健さんの
プラモコラム


その236
 HGUC リガズィの巻

(HGUC 1/144 リ・ガズィ/
 RGZ−91 リ・ガズィ /バンダイ
 「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に登場)



 MGMSインアクションハイコンプロと、各シリーズで発売されたバックウェポンシステム付のリガズィが、ようやく1/144で登場です。Bクラブからレジンキットが発売されて約20年。もうそんなに経つんですね。あの頃はオプションとか改造パーツとか、いろいろ出てましたね。「レジンキットが最後の望み」「レジンキットでしか出ない」愛憎うずまくガレージキット時代の幕開けでした。キャバリアーとかゲルファーとか、あの頃の渇きをR3で癒せる日は来るのかな?

 てな事を思いつつ、プラ製になって帰ってきたBWSを、眩しく見つめて参りましょう。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにアクションベースは付属していません。

 頭部は、目とアゴの赤いパーツをマスクと組み合わせ、ヘルメットで前後からハサミ込むスタンダードな構成。アンテナは左右一体で成形された軟質素材のパーツ。真ん中で折り曲げてヘルメットに仕込む事によって、左右別パーツ化する事なく後部の小さいアンテナを再現しています。特殊な組立ですが、小ささによる扱い難さを解消するアイデアですね。オデコは別パーツ化。中央下端はカメラになっているので、もう少し幅広の造形でも良かったかも。Zガンダムに似せてあるのかも知れませんが、むしろジェガンに近い意匠ではないかと思うので。ヘルメット下のケーブルは、後ハメが可能です。



 はにはスイング機構が有り、大きく上を向く事が出来ます。ヤクトドーガもそうでしたし、「逆襲のシャア」関連のキットでは、この部分が充実してる事が多いですね。近々発売されるνガンダムでも、おそらく同じギミックが採用されるんじゃないでしょうか。



 ボディは、2パーツ貼り合せのウエストを、前後分割のでハサミ込む構成。2軸可動の肩関節軸も、この時一緒にハサミ込んでやります。表面の胸板は別パーツ化されていて、ワキの下やダクト下との境い目もクッキリ仕上がっています。エリ、ハッチ、ダクトは別パーツ化。エリは上下幅のある造形で、MGガンダムVer.Kaを連想させますね。エリと胸の折れ線のコーナーが一致してないのが、少々残念です。



 ウエストは360度回転可能。出渕メカは、HGUC化されると良くウエストが回るのです。回転のクリアランスを得るためコクピットと腰センターアーマーの間にスキマが有り、動かなくても旧キットの方が好みという方もおられるかも知れませんが、スラスターを斜め上に向けて配置してあるのでMGよりは自然に見えると思います。

 造形面での出渕ガンダムの特徴として、ボディ上下幅が詰まっている事が挙げられると思いますが、今回は通常のプロポーションに近づけるよう処理されている様です。HGUCνガンダムも、ウエストの上下幅を、これくらい取ってあれば嬉しいです。(この辺はボク個人の好みですけどもね。)



 です。フロントスカートは左右独立して可動。四角いスラスターはヒンジにはなっておらず、スカートと一緒に可動します。上がったスカートがスラスターを塞ぐのは面白くないですから、現実的では有るかも知れません。

 サイドスカートは、MGではモモ上端に接続してありましたが、あれは股間節幅が広がるギミックのためでした。今回は普段通り、腰フレームにポリキャップで接続してあります。グレネード弾と一体成形された内側パーツに外側パーツを重ねる構成で、発射口と弾が別パーツの様に見えるよう工夫されています。

 リアスカートは固定式。バーニアを取り付けるクボミはスライド金型で成形されていて、ワンパーツ成形されています。フンドシ下にはフタパーツが有り、外すと飾り台取付用のポリキャップが露出します。



 です。モモはABS製のフレームを内蔵。ヒザ関節パーツをハサミ込み、前後から外装を取り付けます。ヒザアーマーはスネにハサミ込んであり、スイング可動。ヒザを曲げても延ばしても変形しても関節に密着する配置は、良く出来ていると感心します。近年のMGではヒザアーマーやたらとスライドしますが、このキットが単純な機構でヒザの保護を実現しているのを見ると、実用的なデザインなのかな?と思いますね。

 ヒザ関節スネ内部フレームもABS製。結局脚には全体に渡ってフレームが仕込んであるんですね。フレームにはスソやヒザのスキマから見える部分にディテールが入っていたり、スネ外側のバーニアの色分けを兼ねていて、外観の向上にも一役買っています。フレームの内側には、変形時に足首を引き込むスライドギミックを内蔵しています。MSに戻す時、ヒザを伸ばすと、連動して足首が元の位置に押し出される機構が秀逸。変形以外の時に足首を押し込んでも動かない、ロックも兼ねています。



宇宙戦闘機モード(左)とMSモード(右)の比較。MSモードでは足首のスライドギミックを、ヒザ関節パーツが上から押さえて、引っ込まない様になっているのが分かるでしょうか?

