健さんの
プラモコラム


その230
 HG ガンダムヴァーチェの巻

(HG 1/144 ガンダムヴァーチェ/
 GN−005 ガンダムヴァーチェ/バンダイ
 「機動戦士ガンダム00」に登場)



 「驚愕のギミックが隠されている」という触れ込みで、ずいぶん焦らされたヴァーチェが、ようやくHGで発売です。GNフィールドの展開とか、プトレマイオスの電源になったりとか、待たせてる間も設定を小出しにして飽きさせませんでしたね。そして秘密の解禁と同時にキット発売。実にいいタイミングです。



 結局、一番自然な「装甲が外れる」というギミックでしたね。「逆に増加装甲が付くんじゃないか」とか「背中とスネの箱はコンテナで、びっくりどっきりガンダムが出てくるんじゃないか」なんて予想もしてたんですけども。自然と言いつつも、抜け番号だった「GN−004」が、中身の機体に与えられた物だったというのは意外でした。

 いずれピンチになったナドレが装甲を脱ぎ捨てると、そこには真の主役機・ダブルオーガンダムの姿が・・・なんて事になりますかどうかは今後のお楽しみ!(痩せすぎだってば!)では、キットに目を通していきましょう。



 頭部は、目とアゴの赤いパーツを左右分割のヘルメットでハサミ込み。マスクは事前に組み付けておく様に指示されていますが、アンテナを取り付ける直前でも問題ありません。頭頂部カメラはアンテナと一体成形でハメ込む方式。今回は、どのガンダムも塗装しやすさを意識してある様に思います。チョンマゲカバーは別パーツ化。後頭部のコブは左右からの取り付けで、側頭部のクリアーパーツの押さえを兼ねています。

 ボディは、前後貼り合せのボディフレームに、ワキ腹の赤パーツや、胸のGNドライブを取り付ける構成。胸両脇のユニットは前に引き出す様にスイング可動しますが、ボディフレームの前からハメ込んでから、GNドライブを押さえパーツとして利用。事前にハサミ込む必要の無い構成となっています。上手く考えてありますね。



 GNドライブの中央にはクリアーパーツを使用。腕や側頭部の丸モールドも含めて、内側に貼るシールが用意されています。GNドライブのカバーハッチは、GNバズーカを直結出来るようヒンジで開閉。ここも後ハメ出来る様になっていて、ギミックが多いにも関わらず、塗装派にとっても組みやすいボディとなっています。

 肩関節軸は、胸脇ユニットの外側からC字形のヒンジをハメ込む方式で取付け。上方向にスイング可能です。

 ウエストは、ポリキャップ内蔵で360度回転。上に引き出してやれば、若干の前後スイングも可能です。ウエストと腰の間には仕切り板が入っているんですが、これは腰サイドユニットとのスキマを塞いでスカスカ感を無くすための物でしょうか?中にガンダムナドレが隠れていると判明したので、この板は無くても良かったかも知れません。



バズーカを地面に立てた時、ちょうどそのまま握れる高さにグリップが付いています。

 です。フロントスカートは左右一体で可動、切り離せばボールジョイントで独立可動させる事も出来る、今ではおなじみの仕様です。リアスカートは固定式で、ノズル(?)は別パーツ化。股関節軸は、他の3機のガンダムの様なボールスイング式の物ではなく、フンドシの下半分ごと前後スイングする、HGスターゲイザーシリーズFGに近い仕組みの物となっています。大型の機体なので、荷重を考えると妥当な判断でしょう。

 腰サイドユニットは、箱状にワンパーツ成形された本体に、前側からフタをする構成。色分けと同時に、ポリキャップを閉じ込める様な仕組みになっています。リアスカート側のピンを、このポリキャップに通してユニットを固定、ユニットはサイドスカートの様に左右スイング可能となっています。フタ側から短いピンが出ていて、この先にポリキャップを差し込んでユニット奥に押し込む組み立てなので、狭くても組み難さを感じさせません。



 成形方向の都合から、ユニット後部のダクトが半分欠けた様な造形になっているのが残念です。フタを後ろ側から仕込めば再現度が上がったんでしょうけども、色分けを優先したという事でしょうか。せっかくなので、ダクトも別パーツにして、完全に塞いであればベストでしたね。

 です。モモは、ABSのヒザ関節パーツをハサミ込んでの左右貼り合わせ。ヒザ関節の下側は、左右分割のパーツでハサミ込んであり、ここでも可動します。このパーツは一見するとフレームパーツに見えますが、ナドレのヒザアーマーに近い外観にしてあります。側面を一部切り欠いてあるのは、ビームサーベルをセットする突起を付けるため。前側は完全に隠れるのに、さりげなく凝ってますね。



 スネは、(ナドレの)ヒザ関節足首関節をハサミ込んでの前後貼り合わせ。実機のアーマーの分割ラインを、そのまま活かした構成となっています。スネ側面のGNフィールド発生装置は、本体とフタの2パーツ構成。フタパーツを引き出せば設定通りの展開が可能で、フタパーツの延長として、内部メカも再現されています。上下には抜け防止のツメが仕込んであり、中央にはSEEDコレクションシリーズの球形ポリキャップを使用、筒状のガイドの中をスライドする事で、ガタつきを防いでいます。



