健さんの
プラモコラム


その223
 HGUC ヤクトドーガの巻

(HGUC 1/144 ヤクトドーガ/
 MSN−03 ヤクトドーガ ギュネイ・ガス専用機/
 MSN−03 ヤクトドーガ クェス・エア専用機/バンダイ
 「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に登場)



 HGUCでも、ようやく「逆襲のシャア」がスタートです。当初はファースト〜ZZ辺りまでなどと言われていた時期もありましたが、やってくれると信じてましたよ。信じて・・・まず行動に移した事と言えば、作りかけだった1/144νガンダムの製作をストップしたりとかですね・・・(失笑)。1/144νガンダム、可動拡大と固定ポーズの2つも作りかけが有ったりするんですが。スミマセン根気が無くて。

 時代の近いガンダムUC(ユニコーン)の展開に関連して、やるなら今、という事なんでしょうね。では、早速目を通していきましょう。



 頭部は、ヘルメットの下にぶら下がる様な形で可動式のモノアイを内蔵。左右に動かす時には、マスクを取り外してやります。モノアイスリットにクリアーパーツはハメ込まれていません。正面が見にくい配置だなぁ、と長年思ってましたが、額にもカメラが有るようですね。キットではほとんど三角形になってますけど、ガンダムの頭頂部カメラの様な台形になってると、よりイメージに近かったと思います。

 アンテナは、ギュネイ機とクェス機で長さの異なる物が付属します。(クェス機は飾りツノだそうですが。)鳥の様な顔をしてますし、トサカの違いで雄・雌をイメージしてあるんでしょうか。ヘルメットやマスクもそれぞれ専用のパーツとなっています。ギュネイ機のアンテナは太さの変化と言うよりも折れ曲がっている様に見え、設定とは多少異なった印象を受けますね。下のアンテナは角ばっていますが、旧キットの様な丸ロッド型がイメージに近い気がしますが、どうでしょうか?



 は、頭部との接続部がボールジョイントで可動、首パーツ自体も上に大きく起き上がり、飛行ポーズに対応します。MGνガンダムにも同様のギミックが有りましたが、それを意識した物でしょうか?首の前面にはスジ彫りが入っていますが、これは実際はギラドーガの様なダクト(クチバシ)のディテールなんでしょうね。



 首の動力パイプは、エリの内側に固定されています。後頭部に繋がっている様に見えないのが残念ですが、首の可動を優先したのは正解でしょう。前側は可動式のハッチカバーの中へと繋がっているので、カバー表面でパイプをブツ切りにするのではなく、それらしい表現が有っても良かったかも知れません。

 (しかし、人が乗り降りするために幅5メートルの扉が開閉しなくても・・・と思うんですけども。メンテナンスにも使われているのかな?)



 ボディです。胸は、ウエストまで一体のボディフレームに外装を被せていく構成。00の影響で、胸の両脇が別パーツになっていると、つい前後可動しそうな気がしてしまいますが、今回は固定です。肩関節軸は二軸式で前後と上に可動。下へは下がらない様にストッパーが設けてありますが、念のための荷重対策でしょうか?ファンネルを射出状態でディスプレイしますからね。

 ウエストは、左右スイングのみ可能。前後のフンドシに固定された動力パイプには干渉せず、360度の回転が可能です。



収納状態のサーベル。向きからすると、右手で取り出すのに適している様に思います。

 です。フロントスカートは左右独立してボールジョイントで可動。サイドスカートはポリキャップで2軸可動します。バーニアは2基一体で成形。こだわりたい人は切り離して、つなぎ部分を削り落としても良いでしょう。左サイドスカートはサーベルラックになっていて、キットでも収納可能。ただし、装甲を取り外して取り出す様になっています。設定ではスライドして下がるんですが、差し替え式で再現出来る様になっていたら嬉しかったですね。リアスカートは固定式となっています。

