健さんの
プラモコラム


その252
 HGUC ザクU改の巻

HGUC 1/144 ザクU改/
MS−06FZ ザクU改/バンダイ
「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」に登場



 しばらく停滞していたポケ戦関連キットが再始動、ついに真の主役の登場です。設定ではザクF型の発展型ですが、キットの方でもMGザクVer.2.0の影響がチラホラと。ザク系HGUCキットの発展型と言えるかも知れません。劇中ではアレックスと相討ちに終わりましたが、プラモシュミレーションだったら、もっと手強いかも知れませんよ。では、本題に参りましょう。



 頭部は、グレーのモノアイシールドが頭の下半分まで詰まっていてフレームを兼ねています。内部メカの再現は無く、外装にピッタリはまる芯の役目ですね。外装はモノアイシールドの後端で上下に分割。設定でもここにパネルラインが通っています。クチバシは前からハメ込み、動力パイプを取り付けます。モノアイの可動は無く、目玉シールを貼って再現。はボール可動に加え前後スイングします。



 頭部は2種付属し、フリッツヘルメット風の外観をしたBタイプも再現出来ます。完成後も頭部の交換が可能。ヘルメットは縦方向にワンパーツ成形してあり、ほとんど隠れる後頭部も省略せず再現してあります。通常型はクチバシの中が角、Bタイプは丸いダクトになってるんですが、こんな所も見逃さず再現してあります。丸い形状はガスマスクのイメージでしょうか。



 ボディです。は単純な前後分割ではなく、前上方から後ろ下方に向けて斜めに分割ラインを通してあります。コーナーで割る事で分割ラインが目立ちにくく、側面にある傾いたモールドも再現。胸ユニット上面・下面には丸穴(クボミ)が並んでいますし、これをクッキリ成形するには成形方向を傾けるのがベストだったんですね。

 を傾けて成形してあるのを利用して、エリのラインは微妙にカーブさせてあります。カーブしてるかどうか手元の資料で確認出来ない上、頭を取り付けると隠れてしまうんですけども。胸中央の装甲とコクピットハッチは正面から重ねて取り付けます。



 ウエストは筒状にワンパーツ成形し、胸下側からハメ込み。腰との接続はポリキャップを使った2軸可動。普段は左右スイングのみですが、少し引き出せば前後スイングも可能です。旧キットでは、ほぼ360度の左右スイングが可能でしたが、今回はウエストが楕円になり、腰フレームと噛み合う形のパーツ構成となったため、左右20度ずつ程度の可動になっています。

 です。フロントスカートは左右一体で可動。切り離せば独立可動も可能ですが、接近し過ぎて欠けた様なボールジョイントになるため、ほとんど一軸可動と変わらない動きになります。また、デザイン的には左右2枚ずつに割ってあるらしいスカートが一体で動くため、大きく動かした時には若干不自然に見えると思います。



 リアスカートは、フンドシの奥に仕込んだポリキャップに接続してあり、可動式。脚の可動範囲を広げるためと言うより、脚を前に投げ出したポーズの時にフンドシに密着させる狙いの様です。ウエストのスイングも前傾姿勢をメインに設計してありますし、森に落下したポーズが今回のキービジュアルという事なのでしょう。

 サイドスカートは、腰フレームではなくリアスカートに差し込んであります。前から差し込んであり横に広がる様にスイング可能、常にリアスカートに密着している事になります。つまりリアスカートを前にスイングすれば一緒に動くんですね。右側にはハンドグレネードを装備。左側のスカートは長めで、マシンガンのマガジンが入っているんじゃないかと思います。



 動力パイプは、腰の前と後ろの接続口をつなぐ形で半周ずつパーツ化、横からハメ込む構成になっています。背中あるいはランドセルに接続してある様にも見えますが、ウエストの回転を妨げない形となると、キットの様に処理するのが良いと思います。

 フンドシは左右貼り合せ。股関節軸はハサミ込んであり、左右一体で前に移動させる事が可能です。これも落下したポーズを再現するためのギミックですが、普段のポージングでも重宝しますよ。むしろ、ポーズを付けているとすぐ前に移動してしまうので、定位置でロック出来る仕組みが欲しかったですね。



