健さんの
プラモコラム

その350
 HGFC ゴッドガンダムの巻

 HGFC 1/144
 GF13−017NJU ゴッドガンダム
 バンダイ
 「機動武闘伝Gガンダム」に登場
2010年5月発売 税別初出価格1800円



 MGで主要な機体数点が発売されて以来、長らく大きな動きが無かった(SGくらい?)Gガンダムが、HGFCで再始動です。考えてみたら、ガンダムファイト2回分くらい待ってましたっけ?この数年のブランクの間には飾り台対応の標準化という、アクションキットに欠かせない規格の刷新が有りましたし、対戦相手が充実してこそ楽しい格闘モノには、HGシリーズの手頃なサイズと価格設定が最適でしょう。早速、第一弾「ゴッドガンダム」に目を通していきましょう。



 頭部は、裏からアゴを取り付けたマスクを、前後分割のヘルメットでハサミ込む構成。頭頂部カメラはアンテナの斜め下から組み合わせます。後ろに延びたチョンマゲは別パーツ化してあり造形はシャープなんですが、の角度調整や着脱の際には、うっかり外れて飛んで行かない様に注意しましょう。設定では下部バルカンの後ろにスリットが有るんですが、キットでは省略されています。(実はスリットじゃなくて撃墜マークだったりとか・・・そんな事は無いですよね?)



 ボディは、2パ−ツ貼り合わせ式のウエストを、前後から胸パーツでハサミ込み。胸内部は、コアランダーの機首を収納するため空洞で、を二重可動させる余裕が無かった様です。ボディと一体化された首は頭部側だけでボール可動。軸受けはC字形ですが、若干の引き出しは可能なので、頭を持ち上げてヒネる等して、より躍動感のあるポーズを試してみましょう。



 エネルギーマルチプライヤーは開閉式。ただ開くだけでなく、ボディ前面の青いパーツ全体がウエストに接続してあり前後可動、その上端にカバーのヒンジを設ける事で、首の前にスキマが出来ない様に工夫されています。本当はカバーパーツの上面はスライド式のハッチになっていて、カバーの一部ではないんですが、組みやすく、ヒンジの保持力も有り、可動クリアランスの心配も少ない、良いアレンジだと思います。

パネルが・・・見えない・・・

 胸部ダクトは正面から取り付け。左右を間違えにくい様、ハメ込み形状を工夫してあります。肩部マシンキャノンは、ボディパーツと一体で再現。説明書には載っていない様ですが、上から被せたカバーパーツを持ち上げて、使用状態を再現出来ます。設定では砲身が前にせり出す様になっているので、カバーは少し後ろにズラしてやると、よりイメージに近いんじゃないかと思います。



 ウエストは、球体ポリキャップでと接続してあります。横や前後にヒネリたい場合は、少し持ち上げてやりましょう。底のスキマに内部パーツを仕込んであるので、大きく動かしても外観を損ねる心配は有りません。



 は、左右貼り合わせのフレームでリアスカート可動用のポリキャップをハサミ込み、下からスイング式の股関節を差し込んであります。サイドスカート用のポリキャップは横から後ハメ。従来はこれを前後からハサミ込む事が多かったんですが、これでリアスカートの可動が標準化するのかも?スカートが長いゴッドガンダムだけの例外的なパーツ構成の可能性も有りますが、この分割が腰フレームの造形にも影響を与えている様で、ウエストのスキマからのぞく印象は悪くありません。従来より腰骨コーナー部を面取りしやすく、柔らかく造形されたラインは人体的な設定のMFにピッタリかも。



 フンドシ正面は、設定では尖った印象の上端を平らにカットした造形。ウエストの前後スイングに干渉しない様にという配慮でしょうか。フロントスカートは左右一体成形。切り離せば左右独立してボール可動に出来ます。青い部分は別パーツ化して色分け。ヒザまで覆う長めのデザインですが、軽快さを損ねない程度のボリュームに抑えてあります。



