健さんの
プラモコラム

その308
 HGUC ジェガンの巻

 HG 1/144
 RGM−89 ジェガン/バンダイ
 「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に登場
2009年8月発売 初出税別価格1500円



 「先生!ホビーハイザックは逆シャアのMSに入りますか?」という質問も聞こえて来そうですが、これで両軍の主なMSは一通り出揃った事となる「逆シャア」シリーズであります。やっぱりコンプリートというのは気持ちのいい物ですね。思わず胸にトレーディングカードでも並べて貼り付けたい気持ちになってきますね。(ならないって。)

 ところで、ジェガンは「逆シャア」に登場したMSであると同時に、その後30年間も連邦主力MSとして運用されたという傑作機でもあります。まあ大きな戦争が無かったためかも知れませんが、戦争を起こさせないというのも大事な仕事な訳ですし、それを活躍と呼ぶのに何の問題も無いでしょう。それにしてもタイムリーな事に、ガンダム30周年の時期に発売とは。ガンダムの歴史と同じくらい、ジェガンは第一線で活躍したんですね。その月日の長さを想像させようとして、この時期を選んだのかな?

 てな事を思いつつ、キットに目を通していきましょう。



 頭部は、スライド金型を使ってヘルメットをほぼ一体成形。後頭部の下半分が別パーツ化されてはいますが、ガンダムタイプで定着しつつある分割方法が、ジェガンに採用されるとは予想してませんでした。内部のカメラやマスク部分はヘルメットの一部として成形、アゴを下から、クリアー成形のゴーグルと、バイザーを前からセットします。

 バイザーに隠れてるので知らなかったんですが、チョンマゲ前面もカメラになってるんですね。キットではゴーグルと一体成形で色分けしてあります。ひょっとしたら、バイザーが下がってゴーグル部分を保護すると、代わりに露出するのかも知れませんね。ゴーグル内部のカメラは、なんだかビームサーベルの様な造形。ビーム刃を取り付けて「目から怪光線!」とか叫びたくなります(笑)。



バイザーとゴーグルを一旦取り外し、HGUCガンダムのビーム刃をカメラアイに差し込んで、必殺技「目から怪光線」を再現。
(この技はあまりに強力なため使用すると5分で映画が終わってしまう恐れがあるため、サンライズの公式設定ではありません。)

 左側頭部には、ワンパーツ成形のバルカンポッドを取り付け。キットでは再現されていませんが、はカートリッジ式で、右側頭部の張り出しの前側から、差し込む様に装填するという設定です。



 ボディです。は、肩関節をハサミ込んでの前後貼り合せ。は、エリと組み合わせて上からセットする後ハメ方式。逆シャアシリーズ恒例の、根元で前後スイングするギミックは今回も採用されています。肩関節は、ポリキャップで上下前後にスイング可能。上へは、胸上面装甲ごと持ち上がる仕組みです。

 コクピットハッチは別パーツ化され、正面から取り付け。ダクトは設定でも色分けされていないのでモールドでの表現となっていますが、「高温注意」みたいな意味も有って普段から目立つ色にしてある気もしますね。(本物が安全なミストを噴射するとは思えません:笑)設定を気にしない人は、塗装色について一考してみるのも良いかも。



 ウエストは胸と一体で、単独パーツ化はされていません。ボールジョイントを使ってあるので回転に加え、引き出せば前後左右にも動きます。引出し時の見映えを良くするために簡単なを造形してあるんですが、これが内部で干渉するので、回転範囲に制限が有ります。この横幅がもっとコンパクトならば、360度の回転も可能になると思います。可動派の人は、手を加えてみるのも良いでしょう。

 は前後貼り合せ。股関節は、フンドシの下半分ごとスイング出来る様になっていますが、飾り台取り付け穴付近の外装の切り欠きを最小限にするため、後ハメではなくハサミ込み式にしてあります。フタパーツは有りません。フンドシ後部のラインは、スリムな印象にするためか、傾斜の取り方を若干アレンジしてある様です。