 です。モモは前後貼り合せ。旧キットでは成形方向の都合で省略されていた後部のスジ彫りも再現されています。ヒザ関節は後ハメ式ですが、軸受け兼ポリキャップ隠しになるパーツをハサミ込んでおく構成となっています。

 ヒザは二重関節。上下どちらにもポリキャップを仕込んであります。ヒザアーマーは旧キットではスネと一体でしたが、今回はヒザ関節の前面に固定。上下両端は、モモ・スネ外装の内側に入り込む配置になっています。



 スネは前後分割。側面のスラスターは別パーツ化されています。後部スラスターは、ヒザと足首をつなぐフレームパーツと一体でノズルを成形、外装の穴から露出する構成になっています。スラスターカバーは固定式。ノズルの上にハメ込みの突起を配置し、見えない様に処理してあります。

 動力パイプはプラパーツで再現。穴に余裕がある事と、脚の色とカラーリングが異なる事で、穴の中に見える抜け止めが目立ちやすい様に感じます。抜け止め部分をボディカラーで塗装してやれば、少しは目立ちにくくなるんじゃないかと思います。



 足首は、クツに足裏を重ねる構成。カカトは別パーツ化されていますが、下端だけは足裏の一部として成形、段差を再現してあります。土踏まずの可動は有りませんが、変わりにクルブシが浮き上がるギミックを仕込んであります。ツマ先も別パーツ化してあり、正面からハメ込みます。

 足の甲の張り出し部分は、クルブシパーツの正面から丸ピンで取付け。ツマ先立ち(?)させればクツの中に沈みこみますし、足を踏ん張ったポーズでは左右にヒネってやる事が出来ます。構造は単純ながら、MGザクVer.2.0に近い演出効果のあるギミックです。



 左肩のスパイクアーマーは前後貼り合せ。斜め上のスパイクは別パーツ化してあります。HGUCザクと比べるとかなりコンパクトで、特に前後の薄さが目を引きます。でも肩ブロックの厚み・上下幅はHGUCザクと同じ、左右幅はむしろ大きくなっているんですね。上腕の途中まで覆っているイメージが有るので、もう少し大きくても良かったかな?とも思いますが、ここまで肩に密着させる事が出来たのは面白いと思いました。コンパクトさのお陰か、軸の配置が良いのか、腕を横に上げた時の自然さはHGUCザクより格段に向上しています。



 右肩のシールドは、ポリキャップをハサミ込んでの2枚貼り合せ。ハメ込みには裏面のディテールを利用しています。ポリキャップ取付部の厚みを増してスペースを確保しているのはHGUCザクと同じですが、今回はヒンジらしい形に造形。ポリキャップは一部ムキ出しになりましたが、印象は悪くないと思います。



HGUCザク(右)との比較。巨大な90mmマシンガンも、実は120mmマシンガンと同等のサイズで造形されています。

 です。肩関節軸は2軸でスイング可動。胸の分割が斜めのため、スイング方向も前方斜め上に引き出す感じで配置されていて、MGザクVer.2.0に似ていますね。2軸の合成で自在に動くので、真正面や真上にスイングさせる事も可能です。前方スイングに特化していたHGUCザクほど大きくは引き出せませんが、武器を両手持ちさせるには十分な可動で、印象も自然です。

 肩ブロックは前後貼り合せ。上面まで可動用のミゾが切ってあり、ポリキャップ隠しのカバーが付いています。旧1/144キットではスパイクアーマーで保護されているためか、左肩はメカ色で成形されていましたが、今回はボディカラーであるグリーンで成形。設定はどうなのかな?と思ったら、完全に隠れていて不明でした。今回はアーマーが小さめのためグリーンにするのが妥当な判断かな、と思います。当時から、成形色に関係なくグリーンに塗装された作例も多かった様です。

 上腕は筒状にワンパーツ成形、肩からヒジへつながるに被せてあります。ヒジはポリキャップを使った一軸可動。ドラム形の関節カバーを被せてあり、後ハメが可能です。前腕は2パーツ貼り合せ。ヒジのスパイクは、成形がダルくなるのを避けて、可能な限り低く造形。スパイクと言うより丸モールドですね。このままでも良いと思いますが、作り直すと良いアクセントになると思います。



撃墜された仲間のザクの頭部が付属、情景をリアルに演出します。(違うって!)