 スネ後部のスラスターは、足首を押し込むのに連動してカバーが上へスライド、バーニアが露出します。設定ではカバーは固定式で、中身が移動してる様ですけれども。バーニア周囲の赤いパーツは、MGでは変形時に手が当たって外れやすい箇所の一つでしたが、今回はその反省を活かしてか、内部フレームに直結、より頑丈に接続してあります。

 足首アーマーは、設定よりもスリムな印象。旧キットでは設定のイメージをそのまま反映し、穴より幅広のアーマーとなっていたため、スネに引き込めない仕組みになっていました。(正面の保護に優れますが、横にスキマが出来やすいですね。)MGは変形を再現するに当たって引き込み可能な幅に変更、途中をふくらませてボリューム感を保っていました。今回はシンプルな形のまま、引き込める幅に縮小して解決した格好ですね。旧キットより小さくなってはいますが、スネアーマーとのスキマはほとんど無く、カーブの少ないスネの形と相まって、設定のイメージは十分に再現していると思います。



 足首関節は、カカトの上でボール可動。引き込み機構も有るので二重関節にはなっていません。ツマ先は閉じる方向に可動、後ハメが可能です。MSに戻す時に自動でせり出してくると言っても、どうしても引っ張っりたくなるのが人情という物。カカトのクツ底のハメ込みが抜けやすいと感じる場合は、接着しておくのも良いでしょう。

 肩アーマーは、肩ブロックとサイドアーマーをハサミ込んでの前後貼り合わせ。中央で分割してあるのでライン消しが面倒という意見も有るでしょうが、スラスターの内側が別パーツになっている分、旧キットより手間は激減しているので頑張りましょう。前後面は、スミ入れが引き立つよう、上下の境目のラインがスジ彫りで処理されています。



首が上に大きく可動するので、前傾姿勢で飛んでいるシーン等でポーズが決まります。

 です。肩関節軸は上下前後に可動。BWSに合体するため、今回は特に下方向に向けて大きく動く様に設計されています。肩ブロックは、逆シャア登場MSに良く見られるドラム式の関節。敵も味方もアナハイム製ですから、特徴が似てるのも自然な事ですね。パーツはABS製ですが、ポリキャップを内蔵しています。

 上腕は筒状にワンパーツ成形。ヒジ関節カバーも筒状に成形されていますが、ダブルボールジョイントの外側に2本の動力パイプが通った元デザインは完全に省略。不完全でも可能な範囲で再現してもらえないかな、とか、2パーツに分ければ解決出来ないだろうかとか、ちょっと思ってみたりするんですが・・・。



 前腕は、先にヒジ関節周辺の水色の部分を組んでおいて、それを前後分割の青いアーマーでハサミ込む構成。腕の甲を前にスライドさせると、グレネードがフタを押し開いてせり出してくるギミックが内蔵されています。スライドパーツがハードポイントの受けを兼ねる点や、スライドパーツの先端にグレネードが一体成形されている事も含めて、MGで確立されたギミックを引き継いでいます。フタパーツの裏には小さな突起があるんですが、ここがグレネードの先端平面に押される事でフタが開きます。グレネードの頭の端が擦れて塗膜がハゲない様にという、塗装派の人への配慮だろうと思います。芸が細かいですね。



グレネードランチャーのフタパーツの裏に突起があるのが分かるでしょうか?ここをグレネードの先端が押す様になっています。スライドパーツにハードポイントの受けが有るため、シールドを装備したままでは動かない仕組みになっています。

 手首は、リアルな左右のゲンコツ、ライフル用の右手、左の平手が付属します。ライフルの後部が長く、腕に干渉するデザインのため、ライフル用の右手は関節軸を大きくヒネって配置してあります。