 フンドシ前部のエンブレムは、赤いパーツをグレーのパーツ内に貼り込む、2パーツ構成。サイドスカートは、ポリキャップ接続による二軸可動で、武器の収納スペースになっています。右スカートはサーベルラック。設定では下端のホルダーでサーベルを保持してあり、取り出し時にはホルダーが可動しますが、キットでは横幅のキツさでサーベルを保持しています。そのため、設定では半分ムキ出しになっているサーベルが、ほとんどスカートに埋没した配置になっています。ホルダーは固定式ですがサーベルだけ起こして取り出しシーンを再現する事が出来ます。



サーベルラックとグレネードラックの展開。サーベルは、このままビームを発生させれば隠し腕的な使い方で不意打ちも出来そうな気がしますね。

 左スカートはグレネードラック。3個一体成形のグレネードを取り付け、フタパーツを被せてあります。ハメ込み用の突起はグレネード1つずつに設けてあるので、切り離しても着脱は可能でしょう。フタパーツは下端が板状の突起でハメ込んであり、開閉可能。つまんで起こすのは難しいですが、下端を押さえてやれば、起き上がる様になっています。

 です。モモは、ヒザ関節をハサミ込んだフレームパーツを、前後分割の外装でハサミ込む構成。パネルラインに段差が有り、前面装甲だけ幅広になっているのがジェガンの特徴ですが、キットでは触って初めて気付く程度の微妙な段差としてあります。旧キットを見ると意外と目立つデザインなので、表現を控えめにしてみようという事になったのかも。



 股関節はボールジョイントですが、これとは別に、モモ上部が装甲内部でヒネれる様になっています。モモ上部パーツは、ポリキャップを仕込んでありますが筒抜けの無い設計。外装パーツにポリキャップの底面を押さえてもらって、保持しています。

 ヒザ関節は、ABSを使ったハサミ込み式の物。二重関節にはなっていません。スネへの取り付けは、後ハメ式となっています。



 スネは、左右を貼り合わせ、足首関節パーツを差し込んでから前面パーツを取り付ける構成。ヒザアーマーは前面パーツと一体ですが、もうちょっと(いわゆる)別体感が有っても良かったかも。フクラハギの面構成は、旧キットとの解釈の違いが面白いですね。HGUCでは丸みを帯びたフクラハギに四角いバーニアが張り付いた感じですが、旧キットは、四角いバーニアのコーナーに向かってエッジを強調した、角ばったフクラハギ。HGの方が扁平な部分が出ずに自然な印象ですが、設定画の読み方で差が出る、面白い例ですね。

 スネの外装は、クルブシ横の分割部分を、パーツ裏面で噛み合う構成にして保持してあります。後部のバーニアは、スネ完成後に後ハメします。



 足首関節は、上が二軸可動、下がボールジョイントの二重関節。足首は、甲・クツ・足裏を縦に重ねる構成。ポリキャップは甲の組立時に閉じ込めるのではなく、甲の上から組み込んで、メカ色のフタで固定します。ツマ先は実機では可動するのだと思いますが、足裏のモールドが全て単調なスジ彫りで、スベリ止め等とツマ先の分割の違いが表現されていないのが残念。もう少しデリケートな彫刻を使い分けてあると良かったと思います。

 肩アーマーは、肩のドラムをハサミ込んでの前後貼り合せ。本体は中心線で、スラスター内部だけは底面のラインに合わせて分割してあり、そのままでも悪くない印象です。改めて見ると、形状はZガンダムの物に近いシルエットになっていますね。の形やスネのスラスターの配置、足首形状もそうですし、バックパックはMk−Uの影響でしょうか。ジムに代わる新型量産機としか思っていませんでしたが、ちゃんとリガズィと上位・下位機種の関係になってたんですね。



 です。肩のドラムは、ポリキャップをハサミ込んでの前後貼り合せ。上腕は筒状にワンパーツ成形。内側に角柱形ポリキャップをセットして、上下から肩とヒジの関節を差し込みます。

