健さんの
1/72 VF−25F 大好評のうちに先日終了したマクロスFですが、主役メカ・メサイアバルキリー、最終回直前になって、ようやく発売されましたね。もう放送中は誰に会っても「なんで深夜放送にしたんだろうね、面白いのに」「メサイアの発売遅くない?人気あるのに」とまあ、挨拶みたいにこの話題でしたね。この辺は難しい所で、放送前からどれだけ人気が出るか確実に分かれば、打ち切りや路線変更なんか無い訳でして。特にマクロスは、作品のカラーを毎回変える意欲的なシリーズですから未知数の部分は大きいと思いますし、実際過去には大胆設定に面食らい、人によっては慣れるのに若干時間を要する様な思い切った作品も(略) そんな訳で、ひょっとしたら商品仕様や価格帯だって、番組の反響を確かめてから決まったかも知れないし、一定レベル以上の本格キットでないと出しづらいから、この線以上のヒットでなきゃ難しい、なんてボーダーラインが有るかも知れないと思うのでありますよ。メカ人気と歌人気を読み違えると、これまた大変ですし。 てな事を思いながら、メサイアに目を通していきましょう。期待に違わぬ本気のキットに仕上がってますよ。 頭部本体は、首のABS軸受けをハサミ込んでの前後貼り合わせ。2パーツ構成のマスク、パーツ化された頭頂部のライン、チョンマゲ、頭部側面、クリアー成形のカメラ等は、全て表面に貼り付ける組立になっています。耳のレーザー機銃はボールジョイントで可動します。 首は、スライド金型で筒状にワンパーツ成形。L字の可動アームを中に通し、エリ前部と首を接続してあります。変形時には沈み込み、ポーズを付ける際には大きく引き出す事が可能です。エリパーツ自体も、ボディフレーム内をレールでスライド、変形時に頭部のポジションを移動させます。 ボディ です。胸は、エリを含む頭部ユニットをフレームで左右からハサミ込み。同時に、胸フレームから下に伸びているアームで、コクピットをハサミ込みます。変形時には、このアームの間でコクピットが180度回転するんですが、回転軸には金属シャフトを採用してあり、強度は十分です。 ウエストはコクピットになっています。機首の下半分には変形機構が仕込んであるため、アルト君の下半身はヒザから下を省略してコクピットと一体成形し、上半身のみ別パーツ化。キャノピーは前後2分割、後端にハメ込み突起が見えますが、完成後も着脱可能なのがスナップフィットの良い所ですね。少し引っ張り上げれば、開いた状態も再現出来ます。色分けは、黒いラインを別パーツ化するのではなく、芯になるパーツを黒で成形、上下から白い外装を被せることで再現しています。上面は、左右一体のクリアーパーツを仕込んでおいてから黒いパーツを被せます。 クリアーパーツは、ハメ込みピンが透けて見えない配置になってると良かったと思うんですが、カメラが仕込んである様に見えなくもない感じ。コレはコレで面白いかも知れません。 機首の先端は、外装を上下2分割。変形時にはABSのヒンジで下に折れ曲がります。内部は変形中しか見えませんが、断面部分もパーツ化してディテールを再現。折れ曲がり部分のすぐ後ろは、ランディングギアの格納庫になっています。カバーは引き出してから左右に開く構造。内部の空洞はスペースの都合で深さが足りませんが、ディテールはそれらしく再現。まあ裏から見ない限りは気にならない部分です。ランディングギアは差し替え式で、タイヤが自重でツブれた様子まで表現してあります。 機首の下面は、ランディングギア格納庫の後ろを支点にして、コクピットから剥がれる感じで下に可動。これ、変形時の干渉をかわす目的かと思ったら、腰ユニットをコクピットから引き離し、ウエストを前後左右にスイングさせる意味が有ったんですね。回転軸は抜け止めの付いた細い差込みピンで、可動範囲も左右各20度程度ですが、これだけでポージングの躍動感が全然違ってきますね。 腰は、コクピット下のユニットと、その後ろにアームで連結された頭部下のユニットが連結して完成。一度下に引っ張ってスキマを作り、前面に密着する様に180度回す感じですね。フンドシ前面の白いパネルは、ファイター形態では頭部の真下に位置していて、腰内部にメリ込む事で頭部収納スペースを拡大させています。バトロイド形態の位置に移動させると、内側からアームの突起に押され、表面にせり出してくる仕組みです。