 手首は、武器持ち用の右手、左のリアルゲンコツ、左の平手が付属します。右手はトリガーに指をかけたポーズの一種類しか無いので、ヒートホークを握っても人差し指が浮いていて妙な感じです。いっその事、統合整備計画で、ヒートホークもトリガーで作動する様に仕様変更されたとかいう設定をデッチ上(略)。武器を持たせずに飾るのもカッコ良いですから、ゲンコツは標準で付けて欲しいと思います。



 ランドセルは、バーニアが3つ付いたデザイン。左右のバーニアは微妙に外側に向けて配置してあり、良い感じです。側面にある斜めのディテールに合わせてパーツを上下分割、上面のスラスターを一体で再現してあります。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにアクションベースは付属していません。

 飾り台は付属しませんが、別売りのアクションベースに対応しています。今回はフンドシ下にフタは無く、普段から取付穴が露出。ボクも普段から他のキットのフタパーツを外していますし、ユーザーが隠す必要を感じていなければ、今後は廃止されるのかも知れませんね。

 武装です。MMP−80 90mmマシンガンは、2パーツ貼り合せの本体に銃口、センサー、マガジンを取り付ける構成。さらに先端には、好みでグレネードランチャーを取り付ける事が出来ます。



 このマシンガンは「0083 スターダストメモリー」にも登場し、ザクF2ドムトローペンゲルググマリーネ等も使用していますが、それらのキットに付属する物とは、かなり大きさが違います。

 ザクU改のマシンガンをマリーネに持たせる事はゲンコツの穴が狭くて不可能。トローペンに持たせるのは人差し指が上向きになっていないため不可能。逆に、マリーネやトローペンのマシンガンをザクU改に持たせるとグラついて安定しません。体格と武器の関係がいつもと逆転していますね。



HGUCリックドムツヴァイとマシンガンを交換したところ。ザクU改のマシンガンはグリップに突起が付いていますが、リックドムツヴァイの手にはスキが有るため、問題なくフィットします。グレネードの有無という違いは有りますが基本的に同じ設定画をベースにしているのでディテールが近く、流用するならリックドムツヴァイのマシンガンがオススメです。

 ディテールも後端のマイナスモールドが0083ではツマミの様になっている等、かなり異なっています。これは0083用の設定が新規に起こされた事によるもので、どちらも間違いでは有りません。



 ヒートホークはワンパーツ成形。ジョイントを介して腰後部にマウントする事が可能です。説明書で左手に持たせる様な図になっているのは、やっぱり右手人差し指のポーズを気にしてるのかな?(笑)と思ったら、グリップの太い部分は左手ゲンコツの穴でないと握れない太さだったんですね。



説明書にある、右手でヒートホークを構えたポーズを上から見た図。グリップが右手の穴に収まり切らず、ゲンコツの合わせ目が割れているのが分かるでしょうか?もっとも展示会等で飾る目的でなく、写真を撮って楽しむ場合などでは、一方向から見てカッコ良ければそれで良いのです。

 ハンドグレネードは、3個一体で成形、サイドスカートに固定してあります。ハメ込みの突起はそれぞれに付いているので、切り離して整形すれば、取り外した状態にも出来るでしょう。ただし、使用時には柄の部分が伸びる設定なので、プラ棒などで作り直してやる必要が有ります。伸びた物も付属していたら嬉しかったですね。



旧1/144キットとの比較。ボディのグリーンは、旧キットの方が劇中イメージに近いかも知れません。発売当時に組んだもので、腰のハンドグレネードを1個紛失しています。

 組立時間は55分でした。初めて目にするパーツ構成が各部にあり、組んでいて面白いキットでした。プロポーションはクセのある設定画の物から最近の標準的な体型に近づけてあり、今後発売されるであろうギラドーガへのつながりを感じさせてくれる・・・ハズ?ケンプファーもHGUCで出る様ですし、このままポケ戦・逆シャアのMSが、一気に揃うと嬉しいです。