 です。モモはABS製のヒザ関節パーツをハサミ込んで前後貼り合せ。左右共通パーツになっていて、ポリキャップと股関節メカパーツの取り付け方向を変える事で、左右それぞれの脚になります。ベースになったギラドーガは左右に違いが有るんですけどね。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにアクションベースは付属していません。

 ヒザは、関節パーツをスネフレームでハサミ込む一軸関節。スネは、左右と前面に3分割されています。ヒザ下のスラスターは前面パーツと一体成形。ちょっと小さかったかも知れませんね。スソの内側には補強のディテールが入っていて、飛行ポーズで飾る時に丸見えになっても精密感を損ないません。スソ内部のバーニアは、スライド金型を使ってワンパーツ成形。取り付け用の突起も構造物に見える様に処理してあります。

 足首は、足裏パーツにクツ・ツマ先・先端のスラスターを取り付ける構成。メカ部分が引き出せる様になっているため、前後方向の接地性が向上しています。足の甲を縦方向に成形したお陰で、シリンダーは旧キットよりもシャープな造形。面に対してやや傾けて配置してある点も芸コマですね。



 カカトは左右スイングのクリアランスに配慮したのか、設定や旧キットよりも幅広です。ヤクトドーガはツマ先に対してカカトがスリムなデザインですが、キットではあまり差が無くなっていますね。アレンジ後の幅に対して違和感の無い様に足裏パターンを変更したのか、カカト側のスパイクはスベリ止めに変更されています。

 ツマ先のスラスターは、設定よりも鋭角的な造形。裏側はフィンの様に肉抜きされています。あまり厚みの無い部分ですが、コロニー内などではインテイクとして機能するとか、被弾しにくい部分にダクトを配置した設計とか考えれば、有り得ない解釈では無いかも知れません。

 肩アーマーはワンパーツ成形で、肩ブロックの上から被せる様に固定。形状的には、ちょっと丸みを持たせ過ぎでしょうか?絵によっては上面はあまり丸みを帯びていない印象なので、MGが発売されるならば、バーニアを覆うふくらみも含めて、丸くかわいらしいラインにならない様にしてはどうかと思います。



左からシールド、ファンネル、ビームサーベル。ビーム刃は長短2種付属します。

 肩のシールドはボールジョイントで可動。裏面もパーツ化されて厚みを再現してあります。シールドと言いながら、実際はスラスターユニットであり、ファンネル再チャージも行ってるでしょうからね。裏面パーツの一部が表面に露出する形でスラスターが色分けされてますが、そのため肝心のスラスター裏が一番薄いという妙な事になってます(笑)。先端のミサイルも裏面パーツと一体成形です。

 です。脇の下に間隔が開いたデザインのため、には大き目の内部メカを内蔵。肩シールドに隠れて見えにくいものの、MGに近い印象です。肩前部のバーニアも、アーマーではなく内部メカに固定されています。



 上腕は、内側の動力パイプと一体のフレームに外装を被せ、肩からの可動軸にハメ込む構成。外側のパイプは、旧1/144キットではヒジのすぐ上から生えている解釈でしたが、今回は肩から前腕まで完全に露出しているという解釈。肩と上腕の間にハサミ込む形で固定されています。解釈としては旧キットの方が自然に思えますが、上腕を細く見せる効果が有りカッコ良くなっていると思います。

 ヒジは、上腕フレームを前腕フレームでハサミ込んだABS関節。前腕の外装は、設定に有るパネルラインを活かして2分割されています。袖部分の外装は筒状に成形され、内側にはそれらしいモールドを追加。袖に大きく角度が付いたデザインですが、手首の取付面自体はあまり傾いておらず、意外にもライフルを自然に持たせる事が出来ます。左右とも腕の甲にはハードポイントを内蔵。シールドの取付けピンはフレームに直結し、しっかり保持されます。



 手首は、左右のリアルなゲンコツと、武器持ち用の右手が付属します。どちらも保持力は十分で、簡単に外れる事はありません。武器持ち用の右手は、一旦分解してからライフルを持たせますが、グリップに突起が付けてあり、手の平の穴に差し込んで保持する様になっています。武器を構えにくいデザインのために用心したのか、今後のスタンダードになるのか分かりませんが、おかげで安定感は抜群です。