腰と脚とのジョイントは左右一体で、腰前部ブロックの表面に張り付いた様な配置になっています。移動用の軸はブロック組立時にハサミ込んであり、バトロイド形態では回転し、前後ブロックの中間(何も無いスキマ)辺りに股関節が来る様な配置になります。VF−1(1作目のバルキリー)でもそうでしたが、フンドシの中に股関節を動かす仕組みは詰まっていない感じですね。多分、プラモのヒンジ部分程度のスペースに収まるくらい、モーターの小型化が進んでいるんだろうな、と勝手に思っています。全身の変形用の小さな可動部も、手足の関節と同程度の出力・強度が実現出来てるのでしょうし。それに、飛行機として必要な内部メカは、あまり小型化されてて欲しくないなぁ、と思うんですよね。何となく。 股関節はボールジョイントではなく、ABSの2軸関節となっています。モモに差し込んだ可動軸は、変形時や開脚時に必要に応じて引き出す事が可能です。 脚です。モモは、真ん中に二重関節を仕込んであり、引き出して折れ曲がる可動を再現。これはガウォーク形態で、インテイクを機体に密着させたまま脚を下に下げるための機構ですが、バトロイド形態でもこの関節を使ってポーズを付けると良いですよ。インテイクはなるべく上を向いていた方が、ウエストとの干渉が少なく、可動範囲が大きく稼げる様です。モモ上部の外装は、箱状に成形した本体をフレームに被せ、インテイクシャッターと前面パーツを取り付ける構成。モモ下部は左・右・前面という分割です。 モモの横には、サイドアーマーが接続してありますが、ここにはマシンガンが仕込んであります。ファイター形態のモモ後部に密着した状態から、二重関節のジョイントで展開、バトロイド形態ではボール可動します。裏面まで作りこんであると嬉しかったですが、ファイター形態では肩関節に被さるため、難しかっただろうと思います。 ヒザは、ハサミ込み式のABSニ重関節。下側にはもう1関節仕込んであり、下側だけで実質二重関節になっています。ここを曲げ伸ばしする事で、モモとスネが密着したファイター形態から、ヒザを曲げられるバトロイド形態のポジションに切り替わります。 ヒザアーマーは、本体と裏面の2パーツ構成。正面から後ハメが可能です。ガウォーク形態では根元がスネに埋没する様に動くんですが、普段はスネとの間にほとんどスキマが無く、自然な外観となっています。
スネです。内部フレームは、ヒザとクルブシをハサミ込んでの左右貼り合わせ。外装は前後左右に分割されていますが、複雑に変化した分割ラインがピッタリ合うのは見事ですね。スネ外側の外装はエルガイムの様に開き、水平尾翼を後方に畳んで再び閉じる変形機構。クルブシの引き出しギミックをロックするツマミも、開く外装の内側に隠してあります。スネ内側は、フレームが露出したデザイン。外装の形には変化を持たせ、ファイター形態で腕と密着する部分は平面的なフレームを露出させてある、上手いデザインだと思います。 後部ランディングギアは、前部同様の差し替え式。格納庫カバーはスネ中央に有り、開いた状態にする時は別パーツと交換します。 足首関節は、ABSによる2軸可動。クルブシユニットはスネ内部から引き出し可能で、これ自体も前後スイングします。引き出し時に足首が抜けるトラブルを避けたかったのか、ヒネリ可動が無いのが残念です。前後スイングは充実しているのでガウォーク形態での位置調節も自在。前後のジャバラは、それぞれワンパーツ成形されたものを取り付けますが、スキマがクッキリ造形してあり、良い感じです。 足首アーマーは、C字形にワンパーツ成形。押し広げてからツマ先とカカトの穴にハメ込みますが、貫通した穴からピンの先端が見えるので、足内側と同じ色で塗装しておくと良いでしょう。 足首は、ツマ先とカカトが前後に開閉。裏面パーツを貼り込んで内部まで再現してありますが、土踏まずの奥には関節パーツが露出し、ここに配置してあると思われるノズルの再現は有りません。ファイター形態では、ほとんど見えないと思いますが。 肩アーマーは、肩ブロックを前後からハサミ込み。前面の六角形は別パーツ化されていて、これはオズマ機やミハエル機での色分けに対応した物の様です。すでにオズマ機の発売は決まっていますね。 腕です。肩ブロックは、C字形のハメ込み関節で肩関節軸と接続。側面パーツは別パーツ化されています。肩関節はボールジョイントでボディ側と接続。