 おまけ


 旧1/144ザク改も、この機会に紹介しておきましょう。当時は「U」を付ける習慣が一般化しておらず、商品名は「ザクU改」ではなく、「ザク改」となっています。



 頭部は、モノアイシールドをクリアーピンクで成形、目玉以外の部分をシールで隠す方式となっています。目玉の後ろにはコブを付けてあり、より光って見える効果を狙っているのだろうと思います。目玉は丸くモールドされていますが、削ってモールドと違う部分を丸く塗り残して塗装すれば、左右に動いた位置でも光るモノアイを再現出来るんじゃないでしょうか。

 モノアイシールドの前には、設定のラインに準じてスキマが有ります。これが本当にスキマなのかは悩む所ですが、HGUCではラインを少しウネらせるだけで、スキマを作らず造形してあります。



 ウエストは、ランドセルとハンドグレネードが干渉する箇所を除いて、ほぼ360度の回転が可能。スカートは固定式となっています。ハンドグレネードは1個ずつ成形され、着脱が可能。フンドシはスカート下から後ハメが可能。このシリーズはどれも、かなり徹底してブロックビルドアップが採用されていますね。

 脚です。股関節はボール可動。モモは左右分割で、ヒザ関節の上側をハサミ込む構成です。ハサミ込みと言っても今日の様な可動式ではなく、ヒザは下側の関節だけ後ハメ・可動式となっています。スネは前後分割。ヒザアーマーはスネと一体です。側面のスラスターは別パーツですが、ノズル中央にハメ込みピンが露出。後部スラスターは、ノズルの表現は有りますが、その真上にハメ込みピンが見えます。こういった箇所はハメ込みピンを削り落とし、接着を併用するのも良いでしょう。動力パイプはポリパーツで再現。弾力を活かせるほどヒザが曲がる訳ではありませんが。

 足首は2軸可動。クツは左右分割ですが、成形方向に制約があるにも関わらず、真ん中付近の足裏パターンだけでも再現してあるのがスゴイんだかスゴくないんだか。不足部分を自作したい人にとっては精度を出す助けになったでしょうから、不完全でもユーザーフレンドリーと受け取るべきでしょう。



 腕です。肩は前後スイング。肩関節軸は、初期ガンプラに多く見られた上に折れ曲がったタイプで、肩ブロック上面に切り欠きが有りません。上腕は肩ブロックにハサミ込み。前腕は後ハメ可能となっています。ヒジは、動力パイプと同じ色で成形された黄色いポリキャップが丸見えとなります。HGUCに使われているPC−123のA、または旧逆襲のシャア関連やドラグナーのキットに使われているPC−6のAに置き換えてやると、それだけで目立たなくなりますよ。肩アーマーは前後貼り合せ、シールドはワンパーツながらポリキャップを使ったボール接続となっています。

 手首は、左右の穴開きゲンコツと右の武器持ち手が付属します。ランドセルは、ワンパーツ成形+バーニアという構成。上面のノズルや側面のディテールが成形方向の制約を受けています。



 頭部はBタイプの物も付属、完成後も組み替えて楽しむ事が出来ます。左右分割のため、ヘルメットの中までは動力パイプを再現していません。顔は極端に細くなっていて、モノアイシールドの幅は全く別物。現地改修出来るレベルを超えている様な・・・。もっとも、HGUCでも1割程度、顔の幅を変更してありますけどね。



 武装はマシンガン(今日の設定と異なり説明書では120mmと表記)が付属します。最近のドム・ゲルググ系キットの物と比べると相当大きいんですが、Bクラブ37号のカラーページを見ると、確かにこのくらいの対比図が載っています。0083以降に小さいサイズの設定が定着したという事でしょうか。HGUCでも、当時の設定を尊重して、ほぼ同等のサイズになってるんですね。先端のグレネードは着脱可能なので、装備していないタイプに組む事も可能です。

 HGUCは他シリーズのMSとの統一感を優先してスリムなプロポーションになりましたが、旧キットのゴツい体形もまた魅力的。安価ですから、再販で見かけたら手に取ってみてはいかがでしょうか。

 2008.5.29 健 竹史


  

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