健さんの
プラモコラム

その273
 HG アヘッドの巻

 HG 1/144
 GNX−704T アヘッド/バンダイ
 「機動戦士ガンダム00」に登場
2008年11月発売 初出税別価格1200円



 アロウズのモデルはティターンズだと思うんですが、オートマトンで虐殺を行う描写は秀逸でしたね。スタート早々「00セカンドシーズン」のカラーを強烈に印象付ける事が出来たと思います。ティターンズも毒ガスを使う非人道的な作戦を行いましたが、形のあるオートマトンに追われ、見つかり、撃たれるというのは、形の無いガスよりも視覚に訴えてきます。ついでに、シェルターや防護服で避けられない、敵味方の識別が(おそらく)可能、作戦を途中で中止出来る点等は、ガスより優れていると言えるかも。

 F91でも「バグ」という形で使われたアイデアですが、怖さはオートマトンの方が勝るでしょうか。適度にノロくて表情が有るのに話し合いが通じない、この辺がミソですね。手強い新型機というだけでなく、オートマトンを投下する虐殺のシンボルとしてのイメージ付けで、アヘッドは実に魅力あるMSになったと思います。ではそろそろ、キットに目を通していきましょう。



 頭部は、ポリ製の首パーツをハサミ込んでの前後貼り合わせ。頭部から首が生えていて、ボディ側の軸受けに差し込む、普段とは上下逆の構成です。ボディから取り外せば、アヘッドの首と他のMSの首(あるいは胴と胴)を連結出来るという、怪しげな合体も可能。新手のヘッドマスターですね(笑)。分割ラインはGNバルカンやカメラアイのスリットの形に合わせてあります。



HGUCガンダムとの合体例。安定が悪いので、首のポリキャップを囲ってないキットの方が、しっかり接続出来てオススメです。(って言うか、マネしないのが一番オススメですが。)

 マスクと後頭部のガードは別パーツ化。ジンクスに比べて、基本構造がガンダムに近くなっていると解説されていますが、マスクガードはV字アンテナの代わりなのかも知れませんね・・・って、それではまるでターンエーのヒゲじゃないですか!そうして見ると、アゴの張り出しもガンダムの記号なのでしょうから、もう少し根元をクッキリと造形してあっても良かったかも。額のセンサーにはクリアーパーツを使用、底面に貼り込むシールが用意されています。



 ボディです。は、エリと肩関節をハサミ込んでの前後貼り合わせ。コクピットハッチ(エリ前部の半円)も、エリパーツと一体成形されています。紋章の様にも見える胸のスリットの奥には、底面パーツとクリアパーツが重ねて貼り込んであり、実は露出を抑えたレンズだったんですね。市民感情を考慮して、ガンダムらしい特徴的な構造を装甲で隠してあるのだそうです。甲冑を着込んだ様なデザインだな、という第一印象を持ちましたが、それなりに当たっていた、という事でしょうか。SDファンの方には異論もあるでしょうが、つまりこの人こそ、ナイトガンダムなのです。(ええー!?)

 胸脇ユニットは前後貼り合わせ。ポリキャップで2軸可動する肩関節軸の後ろに、ボールジョイントで接続してあります。キットの構造はHGジンクスに似ていますが、ここを武器収納スペースに使ったりと、ティエレンを意識してデザインしてある気がします。設定画では、なで肩の印象が有りますが、これは胸脇ユニットが前後にのみ可動したティエレンに準じて、肩関節を水平のポジションで描いてあるため。キットでは上に持ち上げて怒り肩にしてやる事が可能で、人間体型に近いカッコ良さも演出出来ますよ。



 ウエストは、腰と一体で成形。円錐形のため、360度の回転が可能です。胸のポリキャップにピンで接続してあり、前後スイングも可能。可動部が甲冑状の胸アーマーで保護され、防御力も高そうなデザインです。

 は、フンドシフレームをハサミ込んでの前後貼り合わせ。下面の飾り台接続穴は、ポリキャップを使わず、フンドシフレームに直接穴を開けてあります。腰後部にはスラスターユニットを装備。こちらはフィンと外装の2パーツ構成となっています。



 サイドスカートは、スラスターか冷却装置か、それとも別の何かなのか分かりませんが、ユニット状のデザインになっています。キットでは箱状にワンパーツ成形。折れ曲がった下端は、底面内側を微妙に省略する事で、あまり目立たせずに一発抜き可能な形にアレンジしてあります。腰にはポリキャップで接続してあり、2軸可動します。

 です。股関節はHGティエレンと同様に、フンドシとモモを筒状の関節パーツで接続、可動の自由度を引き継いでいます。モモへの接続は、ティエレンでは横でしたが今回は縦に変更、関節パーツとモモ内側のエグレがピッタリの幅になり、より扱い易くなっている様に感じます。塗装する人は、必要に応じて軽くペーパーをかける等して、塗膜が擦れない様に調整しておくと良いかも知れません。



