健さんの
プラモコラム

その259
 HG イナクトの巻

 HG 1/144
 AEU−09Y812/A
 サーシェス専用AEUイナクトカスタム(アグリッサ型)
 「機動戦士ガンダム00」に登場
2008年6月発売 初出税別価格1000円



 フラッグのバリエーションが充実していく中で、いつまで待っても発売されず、フラッグに似すぎてスルーされちゃったのかな?と、ちょっぴり不安だったイナクトが、満を持しての登場です。待ったついでに連続させたのか、これまた赤いエース機であるサザビーと同時期の発売となりました。青いカラーでも出撃してるのに、赤いカラーをチョイス。アストレアタイプFも赤いですし、武者も赤っぽい感じ。今、机の上は赤いのがズラリと並んで、どこかの球団でも応援してるんじゃないかと思う程です。

 ま、体格は同スケールのサザビー「親子で観戦ですか?」と言うくらい違ってるんですけどね。えー、無駄話はこれくらいにして、本題に参りましょう。



 頭部は、左右分割の後頭部に首をハサミ込み、センサーを裏からハメ込んだ顔パーツを取り付ける構成。センサー面にはスモーククリアーのパーツを使用、その奥に貼り込む銀色のシールが付属します。目の様に見えるセンサーとオデコのスキマに小さなメインカメラが有る構造は、開発の参考にされたフラッグと共通です。

 特徴的な頭飾りは、先端が電力受信アンテナになっているという設定。ここで太陽光発電システムからのエネルギー供給を受けるんですね。前面が派手なのに対して後頭部はアッサリしたデザインになっていて、シンプルなヘルメットのオデコにシンボルマークを付けた、レインボーマンなんかを連想させますね。センサーの形から言えば、むしろ忍者キャプターかな?



 は、ABSの二重関節。上は後頭部にハサミ込む軸関節、下はボディへ後ハメ可能なボールジョイントとなっています。首の後部にはC字形のリングが有りますが、変形に支障が無い様、可動式になっています。

 ボディは、胸の芯になるパーツに、肩関節軸受け・胸板・背中・ウエスト(コクピット)を取り付ける構成。胸板下面の黒い部分は、芯パーツが表面に露出する事で色分けしてあります。エリ内側は芯パーツの上面です。頭とのスキマはフラッグより大きくなっていますが、細かなモールドが入れてあります。ツルンとした装甲面と、ポイントに集中して入れられたディテールのメリハリが良いですね。



 ウエストはフラッグ同様、回転式のコクピットになっています。中央パーツをハサミ込んだ左右のパーツが、胸の下に接続されています。ハメ込みの突起はエリ内側表面まで突き抜けているので、短く切ったりしないように注意しましょう。

 です。フンドシは、ウエストにつながる可動パーツをハサミ込んでの左右貼り合わせ。可動パーツは、上半身を後ろに倒れ込ませる様に可動します。股関節は、エンジンユニットの可動軸から釣り下がる、フラッグと同じ方式の物。フンドシ側面には丸い張り出しが有り、これはフラッグではコクピットドラムに装備されていた20mm機銃との事です。



 フンドシの装甲は、前面と上面で分割。下面も有りますが、ここは飾り台取り付け穴を隠すフタパーツになっています。設定を見ると、前面と上面の境い目には細いラインが描かれています。未確認ですが、フラッグをパク・・・参考にしたのなら上下分離機能も引き継いでいると思うので、この境い目に、顔のメインカメラと同じ、分離飛行用のカメラが仕込んであるんじゃないでしょうか。(そもそも飛行形態では顔が正面を向いてませんし。)そう言えば上面のアーマーはツノに似てますが、分離状態でBメカ(仮称)が電力を受信するためのアンテナなのかも知れませんね。

 腰部エンジンユニットは、箱形にワンパーツ成形。フンドシの横軸につながる上下可動の軸受けパーツは、エンジンユニット前面と一体で成形され、色分けも兼ねています。ウイングはユニットの横から差し込む固定タイプ。下面にはパイロンが付いています。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにアクションベースは付属していません。

 の後部には、上下可動するフィンが付いています。HGフラッグの場合は左右のエンジンがツナギパーツでつながっていて、一体で上下可動していましたが、HGイナクトの場合は左右のエンジンが独立可動。ツナギに相当する部分は、整流効果だけを狙ったフィンに置き換わったのかな?キットではそうなっています。

 ホビージャパン2008年8月号には、エンジンを外した背面設定画も載っていて、エンジンとフィンを別個に取り付けられる様に見えますが、フィンの付いてる中央部分も腰の横軸で可動するとすれば、実は左右のエンジンと固定されていて一緒に可動する案も成り立つ気がします。ここは詳しく知りたいので、ぜひ1/100の発売をお願いしたいですね。



 です。モモは、ABSのヒザ関節パーツをハサミ込んでの前後貼り合わせ。上部はインテイクになっていますが、分割ラインはクボミの端に合わせて通してあり、目立ちにくくなっています。

