健さんの
プラモコラム

その309
 HGUC アイザックの巻

( HGUC 1/144
 RMS−119 アイザック
 「機動戦士ガンダムZZ」に登場)

2009年6月発売 税別初出価格1600円



 最近また充実の兆しを見せているZZ関連から、アイザックの登場であります。アイザックと言うと、有名なアイザック・アシモフの「ロボット三原則」を思い出しますね。

 「偵察用ロボットは人間に危害を加えてはならない。」
 「だが、偵察で得られた情報を持ち帰るためなら、この限りではない。」
 「おや、こんな所にザクマシンガン改が」

 たしかこんな感じの三原則だったと思うんですが(いや全然違うって)、偵察用の機体として生まれながら、すでに金型には武器のパーツが用意されているというジレンマは、ロボットSFの分野に哲学的な視点を持ち込み、後の作品にも多大な影響を・・・まあいいや。さっさと本題に参りましょう。



 頭部は、アゴの下からレドームの下面全体までをワンパーツで成形。これに左右一体の動力パイプ、クチバシと一体の頬パーツ、頭蓋パーツを縦に重ねます。レドーム上面は、パネルラインで前後左右に4分割。前部は頭蓋と一体になっています。アスランが好きそうなトサカセンサーは上からセット。アンテナは後ろに行くほど幅を増して強度を持たせ、安全突起も大きめの物が付けてあります。



 レドーム中央のディスクユニットは回転可能。底面から、抜け止めのピンが差し込んであります。外周部分から突き出た6本のアンテナは、レドーム下面と一体成形。もう少し薄い方が、それらしかったかも知れませんが、強度を確保する意味も有っての事でしょう。旧キットでは接着式でしたが、こういう細かい部分が一体になってると、組み立てのストレスが減って嬉しいですね。



 モノアイは、ドーナツ状のモノアイシールドに、シールを貼り付けて再現。アゴの下にツマミが有って、左右に動かす事が可能です。と言っても首が上下に動かないデザインなので、一旦頭部を取り外し、ツマミを動かして再び取り付けるという、面倒なプロセスが必要ですが。例えばアンテナかクチバシが外れてツマミが露出するとか、そんな仕組みでも良かったかも知れませんね。



頭からレドームにつながるラインは、旧キットに比べて格段に自然になっています。

 は、フンドシ前部が新規パーツとなり、対地センサーが追加されました。対地センサーを上下逆に取り付けると、なんとなくアブナイ雰囲気になるので、よいこのみんなはマネしちゃダメだぞ(笑)。設定画が飛んでいる状態で描かれている事もあって飾り台でディスプレイしたくなりますが、従来パーツであるフンドシ下面には、残念ながらアクションベース用の取付穴は無し。フォーク形のジョイントを使って飾ります。



 肩アーマーは、両肩ともスパイクの無いデザインの新規パーツですが、左右で接続方法が異なっているのが面白いですね。元々肩アーマーを装備していた左肩は、軸可動式のポリキャップでの接続。本来シールドを装備していた右肩は、ボールジョイント式ポリキャップによる接続です。軸の高さは同じなので、ポーズによって左右のアーマー位置に違いが出るといった事は有りませんが、右肩はピンの根元にシールド接続部のディテールが入っています。左右不揃いになるのが気になるという人は、手を加えても良いでしょう。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

 バックパックは、前後貼り合わせの本体に、各部パーツを取り付けていく構成。前側(背中に接する側)は従来パーツを使っていますが、後ろ側は円形の通信アンテナ、角形の後方シーカーが追加されているため、新規パーツとなっています。アーム式スラスターを廃した代わりにプロペラントタンクが追加されていますが、旧キットよりも細めの造形になりました。これは旧キットに比べて、バックパックの前後幅を抑えて、軽快なデザインになっている事の影響でしょう。腕との干渉を防ぐため、旧キット同様、後ろにオフセットして取り付けてあります。



 バックパックの上部は、後頭部レドームにメリ込んだ配置になっています。実際のデザインではメリ込むのではなく、レドームを支えているんでしょうね。キットでは首が左右に動く様に、メリ込んだ部分はレール状に切り欠いてあります。首がボディに固定されている解釈が好きな人は、切り欠きを埋めてやっても良いでしょう。



 レドーム中央を支えている支柱も、レドーム側のレール状の切り欠きに、ピンで噛み合った構成。旧キットに比べてバックパックは薄く、逆にレドームは大きくなっているため、支柱は後ろに大きく伸びた造形になっています。が、ここは4基のデータポッドの発射管になっている部分です。支柱を後ろに延長するため、傾斜角度を変えてしまっていますが、これでは円筒形のデータポッドが、レドームの中までメリ込んだ配置になってしまい、説得力が弱くなります。こだわりたい人は、旧キット等を参考に手を加えてやっても良いでしょう。