 モモは、ヒザ関節をハサミ込んでの左右貼り合わせ。前部にはクボミが有り、フタパーツがハメ込んであります。ミスターブシドー(新発売の模型ツールではありません:笑)専用機では、ここに増加パーツが付くのでしょうね。

 ヒザ関節は、左右貼り合わせ式の二重関節。モモへはハサミ込みとなりますが、スネへは後ハメが可能です。下側の関節はC字形のポリキャップ隠しが仕込んであり、ここもHGティエレンと同様の構造になっています。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにアクションベースは付属していません。

 ヒザは、曲げた状態から真っ直ぐ伸ばす時、ヒザアーマーとモモ外装の、どちらが上に来る様にしたらいいのか迷う所です。モモがヒザに隠れる様にした方が防御面でスキが有りませんし、ヒザがより真っ直ぐになるので、こちらがオススメかも。設定を見ると、真っ直ぐ伸ばした状態でもヒザにスキマが有るのが正解の様ですね。

 スネは、ヒザと足首をつなぐフレームパーツを、前後貼り合わせの外装でハサミ込む構成。設定にあるパネルラインを活かしての分割で、足首付近のラインの折れ曲がりも再現してあります。が、コの字形の足首後部アーマーの位置が高めに変更され、ラインとアーマーの位置関係が設定と異なっています。アーマー取付用のクボミを成形する都合によるアレンジですが、こだわりたい人は手を加えると良いでしょう。



 足首は、足の甲、クツ、足裏を縦に重ねる構成。関節は二重可動ではなく、スネフレーム先端のボールジョイントに接続してあります。そのままでも十分可動しますが、関節を少し引き出してやると足裏接地性がさらに向上しますよ。クルブシとアキレス腱はメカ色の設定なので、再現したい場合は塗装が必要です。

 肩アーマーはワンパーツ成形。肩ブロックにはボールジョイントで接続してありますが、球体ポリキャップを外せばHGティエレンと同径のピンになり、肩アーマーには互換性が有ります。今回はピンの根元でも可動する、二重関節のジョイントとなっているので、肩アーマーを浮かせたりヒネったりと、ティエレンでは出来なかった動きも可能となっています。



 です。肩ブロックは前後貼り合わせ。上面を大きく切り欠き、肩関節軸に筒状の関節カバーを被せてある構造は、HGティエレンと同様。四角い肩のラインが、円柱形の腕につながっていく様子は、設定画ではボカして描かれていますが、内側と外側で変化する位置を変え、腕と肩の境い目を曖昧にした造形は上手いと思います。

 上腕は筒状に成形。ヒジアーマーヒジ関節に固定されています。丸みと厚みのあるアーマーで、板状だったティエレンよりも格闘戦向きになった様に思いますが、配置はあくまでティエレンを踏襲しています。



 前腕は、ヒジの下で分割してあり、ヒネリ可動が可能となっています。これによってシールド取付面が自在に調節出来、ポージングの自由度が高くなっています。ティエレンに近い円筒形の腕に、ハードポイントが90度置きに4箇所配置されたデザイン。キットではそのうち1箇所に取付穴を設けて、他の3箇所はモールドで表現してあります。もっとも、設定画には描かれていないんですけれども。キット用の画稿が別に有り、回転式と穴を複数設ける方式の、どちらにも対応出来る様に出されたアイデアなのかも知れませんね。

 手首は、左右とも穴開きゲンコツが付属します。HGジンクスとデザインや大きさを合わせてあるので、平手が欲しい人は流用が可能です。デザインが同じという事は、GNクローの機能も引き継いでいるんでしょうね。バリエーション機に左右とも付属させなくてはならなくなる位に、アニメ本編で多用してもらえると嬉しいです。技の名前を叫ぶと、一層効果的と思われます(笑)。



 背部スラスターは、円錐2パーツを組み合わせたGNドライブの根元に、アームで接続してあります。本当は、ヴァーチェの背中に様な多関節の可動アームなのでしょうが、本来ならハサミ込み式であろう可動部を固定式にして一体成形。根元と先端に球体ポリキャップを使って、簡単組立で必要十分に動く仕組みにアレンジしてあります。

 スラスターユニットは、本体・天井・フィンの3パーツ構成。フィンは開いた状態で成形してあります。



設定画の、なで肩のイメージに調整したところ。

 武装です。GNサブマシンガンは、左右貼り合せの本体に、銃口・ストック後端・フォアグリップを取り付ける構成。ストック後端はC字形のハメ込みでスイング可動し、腕のハードポイントに接続、しっかり持たせる事が可能です。フォアグリップは左右両側に装備。ジンクスは左側だけだったのに、なぜ今回は両側なのか?その辺の事情はオーバフラッグと同じで、一人サウスポーの人が乗るから、全機がその仕様になるという、そういった事なのだろうと思います。(んん〜誰のことかなフフフ・・・)