 バックパックは、テールスタビライザーが可動。根元は左右のユニットに挟まれる形のヒンジになっていますが、左右のユニットは背中に接する面でつながっています。MGでも今回と同様の解釈で、まるごと取り外せるユニットになっていましたね。劇中で小破した状態の設定画では、右のユニットを残して外れてしまい、背中が見えてしまっていたので、当時は個別のユニットという解釈でデザインされていたのだと思います。



旧1/144リガズィ(右)との比較。旧キットの方が数mm大きくなっていますが、2キットの中間くらいが設定通りの大きさではないかと思います。スネの大きさ、バックパックの高さの違いに注目です。

 左右のユニットはサーベルラックになっています。キットでもフタを開いて中のサーベルを見る事は出来ますが、スペースの都合から、途中までしか成形されていません。手に持たせる時は、専用のサーベルを使いましょう。フタは開閉可能ですが抜け止めも付いていないので、差し替え式と言っても良いでしょう。開いた状態で固定出来る様にツメが付いています。



サーベルを取り出して持たせる事は出来ませんが、板とスリットでハメ込んであるため、途中まで引き出せる仕組みになっています。ラジオペンチ等で引き出してやれば、サーベルを引き抜こうとしている瞬間を再現出来ます。

 バックパックの左右にはフィンが付いているんですが、今回は収納された状態で造形されています。もっとも収納出来るという設定は見た事がなく、MG設計時に導入されたアイデアの様です。BWS合体時の設定画にも、フィンらしい物が描かれていますし。出来れば取り外し式にする等して、ありのままのMS状態を再現して欲しかったですね。それも無理なら、例えばランナーの途中に妙に平らな部分が有り、切り取って接着するとなぜかピッタリはまるという偶然が有っても良かったかな?(偶然じゃないんですけど:笑)

 武装です。ビームライフルは、左右分割の銃身に銃口を取り付ける3パーツ構成。エネルギーパックの着脱ギミックは再現されていません。グリップには突起が有り、ライフル専用の握り手に、しっかり接続出来る様になっています。



左から、BWSに装着する状態でのシールド裏面、旧キットのビームサーベル、HGUCのビームサーベル。
右の列は上から、HGUCの左右共通サイドスカート、旧キットの左サイドスカート、旧キットの右サイドスカート。

 ビームサーベルは2本付属。クリアーのビーム刃は、HGダブルオーシリーズと共通の、平たく成形された物が付属します。本当はツバの部分まで覆った十文字のビームなんですが、近い物で代用した感じですね。この時期になるとビームの成形技術も自由度が高かった様ですから、こんな形にも成形出来た・・・と納得してみるとか。ビーム刃が単独ランナーで作られる様になり、クリアーで提供される事が増えたのは嬉しい事ですが、近い形の物で間に合わせる事も可能になった訳ですね。コストとこだわり、いつの時代でも、難しい問題です。



 シールドは、表面に青いパーツを貼り込んで色分け。裏面パーツにはポリキャップが仕込んであり、2方向に取り付け可能なL字形のアダプターを介して腕に接続します。シールドとアダプターをつなぐジョイントパーツは、HGUCヘイズルの物とは少し幅が異なる規格。肩アーマーとの干渉を避けるため、角度を付けた形状となっています。ハンドグレネードは、裏面パーツと一体で成形。この他、ビームライフルをシールド裏に収納する事も可能です。



 バックウェポンシステム(BWS)は、ヒンジで装甲が開いて合体するギミック再現を避け、機体左右を一度分解して装着する方式となりました。MGでは、コンパクト化したいのも分かりますが、ものすごくキツキツでしたからね。MSを包み込むだけで保持出来るとMGで検証出来たためか、肩をロックする機構も無くなっています。



 造形的には、機首の根元のうねる様なカーブが控えめになりました。分離・合体のクリアランスを考慮する必要が無くなったため、機体下面のカバーは大型化し、肩や腕をより完全に覆えるサイズになりました。このカバーの下端は、成形方向の都合から直角で単調なラインに変更されているので、こだわる人は手を加えてやるのも良いでしょう。2門のビームキャノンは、今回もスコープを省略してあります。



合体時の状態。BWSは、設定ではもう少し余裕のある大きさを想定しているんでしょうね。でないと真後ろから進入出来ません。BWS側面のスラスターは実は筒抜けで、中からリガズィの肩スラスターを噴射しているのかも知れませんね。

