健さんの
プラモコラム


その196
 1/20 ルナポーンの巻

(1/20 ルナポーン/
 AFSSA E3C/E3CB ルナポーン/WAVE
 「マシ−ネンクリーガー」に登場)



 ファイアーボールSGラプター等々、WAVEからマシーネンクリーガーのキットが発売される度に、「紹介すべきかなー?どうかなー?」と思いつつ見送ってきましたが、これは紹介しておかなくてはならないでしょう。これまでの様な日東の既存キット+追加パーツによるバリエーションではなく、完全新作、しかもスナップフィット仕様のルナポーンであります。

 この機体は傭兵軍のAFS(アーマードファイティングスーツ)の月面仕様バリエーションなので、これまでの様に既存キットを利用する事も可能だったと思うんですが、あえて完全新作に踏み切った点を高く評価したいですね。また、フォーマットが一新された事によって、これまでに無い魅力を持ったキットになっています。マシーネンを作った事の無い人も、知らないという人も、どうぞお付き合い下さいませませ。



 ヘルメットは前後分割で、キャノピーは色の付いていないクリアーパーツを内側から取り付け。クリアーパーツを接着剤で汚す心配が無いというのは、やはり嬉しいものですね。視界が広くパイロットの顔が良く見えるので、フィギュアの頭部は幾つか予備を入れておいて欲しかったですね。

 これは日東キットの頃からの悩みでして、PKA(パンツァーカンプアンツーク:敵シュトラール軍の戦闘スーツ)を勢いで10個以上も買ってしまったのにパイロットは同じ顔、同じ表情の物しか付いておらず、完成した暁には(完成すればですが:笑)クローン部隊みたいになってしまうんじゃないかと心配になってきます。幸いこのルナポーンは宇宙で使う物ですし、濃い目のスモークでキャノピーを塗装して、ごまかしてしまっても良いと思いますが。フィギュアは厚肉になるのを避けるため、後頭部の真ん中が別パーツになっています。



 ボディは、左右を貼り合せてから前面と背中のパーツを取り付けるため、接着ラインが目立ちにくくなっています。側面のパイプタンク、サイドスカート基部は別パーツ。タンクを取り付けるハメ込み穴は、1箇所ピンバイス等で開けてやる必要が有ります。裏からギリギリまでクボミを作ってありますし、100円ショップでもドリルが買える時代なので、初心者にとっても問題無いでしょう。(スケールモデルでは時々見かける作業ですし。)これはタンクが付かないバリエーションの発売に対応した措置だと思います。(早く発売して下さいね。スネークアイも待ってますよ〜!)



 フロントとリアのスカートは、ボディにハサミ込み。サイドスカートは可動式ですが、主に内側に動くのに適したヒンジの様で、あまり外に向けて動かさない方が良さそうです。はポリキャップで前後左右に可動。当時からのファンには懐かしい円筒形のポリキャップですが、他の可動箇所には色んな形の専用ポリキャップが用意されています。

 股関節は、フンドシの左右に股関節軸を設けてボールジョイントで可動。ガンプラでは見慣れた構成ですが、日東のキットではウエストにY字形の股関節パーツが直結していたため、フンドシがパーツ化された事自体がちょっぴり新鮮ですね。今回の関節パーツはポリ製で、モコモコした関節カバーの形をワンパーツで成形。モモとの接続はハサミ込み式で、ここでもヒネる事が出来ます。

感慨深いフンドシとの対面。この感動は・・・そうです、日東の妖怪シリーズ「ねずみ男」にて珍宝がパーツ化されて以来の事ではないでせうか。え?感動しませんかそうですか。

 ヒザは二重関節で、やはり関節カバーを表現したポリパーツを採用。左右貼り合せのモモとスネにハサミ込んでやります。ヒザアーマーもハサミ込み式。ヒザアーマーの可動範囲は日東のキットよりも狭くなっていますが十分で、むしろスネとのスキマが小さくなっていて良いんじゃないでしょうか。ヒザ横の動力パイプはポリ製で、カーブを付けて成形してあります。スネパーツの内側から通しておいて、サイドスカート基部の内側に差し込んでやります。日東のキットではコイルスプリングを使っていましたが、海の近くに住んでるとサビるんですよ。(適度なサビは、また良い味を出してくれるんですケド。)ポリパーツの採用には賛否両論あるかも知れませんが、組立ての簡単さ以外に、サビないメリットが有るというのは、地域によっては嬉しいポイントですね。



