健さんの
プラモコラム

その365
 HGUC グフカスタムの巻

 HGUC 1/144
 MS−07B−3 グフカスタム/バンダイ
 「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」に登場
2010年11月発売 税別初出価格1600円



 ついにあのグフカスタムがHGUCに加わると聞いて、特別な気持ちを持たれた方は少なくないと思います。「似てる・似てない」だけに留まらない、「作りやすい・工夫された設計を楽しめる」という、プラモとしての出来の良さ。旧1/144キットはそういう面白さを持ったキットでした。加えて、全く新しい機体ではなかったのが良かったんでしょうね。グフのリファインという性格を持つ機体だった事が、「他の機体のリファインも見たい」という気持ちを喚起して、HGUCのスタートにつながったんじゃないかなと、そんな風に思ったりします。

 そんな傑作キットに恵まれた機体が、干支も一巡した頃にHGUC化です。過去の経験からすると、「もう出来の良いキットが出てるのに」なんて思った時は、だいたい超傑作キットなんですよね。シリーズ117作目、「イイナ」とも読めますが。てな感じで、いつもよりちょっぴり過剰に期待しつつ、キットに目を通していきましょう。



 頭部は、モノアイシールドの上端に合わせて頭蓋を分割。クチバシは筒状に成形してあり、軟質樹脂製の動力パイプを上からセットしておいてから、顔から突き出た芯パーツに通す組み立て。動力パイプを下からセットしていた旧1/144と異なり、クチバシの下まで造形してあって死角が無く、クチバシ芯の先端がダクトになっているので塗り分けも簡単です。

 モノアイシールドはリング状で左右に可動。操作は顔の下のツマミで行います。モノアイは一段凸になった平面でモールドされ、シールを貼る位置も分かりやすいですね。不要と思う人は削っても良いですし。アンテナは従来より厚みが有ります。HGUCシナンジュでも厚めでしたが、強度なり迫力なりを増していこうという、シリーズの方針なのかも知れませんね。



 動力パイプの後端は、後頭部に差し込むジョイントパーツで固定してあります。は、顔が尖って後頭部に丸みが有る、タマゴ形のシルエットで造形。特に注目したいのは、後頭部が下に行くほど平面的になるよう変化を付けてある点。比較的単純な円形だった従来のうなじに比べ、首の印象が力強くなり、頼もしさが増した様に思います。



 はポリパーツをそのまま使った二重関節。首を通す丸穴に対して、やや前寄りに接続位置を配置してありますが、これ、HGUC F2ザクと同じですね。今後ザク系MSは、このフォーマットで統一されるのかも。首を後ろに引く時は、斜め後ろ等も試してみると、ポーズに幅が出るでしょう。

 ボディです。は、肩とウエストのポリキャップをハサミ込んでの前後貼り合わせ。コクピットのオレンジ部分はクリアパーツを使用してあり、事前に内側からセットします。上から取り付けるエリ内側は、ボディが前後に外れないための、ロックを兼ねています。胸板の黒パーツは前から、の外装は左右から被せます。



 ウエストは、ボールジョイントで接続。引き出さなくても常にボール可動する配置です。スカートが単独パーツ化され、従来より特に見映えが良くなった箇所の一つと言えるでしょう。

 です。フロントスカートは、動力パイプに隠れる辺りで上下に分割。下半分が左右一体で可動する様、フンドシ裏面に球体ポリキャップで接続してあります。また、無可動である上半分もフンドシと別パーツ化してあり、上下で印象が不揃いにならない配慮がしてあるのは嬉しいですね。この分割はMGグフVer.2.0に準じた物ですが、スペースや接続方法の違いも有って、可動範囲はMGほど大きく有りません。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

 サイドスカートは角形ポリキャップで腰骨に接続され、横にだけスイング可能な一軸可動。動力パイプの留め具がスカートを貫通しているデザインはF2ザクと共通で、比較的近い時期にフォーマットを引き継ぐ形で発売された事にも納得ですね。また、こうした発売順が、グフカスタムがF2ザクを念頭に置いてデザインされている事も再認識させてくれます。横長の胸板、ハードポイントの配置等、いくつか共通点を見つける事が出来ますね。

