健さんの
プラモコラム

その293
 MG ジム Ver.1.0の巻

 MG 1/100
 RGM−79 ジム/バンダイ
 「機動戦士ガンダム」に登場
1999年2月発売 初出税別価格2500円



 Ver.2.0が発売されたこの機会に、MGジムVer.1.0も取り上げておきたいと思います。キットは、ちょうど10年前に発売された物。MGガンダムVer.1.0のバリエーションキットですが、当時はMGが長期シリーズ化されるとは考えられておらず、ガンダムの金型がバリエーションに対応した物になっていなかったため、パーツ配列を変更する金型改修が行われました。この直後にはMGザクVer.1.0を元にした旧ザクも発売され、金型流用を想定していなかった初期2大アイテムから、連続して新キットが誕生し、その後のMGの流れが一気に出来上がった感じがしますね。元キットの完成状態は何ら変わりませんが、共通性を感じられるジムを示す事でガンダムの価値も高まるなら、これも一つのアップデートでしょうか



 頭部は、ゴーグルにクリアーパーツを使用。内部の顔はツインカメラともスリットとも受け取れる絶妙なデザインとし、後のジム系キットもこれに準じています。小顔でアゴが細く、うなじを保護する様にヘルメットの後頭部が垂れた造形は、ジムUのイメージを反映した物でしょうか。頭頂部カメラは表面にクリアーパーツを使うだけでなく、その奥にカメラ本体も作り込んであります。



 ボディは、ガンダムVer.1.0と同一のフレームを採用、コアファイターに代わるギミックとして、無変形のコアブロックを内蔵。これ、当時はキットの都合で編み出した新解釈だと思っていたんですが、近年復刻された「モビルスーツバリエーション3 連邦編」に、「かなり簡略化されたコアブロックシステムを搭載している」という記述が有りました。公式ではないのでしょうが、この解釈をキットに反映した物なのでしょうか。胸部ダクトにはメッシュを内蔵。コクピットの張り出しは、ハッチが2つに割れて(あるいは折れて?)開きそうなディテールが入っていたりして面白いですね。

「モビルスーツバリエーション」3冊、昨年から少しずつ読んでるんですが、掲載されてる設定画も多くてオススメです。特に連邦編は、ジオン独立戦争の期間が13ヶ月だったり、ホワイトベースのクルーがその後そのまま新造艦に乗っていたりと言った、後の作品や現在の公式設定と一致しない記述も極力そのまま収録されていて、当時の気持ちに帰ってガンダム世界を味わえる内容となっています。当時は作品世界の解説本だった訳ですが、今ではそれに加えて、作品そのものの歴史資料としても楽しめますよ。

  

モビルスーツバリエーション 1 ザク編
モビルスーツバリエーション 2 ジオン軍MS
モビルスーツバリエーション 3 連邦軍編



 は、フロントスカートをガンダムに準じた分割デザインにアレンジ。ジムUに似せてある、と言うより、腰フレームを流用する都合も有ったのでしょう。右サイドスカートは、フラットな物と、ビームスプレーガンのホルダーになった物の2種を用意。アニメ本編に無いプレイバリューであると同時に、機体ごとの違いを演出するのにも役立ちそうです。



 はガンダムに準じた構成で、各関節が後ハメ可能になっています。。スネは新規パーツですが形はガンダムの物に近く、ヒザアーマーが無いと言うより、なだらかに一体化させたデザインですね。フクラハギにはガンダムVer.1.0に準じて、開閉式のスラスターを内蔵しています。



 一方で、前腕の開閉式スラスターは廃止。腕全体としてはガンダムの物を流用していますが、右腕のスラスターハッチは固定式のフタパーツに変更、左腕には、ガンダムには無かったシールド用マウントラッチが追加されました。上腕はガンダムVer.1.0のスラスターをそのまま引き継いでいますが、スラスターの有無を選択出来る様に新規パーツを付けても良かったかな?なんて思ったりもします。手首は可動指タイプの他、表情固定式の平手と握り手が左右とも付属します。



 ランドセルは、サーベル1本装備の新規パーツの他に、ガンダムと同じ2本装備の物も付属。どちらを使う場合も内部フレームは共通です。単純に右側を塞いだ新規ランドセルを付けるだけでも良かったと思うんですが、あえて右側の穴を生かしてターミネーター(フタパーツ)を取り付け。オプションで、新デザインのバズーカラックを取り付けられる様になっています。説明書では2本サーベルを隊長機と解説してありますが、突起が増えれば隊長機というのはどこの軍でも同じ・・・いやいや、さりげなくガンダムを引き立てる気配りにも思えますね。



 武装です。ビームスプレーガンは本体左右と銃口の3パーツ構成。Ver.2.0の物に比べて小さめに造形されていますが、手首自体が小さいので妥当なサイズではないでしょうか。この他、ガンダムVer.1.0のビームサーベル、ハイパーバズーカ、シールド、ビームライフルが付属。本体パーツと武器パーツが、同じランナーの中に混在していたからこその充実ぶりなのでしょうが、ビームライフルは「ジャブローに散る」の中でも実際に使われています。爆発で吹き飛ぶジムや、シャアのズゴックに貫かれる、史上最も有名なジムも装備してました。シャアの攻撃を食らう一瞬の間にビームスプレーガンに持ち換える素早さを、回避行動に生かしていれば(以下略)。


