健さんの
プラモコラム

その263
 1/144 ガンダムの巻

 1/144
 RX−78−2 ガンダム/バンダイ
 「機動戦士ガンダム」に登場
1980年7月発売 初出税別価格300円



 キットの発売から紹介までの時間がなかなか短縮出来ないでいる当サイトですが、とうとう28年もお待たせする事態になってしまいました。読者の皆様には大変申し訳なく・・・って言うか、昔のキットはいいから新製品の紹介はまだなの?って感じですね。でもMGガンダムVer.2.0を組んでみて、昔のキットが懐かしくなった人、少なくないんじゃないでしょうか?という訳で、衝動的に組んでみたガンプラ第一号、1/144ガンダムであります。何個も作りましたが、色を塗らずに組んだのは初めてですね。



 頭部は前後貼り合せ。アンテナは数年前に改修され、安全突起が追加されました。裏面全体にも薄く出っ張りが追加されていますが、これは補強目的の物でしょうか。オデコセンサーの裏面の肉抜きも、発売当時には無かった様に思います。ヒケ防止として、後から追加されたのかも知れません。

 ボディは前後分割。胸が前に向かってすぼまっているのは、正面に配置されたダクト等のデザインを横長にする事なく肩幅のボリュームを出すためでしょうか?近年のガンダムは胸幅よりも腰幅の方が広くなっていますが、このキットでは胸幅の方が腰幅より広くなっています。腕を真っ直ぐ下ろせる様にという配慮かも知れません。Gファイターと合体する設定も有りますからね。



 脚です。モモは左右貼り合せ。横一文字の股関節軸を通してボディにハサミ込みます。ポージングの自由度は現在のボールジョイントの方が優れていますが、フンドシ中心の軸で上半身を左右スイング出来る機構は画期的だったと思いますね。グフなんかだと「正確な射撃だな。それゆえコンピューターにも予想しやすい。」なんて場面を再現して遊んだりとか。

 ヒザは、左右分割のスネでハサミ込み。足首は足首アーマーと一体で、左右貼り合せの構成。足裏は、接着ラインの内側と外側でパーツの幅が違っています。最近は足首が左右共通になっている場合がほとんどですが、開脚ギミック無しという条件が与えた影響も少なくなかったのかも知れませんね。



 腕です。上腕は左右貼り合せ。肩アーマーの軸受になる筒パーツをハサミ込んでやります。筒パーツには廻り止めも何も無く、接着剤だけで保持する仕組み。乾燥するまで動かさずに待ちましょう。ヒネリ可動は有りません。

 肩アーマーは前後貼り合せ。肩関節軸は肩アーマーに付いていて、ボディと腕はつながっていません。このキットと1/144ザクは、肩の後ハメならぬ後接着が可能。肩関節軸にリングをハメてストッパーで固定、ペーパーがけと塗装を済ませた後で、ボディにリング(軸受)を接着します。接着剤を付けすぎて肩が動かなくなった人も少なくないと聞きますが、ハケの付いたビン入り接着剤なら特に苦戦する事も無いでしょう。数百万個も生産を重ねた型ですから、事前に摺り合わせしておくと良いでしょう。



 ヒジは、前腕で左右からハサミ込み。前腕は単純な長方形ではなく、ヒジから手首に向かって太くなっています。腕に対して大きなゲンコツを自然に配置するためのトリックでしょうか。設定でも、ゲンコツは意外と大きめに描かれていますからね。下方からパースを付けた様にも見えて、面白い処理だと思います。

 手首は、左右とも穴あきゲンコツが付属します。シールドを持たせると穴にテンションがかかるので、最初に組み立てておくと少しでも乾燥時間の節約になりますね。説明書でも最初の工程で組み立てる手順になっていますが、これは偶然でしょうか?「良い説明書は乾燥時間まで考えて順番を決めてあるようだ」と、ボクの模型趣味に影響を与えた親戚のおじさんが言っていたのを思い出します。



 バックパックはワンパーツ成形。バーニアの部分は空洞になっていて再現されていません。今ならアフターパーツが各社から発売されているので、好みの物を取り付けてやっても良いでしょうね。

 武装です。ビームライフルはワンパーツ成形。グリップは穴あきゲンコツに対応するため、丸棒に変更されています。



 ビームサーベルは、発売当時は2本付属していましたが、後にランナーの枠外に追加され、4本になりました。背負わせるにはビーム部分を短く切り、ランドセルに接着する必要が有ります。2本とも背負わせると持たせる分が無くなるので、追加されたんですね。ボクは1/100同様にビームがランドセル下に突き抜ける様にバーニア付近を切り欠いたり、短く切ったサーベルを接着せずに保持出来るようランドセル内部に押さえパーツを仕込んだり、何通りか作った記憶が有ります。



左から、1/144プロトタイプガンダム、1/144ガンダム、FGガンダム。肩幅の違いに注目。意外な感じがしますが、当時のキットの方がFGより足が長いんですね。

 シールドは、本体とグリップの2パーツ構成。ゲンコツの前後をコの字のグリップでハサミ込み、ピンのキツさで保持するため、ゲンコツの接着剤が完全に乾いてから持たせましょう。のぞき窓と左右の丸穴は開口されていません。MGガンダムVer.2.0ののぞき窓がシャッター開閉式になっているのは、単に防御力アップのためではなく、このキットの造形を肯定する意図が有っての事でしょうか?