 足首関節は、上が前後可動するABSの特大軸関節、下がクツに仕込んだボールジョイントの二重関節。上側は、可動軸のを活かしてメカっぽく処理してありますが、ナドレのクルブシを意識した訳では無いようです。

 足首アーマーはヒンジで可動。ヒンジは、スネにハサミ込んだ足首関節基部パーツから伸びています。ちょっと薄い印象に見えてしまっているかも知れません。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにアクションベースは付属していません。

 足首は、足の甲、クツ、足裏を縦に重ねる構成。FGを買った人は、二重になっている足裏パターンを見て、スリムなガンダムが装甲を着込んでいる事に気付いていたと思いますが、HGの足裏パターンからはナドレの存在がバレない様になっているんですね。ナドレとヴァーチェの30センチの身長差は、足裏を覆う装甲の厚み分だったという事なんでしょう。FGの足裏は、足裏パターンの再現よりも、ファンサービス(良い意味でのネタばらし)を選んだという事ですかね。



 肩アーマーは、肩ブロックをハサミ込んでの前後貼り合わせ。可能な限りディテールを避けてパーティングラインを通してありますが、さすがに側面は避けきれていません。キットでは成形方向の都合から凹の段差で表現してありますが、設定では凸モールドにも見えるので、根気良くパテで修正するよりも、パーツを貼って塞いでしまうのも良いかも知れません。



 です。上腕は筒状にワンパーツ成形。肩ブロックのコブに少しかかる位置でヒネれる様になっています。ヒジは、関節パーツの後ろに、プラ製のケーブルパーツを組み合わせる構成。このケーブルは軟質でなくても可動に支障なく、他にはモモ表面等の体に密着したケーブルしか無いため、今回はゴム製のパーツは使われていません。ケーブルパーツは、ヒジ関節パーツと一緒に上腕の軸を通し、しっかり固定されています。



 前腕は、フレームパーツをハサミ込んでの前後貼り合わせ。前部の丸モールドにはクリアーパーツを使用しています。フレームはワンパーツ成形で、ポリキャップも閉じ込めていない簡単な物ですが、明らかにナドレの腕を意識していますね。成形方向の都合からヒジ横に丸モールドも有りませんし、スペースの都合で角ばっていますけれども。このためだけに、他のガンダムには使われていない手首関節用のポリキャップが仕込んであったりします。



 手首は、左右とも穴開きゲンコツが付属します。

 バックパックです。本体部分は2パーツ貼り合わせ。背中のコブの中央の穴を使って着脱可能です。アームは各部にポリキャップを使ってあり、回転と上へのスイングが可能。若干後ろに反らせる事も出来ます。ポリキャップの選択が適切で、基部もアームも後ハメ出来る様になっているのが嬉しいですね。



FGのGNバズーカ(右)も持たせてみました。

 武装です。GNキャノンは、背中のアームを動かして射撃体勢に変形可能。伸縮ギミックは砲身の途中にに段差を付け、ムキ出しにならない奥の部分だけでガイドさせ、露出する部分に塗った色がハゲにくい様に、クリアランスを多めに取る配慮が施されています。砲身の奥もキツキツではなく、2門並んでいる事を利用してツナギ部分だけでテンションを受け持っている様です。



 GNフィールド発生装置は、スネの物と同様に球体ポリキャップとツメで展開可能、アームとの接続部分にも球体ポリキャップを使ってあります。ここから取り外し、手に持って使う事も可能。裏面からはグリップを引き出す事が出来る様になっています。ちょっと手の甲が外れやすい持ち方ですが、珍しいシルエットで面白い武器だと思います。



 GNバズーカは、機関部と外装の二重構造で、平均的なMGキットの武器よりも凝った作りになっています。外装は基本的に上下から一体成形、下部前側は左右分割ですが接着ラインが目立たず、スライド展開しても内側にハメ込みピンは見えません。センサー部は外装の切り欠きから内部メカが露出する形で再現、フックは別パーツ化と、とても親切な構成です。外観上気になるのは、グリップを前後スライドするレールから、向こう側が筒抜けに見えてしまう事くらい(!)ですね。つまり機関部がカラッポなんですけど。



FGヴァーチェ付属のGNバズーカ(下)との比較。

 グリップは角度が変更可能。2個付いていて、左右と下の3箇所のうち2箇所に、構え方に応じて付け替えます。キュリオスでもグリップが着脱式でしたが、近い運用方法ですね。手にとって遊ぶ場合を考えても、グリップ単品をゲンコツに握らせてから特大バズーカに接続出来るので、楽に着脱出来てストレスが有りません。

 バーストモードへの変形は、砲身の下アゴを斜めに引き降ろし、内部のレールを引き出してやります。説明書の手順ではそうなっていますが、レールはアゴが閉じた状態で引き出すと、ギザギザが噛み合っているので上下同時に引き出せて簡単です。グリップは側面に取り付け、左右に広げて持たせます。ヴァーチェの視界を遮ると不自然なので、フックは畳んでやりましょう。スッキリまとまっていますが、百式メガバズーカランチャーに負けない変形武器の傑作だと思いますよ。