MGジムVer.2.0(左)との比較。Ver.2.0のフロントスカートは、Ver.1.0のイメージに近いフンドシ露出タイプとしてあります。

 デザインもギミックも付属品も説明書の解説も、完全新設計でなかったら、こんなキットにはなってなかっただろうなぁ、と思わせる、実に面白いキットだと思います。しかもそのほとんどが、メーカーのサービス精神によってプラスに働いている様な。より元々のイメージに近いジムが手に入る様になった今、このキットがますます好きになってきました。このキットが遊び心で編み出した仕様違いのジム、300円UPくらいでHGUCでも発売されないかなぁ、と思うんですけど、どうでしょうか。


 おまけ

 つい先日、店頭で1/144ジムに遭遇。「運命だ・・・(笑)」と勝手に思って、簡単に紹介しておきたいと思います。



 頭部は前後貼り合せ。首は丸く造形されていて、ガンダムよりもスキが無い印象になっています。MG等の近年のキットは角ばった首になっていますが、ガンダムからのパーツ流用が進んだ結果なのかも知れませんね。MGにも丸首が似合うのかどうか、ちょっと試してみたい気もします。



 ボディは前後分割。細部のデザインは変わっても、体形はガンダムの物を継承しています。1/144ガンダムでは腕をハサミ込まず、後から肩関節ごと接着出来る仕組みでしたが、接着剤を付け過ぎると失敗するという難易度の問題から、ジムではハサミ込み式に変更。ついでにボディ内部にラチェットを仕込んで、保持力を高めてあります。脚や頭もハサミ込みのため、組立は最後に行います。



 脚は、1/144ガンダムと同等の構成。モモ・スネ・足首の順にハサミ込む、貼り合せ式となっています。足裏サイズはガンダムと統一してあり、モモの印象も同じに見えるんですが、スネの造形は、後部が丸みを帯びた印象に変更されています。フクラハギの表現もガンダムと異なり、単純にヒザアーマーを無くしただけの違いでない事に、改めて気付きました。設定では同じに見えるんですけどね。1/144ジムのフクラハギが単純な膨らみになっているのに対して、1/144ガンダムのフクラハギは二重装甲が貼り込んである様にも見え、ガンダムの方がより凝った印象になっています。どこまで違いを意識して設計されたのか分かりませんが、面白い表現の違いです。



 肩アーマーは、上腕を前後からハサミ込み。構造はガンダムと同じなんですが、厚みがガンダムの2倍くらいに増しています。上腕がアーマー内側の天井に干渉するので、その部分をエグって逃がしているのが面白いですね。腕との間にスキが無い様に見えるため、より頑丈な印象になっています。

 腕です。上腕は、肩アーマーの軸受けになる筒パーツをハサミ込んでの左右貼り合せ。当時は乾燥するまで絶対安静でしたが、今回初めてハケ塗りタイプの瞬間接着剤を使ってみたところ、作業時間が大幅に短縮出来ました。まあハケ塗りでなくても良かったんでしょうけど。と言うより、当時は瞬間接着剤自体が今ほど普及してなかったですね。今から組み立てる人は、通常の接着剤と使い分けると効率的でしょう。



 前腕は、なぜかガンダムより大型化しています。ヒジのモールドも単純化。他の部分がガンダムに合わせてあるので、余計に印象に残る相違点になっています。手首は、左右とも着脱可能な穴開きゲンコツと、ビームスプレーガンと一体の右手が付属します。

 ランドセルは、サーベルホルダーが片側になった以外はガンダムと同等のデザインですが、1/144ガンダムでは空洞になっていたバーニア部分に、ノズルの再現が加わりました。位置決めも無く、斜めになったノズルをまっすぐに接着するのは、意外と難しいですね。接着剤が乾くまでの間に、位置調整をしてやりましょう。



 武装です。ビームスプレーガンは2パーツ貼り合せ。右手首と一体で成形されていて、手に持たせる時はゲンコツごと交換する仕組みです。安定も良いし、トリガーに指がかかった造形になっており、ガンダムのビームライフルと比べて進歩しています。って言うか、1/144ファーストシリーズのうち、銃器を丸ピンで持たせているのは最初期のキットであるガンダムとザクだけですね。Gアーマー発売時に、ライフルと手首を一体化しなかったのが、不思議と言えば不思議です。両手に武器を持たせられるプレイバリューを優先した物でしょうか。



 ビームサーベルは、使用状態の物が1本と、収納状態の物が1本付属。収納状態の物はランドセルに接着しなくても安定が良く、着脱したいという要望に応えた物と思われます。1/144ガンダムでは接着推奨でしたが、こんな部分も進歩してるんですね。

 シールドは、本体とグリップの2パーツ構成。サイズや形状は1/144ガンダムに準じていますが、のぞき窓が開孔してあるのが嬉しかったですね。大した工具も持ってなかった当時は、ジムのシールドをガンダムに持たせたりしたものです。


1/144ガンダム(右)との比較。実はビームスプレーガンの方が、短いながら太くて迫力があったりします。


 てな感じで、久々に旧キットを楽しませてもらいました。今のところ、MGのVer.2.0シリーズでは極端なアレンジをかけず、設定や劇中イメージを大事にする方向でキット化する方向性の様なので、新作のついでに旧キットを買ってきて比べてみると、結構楽しいと思いますよ。・・・いや、ホントはガンプラEXPOで旧キットをたくさん見て、何かのスイッチが入ったのかも知れませんね。ボク、かなり単純ですから。

1981年5月発売 初出税別価格300円

 2009.3.26 健 竹史


  

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