカートにマウントする時にはC字形のホルダーを使用。手にはグリップの突起を差し込んで接続します。対応しているのは右手だけですが、握力だけで左手に持たせる事も可能です。逆手なら左手でも持てますが、斧には似合わない持ち方かな?

 おまけに、同スケールのシャアのフィギュアが付属します。実はボクがお台場に行った時、見事なシャアのコスプレをした人を見かけたんですよ。このフィギュアはあの時を思い出しながら、HGお台場ガンダムのステージ下に飾りたいですね。その人、ララァと一緒だったんですけど、今後のキットで何とかなりません?って言うか、HGLMエヴァみたいにパイロット以外のキャラも集められるシリーズが有ると嬉しいんですけど。



 組立時間は2時間50分でした。PGのノウハウがMGにフィードバックされる様に、MGのノウハウが1/144サイズにフィードバックされた感じですね。新ブランドで再キット化される度に価格もフィードバックされていく感じで、2500円と言えば15年前なら1/100(MG)サイズ、30年前なら1/60サイズの相場でしたね。(今でも値上がりしてない事に驚かされますが。)



RGガンダム(右)との比較。

 今後の展開ですが、ランナーの至る所に切り替えが用意されていて、ただ量産ザクが発売になってお仕舞いという事は無さそうです。ランドセル等、MGザクVer.2.0でS型の特徴とされた箇所が除外出来るのはもちろん、シールドとスパイクと顔のパイプ基部がまとめて除外出来る所を見ると、旧ザクの発売も想定されてるんじゃないでしょうか。動力パイプ関連パーツを別に用意すれば、フレーム自体はR型や、ひょっとしたらグフにも転用出来そうですし。袖パーツだけ除外出来るので、やろうと思えば袖付き仕様機も(略)。

 これだけ拡張性が高いと、HGUCやMG以上にバリエーション展開に積極的なシリーズになっていく可能性も有るかも知れませんね。その後、ガンダムやザク以外も欲しいという流れで一大シリーズになって行くのかどうか。案外、緻密な表現のEXモデルと相性が良いなんて事になれば、マイナーな航空機や車両のキット化がまた活発になってくる様な事も有るのかも知れませんね。

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 2011.1.8 健 竹史

  

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