 ヒザは一軸可動で、左右分割のスネでハサミ込み。その後で、スネ前面・ヒザアーマー・フクラハギ後部・ヒザ横の丸モールドを取り付けていきます。フクラハギ後部は、ヒザ横の縦壁に挟まれた部分を、ノズルの所まで別パーツ化。設定ではスネ本体と一体化したデザインですが、キットでな分割ラインを強調して、エンジン部を別ユニット化した様なデザインとなっています。



 足首は、芯になる黒いパーツに、各パーツを取り付ける構成。クルブシの丸パーツは、左右を土踏まずでつないで一体成形、芯パーツの下からハメ込みます。ツマ先は前からハメ込み。突起の裏は肉抜きされているので、気になる人はパテ等で埋めてやると良いでしょう。足裏は別パーツ化されています。カカトは左右一体で成形、下からハメ込み、スイング可能です。前面の肉抜きが目立つものの、カカト裏の足裏パターンをスライド金型で再現してあります。

 足首関節は、スネ下端に一体成形されたボールジョイント一箇所で可動。少し引き出してやれば開脚時の接地性がアップしますよ。



 肩アーマーは、本体と突起の2パーツ構成。突起は肩関節軸受への接続パーツも兼ねています。半円形の取り付け部を筒状の肩関節軸受に上から被せる構成は、フラッグと同じですね。肩の先端も電力受信アンテナになっているそうですが、この突起の事でしょうか?サーシェスの機体では、一般機よりも大型になっています。

 です。肩関節軸は、フラッグと同じダブルボールジョイント。普段は押し込んであるので1箇所でしか動きませんが、外側に引き出せばダブル可動となります。引き出しは変形目的のギミックですが、ポーズによっては引き出して自由度を高めるのも良いでしょう。肩の球体は、ABSの軸受けにプラの外装を被せた物。重ねた2つのパーツはピンで固定してあり、表面に突き出したピンの先端はマイナスモールド風に処理してあります。

 上腕はワンパーツ成形。スライド金型で肩への接続穴を開けてあり、球体の下でヒネリ可動します。ヒジ関節は、左右分割の前腕にABSの軸パーツを仕込んであり、上腕側の軸受けを通しておいてからハサミ込みます。上腕には左右の違いがあるので、注意して組み立てましょう。



 ヒジの内側にはピンが出ていて、変形時にはヒザとの位置をロックしますが、このピンは、ヒジ関節にハサミ込んだ軸パーツが表面に突き出た物です。ヒジ外側にはハードポイントとなる丸パーツを埋め込みます。

 前腕は、前面のグレー部分を別パーツ化。このパーツが手首関節軸を兼ねている点もフラッグと同じですね。キットでは開きませんが、ソニックブレイドの収納スペースになっているという設定です。

 手首は、左右のゲンコツと、開いた左手が付属します。左手は、掴みかかる様な指の表情がサーシェスの凶悪なイメージにピッタリですね。まあ、これがバリエーション展開によっては「大佐助けて〜」のポーズに見えてくるのかも知れませんが(笑)。手の平のモールドも細かくてよい感じ。手首関節は、ゲンコツ側が軸受けになったボールジョイントで、内側に90度スイング可能です。



 バックパックは、饅頭を半分にした様な形で、上下貼り合せの2パーツ構成。前面はインテイクになっているんでしょうか。左右にはエンジンユニットが接続され、上下スイング出来ます。前面の色分けパーツが奥まで入り込み、軸受けパーツを兼ねる合理的な設計。横に張り出しているのはインテイクだろうと思うんですが、肉抜きをどこまで埋めて良いのか、設定でも死角になっていて良く分かりませんね。

 主翼は、ヒンジ部分がC字形に切りかかれていて、ハサミ込み無しでエンジンユニットに接続可能、前後に可動します。下面にはパイロンが有りますが、ここに取り付ける装備品は付属していません。



 武装です。ブレイドライフルは、リニアライフルに実剣の機能を組み合わせた装備。銃身は上下貼り合わせで、ハサミ込んだカーポンブレイドを前方に引き出す事が出来ます。下部グリップは前後に若干スイング可動。両側面にもグリップが有り、剣として使う場合はここを握らせます。解説によると、左右に開いてハサミの様にも使えるそうですが、どう開くかは資料が見当たらず未確認。上面後部のカートリッジは銃身と一体成形されています。



 ミサイルランチャーは、前後2パーツの貼り合わせ。グリップは後部パーツと一体成形されています。中央は空洞になっていて、ブレイドライフルの銃身に装着して使用する事も可能。連結するとグリップが2箇所になり、ストライクフリーダムのライフルみたいですね。このミサイルランチャー以外にも、ブレイドライフルには各種アタッチメントが用意されているという設定の様です。