 サイドスカートは、横開閉だけの一軸可動。これは角ピン対応のポリキャップを使ってあるためです。ビームソードのポジションを左右揃えて調整しやすい反面、ソードの干渉をかわすためにも、もっと自由にヒネりたかったですね。旧1/144に比べて厚みやカーブが均一で、自然な造形が良い感じです。リアスカートは、ポリキャップ接続でフンドシ後面ごとパタパタと可動。青いパーツが本体で、その表面に白いパーツを貼り付けてあります。



 ソードホルダーは、上部スリットにビームソードを収納可能。外周部分の対面2箇所にツメの付いた突起を設けてあり、スカート側のレールに沿って回転します。ピン式でないのは、スカート裏に接続用の突起を付けるためです。ソードは傾いた配置なので回転は前後均等でなくても良かったと思うんですが、左右のパーツを共通化する都合も有ったのかも。ホルダーパーツも、下部のスラスターの位置にアレンジを加えて左右共通化してあります。

 です。股関節は、モモ上部のヒネリも含めて三軸可動。モモは左右貼り合わせて筒状パーツを構成、中にモモ上部とヒザ関節を通して連結してあります。



 ヒザは、ハサミ込み式の関節を組んでおいて、モモ・スネに後ハメ。上側の差し込み部はピンでモモ上部に接続するだけでなく、突起でモモ外装とも噛み合っています。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

 スネは、前面外装と内部フレームを貼り合わせ、その後ろに引き出し開閉式のカバーを取り付けた様な構成。クルブシは別パーツです。ヒザ関節はスネフレームとつながっておらず、フクラハギ外装で左右からハサミ込む事で接続してあります。フクラハギ内部には角柱形のジョイントパーツが、幅いっぱいに仕込んであり、引き出した後で上にハネ上げる様に展開。ジョイントパーツが大きいと、フレームの一部に見える事でかえって目立たない、そんな発想でしょうか。



 展開状態では、カバーがフクラハギに被さる様な高めの配置になり、ヒンジ付近にスキが出来ません。設定や従来キットよりも脚本体との一体感があり、スラスターが大きく露出する優れたアレンジではないでしょうか。ヒザ後部の関節幅と噛み合って安定感も良好。むしろ閉じた状態の保持力がイマイチで、キックを繰り出したポーズでは、カバーの自重でスキマが出来てしまう事も。スライド部のキツさ調整をしておくと良いかも知れません。設定ではヒンジの左右にスリットが有りますが、頭部と同様、省略されています。全体的にディテールを減らす方針なのかも。



 足首アーマーはワンパーツ成形され、足首関節パーツの前面に固定してあります。足首関節は、上がピン接続、下がボールジョイントの二重関節。ボールとピンは一直線ではなく、上のピンは斜め後ろに傾けた配置となっています。ヒザを落として踏ん張った時にピンが真上を向く事になり、アクション時に最もヒネリやすくなる様に考えてあるみたいですね。



 足首は、足裏、クツ、関節上面((ポリキャップ押さえ)、甲を縦に重ねる構成。ツマ先の可動の無い、一体式となっています。足裏パーツはグレーで成形。特にそんな設定は無い様ですが、MG以来の伝統ですね。



 肩アーマーは、腕用のポリキャップをハサミ込んで前後を貼り合わせ、上面パーツを被せます。側面のスラスターは一体で成形、前部スラスターは別パーツ化してあります。ボディに接する縦壁にボールジョイントが付いていて、胸側のボール軸受に接続。軸受は前にしか引き出せませんが、関節付近に十分なスキマを取ってあるので、ボール部だけで肩を後ろに反らす事が可能です。

 です。肩ブロックはポリキャップを下から覆うカバー式。側面のコブは垂れ下がる様に配置され、上腕との横のスキマを隠しています。上腕は筒状にワンパーツ成形、芯パーツを通してあります。