左から、1/144プロトタイプガンダム、1/144ガンダム、FGガンダム。

 シールド裏面には、後にエルガイムの辺りで再注目される刻印が施されています。おそらく機体の由来や製作者の名前が彫って有るんでしょうね。なになに・・・創通エージェンシー、日本サンライズ・・・・えー、当たらずとも遠からずといった所ですね。(大違いだよ!)造形的には、近年のシールドよりも上下が急角度ですぼまっているのが特徴です。

 久々に組んでみましたが、思いのほか楽しい時間を過ごせました。新旧キットを比較した場合「今の目で見ると厳しい」なんて言い方をされる事が良くありますが、今の目で見るから面白い部分というのも有りますね。ぜひ今後も生産を続けて、末永く手に入るキットであり続けて欲しいと思います。


 おまけ


 1/144ガンダムをいじっていたら、衝動的に1/144プロトタイプガンダムも組みたくなってしまいました(笑)。この機会に簡単に紹介していきましょう。



 頭部は、1/144ガンダムに近い印象ですが、よりシャープな造形。頭頂部カメラの奥行きが浅くなっているのは、塗りやすさを考慮しての事でしょうか?

 ボディは、頭・腕・脚をハサミ込んでの前後貼り合わせ。肩幅が狭くなり、近年のガンダムのイメージに近づいています。肩関節は、首の真下に仕込んだヒンジで前後スイング可能。これはMSV全般に採用されたギミックですが、ジオン系MSVの様に腕が後ハメ(着脱)出来ない仕様になっているのは、モノコックとセミコノコックの構造の違いからくる両軍MSの整備性の差を再現した物であると思われます(大ウソ)。ランドセルにはバーニアが追加され、周囲のスキマ部分には内部メカの表現も加わっています。



 股関節は、1/144ドダイYSに付属したグフ用関節パーツと同様の仕組みで開脚可能。ヒザアーマーは正面が平らになり、より設定のイメージに近づいたと思います。足首は、ずいぶん細い印象に変更。ひょっとしたら足首自体へのこだわりよりも、フクラハギを強調する意図が主だったのかも知れませんね。



 スネ後部は、外装の一部を別パーツ化してあり、取り外して内部メカを楽しめる様になっています。後にMGガンダムにも影響を与えたのかも知れませんね。入り組んだ分割ラインはパネルの構成を想像させ、ピン無しで外装を保持する役目も果たしています。着脱を楽しむのも良いですが、MGガンダムの様に開いた状態で接着してしまう、あるいは差し替え固定の方法を考えてみるのも面白いかも知れません。

 足首は、足首アーマーが別パーツになりました。スリットを成形する都合でしょうが、関節付近の接着ラインを消す上でも嬉しい分割です。ヒジ・ヒザ・足首の丸モールドは、1/144ガンダムには有ったフチのミゾが無くなり単調な形に変更。ディテールは増える一方という訳でもなかったんですね。



 肩アーマーは、設定やパッケージイラストではノーマルのガンダムと大差ない様に見えますが、前後面の形状が変更されています。上腕はヒジの上で分割、ヒネリ可動が出来る様になりました。

 手首は、左右の穴開きゲンコツ、左右の平手、ライフル用の右手が付属します。この時期はオプション手首が充実した良い時代でしたね(遠い目)。ライフル用の右手は穴が大きく、持たせたライフルがグラつきます。って言うか、すぐ落とします。内側を埋めて安定を良くしてやるのも良いでしょう。もっとも、余裕がある方が他キットの武器にも対応出来だろうとか、何らかの配慮が有ったのかも知れませんね。



 手首関節には軸受けパーツを内蔵。ポリ製ではありませんが、2パーツ貼り合わせの前腕に手首保持・着脱時のテンションがかからず、接着部分が割れにくくなっています。



 武装は、ビームライフル、シールド、ビームサーベル2本、収納状態のビームサーベル2本が付属します。収納状態のサーベルのビーム部分は、「背負わせる場合は短く切る」と1/144ガンダムで指示された長さに最初から合わせてあります。良く考えてみると、1/144ガンダムにサーベルパーツを2本追加した時も、ビームは短くても良かったんですよね。敢えて同じパーツにしたのは紛失対策や予備を欲しがるファンへの配慮だったんでしょうか?シールドは、のぞき窓と丸穴が開口されました。サイズは1/144ガンダムと同等となっています。

 近年ではバージョンの更新という形で、同じ機体が繰り返しキット化される事も増えて来ましたが、(全くそのままではないにせよ)アニメ用の準備稿がこの様な形でキット化され、近い形のモデルとして(人によっては改造素材として)より進んだ内容で発売されるというのも面白いですね。ガンプラのアップデートの歴史は、意外と古いのです。

 1983年6月発売 初出税別価格400円

 2008.8.13 健 竹史


  

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