 GNビームサーベルは、スライド金型を使ってワンパーツ成形。HGデュナメスHGキュリオスでは、ツバの部分が別パーツ化された2パーツ構成でしたが、今回はヒザの裏から抜き取って使うので、ワンパーツの方がツバが外れてヒザ内部に残る心配が無くて安心ですね。



 クリアーのビーム刃は、平たい形状をしたOOシリーズのガンダム共通の物が2本付属。待ち望んでいた純正品ビーム刃が、ようやく手に入る様になりました。・・・しかしGNビームダガー用の短いビーム刃は含まれず。こちらは、もうちょっとおあずけの様ですね。



FGヴァーチェ(右)との比較。FGが設定通りの全高で、HGは数ミリ大きい様ですね。背中のGNキャノンも、HGの方が若干大きくなっています。

 組立時間は1時間20分でした。多彩なギミックが有りながら、ストレスなく組めてストレスなく遊べる、とても良く出来たキットだと思います。アーマーが分離してナドレにならない事を不満に思う方もおられるでしょうが、腕を分解してみれば、この細さの腕を仕込まなくて正解だったと、多くの方が感じられるんじゃないでしょうか。極太の足首関節も、エクシア並に細い関節に置き換わってしまう訳ですし。

 特大の武器を余裕で構えられるキットを楽しみながら、いずれ発売されるであろうナドレを待ちたいと思います。


 おまけ

 FGガンダムヴァーチェも、併せて紹介しておきましょう。頭部は、顔をハサミ込んでの左右貼り合わせ。横からの成形を活かして、デザイン画バージョンの画稿機動戦士ガンダム00 Meister's Missionに収録)にある、チョンマゲの切れ込みを追加してあります。これはHGには無い要素です。



 ボディは、リアスカートやサイドユニットまで一体成形で、前後貼り合わせの構成。GNドライブのカバーも一体のため、カバーの下が埋まった状態で造形してあります。胸両脇のユニットは前後スイング。横から成形してある都合で、ダクトの内側の囲いが省略されています。コクピットハッチは、もっと六角形に近い形だと良かったと思います。開閉するHGではスキマを気にする必要が有ったかも知れませんが、FGは無可動ですし。

 フロントスカートと一体のセンターアーマーは、前からハメ込み。股関節はFG共通ポリキャップで前後スイング、別売りの飾り台にも対応します。腰サイドユニットは色分けされていない代わりに、HGで一部省略されていた後部ダクトのフィンを完全再現してあります。



 脚です。モモは左右貼り合わせ。スネはパネルラインを活かした前後貼り合わせとなっています。ヒザ関節は、外装の太さのために一体成形に出来ず、FGでは珍しく単独パーツを採用。ポリキャップ自体は他のFGと共通で、後ハメ可能です。足首は、足裏にナドレの足首が隠れています。ナドレの発売を待てない人は、ヴァーチェの部分を丁寧に削り落とせば、スクラッチする手間が少し軽減されるかも。

 肩アーマーは前後分割。上腕・前腕とも2パーツ貼り合わせで、前腕は丸モールドの中央を避けて分割してあります。



 バックパックは着脱可能。後部のフィンは、HGでは開いた状態でスキマを設けて造形してありますが、FGでは閉じた状態にしてあります。アームは無可動で、裏面は肉抜きしてあります。GNキャノンはボールジョイントで接続してあり、引き出せば若干のヒネリが可能です。本体裏面は肉抜きしてありますが、砲身は別パーツ化し、しっかり再現してあります。

 武装は、GNバズーカが付属します。左右貼り合わせ+左側面のグリップの3パーツ構成で、バーストモードへの変形や両手持ちは不可能ですが、グリップのスライドギミックが無いため、機関部の外観はHGよりも良好です。上部フックは補強のため余剰部分を追加してあるので、削り落としてやっても良いでしょう。ボリュームはHGと同等。下面のグリップには角度が付けてあるので、肩に担いで持たせる事も可能です。



二重になった足裏に注目。こんな所にナドレが隠れています。
(「別売のアクションベースを使用しています。このキットにアクションベースは付属していません。)


 組立時間は25分でした。FG4種のパッケージを並べると、地球とプトレマイオスを描いた背景がつながって一枚の絵になるんですが、箱の厚みが全然違うので表面がキレイに揃わないという、そんな重量級モデルなのでありました。安価ですがボリューム感は堪能出来ると思いますよ。



 ところでランナー記号ですが、「A1、A2、B1、B2」というのは、金型ごとの呼び名で管理したいメーカーの気持ちも分かるんですが、「A1−2」とか「A2−1」とか数字が2度出てきて紛らわしいので、「A、B、C、D」にした方がスッキリして良いと思います。「切り離す前は1枚のランナーだった」なんて事情はユーザーには関係なく、ましてや初心者は生産プロセスの事に思いをめぐらす余裕も無いと思いますし。初心者に優しいFGならば、部品番号は短くするのが親切だと思いますが、どうでしょうか。

2007.12.19 健 竹史


  

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