 ヒジは、ABSを使ったハサミ込み式の一軸関節。90度以上の曲げが可能で、上腕と前腕どちらにも後ハメ可能となっています。ヒジ横の丸モールドが、関節のドラムより小さめに造形されているのは、旧キットよりもゴツくなった関節を、少しでも華奢に見せようという狙いが有るのかも知れませんね。



 前腕は、ポリキャップをハサミ込んでの前後貼り合せ。MGガンダムVer.2.0ほどでは有りませんが、若干その影響を受けたのか、カーブを強調した面構成を採用しています。そのため袖の角穴が台形になり、ここに注目すると、設定と少し違った印象を受けるかも知れません。甲の部分にはスリット状のハードポイントが有り、シールドをマウント可能。ハードポイントの半分を浅いモールドで済ませているのは、手首用ポリキャップの収納スペースと干渉するためだろうと思われます。

 手首は、左右のリアルなゲンコツと、武器持ち用の右手が付属します。平手とか張り手とか、アクシズを押すポーズに使えそうなオプション手首が充実していれば面白かったかな?とも思うんですが・・・。

 バックパックは、本体を前後2パーツの貼り合わせで構成。左右のバーニアは固定式ですが、中央の大きなバーニアはポリキャップで前後に可動します。アーム式の可動スラスターは、角ノズルと動力パイプを含む芯パーツと、コの字形の外装を器用に重ねた上手い設計。根元の可動部は、本体側にABSパーツを埋め込んで軸受けとし、横からピンで差し込んであります。



 バックパック上面には丸バーニアがモールドされていますが、これは成形の都合なのか斜めに配置してあります。設定ではもっと真上に向いていて、キットの様に後頭部を焦がしそうな配置にはなっていません。メインバーニアの真反対に向いていてこそ、制動目的らしいという説得力が出てきますから、ぜひこだわって再現して欲しかった所。例えば、アーム式スラスターの軸受けパーツにバーニア内部パーツを兼ねさせるとか、そんな方法も有ったんじゃないでしょうか。

 武装です。ビームライフルは、左右貼り合わせの本体に銃口を取り付ける、3パーツ構成。エネルギーカートリッジの着脱ギミックは有りません。説明書でも他の資料でも「短銃身を採用しており・・・」と紹介されていますが、旧キットよりも格段にボリュームアップしていて、迫力が増しています。グリップには手首に接続する突起が設けてあり、右手にのみ持たせる事が出来ます。



 ビームサーベルは、左腰に1本のみ装備。保持用の突起は無く、左右どちらの手にも持たせる事が出来ます。クリアーのビーム刃は、長短2種類が付属します。

 シールドは、本体パーツの真ん中を、表裏からグレーのパーツでハサミ込む構成。内蔵したミサイルは2基一体で成形、裏面の排気ダクトも再現してあります。腕へのマウントは、取付方向を選べるタイプのアダプターを使用。ピンの部分にもモールドを入れてあります。グリーンの部分に裏面パ−ツが無いのが残念ですね。上部は、ひょとしたらエネルギーパック用のポケットになってるのかな?とも思ったんですが、表裏とも、それっぽいディテールは省略してあります。



 組立時間は1時間10分でした。今後の展開ですが、バックパック・肩アーマー・シールドの一部が除外可能なランナー構成となっていて、F91に登場したジェガンAタイプ・Bタイプの変更箇所に対応している様に思えます。腕やスネ、胸部ダクト等、他にも違いが有りますが。別デザインのシールドを持ったノーマルタイプも存在しますが、これはBタイプとコンパチにしても良いかも。また、スネ前面が別パーツになっているので、MSVのスタークジェガンにも対応しやすいんじゃないでしょうか。



1/144ジェガン(右)との比較。ビームライフルの大きさが大きく異なります。HGUCで股関節メカの張り出しを無くしたのは、腰骨の横幅を抑えるためでしょうか。

 小型高性能MSの登場ばかりが注目されがちですが、装備違いによるバリエーションの多彩さもF91の時期の特徴です。ジェガンのバリエーションがセールス的に上手くいけば、きっとHGUCでのF91シリーズはオプション豊富で充実した展開に・・・なるかどうかは、(メーカーの熱意と)君たちの応援しだいだぞ!たぶん。