 リアスカートは固定式ですが、上端にヒンジの表現が有り、動きそうな印象のデザインになっています。ハードポイントはHGUC F2ザクと互換性が有り、ザクマシンガンのマガジンをマウントする事も可能です。劇中では、ノリス機が3連装35mmガトリング砲のマガジンをマウントしており、交換シーンも有りましたね。マガジンが付属しないのが惜しいです。



HGUCザクF2型に付属する、ザクマシンガン用マガジンをマウントしたところ。

 股関節は、フンドシの下半分ごと前後スイングが可能。フンドシ下にはアクションベースに対応した取付穴が有りますが、最近はフタパーツが無いキットが主流になって来ましたね。

 です。モモは前後貼り合わせ。ポリキャップが共通という事で、00セカンドシーズンのキット同様、三軸可動のモモ上部とヒザ関節がフレームでつながっているんですが、組み上げたモモ外装は筒状になり、このフレームに通してある格好です。なんだか上腕に構造が似てきましたね。HGUCグフでは股関節軸を通す穴が目立っていましたが、最近のキットでは気にならない様になっていて、こんな所でも進歩を感じます。



HGUC F2ザクのザクマシンガンを拝借したところ。右手首もF2ザクの物で、手の甲はグフカスタムの物に取り替えてあります。

 ヒザは、ハサミ込み式の二重関節で、上下とも後ハメ可能です。B型(ノーマル)グフの様なジャバラではなく、横に丸モールドの付いたデザインはF2ザクに近いですね。スネに対して前方斜め上から差し込む組み付け等、キットとしても共通性を感じさせる物になっています。

 スネは、ヒザ関節を差し込む芯パーツと足首関節をハサミ込んでの左右貼り合わせ。前面は別パーツ化してあり、分割ラインも気になりません。ヒザアーマーは正面から取り付け。丸みを帯びながらも中心線や上下端のエッジは強調してあり、旧1/144と比べて、よりB型グフに近いイメージで造形してあります。芯パーツを採用した事により、ヒザのスキマから不要なピンも見えず、外装のフチも厚みを抑えて良い感じに仕上がっています。



 足首関節は、上が二軸可動、下がボールジョイントの二重関節。さらに、クツ内部のツマ先に接続された内部メカパーツが上に持ち上がり、自由度を高めています。内部メカ表面に甲パーツが貼り付けてある点も含めて、HGUC F2ザクと共通の機構です。自由度が高いだけでなく、甲が傾く事で踏ん張った印象も演出してくれます。

 足首は、旧1/144やHGUCグフではツマ先が尖った印象でしたが、今回は四角く幅の広い造形になっています。300円グフにリアルタイムで親しんだ世代にとっては、グフはこうでなくっちゃ!と思わせるポイントの一つですね。



 足裏パターンは旧1/144ともMGとも別物で、F2ザクの設定に準じています。手元の資料を探しても足裏の設定画が見当たらないんですが、存在しないんでしょうか。特に、旧1/144には無かったバーニアが、MGやHGUCには付いているのは大きな違いですね。HGUCグフにもF2ザクにも付いているので、エースパイロットが使ったグフカスタムでこれを省いたとも思えず、ボクはバーニアは有るとする説に一票です。



肩のツノは大きい方が好みという人は、旧1/144から拝借しても良いかも(写真左側)。軸径が同じなので、無改造で交換出来ます。

 肩アーマーは、前後と側面の角の3パーツ構成。肩ブロックの横にポリキャップで接続してあります。角を分割してあるのはパーツ分割的には有りがたいんですが、肉厚を抑えるためなのか、小ぶりに感じます。(設定画と比べる際には、根元のフチ取りの太さを比べると分かりやすいでしょう。)また、曲がり方が急でクセの有る造形というか、フックみたいですね。大きい角が好みという人は、接続ピン径が共通である事を利用して、旧1/144やHGUCグフと交換する事も出来ますよ。個体差とかオスメスの違いと思って楽しむのも良いかも知れません(笑)。