 ソニックブレイド(プラズマソード)は、使用状態の物と収納状態の物が1本ずつ付属します。使用状態の刃はグリップと一体成形されています。収納状態の物には取付穴が開いていて、ヒジ内側のピンに固定出来ます。一般機ではフラッグ同様、前腕の中に収納しているんですが、説明書では「本機の物は大型であるため」、ホビージャパン2008年2月号では内蔵武器を増やすためと解説されています。



 ディフェンスロッドは中央がカーブしていますが、カーブを縦にしてワンパーツ成形。裏側は肉抜きされています。丸い基部パーツに差し込んで、ヒジのハードポイントに装備します。基部には設定に無い突起が追加され、ハードポイントそばのスリットを利用した回り止めとなっています。

 飛行形態への変形です。肩関節を引き出して肩幅を広げ、コクピットを回転させつつ腰のジョイントを後ろに倒し、上半身を腰の後ろに沈み込ませます。を後方に回し、ヒジとヒザを連結して固定、首の二重関節を使ってを後ろに倒します。ブレイドライフルを機体前部にマウントすれば変形完了です。



 基本的にフラッグの変形と同じですが、がボディに引き込まれないため、MSに戻すのが簡単になっています。また、手足のロックやライフルのマウント等がスッキリ決まって安定している等、遊びやすさも向上。フラッグから時間を置いて発売されただけあって、精度や保持力についてのフィードバックを十分に反映出来る余裕が有った(むしろ余裕を作った)のだろうと思います。ミサイルランチャーの有無で機首のシルエットが変わる、プレイバリューの高さも良いですね。



ブレイドライフルにミサイルランチャーを装着した状態。この他、ブレイドライフルを介さずにミサイルランチャーだけを機首に固定する事も可能です。

 組立時間は55分でした。今後の展開ですが、デモカラーの機体の発売がすでに発表されています。サーシェス機独自のデザインである顔や腰上部は除外可能なランナー配置になっています。ブレイドライフルも同じスペースに配置されていて、サーシェス機のみに付属する武器の様ですね。ミサイルランチャーも、肩の突起と同じスペースにあって除外対象。また、ディフェンスロッドは今回ヒジ・ヒザの丸パーツと同じ白で成形されていますが、ランナーの流れを切り替えて関節色と同じにする用意がある事から、一般兵用の機体も発売予定が有りそうです。もちろん、成形色を青に変えれば、サーシェスが初期に乗っていたイナクトも発売可能でしょう。

 そして腰の下の飾り台取付穴は、アグリッサとの合体にも使えそうなんですが・・・あの大物メカをキット化したとして、あの細い脚で自立出来るかちょっと心配ですね。そうなるとアグリッサを飾るには下面に飾り台取付穴が必要になり、実はその穴は、最終回でアグリッサが合体する超巨大MAとの合体ジョイントを兼ねているなんてことは・・・?!


 おまけ

 

 この人も赤い機体を駆るエースという事で、ちょっと前に読んだ「機動戦士ガンダムMSV戦記 ジョニー・ライデン」を紹介しておきましょう。「クロスボーンガンダム」等を描かれた長谷川祐一先生の作品なんですが、特定世代にとってはシャア以上に強烈な印象を残すジョニー・ライデンが、実は戦争嫌い、ザビ家嫌いで、戦場から逃げよう逃げようとし続けた人物だった・・・などという、ネタ以外の何物でもない書き出しが凄いですね。これをギャグシーンの連続で軽妙に描かれるもんですから、長年の間に文章設定を読んで膨らませてきたライデンのイメージが、ガラガラと崩れていくのです。

 でもこれ、「実はこうでした、チャンチャン」というネタで終わるマンガではありません。ギャグシーンは作者の持ち味でありますし、何より入隊・初陣の経緯を手短に語るにはギャグにしてしまうのが一番テンポが良く、納得させやすいのでしょう。導入が上手いから、いつの間にか引き込まれる展開になってますのでご安心を。

 直撃世代の憧れであるライデンをひたすらクールに描くのではなく、真逆の方向に性格付けたのは、少なくともボクにとっては正解に思えました。戦争を嫌い、もがきつつ、でも守りたいものがあるから・・・ガンダム作品のヒーロー達は、多かれ少なかれそんな傾向があると思います。名を上げたくて撃墜王になった主人公、いないんですよね。この作品、ガンダムのヒーロー像をジオン側のパイロットに持ち込んだ、快挙と言えるんじゃないでしょうか?

 「それでもオレの思うライデンと違う」?「これはやり過ぎ」?でも後の歴史の教科書を想像するとして、そこにアムロはどの様に描かれているでしょうね。スネた、脱走した、そんな話は省かれて、訓練無しでザクを撃破した天才、一年戦争のトップエース等、箇条書きで読めば勇猛な印象しか受けない書き方になっているかも知れません。これまでのライデンの様に。

 なぜこんな人物像に描いたのか、それは愛あるあとがきで述べられています。先生自身が言われる通り、賛否両論あって結構。でも、パーソナルマークであるユニコーンの由来は、「コレで決まり」で良いんじゃないかな?まだの方には、ぜひ一読される事をオススメします。

  

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