 おまけ



 この機会に、旧1/144ジェガンも紹介しておきましょう。頭部は、左右貼り合せた本体にバルカンポッドを取り付ける構成。首はボディではなく、頭部と一体で成形されています。ボディ側と一体だったら、もっと大きく左右にヒネれたかも。

 ボディは前後貼り合せ。ウエストは分割されておらず、ヒネリ可動は有りません。フンドシ前部のエンブレムは別パーツ化されていますが、V字マークが、少々急角度な印象。股関節のメカニックは、HGUCよりも横に大きく張り出させてハッキリと造形。腰骨の底面が筒抜けになっているので、ここを塞いでおくと、下から見上げた時の印象が良くなるでしょう。サイドスカートは、サーベルとグレネードを収納する最低限の前後幅しか無く、ほとんど武器ホルダーという印象。根元のヒンジを前後からハサミ込んであり、武器の取り出しは再現されていません。



 脚です。モモは左右貼り合せ。上面にスリットを入れてあるので、股関節を少し引き出してやると、とても大きく開脚する事が出来ます。スネは、後部バーニアを左右からハサミ込み。ヒザは一軸関節ですが、後ハメを利用してここでヒネリを加えてやると、ヒネれない股関節の代用として、ある程度表情を付けるのに役立つでしょう。

 足首は、左右とツマ先の3パーツ構成。ツマ先は可動式では有りませんが、別パーツ化してあると動きそうに見えて良いですね。丸ピン1本で前から接続してあるので、実は左右に少しヒネる事が出来ます。せっかく開脚可動に優れたキットなので、踏ん張るポーズでは、少しヒネってやってはどうでしょうか。足首関節の左右スイングはイマイチなんですが、こういう所で補うと言うか、雰囲気を楽しむのも悪くないかも。



 腕です。肩アーマーは、上腕を前後からハサミ込み。角形スラスターの噴射方向と底面の向きがチグハグなのが残念ですね。前面の丸バーニアも同様。こちらは噴射方向よりも、奥行きの薄さが目立って臨場感を損なっている気がします。上腕がヒネれないため、ヒジは横にしか曲がりませんが、前腕がヒネれるメリットを最大に活かしてポーズを付けてやると良いでしょう。シールドの向きは自由に出来ますし、窮屈なポーズになりがちな右手も、ヒネリ加減で印象が良くなる事があります。

 お手本になるのが説明書の表紙。股関節の可動の広さを見せ付ける様に大胆な開脚ポーズを選択し、同時にサイドスカートのハネ上げ可動もPR。首は浮いて見える事もためらわずに、引き出して大きくヒネっています。パーツリスト下のビームサーベルを構えたポーズも上手いですね。ヒザのヒネリを利用してポーズの固さを軽減。右足が前に出てるのは剣道をヒントにしてるのかな?なんてのは考え過ぎでしょうか。ただ踏ん張るより緊張感が出ますね。ゴーグルがV字なので、上手く立たせるだけで睨んだ様な表情に見え、静的な威圧感は出してくれるんですよね。だから可動範囲を必要とする攻撃中の派手なポーズよりも、攻撃前のポーズがオススメです。なあに、どうせ次の瞬間にはヤラ(略)



 手首は可動指タイプの物が付属し、スイングも可能。バックパックは、アーム式スラスターを可動させるとパイプにスキマが出来てしまうんですが、最大に立てた位置に合わせて動力パイプを造形してあるので、立ちポーズで飾る分には問題無いでしょう。HGUCに比べ、バックパック本体を斜めに角度を付けて配置してあるのが特徴的。バーニアの奥が筒抜けになっているので、ここを塞いでやると見映えが良くなると思います。

 武装は、ビームライフル、シールド、ビームサーベルが付属。全てワンパーツ成形となっています。

 1988年3月発売 初出税別価格500円

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 2009.8.17 健 竹史

  

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