可動範囲を広げたい時には引き出す様に指示されていますが、普段から引き出しておくと、細身の印象が薄れてカッコ良く見える様です。 上腕は、外装を途中で分割した筒状パーツ2個で構成、フレームに被せてあります。ヒジはハサミ込み式の二重関節。前腕は2パーツ貼り合わせたフレームの先端に、手首の軸受けを取り付け、前後分割の外装で覆います。側面のハードポイントは、フレームの穴が露出した物。反対側のマイナスモールドも同様です。ヒジ内側の台形モールドは、中央にミゾが追加してあり、ファイター形態時には背中内側の突起と噛み合って位置をロックする様になっています。袖部分は別パーツ化、軸受けの周囲にも細かなモールドを入れてあります。 手首は、左右とも武器持ち手と開いた手が付属。開いた手は、武器の添え手に使える様、指を適度に曲げてあります。この他に、ファイター形態用に、左右一体成形された若干細い平手が用意されています。 背中は、肩ヒモの様なアームで胸パーツとつながっています。薄いユニットですが、裏面パーツが可動や連結といったフレームの役割を果たし、後から外装を被せる構成は、ここでも採用されています。後端の厚み部分を別パーツ化してモールドを入れるなど、手を抜いてませんね。 主翼は、収納部で上下からハサミ込む可変翼。翼の上面にはカーブが付けてあり、ちゃんと揚力が発生しそうな造形です。バトロイド形態では収納部ごと後ろに折り畳みますが、このヒンジ部分には金属シャフトを使用してあります。 尾翼にも金属シャフトが使われて、折り畳み式となっていますが、8−12工程でのC5パーツ(ヒンジの後端)は、説明書の手順とは異なりますが、シャフトを通した後で最後に取り付ける方が楽な様に感じました。C5パーツを先にシャフトに被せる指示なのは、シャフトを直接押し込む時にケガをしない様にという配慮でしょうか。どうせプラパーツ自体があちこち尖ってますからね。シャフトは指ではなく、工具で押し込めば楽ですよ。どちらの方法にしても、力まかせに押し込まず、慎重に安全に組み立てましょう。
武装です。ガンポッドは、5本のバレルを2本、2本、1本の3パーツに分けて成形、銃口は別パーツ化されています。機関部本体の前から差し込んであり、手で回せば回転可能。機関部本体は、左右貼り合せの後部ユニットで前部をハサミ込み、スライド伸縮する仕組み。最後に各部カバーを取り付けます。手で構えて使用する時にはスライドさせ、中央のスキマから機関部が露出にします。下部カバーは引き出し式のヒンジで開閉。グリップは前後スイング可能です。 ガンポッドをファイターに装備する時には、グリップの外形にフィットするジョイントパーツを取付け、腕の間に差し込みます。手首基部のミゾを位置決めに利用し、外観を損ねずに解決してあるのがナイスですね。銃の先端側にもリング状のホルダー兼補助スタンドを被せ、腰パーツに接続する指示になっていますが、必ずしも必要無い様です。長期間展示する時に取付け、撮影したい時には外す、という使い方も良いでしょう。先端側ホルダーのベ−ス部分を取り外せば、別売のアクションベースに差し込む事も可能です。
コンバットナイフはワンパーツ成形。持たせる時は、ガンポッドの場合と同じゲンコツを使います。ナイフ・ガンポッドとも、最近のガンプラの様にゲンコツとグリップを突起で接続する保持機構は設けてありません。 シールドは、ナイフ収納部のフタと裏面パーツを仕込んでの2パーツ貼り合わせ。ファイター形態では手を裏側に突っ込んだ状態で背面パーツ後端に固定されますが、噛み合わせはプラの厚み部分につけた凹凸だけで解決してあり、外観を損ねていません。ナイフ収納部はポケットの様になっていて安定して収納、ファイター形態でも手首と干渉しない配置になっています。腕にマウントする時は、裏面にアダプターを取り付けます。