 ストック後端は腕とのコネクターだけでなく、マウント用のジョイントにもなっています。使わない時は、モモのスリットにマウント可能です。



 フォアグリップは折り畳み可能。銃身に対して垂直位置までしか展開しませんが、ジンクスに比べて肩幅が広くなった分、両手持ちが苦手の様です。手首を大きくヒネれば出来なくはないんですが、若干窮屈な印象。説明書の見本写真には、腕のハードポイントに接続せず、ゲンコツだけで持たせている様に見える物も有りますね。ボクはフォアグリップとその周辺を若干削って、可動範囲を拡大してみました。



フォアグリップの可動範囲を拡大した工作例。ある程度工作に慣れた方のみ、自己責任の範囲で参考になさって下さい。

 GNサブマシンガンにオプションパーツを追加すると、GNビームライフルに変化します。この拡張性(プレイバリューでも有ります)は、ジンクスから引き継いだ物ですね。追加するのはロングバレルと、側面のGNコンデンサー。GNコンデンサーは箱形にワンパーツ成形してあります。ハメ込み部は板状の突起になっていますが、内部ではL字形に補強を付け足してあります。



フォアグリップの可動範囲を拡大した工作例。

 GNビームサーベルは、ビーム刃と一体成形された、使用状態の物が2本付属。ビーム部分はクリアーでは有りませんが、デザイン・形ともジンクスの物と同じなので、流用が可能です。



 GNシールドは、本体と表面中央の2パーツ構成。中にはポリキャップが仕込んであり、回転式のアダプターを介して腕のハードポイントに接続します。裏面にはモールドでグリップが再現して有り、実機は手に持っての使用も可能な様ですね。



上:オートマトン
中:GNサブマシンガンと追加パーツ
下:オートマトンコンテナ(左)とスラスターユニット(右)

 今回の目玉、オートマトンは、作動状態の物が2体付属。ワンパーツ成形で、ボディは下から肉抜きされています。下面の機銃は省略してありますが、脚側面のセンサー(?)や足裏の車輪まで細かく再現。ジンクスVに兵士フィギュアが付いていれば、(ターゲットとして)これと組み合わせる事が出来たのに・・・と、少々残念です。



左の自走砲は、オートマトンとのサイズ比較用に並べた物で、キットには付属しません。念のため。

 オートマトンコンテナは、本体と裏面の2パーツ構成。腰後部スラスターユニットと差し替えて装備させる事が可能です。



 組立時間は1時間でした。初めて設定画を見た時には「ずいぶんディテールが少なめだな」と思いましたが、考えてみるとパトレイバーでも、軍用であるブロッケンが一番凹凸の無いデザインでしたからね。内部構造を厳重に保護してあり(ついでに隠してあり?)従来型より1ランク上の機体という匂いがプンプンして、実にカッコイイですよ。赤くて四つ目で、新劇場版のエヴァ弐号機の登場が待てないという人にもオススメであります(笑)。



HGダブルオー(左)、HGジンクスV(右)との比較。20メートルを超える大型MSです。

 今後の展開ですが、腰後部スラスターユニットと、オートマトン、オートマトンコンテナ、背中、モモ前面のフタパーツが除外可能なランナー配置になっています。これに加えて多色成形ランナーをまるごと取り替えて、すでに登場したカスタム機2種が発売されるのだろうと思います。オートマトンだけは毎回付属させて、数を揃えやすくしてくれても良かったかも。

 それにしても、スピアを持ったジンクスVに、甲冑に身を固めたアヘッド。アロウズのMSは西洋騎士をモチーフにした様な統一感が有りますね。その中に一人、鎧武者みたいなMSを駆る和風の男が混ざって異彩を放っている訳ですが・・・。まさか!ミスターブシドーの姿から逆算して、引き立て役としてデザインされてるんじゃないでしょうね?!アロウズのMSは。


 おまけ


 もう一つ、新たに登場した勢力「カタロン」ですが、色んな国家群のMSを寄せ集めて運用していて、ザブングルみたいな感覚で楽しませてもらってます。アロウズとカタロンが、赤と青で分かりやすく色分けされてるのが、親切でもあり寂しくもあり。地下組織がMSを入手しているというのも、ファーストシーズン第一話ですでに登場させているので唐突さは無かったですね。

 これまで敵として登場していたMSをカタロンが使っているのは、アロウズが一方的に最新鋭機を使っていて優勢である、という事が分かりやすく伝わり、ドラマ作りとしても上手いです。専用MSを持っていたエゥーゴやカラバよりも(資金面も含めて)苦戦してそうに見えますし。

 もう一つ、モデラー視点から見て大切なのは、これまでの敵メカが、ガンダムの味方として登場するという事です。すでに各国家群に魅力的なライバルを配し、敵MSを魅力的に描く事に成功していると思える00ですが、「後半で味方扱いすれば、子供もより興味を持ってくれるんじゃないだろうか」という販促のアイデアの様に思えてなりません。とにかく量産機が魅力的な00シリーズですから、今からでもアンフやリアルドもプラキットで発売しちゃいましょうよ。お願いです!

 2008.11.14 健 竹史

  

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