 バックパックは、2パーツ貼り合せの本体にバーニアを取り付けるシンプルな構成。筒状のプロペラントタンクの側面は、中心を避けて円のフチでパーツ分割してあります。下の2基のバーニアは、ポリキャップで前後可動。背中から取り外す事も出来ますが、この着脱部にもポリキャップを使用、コネクターのディテールが入っています。



 武装です。火器はそれぞれ専用の物が付属します。ギュネイ機のビームアサルトライフルは、左右貼り合せの本体に銃口・後部フック・スコープと一体成形のグレネードランチャー・グレネードの先端というパーツ構成。スコープのセンサー面はスライド金型でモールドが入れてあります。後部フックは可動式。その前のスリットモールドがフックから離れた位置に変更されている等、意図的に行ったらしいアレンジが各部に見られます。



 クェス機のメガガトリングガン(ビームガトリングガン)は、左右貼り合せの本体にフォアグリップをハサミ込み、銃口、センサー前部、左右に張り出したユニットを取り付ける構成。元デザインでは「手が滑って狙いが定まらないんじゃないかな?」と気になっていた丸いグリップは角ばった一般的な形状に変更、それに合わせたのか、後部のラインも丸みの無い形にアレンジされています。まぁ、サーベルも丸棒ですし、エネルギーを供給するためのコネクターで手の平とは繋がっているとは思うんですけれども。左右の張り出しはエネルギーカートリッジか冷却材かと思いましたが、ニュータイプ100%コレクションでは、「回転による反動を打ち消す装置であると思われる」と解説されています。



 ビームサーベルは、グリップに平行してヒートナイフを装着した物を装備。設定ではナイフは着脱式となっていますが、キットでは一体成形。ただし、収納の都合で刃の部分が取り外し式となっています。左腰に1本のみ装備。劇中では左手で使っており(右手でも使ったかは未確認)、完成見本でもそうなっています。



 ビーム刃は単独のランナーで、長短2種が1本ずつセットになった物が付属。と言っても、どちらも長めで1センチ程度しか差が無く、好みに合わせて使います。それで思い出しましたが、この時期のサーベルは消費エネルギーをセーブして、斬り付ける瞬間だけビーム長さが最大になるよう調整されていたんでしたね。待機状態の短いビームも付属させて欲しかったですね。

 シールドは、表と裏にパーツを貼り込む3パーツ構成。裏面も設定に忠実に再現・・・して有るんですけど、4つの丸モールドは、表にあるメガ粒子砲の機関部ですよね。もう少し大きめに配置してあれば、砲口の真裏に来る事になって説得力が増したと思います。旧キットよりも力強い曲面で盛り上がる中央部とか、ちゃんと手に合いそうなサイズに切り抜かれた持ち手など、形は良く出来ていると思います。



 ファンネルは、3基一体で成形されていて、肩シールドからの着脱が可能。後部は空洞になっていますから、バーニアっぽい丸パーツを仕込んでやっても良いかも知れません。射出状態の物も6基付属、軟質クリアー棒を差し込んで肩シールドに取り付ければ、劇中のオールレンジ攻撃を再現出来ます。

 実際はカバーを展開したファンネル後部には前進用のバーニアだけでなく、上下左右に移動するためのバーニアも付いているんですが、軟質クリア棒の直径に合わせて設計してあるため、大幅に省略されています。こだわりたい人は、手を加えてみても良いかも知れません。



 飾り台は付属しませんが、フンドシ下にはポリキャップが仕込んであり、別売のアクションベースに対応します。フタパーツにはツメが付けてあり、取り外しやすくなっています。

 組立時間は、ギュネイ機が1時間20分、クェス機が1時間でした。ほとんど同じ構成ですが、慣れたら時間も縮まった様です。HGUCドムHGUCゲルググでは1/100クラス用のポリキャップが使われていましたが、今回はHGUCでは定番のPC−123プラス。それだけABS関節の割合が高くなっているという事なんでしょうね。



