健さんのプラモコラム　その２５４　ＨＧ　ティエレン宇宙指揮官型の巻

健さんの
プラモコラム

その２５４
　ＨＧ　ティエレン宇宙指揮官型の巻

（ＨＧ　1/144　ティエレン宇宙指揮官型/
　ＭＳＪ－０６Ⅱ－ＥＴ　ティエレン宇宙指揮官型/バンダイ
　「機動戦士ガンダム００」に登場）

　バリエーションのバリエーションが発売されたりして、どんどん増殖していくダブルオーシリーズ。派生型の展開に実に積極的です。最初からバリエーション展開を意識してあるとは言っても、実際にこれだけ発売されるという事は、ユーザーにも好評という事なんでしょうね。今回はセルゲイが搭乗した数々の機体の中でも特に印象深い（と思うんですが）、ティエレン宇宙指揮官型を採り上げましょう。

　変更箇所を中心に紹介していきますので、元キットと共通の部分については「その２２７　ＨＧティエレン（地上型）の巻」や「その２３８　ＨＧティエレン宇宙型の巻」を参照下さい。

　頭部は新規造形のパーツ。箱型のオデコがロシアの帽子を連想させますね。オデコはアンテナと一体成形。後頭部は左右貼り合せで、モノアイの押さえを兼ねているためオデコの内部まで続いています。ちょっとディテールを足して、電子頭脳をデッチ上げて遊んでみるのも良いかも？今のままでも内部フレームとして通用しそうでは有ります。

　後頭部は一般のティエレンと共通のデザイン。耳は、一般の宇宙型の頭頂部に乗っていたセンサーの名残りなのかな？と思ったら、地上型に近い形の様ですね。箱型のオデコパーツは前から被せるため、後ろに後頭部との分割ラインが出るんですが、コーナーにモールドを入れてあるので、そのままでもパネルラインに見えなくもないデザインになっていると思います。

　モノアイは左右に回転可能。動かす時には、他のティエレン同様、頭を一旦外します。

　両肩のバーニアは廃止され、余りパーツとして付属しています。代わりに装備されたシールドは、アームで自在に可動。シールド表面にはモノアイ、アンテナ、マイナスモールドのスラスターを装備しています。モノアイは色分けシールが付属しますが、かなり立体的にモールドされています。

　シールドは地上型も装備しているため、今回も真横に接続されているのだと思っていましたが、肩から横に突き出たピンにパーツを被せ、接続方向を上向きに変換しています。これによってアームを前後にスイング出来、横に展開するだけだったタオツーのシールドに比べ、自由度が格段に向上しています。フレキシブルな推進ユニットとして、かなり役に立ちそうですね。

別売のアクションベースを使用しています。
このキットにアクションベースは付属していません。

　アームはＬ字形で、普段はシールドの内側に密着しています。ＭＧザクＶｅｒ．２．０からフィードバックされたアイデアでしょうか。

　シールドのアンテナは１本ずつ成形してあり、ミゾにハメ込んで取り付けます。実機では可動式なのかどうか良く分かりませんが、設定画を見ると、シールドをやや斜めに開いた素立ちの状態で、頭とシールドの５本のアンテナが、全て垂直（つまり同じ方向）になる様に描かれています。平行な配置を利用した機能があるのか、整備時にまっすぐ降ろして装着出来て合理的なのか。何らかの意図が有ってのデザインなのかも知れないなぁ、と思ってみたりします。また、もしアンテナの向きにこだわって改修を加えるなら、頭部のアンテナをもう少し伸ばすと、より設定画のイメージに近づくのではないかと思います。

　カカトは、宇宙型・地上型用一般機の基本的な形状にツメが追加されたデザイン。キットではツメまで含めてワンパーツ成形されています。

　シールは、色分け用の物の他に、セルゲイのパーソナルマークが再現出来るマーキングシールが付属します。左のシールドに好きな方のシールを貼るんですが・・・これは迷いますね。「い」と「え」のマークのかわいさときたら！日東の妖怪シリーズ風に言えば、どちらにするか一昼夜お悩みめされ。迷って三昼夜悩んだお方は、もう一個買ってしまうことをおすすめしませう。みたいな感じです。余ったマークはジンクスに貼っちゃっていいでしょうか？それよりも、あのセルゲイおじさんにこんなかわいいマークが有るなら、タオツーにはもっとかわいいマークを用意して欲しいんですが。

