健さんの
プラモコラム

その354
 エンペルト&ドダイトスの巻

 ポケモンプラモコレクション
 エンペルト進化セット
2010年3月発売 税別初出価格各760円
 ドダイトス進化セット
2010年5月発売 税別初出価格各760円
 「ポケットモンスター」に登場



 ナマモノ関係(特にカメ系)が続きますが、今回は久々のポケプラ、エンペルトドダイトスの進化セットを採り上げてみましょう。相変わらずキットの特徴を強力に訴えてくるパッケージは、第一弾から見られる「作ってみよう!」等の文言に「集めよう!」なんてのも加わって、シリーズが好調な事を伺わせます。数えてみたら、コツコツとラインナップも増えてますものね。レイアウトも若干変更され、組み立ての様子を中箱の裏にさらに大きく掲載。アニメのイラストは全く無くなり、プラモの楽しさをアピールするという一点に、さらに特化した様です。当初は使われていなかった中箱の縦壁にも、他キットを含めた部分塗装のススメとアドバイスを掲載。いい感じに盛り上がってまいりました。

 色々変わっても、誇らしい「日本製」の文字とホビーセンターの写真は変わっていません。また、ポケプラは登録商標になった様で、初期には無かった説明の表記が追加されています。採り上げるのは今回で二度目なのでシリーズ共通の仕様については触れませんが、たいへん優れたフォーマットだと思います。未読の方は「その317 バクフーン&オーダイルの巻」も、ぜひ参照下さい。



 では、エンペルト進化セットから見ていきましょう。右からピカチュウ、ポッチャマ、ポッタイシ、エンペルト。ポッチャマは知っていたんですが、ペンギン(名前からして皇帝ペンギンでしょうね)がモデルだったんですね。映画「皇帝ペンギン」でも子供の頃は体色がグレーでしたっけ。進化に合わせて変わっていく名前は、坊ちゃま、皇太子、エンペラー(皇帝)をもじった物でしょうか。シールで色分けしてある胸の丸い装飾も、進化の度に2、4、6箇所と増えていきます。



ポッチャマ(右)、ポッタイシ(左)。

 ポッチャマは9パーツで構成。頭部は左右貼り合わせた青い本体に、白い部分を左右から貼り合わせ。クチバシを正面から取り付け、オデコに色分けシールを貼ると、気になりやすい顔の中央部分の分割ラインは、ほぼ隠れてくれます。オデコの色分け部分はギザギザで、この段階ですでに王冠の意匠が取り入れてある様ですね。

 ボディは前後貼り合わせておいてから、頭部(エリ・マント)の下から取り付けます。ハサミ込みを避けてあるのが親切ですね。しかも首のハメ込み形状はT字形になっていて、前後を間違えない様になっています。線の少ないデザインですが、右手を上げたポーズに馴染む様に、肩やエリが少し持ち上がった造形になっていて、エリに沿った顔も左右で微妙に下端のラインが異なっています。ひょっとして、も少し傾いてます?無味乾燥で硬いポーズにならない様に、相変わらず丁寧に作ってありますね。足首はピン接続で左右ヒネリが可能。足の指も造形してあります。



 ポッタイシは全11パーツ。上半身・下半身をそれぞれ前後貼り合わせて作っておき、上半身の前側から下半身を組み合わせます。ゼロスラッガー・・・いや、眉毛は1本ずつ上から、クチバシは前から取り付け。は横から取り付けますが、付け根は肩側と背中側の微妙なラインの違いを表現してあります。シンプルなデザインの中にも、骨格や筋肉を意識したこだわりを感じさせますね。これは「ポーズを付けてない」のではなく、(堂々と)立っている」と言って良いのでは。足首は左右共通パーツ。やはりピン接続で、ヒネリが可能です。



 エンペルトは25パーツ。クチバシが王冠になったデザインが面白いですね。ポセイドンの三叉の槍を連想させ、スリット式のバイザーにも見えますが、多分そのどれもが、劇中キャラクターの位置づけに合致しているんじゃないかな?と、ろくに番組を見ないまま想像しているんですが。やオデコに加えて、腹の白い装飾部分もシールで色分け。エリ・袖・裾を思わせる要素も加わって、衣装を思わせるデザインですね。



 は、付け根の部分で後ハメ可能。3本一体のツメと、青いパーツをハサミ込みます。根元は丸ピンなので、前後に動かしてポーズを付ける事が出来ます。エリや尻尾、背中の黄色いパーツは表面から取り付けます。足首は左右に違いがあり、ハメ込み形状で区別が出来る様になっています。

 足首パーツは完成状態とほぼ同じ間隔でランナー内に配置してあります。組み上げたボディを、クツを履かせる感じでランナー内のパーツに上からセットし、完成後に切り出す事も可能です。間隔の誤差が1mmくらい有る感じなので、偶然だろうと思いますが。なんだかランナーロック方式みたいですね。ランナーロックは内部構造を楽しまないまま組み上がってしまうので、あまり好きではないんですが、これは左右パーツの区別で迷う事も無くなるので、意図的に導入しても良いのではないかと思います。