 武装は、ハイザック用のザクマシンガン改と、シールドが付属。内容は元キットであるHGUCハイザックの物と同一です。あくまで装備が可能という事であって、普段から装備して戦っていたという訳ではありませんが。



 組立時間は、1時間15分でした。特異なシルエット、特殊な運用目的の機体、こういうキットが出るのは嬉しいですね。コレクションにも幅が出ますし。それにしても、HGUCでも極初期のキットながら、なかなかバリエーション展開が進まなかったハイザックだけに、こうして久々に組むと、フォーマットの違いに時代を感じさせられます。が前後にスイングしないとか。HGUCもいつの間にか、長大なシリーズに育ったものです。



HGUCアッシマーとの比較。「アッシマーって小さいのだな・・・」

 今後の展開ですが、バックパックや武器類、上腕関係のパーツを除外する切り替えが未使用である事や、肩アーマーと頭部パーツが追加されたCランナーに、さらに新規パーツを追加出来る切り替えが用意されている事から、かくれハイザックの発売は引き続き期待出来そうですね。アイザック専用の新規ランナーであるDランナーにも、あと数パーツ追加出来る面積が残してあり、ひょっとしたらガンダムUCに登場する、袖付きバージョンも期待して良いのかも知れませんよ。


 おまけ

 旧1/144アイザックも、簡単に紹介しておきましょう。キットは1/144ハイザックに新規ランナーを追加した、バリエーションキットとなっています。



 頭部は、上下貼り合せのレドームに、左右貼り合わせの顔を前から貼り付ける構成。モノアイシールドは、顔を取り付ける前に、レドーム前面に貼り付けておきます。ここの組み立ては、事前に仮組みをしてモノアイシールドの位置をチェックしておくと良いでしょう。ボクはテキトーに接着したら、ちょっと上目遣いになってしまいました。レドーム周囲のアンテナは別パーツ化。ハメ込みになっておらず、接着面積も少ないので、ピンセット等を使って慎重に接着してやりましょう。首はハサミ込み式ではなく、ボディ完成後に上から取り付け。バックパック上に接着し、首は位置合わせ程度といった感じです。



 ボディは、前後貼り合わせの従来パーツを使用。股間に対地センサーが追加されていますが、ハメ込み穴等のためにボディの新規パーツを用意しなくても良いのは、接着式キットの良い所というか、自由度の高さですね。両腕に伸びた動力パイプは、ビニールチューブを使って再現。ボディ組立時にハサミ込んでやりますが、左右がつながっているので、腕を動かした時に突っ張るというか、反対の腕のパイプを引っ張ってしまう、動きが窮屈な仕組みになっています。左右のパイプを切り離してしまった方が良い気がしますが、試してないので何とも言えない所です。パイプをハサミ込む事で動かなくなってはいますが、HGUCには無い肩の前後スイングが採用されているのを改めて見ると、なんだか複雑な気分です。

 手足はハイザックそのまま。但し、手首はZ時期の穴あきゲンコツを使用せず、ZZ時期の規格に合わせた可動指タイプの物が付属します。



 肩アーマーはスパイクの無い新規デザインの物で、肩ブロックを前後からハサミ込んでいます。バックパックは、ハイザックの物をそのまま使用。従来から有る四角いモールドを、後方シーカーと通信アンテナの位置決めとして利用しています。レドームを支える支柱も、従来の後方センサーに被せる形で接着。後方シーカーは、これの代わりに増設されたんですね。データポッドの角度はHGUCよりも水平に近く、より設定に忠実な造形。プロペラントタンクは、やはり後ろにオフセットした配置になっています。

 武装は、1/144ハイザックと同じザクマシンガン改とシールドが付属。と言うより当時、これを余りパーツ扱いにするのは勿体無いという判断が有ったのかも。それでも相当のパーツが余ります。何しろハイザックのパーツが、除外されずに付いてきますからね。



旧1/144アイザック(左)と、HGUCアイザック(右)の比較。

 元となったハイザックが、ビニールチューブが突っ張って腕のポーズが付けにくいキットだっただけに、特にポーズを付けなくても構わない偵察タイプのバリエーションを設定したアイデアは、なかなか上手いと思います。それにネーミングも良いですよね。この機体が好評だったのか、あるいは電子戦の認知度が高まったためか、後番組の「機甲戦記ドラグナー」に、似たような外観と性能を備えたドラグナー3が、主役側の機体として登場したのと無縁では無いようにも思えます。

 1986年9月発売 初出税別価格700円

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