　ティエレンタオツーと並べると、こんな感じ。どちらも横幅が大きく、２体並べただけでもボリューム的な見ごたえが出てきます。

　武装は、銃身冷却板付きの２００ｍｍ×２５口径長滑腔砲とカーボンブレイドが付属。カーボンブレイドが腰にマウント出来ないのは、宇宙型一般機と共通です。

　この他、カーボンワイヤー発射装置、カーボンネット発射装置、ジェル発射装置といった特殊装備も付属。劇中でセルゲイが使うシーンは無かったと思いますが、他にも多数の指揮官機が活躍しているハズですし、セルゲイ自身もこれまでに多くの戦闘を経てきたベテランです。使用シーンを想像しながら、装備させると良いでしょう。

　組立時間は１時間５分でした。ランナーの切り替えに表示されたａｂｃの分類記号もｄまで進みました。宇宙指揮官型用の新規ランナーであるＧランナーの端に、さらに延長の用意が有るようですが・・・宇宙指揮官型に近いバリエーションである、高機動Ｂ型の指揮官型も予定されているのかも知れませんね。そうなればもちろん高機動Ｂ型の一般機も欲しくなります。アルファベットはまだまだ残ってますから、どんどんお願いしますね。

　おまけ

　ガンダムＳＥＥＤフレームアストレイズシリーズから、ＨＧアームズアストレイＰＭＣカスタム（レオンズ・グレイブス機）を紹介しておきましょう。ＨＧシビリアンアストレイＤＳＳＤカスタムの成形色を変更、新規造形の頭部パーツを追加したバリエーションキットとなっています。変更ない箇所については「その２００　ＨＧシビリアンアストレイＤＳＳＤカスタムの巻」を参照下さい。

　ＰＭＣとは、ダブルオーでも大きく扱われている民間軍事企業。プライベート・ミリタリー・カンパニーの略です。レオンズはその社員で、雇われればどちらの陣営にも協力。ストーリーの中ではザフトの新司令官としてアジア圏に赴任してきた事になっています。

　頭部は、バイザーが無くＶ字（？）アンテナの付いた、よりガンダムらしいデザインの物が新規に付属。首の軸受けパーツを芯にして、目とアゴ、マスクを取付け、左右分割のヘルメットでハサミ込み。Ｖ字アンテナを取り付けた上から頭頂部を被せます。後頭部カメラは、ヘルメット下部のパーツが頭頂部パーツの穴からのぞく格好になっていて、塗装しやすくなっています。後頭部のアンテナは頭頂部パーツを貫通してヘルメット下部パーツに差し込んであるので、分解する時は最初にアンテナを抜く様にしましょう。

　戦況の拡大に伴って改良された頭部は、レオンズの得意とする狙撃戦能力を強化してあるとの事。改良前のＤＳＳＤカスタムの頭部も付属しますが、共用である顔のパーツが１機分しか付属していないため、どちらかを選んで組み立てる事になります。どうせバイザーで隠れている訳ですし、色分けしてなくても良いから、もう１機分の顔パーツが付いていれば嬉しかったですね。毎回分解して組み替えるという選択肢も有りますが、あまり手軽とは言えませんし。

別売のアクションベースを使用しています。
このキットにアクションベースは付属していません。

　飾り台は、ＳＥＥＤデスティニーシリーズの物が付属します。今はＤＳＳＤカスタム発売当時と違ってアクションベースが普及していますから、省いても良かったかな？とも思いましたが、調整が効かない代わりに支柱が細く、より脚のポージングが自由に出来るので、有れば重宝するのも事実。今後も使い分けると良いと思います。

　武装はビームガン、レーザートーチ、シールドと、ＤＳＳＤカスタムと同じ物が付属。狙撃戦を得意としながらコンパクトなビームガンを使っているのはどうなんだろう？と思いましたが、射程距離を伸ばす改良が加えられているとの事。ストライクノワールのビームライフルショーティー同様、性能に問題無いならコンパクトな方が近距離でも扱いやすくて良いという事で。また、コミックではディンの対空散弾銃も使用しているそうです。

　組立時間は１時間１５分程度でした。マーキングシールにはパーソナルマーク、ザフトマークの他、アルファベット２６文字、数字、記号も含まれていて、重宝しそうですよ。

　このシリーズの楽しみと言えば箱裏面の海外向け解説文ですが、今回はＤＳＳＤカスタムの事を中国語で「民用型異端高達ＤＳＳＤ」（高達はガンダムの事）と呼んでいますね。うーむ、やはり玩駄無ではありませんでしたか。ナチュラルは「自然人」、ＰＭＣは軍事公司。もっと読みたいんですが、長い日本語解説の一部しか訳されていないのが残念です。

　2008.6.12　健　竹史