では、変形プロセスを見ていきましょう。ファイター形態の脚を、関節を引き出す感じでインテイクの後ろで折り曲げ、下に垂らします。ヒザも引き出す感じで前方に折り曲げ、ツマ先とカカトを開きます。スネ側面のカバーを開き、内部のロックを解除、クルブシを引き出します。水平尾翼を後ろに折り畳み、カバーを閉じれば、ガウォークファイター形態が完成です。 続いてガウォーク形態。ガンポッドを取り外してから変形に取り掛かります。まず機体両端に噛み合っているサイドアーマーを移動して脚を自由にし、コクピット下の腰ブロックごと脚部を下に引き降ろします。 これによって腕を横に移動させるスペースが出来上がります。肩基部と噛み合っている主翼ユニットを上にハネ上げ、シールドを取り外します。 背中裏面と腕のロックを外し・・・ ファイター用の手首を取り外したら、肩基部ごと腕を前方に180度回します。腰ブロックと主翼を定位置に戻せば、ガウォーク形態の完成です。バトロイド形態用の手首とシールド取り付け、展開したガンポッドを持たせます。 続いてバトロイド形態です。主翼・尾翼を折り畳んで、主翼ユニットごと上にハネ上げます。コクピット下から腰ブロックを引き離したら、一直線になっていた腰前部と後部を折り曲げます。ヒンジ部を曲げ始める前に、少し引っ張ってロックを外してから曲げましょう。 機体からコクピットを分離し、2本のアームの間で回転させていきます。前部脚収納庫のカバーを開き、折り曲げた機首を密着させます。 一直線になっていた胸と背中を折り曲げ、エリごと頭部を引き出します。下から指で押してやると良いでしょう。頭部は後ろ向きに収納されているので、180度回転して前に向けてやります。 回転したコクピットは胸の内側に収納されます。胸前面カバーをスレスレでかすめて収まるプロセスは、何度やってもパズルの様です。腰の変形を先に完了させてしまうと、コクピットを支える2本のアームが干渉するので、必ず胸の変形を先に完了するようにします。 股関節位置を移動させながら、腰前後のブロックを曲げ続け、一体化させます。引っ込んでいた腰前面のパネルは、内側のヒンジに押されて表面までせり出して来ます。背中がコクピットに密着すれば、バトロイド形態の完成です。 ファイター形態に戻す時は、逆の手順を行う訳ですが、各パーツをキッチリ合わせなくてはならない分、バトロイド形態に変形させる場合よりも若干難しいと思います。何度か変形を繰り返せば、だんだん慣れてきて、よりカッチリ決まる様になるでしょう。 ・・・と言いつつ、スキマを完全に無くすのは、ボクにとっては今でも難しいです。精密感を損なわないためか、ユニット同士の位置決めを極力使わず、主にパネル形状だけでポジションが決まる構成ですが、もう少し連結やロックを仕込んであっても良かったかな?と思います。
飾り台は付属していませんが、各形態とも専用のジョイントパーツが付属していて、別売のアクションベースを使ったディスプレイが可能です。ファイター形態ではガンポッド用ホルダーがそのままジョイントになり、バトロイド形態では、腰の下をまるごとハメ込む頑丈な物が用意されています。 ガウォーク形態用のジョイントは、ガンポッド用ホルダーの上部にツメパーツを追加し、股関節基部に引っ掛ける仕組みになっていますが、引っ掛かりが2ミリ程度しかなく、扱いにくい物になっています。しかもガンポッド用ホルダーもジョイントもABSで滑りが良いため、この2パーツ同士も分解しやすく感じます。せっかくですから「宙に浮いてる」のではなく「飛んでる」様に飾りたいですよね。キラリ光って急降下したり、ゴーッと噴かして急上昇してるような、角度を付けたディスプレイでもガッチリ外れにくいジョイントパーツをお願いしたいです。
組立時間は4時間20分でした。普段よりゲート跡を丁寧に切り取って、ちょっと多めに時間をかけてます。ヒジアーマーのフチに装甲材の重なりの表現が有ったり、パーツ裏までモールドが入っていたり、本当に細かい所まで丁寧に作ってありますよ。ボトムズもそうですが、他社の傑作と競合すると良い物を見せてもらえる、そんな気がしますね。しかも、例えば水転写デカールと手軽なシールを両方付属させて、好きな方を使えるなんていう手軽さへの配慮も行き届いていて、出来が良くても敷居が高くないのです。 このキットに触れてみて、バンダイさんには、点数は少なくてもいいから、スケールモデルを出して欲しいと思いました。ぜひスナップキットで。って言うか、それをきっかけに、他社の戦車や飛行機も、主なパーツだけでも、補助的にでも、スナップフィットを採用してくれないかな、なんて思うんですよね。普段飛行機なんて作らないけどファイター形態が気に入った、これが初めて作った飛行機モデルです、なんて人、少なくないんじゃないかと思いますよ。このお客を呼び込むのに足りないのは、手軽な入門用スケールキットだと思うんですが、どうでしょうか。 おまけ |