 です。肩関節は、00セカンドシーズン用のポリパーツを使用した、前に引き出せるボール軸受け。HGUC F2ザクと同様のポリキャップ隠しを被せてあるんですが、表面に追加された突起を肩関節軸と噛み合せると、水平位置に上げた腕を支えてくれます。これはアイデア賞モノですね。まあ、このポリパーツの保持力は00シリーズで実証済みで、ガトリングシールド程度の荷重でヘタれるとも思えないんですけれども。せっかくなので、もっと重たい武器を自作して限界に挑んでみるのも良いかも?このポリキャップ隠しと肩関節軸は、F2ザクにも流用可能です。

 肩ブロックは前後貼り合わせ。旧1/144やHGUCグフでは、密着感を高めようとしたのか、側面の肩アーマー取付部が一段引っ込んでいましたが、今回は凹みの無い長方形になりました。これでスキマから中が見えても気になりませんね。



 上腕は筒状にワンパーツ成形。断面が円形だった旧1/144に対して、今回は四角に近い断面で、ヒジ関節に馴染んでスキマが有りません。ボリュームも増していて力強いですね。

 ヒジは、丸モールドと一体の前腕フレームで、ポリキャップを仕込んだ関節パーツをハサミ込み。ポリキャップがムキ出しだった旧1/144に長年親しんできたせいか、関節がメカ色でないのが意外でした。設定画では関節部の露出範囲がここまで大きくなく、色分けするメリットも少なかったのでしょう。プラモっぽく処理されたキットの関節は、好みでメカ色に塗ってしまうのもアリだと思います。



 前腕は、本体と袖を筒状に成形してあり、芯パーツに通します。は手首関節まで通っていて、角柱形のスッキリしたデザインのため、互換性も高そうですね。旧1/144やHGUCグフに比べて、ヒジ関節付近の装甲厚が丁寧な表現になっています。関節の前後ともスキが無いのは、フレームパーツのお陰ですね。

 右腕のヒートロッド射出口は、段差の部分で分割された2パーツ構成。左腕の袖には、3連装35mmガトリング砲を取り付けるための突起が付いています。せっかくだから、袖パーツの内側形状が4辺共通になっていれば、90度ヒネった向きに取り付けて、甲の面にガトリングシールドを配置する事も出来たんじゃないかと思うんですが。



 手首は、左右の穴なしゲンコツ、左右の穴開きゲンコツ、右の平手が付属します。手の甲は全て共通で、迷わずスイスイ組めますよ。ヒートロッドを握らせたい時には穴開きゲンコツを使うと良いのでしょうが、敢えて穴なしゲンコツに穴を開けてやると、しっかり握ってる感じになって良いかも?まあ意外と太いワイヤーなので、妥当かどうかは各自の判断で。



 ランドセルは、極小ボールジョイントでバーニアを接続。動かしたい時は少し引き出してやります。本体はワンパーツ成形され、バーニア取付面は内側から別パーツを仕込んであります。動力パイプの接続口は背中に固定する筒状パーツで、抜け止めの付いた動力パイプを通してあります。パイプ端を固定するのはフンドシ側のみにして、背中側は長さに余裕を持たせて差し込んであるだけ。ウエストの可動に配慮して、遊びを持たせてあるんですね。



 武装です。ヒートロッドはリード線で再現。旧1/144よりも太いリード線を使ってあります。アンカーが開いた先端パーツが付属するのは嬉しいんですが、アンカーが閉じた状態のパーツは、収納状態として腕にセット出来るだけで、リード線に取り付けられないのが残念です。

 ヒートサーベルはワンパーツ成形で、シールド裏に収納可能。旧1/144に比べて先端上面のエグレが強調され、グリップエンドの丸モールドが大きくなっている等、造形に若干の変化が見られます。設定画を見ると中心線(鎬筋:しのぎすじ)は余りカーブした様に見えず、刃先は上下ほぼ均等に先細っているんじゃないかな?と想像しています。印象的だったガンタンクを仕留めるシーンに合わせて、「刺す」のに有利なデザインにしてあるのかも?