 ウイングは2枚重ねで厚みを表現。MGほどでは有りませんが中央が盛り上がり、揚力を発生しそうな形をしています。宇宙戦闘機だと思ってましたが、ウイング後部にはフラップが付いてますし、実は大気圏内での飛行も可能なんでしょうか?下面のタンクは、左右分割&先端の3パーツ構成となっています。



 BWSとの合体です。肩位置を引き下げ、肩アーマーを下に向けます。はヒザ関節を折り畳み、足首を押し込むと連動してスネ後部スラスターカバーが前へ移動し、バーニアが露出。ツマ先と足首カバーは閉じてやります。ビームライフルはシールド裏に収納。シールドはジョイントパーツを取り付け、BWS下面に接続します。これで合体は完了ですが、別売のアクションベースに飾る時は、さらにシールド下面にもジョイントパーツを追加し、ここに支柱を接続してやります。BWS単体で飾る場合には、機首の下、頭部収納スペース辺りにポリキャップが仕込んであるので、これを利用します。



 組立時間は1時間35分でした。顔つきやプロポーションはMGよりスッキリしていて、とても良い感じだと思います。左右共通のパーツは同一ランナーを2枚使ってあり、迷わずスイスイ組み立てられますが、そのためにサイドスカートのディテールを変更してしまうのは、ちょっとやり過ぎだったかも。合体のギミックは組み換え式になりましたが、飾り台を2つ使って分離シーンを再現出来るなど、ディスプレイ的なプレイバリューは、むしろ高くなっています。



 ブルーレイディスクでのソフト発売も有りますから、逆シャア関連を一気にコンプリートして、ジェガンのバリエーションからF91になだれ込んでもらえれば・・・と思うんですが。ポケ戦の様な長期おあずけになりません様によろしくー。


 おまけ


 この機会に、旧1/144キットも簡単に紹介しておきましょう。ガンプラにスナップフィットが導入された初期のキットで、ボディ、モモ、スネの5箇所にビス締めが採用されています。各関節は、可能な限り後ハメ可能となっています。



 頭部は、トサカとアンテナを一体成形し、上方向から取り付ける構成になっています。説明書の見本ではアゴが塗られていませんが、つられて塗り忘れない様に注意しましょう。ボディは、水色の本体に青い胸アーマーを重ねる構成で、当時はシャープな仕上がりに感動した物です。胸のダクトや腰正面のスラスターは、丸ピン1本でハメ込む様になっています。遊んでいるうちに、あらぬ方向へ傾いてしまう事が有りますから、気付いたら直してやりましょう。ハメ込みは接着剤の代わりであり、位置を決める物という発想は、もう少し後になって定着してくるんですね。



 フロントスカートは前からハメ込み。スラスターがヒンジになって可動します。サイドスカートも回転してグレネード発射体勢にする事が可能。なぜか左右でディテールが違っています。股関節軸は腹のすぐ下辺りの、かなり高い位置に設けられています。フンドシと呼べる部分は最小限しか無く、スカートの中はほとんど空洞。設定を良く見ると、股間にスラスターの様な物が有りそうなので、想像しながら追加してやるのも良いでしょう。



 脚は、HGUCでは(ギミックとの兼ね合いで?)見送られた、スネ内側のスラスターの色分けを再現。足首アーマーは、ヒンジパーツだけをハサミ込んでおき、アーマー自体は後ハメ可能な親切設計。足首は、クツ底とカカトをワンパーツ成形してあり、足裏パターンも再現してあります。



 腕は、前腕の甲をワンパーツ成形。足裏もそうですが、シャープさはイマイチながら、後のスタンダードとなるパーツ分割を先取りしてる感じですね。何でもかんでもモナカ割りする方が、金型の合わせ面が平らになって楽だと思うんですけども。手首は可動指タイプの物が付属。バックパックは、テールスタビライザーが可動。フィンがちゃんと付いてるのが目を引きます。武装は、ビームライフル、ビームサーベル、シールドが付属します。

 シールド裏にはライフルを収納可能。グリップの取り付け穴と同径の穴が左右に有り、これ、ひょっとしてBWSを発売する予定が有ったんじゃないでしょうか?機体下面に接続するのに使えそうなんですけど。結果的にBクラブからレジンキットが発売されるに留まりましたが、設定通り(あるいはそれ以上)にスネが大きく、バックパックが高い位置にある事等から、HGUCよりも若干大きいBWSだったんじゃないかと想像しています。機会があれば実物を見てみたいものです。


 2008.2.5 健 竹史

  

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