 ヒジは、ポリキャップを仕込んだハサミ込み式の関節。上はそのまま上腕フレーム、下も前腕フレームになっていて、腕全体にが通っています。三枚重ねになった関節の中央パーツは、ポリキャップを仕込む都合で左右のパーツよりも出っ張っています。角柱っぽい単調なイメージにならず、むしろの様な肉体的表現にも見えて良いかも。

 前腕は、本体と手首付近の2パーツを連結した筒状の構造。Gナックルは、2本一体のクローをハサミ込んで、左右2パーツを貼り合せた物。前腕には板状の突起で接続してあり、使用状態を再現する場合は前寄りの位置に差し直します。



 手首は、ソードを持たせる穴あきゲンコツの他に、スキマなく握った穴なしゲンコツ、クリアー成形された爆熱ゴッドフィンガー用平手が左右とも付属。また、手の平を突き出した右手と、突きを繰り出す構えの左手も用意されています。やはり穴なしゲンコツは緊張感が違いますね。ラインナップが増えて数に余裕が出来たら、UC関連のMSに取り付けてやるのも良いかも知れません。



 コアランダーは、6枚のフィン(エネルギーフィールド発生装置)を本体後部パーツでハサミ込み、それを本体前部パーツで上下からハサミ込み。フィンはそれぞれの根元で可動。密着したまま可変翼の様に動かす事は出来ません。ノズルとエンジン部は後部から取り付け。背中から機首を差し込んで合体しますが、機首側面のミゾでしっかり噛み合い、保持力は良好です。



 武装は、サイドスカートにビームソードを左右1本ずつ装備。ツバとグリップの2パーツ構成で、ホルダーにはグリップ中央のスリットで固定します。もっと前寄りに装備した方が、コアランダーに干渉しにくくてポーズの自由度が高くなったんじゃないかと思いますが。スリットを彫り直せば前寄りに出来るでしょうが、必要な工作精度はシビアかも。クリアーのビーム刃は、長短2種が1本ずつ付属します。



 組立時間は1時間30分でした。こんなに大きい機体だったかなあ?塗装したらモデルが大きく見えた経験も有るし、色分け再現が充実したからかな?と思って旧キットと並べたら・・・大きさが全然別モノでした。16.6mという設定には旧キットの方が忠実で、今回は18m級程度のボリュームが有る様です。まあ新旧1/72ダンバインの例も有りますし、オーラだの闘気だのが関わると機体が大きく見える事もあるとか、ハイパー化して本当に大きくなるといった、メーカー独自のこだわり表現では(略)



旧1/144ゴッドガンダム(左)との比較。

 単体での再現度の点からもサイズが正しい方が嬉しいですし、従来キットと並べて楽しめる事からもスケール的な統一感が欲しいですが、細かなギミックを盛り込むための止むを得ない判断だったと思いたいですね。シリーズの平均サイズが大きければ、ノーベルガンダムの様な細身の機体も発売しやすくなりますし。そんな感じで、今後のラインナップに期待したいと思います。


 おまけ

 この機会に、旧1/144ゴッドガンダムも併せて紹介しておきましょう。キットでの表記は「ゴッドガンダム」ではなく「Gガンダム」となっています。



 頭部は、オデコ・顔・後頭部・アンテナの4パーツ構成。バイザーに隠れた顔をシャープに成形するための措置ですね。アンテナの位置が高いためオデコが広く見えて損をしている気がしますが、シャープで小顔で、当時としてはかなり良く出来ていたと思います。アンテナはHGFCよりも大きめです。首はムキ出しのポリパーツ。やや首が長く感じますが、その分自由度は高くなっています。

 ボディは、前後貼り合わせのウエストを、前後から胸でハサミ込み。マシンキャノンやエネルギーマルチプライヤーの開閉は有りません。胸カバーは中心線を強調せず、丸みを帯びた造形。首の前にはコクピットハッチの表現も入っています。