 3連装35mmガトリング砲は、バルカンになっていたグフの指を、オプション装備にアレンジしたアイデアが秀逸な武器。親指に見立てたセンサーが面白いですよね。キットでは、砲身を3本一体で縦に成形、機関部はスライド金型を使って表裏貼り合わせにする事で分割ラインを隠しています。センサーと、小指側を覆うカバーは可動式。腕やガトリングシールドへの着脱部はポリキャップを内蔵してあり、保持力は十分です。残念ながら、マガジンの着脱ギミックは有りません。



 ガトリングシールドは、グフ用のシールドに75mmガトリング砲を組み合わせた物。旧1/144ではガトリング砲を分離したシールドが別に付属していましたが、今回は劇中同様の分離が可能になりました。



 シールドは、資料によってはベース機(グフ)の物より小型化してあると解説してありますが、HGUCグフよりも若干大型化しています。実際は同等サイズでも問題なく成立すると思って良いでしょう。本体パーツ・表面パーツ・腕へのアダプターの3パーツ構成で、本体とアダプターのスキマにヒートサーベルを収納可能です。

 3連装35mmガトリング砲の上に丸ピンでマウント出来ますが、腕へ直接装備する事は出来ません。が!旧1/144の腕には丸穴が有り、このシールドを装備する事が可能です。旧1/144の単体シールドはワンパーツ成形のため、ヒートサーベルを収納出来ませんでしたが、これを流用すれば旧キットのプレイバリューが数倍にハネ上がりますね(当社比)。ニーズが有るかどうかは微妙ですが。



 75mmガトリング砲は、フレーム状のホルダーでシールドを前後からハサミ込む様にして装備します。ホルダーはシールド裏の突起と噛み合う仕組みで、保持力は十分。砲身は2パーツ貼り合わせて砲口を取り付け、ホルダー先端のスリットに前から差し込んであります。ピン接続以外の組み立てが適材適所で採用された事により、裏面の見映えが向上。マガジンは筒状に成形してあります。シールド裏にはヒートサーベルの押さえなのかグリップなのか微妙な箇所が有りますが、サイズの都合もあってか、キットではガトリング砲のフレームと一体化して有ります。

 給弾ベルトには軟質樹脂を採用、曲げてから組み付けてやります。このパーツ、旧1/144のパーツをそのまま使ってあるんですね。ある意味このキットは、1/144グフカスタムVer.1.5な訳ですよ(笑)。



3連装35mmガトリング砲を介さずに、手首だけでガトリングシールドを装備したところ。手首関節には、この重さを支える保持力は有りませんが、こんな組み合わせも出来るという事で。

 グリップはフレームとワンパーツ化。別パーツだった旧1/144の様なグラつきの心配が有りません。突起で武器持ち手に接続するので、着脱時には少々面倒ですが、しっかり保持出来ます。このためも有って、グリップを一体にしてあるんですね。狭くて指が入りにくいので、ガトリング砲とシールドを一旦分解しておくと、武器持ち手の着脱が楽ですよ。



旧1/144グフカスタム(左)との比較。HGUC(右)の方が若干大きく、設定身長に近い様です。因みにHGUCグフは、この2体の中間くらいです。

 組立時間は1時間20分でした。グフはザクよりも大型の機体なんですが、F2ザクから間を置かずにリリースし、基本的な機構を引き継ぐ事で、サイズ比率としても納得いくキットになっていると思います。ザクとの身長差は主に脚部推進装置の強化による物と思われ、上半身のボリュームに大差が無いのは自然ですね。

 今後の展開ですが、旧1/144でもバリエーションキットとして発売されたグフフライトタイプの発売が期待されますが・・・ランナーに全く切り替えが無いと思ったら、共通パーツって少ないんですね。発売される時は、旧キットでボーナスパーツ(?)として付属した、フィンガーバルカンがセットされていると嬉しいです。本当はこのキットにも付けて欲しかったんですけど。

その10 MGグフの巻
その302 MGグフVer.2.0の巻
その337 HGUC F2ザクの巻
その142 HGグフイグナイテッドの巻
その214 HGUC陸戦型ガンダムの巻
その335 HGUC陸戦型ガンダム地上戦セットの巻
その336 1/144陸戦型ジムの巻

 2010.11.14 健 竹史

  

HGUC グフカスタム
HG 1/144 グフカスタム
MG グフカスタム (限定クリアパーツ付)

  

HGUC グフ
MG グフカスタム(重力戦線イメージカラーVer)
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