 恒例の連動ギミックは、体を傾けると、足の伸縮に連動して右腕を振り上げるというもの。左右の足はそれぞれ腰内部の横棒に連結してあり、片方が出れば片方が引っ込みます。これはペンギン独特の、体を左右に振ってのヨチヨチ歩きから連想したものでしょうか?腕の付け根は筒状の軸受けが仕込んであります。左は固定式ですが、右は右足の付け根とロッドで連結してあり、足の伸縮(出し入れ)に連動して軸受けが回転する仕組み。これで腕を振る訳です。このあいだの大河ドラマで、龍馬がこんな蒸気エンジンの仕組みを勉強してましたっけ(笑)。



 動き始めに引っ掛かりを感じやすい機構なので、難しい場合は腕を動きの方向に少し押してやると良いでしょう。振り上げる動きを狙ったギミックの様ですが(劇中の技の再現なのか、その辺は詳しくないんですけど)、その日の機嫌によっては振り下ろす動作の方がスムーズに遊べる事もありますね。また、組み立ての手順ごとに確認のイラストを載せてはあるんですが、それでも内部の機構が、子供にとってはちょっと複雑な気もします。オーダイルの時に少し触れましたが、内部機構のパーツがカラフルだと、それだけでも分かりやすくなると思うんですよね。せっかくカラー図解があっても、黒いボディに黒いパーツなので、モノクロ刷りの線画よりも見づらいんですよ。色を付けてるのか塗りつぶしてるのか分からない感じで。隣り合うパーツが違う色になっていれば、それだけで位置関係も把握しやすくなったのでは?と思います。



エンペルト進化セット付属のピカチュウ(左)と、ドダイトス進化セット付属のピカチュウ(右)。

 ピカチュウは立ちポーズの物が付属。ひょっとしたら、皇帝モチーフのキャラと同席させるのにふさわしい、行儀の良いポーズという事なのか(笑)。左右の耳に、ちょっと変化を付けてありますけどね。構成は、前後・尻尾の3パーツです。



 続いてドダイトス進化セットです。右からピカチュウ、ナエトル、ハヤシガメ、ドダイトス。名前の由来は、苗、林、土台といった所でしょうか。カメ(アルマジロやアンキロサウルスの要素も?)の上で植物が育っている組み合わせも面白いですね。

 付属のピカチュウは、寝そべったポーズの物が付属。頭が2パーツ、体が2パーツ、尻尾の計5パーツ構成です。四つ足のナエトル達に合わせて、低い姿勢のポーズを選んであるのでしょう。も完全な平面にはせず、置いた状態では隠れて見えなくなる親指まで造形。成形方向の制約を受ける足の指も、可能な範囲で足裏に変化を付け、中指の表現を入れてあります。

 なんだか「リボコインを集めよう!」みたいな感じでピカチュウが貯まってきたんですけど、ポーズを考える人も大変です。そろそろ飾り台を使ってポーズの幅を広げても良いのでは?と思ったりもします。



ナエトル(右)、ハヤシガメ(左)。ハヤシガメの背中は箱庭シリーズの様に、本物の芝を植えて育てたい衝動に駆られます(笑)。

 ナエトルは、左右貼り合せた本体をハサんで、左右から下アゴを貼り合わせ、甲羅と葉っぱを取り付ける6パーツ構成。顔の正面は成形時に縦になる面ですが、鼻の穴もしっかり成形してあります。クチバシの尖り具合とか鼻ヅラのラインとか、丸っこい中にもカメらしさを感じさせるツボは押さえてあって良いですね。甲羅の分割は、2分割にまで単純化。これ以上減らすとウロコの省略になってしまうギリギリの数であると同時に、ハヤシガメの横ラインに通じる要素にも思えます。足をボディと一体化する都合で、が急に平らになっているのが少々残念。真横から見ない限りは気にならないと思いますが。



 ハヤシガメは、左右貼り合せたボディに甲羅を乗せ、2パーツ貼り合わせの植物と足首、下アゴを取り付ける12パーツ構成。植物の部分は柔らかい材質を使ってあるので、日頃から改造や自作を楽しんでる人はランナーも取っておくと良いかも知れません。(エンペルトの青い部分にも同様の素材が使われています。)

 4つの足首パーツはハメ込み形状に違いを持たせ、取り付け位置を間違わない様に配慮してあります。はやはり足と一体成形する都合でフラットになっていますが、体形の違いから気になりません。ナエトルよりも大きく踏ん張った力強いポーズのため、足と腹の間に余肉が付いていているので、上級者は削って整えてやると、より自然な仕上りを楽しめるでしょう。