 腰は、腰骨がまるごとポリ製のフレームになった、シリーズ共通の規格。フンドシとリアスカートでポリフレームを前後からハサミ込み、上からウエストの回転軸を差し込んであります。フロントスカートとサイドスカートはボール可動。フロントスカートは上端の横幅が狭く、サイドスカートの下端と同じ高さで幅が最大になる等、HGFCよりも設定画の特徴に忠実です。ボール接続のために厚みがあり、上面に切り欠きが有るのが残念ですが、キット状態のままで左右独立可動するのは、今改めて見ると新鮮ですね。リアスカートに4つ有る台形モールドは、旧キットの位置が設定に近いですね。HGFCでは低くなっていますが、これはせっかくのモールドなのだからコアランダーに隠れない位置に移動しようという判断でしょうか。逆に、旧キットのコアランダーは腰を大きく覆っておらず、モールドの位置までかかっていません。

 脚です。股関節はボールジョイント。モモ・スネ・足首とも左右貼り合わせで、ヒザ関節はムキ出しのポリパーツを使った二重関節になっています。スネ後部カバーの開閉は無く、足首カバーはスネと一体成形。それでもカバー下のスキマやヒザ後部のスラスターノズルは、奥行きを再現しようという配慮が見られます。足首カバー前面はHGFCよりも高めの配置で、スネ下端をスキマ無くガード。こちらの方が設定に近い様です。足首関節はボールジョイントで可動。足首は甲が丸みを帯びていて、HGFCとずいぶん印象が違います。土踏まずが傾斜している事や、クツ側面のライン等、意外と見るべき点は多いかも。



 肩アーマーは、上腕をハサみ込んで前後貼り合わせ。内側は空洞ですが、側面スラスターは再現されていないのではなく、設定にも描かれていない(内側は塗りつぶされている)んですね。HGFCのスラスターは、MGでのアレンジを引き継いだ物の様です。

 腕です。上腕は肩のポリキャップをハサミ込んでの2パーツ貼り合わせ。ヒジはムキ出しのポリパーツで、ヒネリもここで行います。前腕は、Gナックルの移動を差し替えで再現。HGFCはディテールが不揃いになるのを嫌ったのか、アップ画稿のディテールを盛り込みませんでしたが、このキットでは4本指のカバーのみ、表面ディテールを再現してあります。クローは1本ずつ独立して可動します。



 手首はシリーズ共通のポリ製穴あきゲンコツですが、右手のみ爆熱ゴッドフィンガーをイメージした、黄色成形の平手が付属。いきなりニ戦目で左手から必殺技を放っており、出来れば両手とも付属させて欲しかったですね。(グレードアップパーツセットのメッキ手の平を使うのも良いでしょう。)手の平パーツには丸い肉抜き穴が有り、キリストの聖痕にも見えかねません。無用の宗教的刺激が予想される「ゴッド」の名前を避けて、海外展開で「バーニングガンダム」という別称を使ったのは大正解でしょう。

 コアランダーは、基本的なパーツ構成はHGFCと同等。後部エンジン・バーニアは別パーツ化されていません。合体の保持は機首全体のキツさに拠っているため、下部バルカン砲(逆噴射ノズル?)は機種に埋没した平面的な表現としてあります。



 武装は、ビームソードが1本付属。同シリーズのシャイニングガンダムには刃がストレートな物が付属していましたが、このキットではカーブした造形となっています。収納状態のソードは腰のホルダーと一体で外せないため、手に持たせると3本装備している状態となってしまいます。

 安価ですし、本来のスケールに忠実なので、HGFCと両方持っていても損はないと思います。新旧2体揃えて設定と比べると、元デザインをより理解しやすくなる面も有りますし。この時期のガンダムは成形色がグレーがかった物が多かった気がしますが、特にこの機体を塗装する場合は純白に近い方が良いんじゃないでしょうか。MFは国の代表ですから、国旗の色を意識して反映してあると思うので。

 1994年10月発売 税別初出価格500円

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 2010.5.24 健 竹史

  

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