旧1/144キット(右)との比較。ハの字カットされた肩がカッコイイのです。

 ところで、ムック本でしか確認していないんですが、ギュネイ機の機体色は、劇中ではほとんど青色の様です。レズン機とイメージが被るのは面白くありませんが、設定画の配色だけでなく、作品にももう一度目を通してみて、自分なりの色で塗装してみるのも良いかも知れませんね。


 おまけ


 この機会に、旧1/144キットも簡単に紹介しておきましょう。頭部はHGの方がカッコ良く感じますが、アレンジを加えなければこんな感じかな?という造形。ヘルメットに馴染み過ぎない仮面の様なフェイスの造形や、正面から見たモノアイスリットの形状、ちゃんと頭につながっている動力パイプ等、設定に忠実に作られています。ギュネイ機のアンテナは形状・長さとも良い感じで、HGUCに移植しようかな?と思ってしまいます。



 ボディは、肩からフンドシまで一体成形。昔のキットはウエストが回転しないだけでなく、分割されてないので、この頃まではウエスト周辺の精密感がイマイチの場合が多かったんですが、逆襲のシャアシリーズではスカート類が可動するキットが登場し始めています。ヤクトドーガではサイドスカートとフロントスカートが一体成形。腰の横から差し込む構成で可動します。HGUCでは行っていない、リアスカートの可動も盛り込んであります。腹部動力パイプは細くて造形もイマイチで迫力に欠けますが、説明書の図解通りに(これが公式イラストなのかは良く分かりませんが)背中に接続。HGUCは可動を優先してアレンジを加えてあるのだろうと思います。



 脚は基本的にモナカ割りで、モモ・スネ・足首を後ハメ可能な構成。塗装派に優しいブロックビルドアップ方式ですね。(塗装派なんて言葉もいろプラ以前には無かったと思いますが:笑)モモにはビス締めを採用。スネ内部の、お椀の様なバーニアが泣かせます。ピンで横に差し込んであるため、バーニアが見える時には真横にハメ込みピンも見えてしまうんですね。



 腕は、脇の下にカバーパーツを仕込んで肩関節軸を隠すという芸の細かさ。HGUCでは同じ位置にダクトの様な表現がありますが、ここに詰め物をする事自体、旧キットへのオマージュなのでは?と思いました。ヒジは後ハメ可能で、同シリーズの他のキットはここでヒネる事が出来るんですが、ヤクトドーガの場合は動力パイプが通っているためヒネれなくなっています。角度の付いた手首と相まって、ライフルを構えにくい要因になっていますね。ヒジのシリンダーはアーマーから大きく離れ、スカスカな印象になってしまっていますが、これは造形センスの問題ではなく、ヒジを曲げる時に動力パイプの干渉を避けるための措置みたいです。



 武装は、ギュネイ機・クェス機それぞれの火器と、使用状態のビームライフル、シールドが付属。ファンネルは展開状態の物は付属しませんが、1基ずつパーツ化されていて、着脱が可能です。

 ところで、バーニアの成形色が昔は赤、今は黒になっているのが面白いですね。赤は内側の色。当時は「色を塗らなくてもこんなにカラフル」と謳いながらも、「赤の上に黒を塗る方が楽」という塗装への配慮が有ったんでしょう。今は無塗装でのイメージを優先して、黒で成形する方が親切であると、配慮のあり方も変わってきたのだと思います。



 逆襲のシャアシリーズは「いろプラ」と「スナップフィット」が本格的に導入されたシリーズで、今改めて見ると苦心の後が伺えますね。大きな進歩を遂げた今のキットも凄いですが、技術的(それから価格的にも)な制約が大きかった時代に、これを作った人たちも凄いと思います。完成状態を比べるだけでなく、機会があれば、モナカ割りのパーツばかりでほとんど平らなランナーを、今のランナーと並べてみて下さい。また違った感動が有るかも知れませんよ。

2007.11.4 健 竹史


  

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