 甲羅やアゴのカラーリングは、実際はもっとオレンジががった濃い黄色なんですが、ピカチュウと同じランナーに収まる都合で明るめの黄色となっています。キットの主役はハヤシガメ達の方ですが、他セットに含まれるピカチュウと色味が違ってしまうのもどうかという事で、メーカーも色数の制約の中で下した難しい判断だったのだろうと思います。ガンプラだったらエクストリーム省電力モードとか名前をつけて、ピカチュウを濃い黄色にしてしまっても納得してもらえる素地が(略)生きてるんだからたまには病(略)。濃い黄色は足首にも使われているんですが、ツメの色に合わせてグレーで成形してあります。ツメに小さなシールを貼るよりも、ツメを残して全体をシールで覆う方が、簡単で仕上りもキレイという判断ですね。



 ドダイトスは、全35パーツ構成。前足と後ろ足は左右を接続してあり、上下貼り合わせのボディの中で、尻尾と噛み合っています。左右に動く尻尾がレバーになっていて、歩くような動作を再現出来るギミックが楽しめます。



 はそれぞれ左右を貼り合わせ、足首を取り付ける3パーツ構成。内部の連動ギミックを完成させてから取り付ける事が可能です。内部の可動パーツにはナンバーが刻印され、切り出した後に迷った時も確認が簡単。前側の可動パーツは後端の幅を広げてあり、ワキのスキマから中身が丸見えになるのを防ぎます。足はハヤシガメより大きくなったので、今度はツメにシールを貼って色分けします。



 は左右貼り合わせ。頬のトゲは向きだけでなく左右も間違えない様、ピンの本数を変えてあります。甲羅は、白い本体の表面に緑の表面パーツを貼り込みます。前後の区別は簡単につきますが、穴が多いので、どの穴が本体の背中と噛み合うのか、一瞬迷いますね。対象ユーザー層を考えると、丸と角を使い分けるとか、横にを付けるといった、何らかの気配りが有ればもっと良かったかも知れません。



 背中のトゲは、それぞれ2パーツ貼り合わせ。内側のピンも根元のハメ込みも、全て大きさや間隔を変えてあり、組立時に迷わない様になっています。



 背中の植物は、ハヤシガメから数が増えるのではなく、「この木なんの木」みたいな大木になりました。幹を上下に分割し、根と枝の広がりを再現。茂ったは上下貼り合わせで、3本の枝で支えてあります。樹齢がそのまま本体の年齢も連想させる、長寿のカメモチーフらしいデザインですね。



 背中のデザインは、木というより地面そのものを背負っている様ですね。この構図は「世界はゾウに乗っていて、ゾウはカメに乗っている」という、古代の世界観をヒントにしているのかも知れませんね。せっかくセットで出たんですから、親亀の上に小亀を乗せてみるのも一興。カメ好きなら、こんな世界で暮らしたいじゃないですか(笑)。



手持ちの4セットで集合写真。値段の割に賑やかで楽しいです。

 ドダイトス進化セットは色分けが細かく、手持ちの他3セットと比べてシールも多め、特に曲面に貼る物が多めに感じます。貼るにもそれなりの手間と丁寧さが必要でしょうし、切れ込みを入れる等の工夫がされていると言っても、紙製シールが形に完全に馴染む訳ではありませんから、ある程度以上の年齢の人は、塗装に挑戦してみるのも良いでしょう。シールと併用しても良い訳ですし、持ってる色だけ、塗りやすい所だけでも良いのです。メカ物よりもクボミやエッジが少ないので、筆塗りの入門用キットとしては、ガンプラよりも筆ムラが出にくく敷居が低いんじゃないかと思います。

 てな感じで、今回も楽しませて頂きました。ある程度数も揃ってきたし、単体売りの大物ポケモンにも手を広げてみようかな?と思ってるんですが・・・ぼちぼちヨメに狙われて、危険を感じている今日この頃。ロケット団と暮らしてる様な、いや、何でもありません。


 おまけ

 ポケプラを初めて採り上げた「その317 バクフーン&オーダイルの巻」では、キット自体もさることながら、説明書まで含めたトータルパッケージでの親切ぶりに驚き、教材会社の様だと評した訳ですが・・・先日、バンダイナムコゲームスが教科書作りに協力するというニュースが流れました。子供に接するという意味では教材と玩具はもともと近い物がありそうですし、知育玩具なんてのは、その両方に属する物でしょう。

 わかりやすい教科書にしようというのは、ずいぶん前から言われてきた事ですが、ポケプラの説明書を見ていると、ただ絵を増やしたり字が大きければ良いという物でもないのだなと、感心させられますもんね。今回のニュースはバンダイナムコゲームスの物であり、ホビー事業部のポケプラとは別の話なのかも知れませんが、どちらもグループ全体の姿勢と無関係ではないでしょう。ぜひ良い結果につながれば良いなと思っています。

バンダイナムコゲームス、2011年度小学校向け教科書の制作に協力 〜 エンタメ企業のノウハウ注入
(5月24日)

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