足首関節は、上が軸可動、下がボール可動の二重関節。足首は、ボールジョイントのピンをはさんで左右貼り合せ。足裏は別パーツ化されています。作品中で近年多用される様になったツマ先が可動する様な解釈(キットは可動しません)が反映されているため、足裏パターンは日東キットの物を基本としながらも、前後が区切られたデザインに変更されています。アキレス腱の辺りには本来のデザインではケーブルが通っているんですが、このキットでは省略されたのか、こういう機体も有ったという解釈なのか、再現されていません。本来のデザインの物が欲しいという人は、パーツ裏にクボミが作ってあるので、ピンバイスで穴を開けてリード線を通せばOKです。

保持力が高いため安定が良く、片足でも立てるので、走るポーズなども試してみましょう。

 肩アーマーは、日東のキットではヒンジ部分をボディ側の切り欠きに差し込むだけでしたが、今回は抜け止めが付いて外れなくなりました。肩関節はポリ製の関節カバーがボールジョイントの軸受けになっていて良く動きます。可動範囲を広げるためにスキマが出来てしまっていますが、「関節を固定してエポキシパテで作り直すのが好き」というディスプレイ嗜好の人も、1体くらいは無改造で組んで可動を楽しむと良いと思います。

日東のAFS Mk−T(右:塗装してあります)との比較。ボディ幅がスリムになり、足幅が広くなっています。

 ヒジは、やはり上が軸可動、下がボール可動の二重関節。良く動くというだけでなく、後ハメ出来るのも嬉しいですね。右腕マニュピレーターを装備。手首関節はボールジョイントでグリグリ可動、指は半開きで表情豊かです。手の平と親指、残り4本の指と手の甲を一体成形する事で、手の甲のパワーマウント(って何?)を、手の甲のモールドの一部として成形。ここは日東のキットでも位置が決まりにくい部分でしたので、一体化してあるのは嬉しいですね。



 左腕エクサイマーレーザーを装備。先端が別パーツになっているので、装備違いのバリエーションにも今後対応可能ですね。右腕・左腕とも、ケーブルが省略されていますが、足首同様、パーツ裏のクボミをピンバイスで貫通させてやれば、リード線を通す穴を正しい位置に開ける事が出来ます。

 もっとも、原作者の横山先生本人によるパッケージイラストでもケーブルは省略されており、「こういう機体も有った事にしよう」あるいは「お手軽でも徹底再現でも、好きな様に作ればよろしい」の様な、ありがたいお言葉が聞こえてくる様であります。別の可能性としては「テストショットを見ながらイラストを描いたら、描き忘れてしもうたー」という事も考えられなくも無かったりしちゃったりとか?!えー、何も事情を知らないまま想像で書いてますが。

 日東キットの組立説明書のパーツリスト、塗装カード裏・表。パーツリストはランナー配置図ではなく、組立時の配置を示す分解図になっていて、別ページには各パーツの実機における名称が解説してありました。MGの解説ページにある様な各部の名称解説を、全パーツに対してやっている様な感じです。

 塗装カードは部隊やパイロットについての希少な情報源でした。って言うか、プラモがメディアそのものだった訳です。ガンダムのMSVに近い感覚ですね。紹介されるパイロットは豪傑から変人まで幅広く、新作キットが出る度に、珍妙なエピソードに笑わせてもらいました。

 裏面は実機の内部図解。軍の機密文書という体裁で、傭兵軍の物は英語、敵対するシュトラール軍の物はドイツ語で書かれていました。パッケージ横の機体解説も、下箱に英訳(独訳)して掲載。この非常に凝った商品仕様はWAVE等の製品にも引き継がれていました。今回採用されなかったのが残念ではありますが、よりリーズナブルに商品を提供しようという試みなのでしょうね。

 組立時間は1時間程度でした。溶接跡までモールドされていた日東のキットに比べると、ディテールはあっさりとしていますが、これで十分なのだろうとも思います。可動範囲の広さが売り物ですが、実際手にとってみないと分からないのが保持力の高さですね。片足で立てるというのは良く動くだけではダメでして、そこで保持出来ないと倒れてしまいます。ガンプラの様に組めて、ガンプラの様に遊べる、マシーネンにそんな時代が来ようとは!ちょっと新鮮な感動でした。

 それから、ハメ込み穴六角形になっているのが印象的でした。後で分解したい人はハメ込みピンを適度に短く切っておいた方が良いとは思いますが、丸いピンが六角形の穴に点で接触するので、ガンプラほどハメ込みがキツくありません。これは「いつか塗りたい派」の人には嬉しいポイントですね。



 今後の展開ですが、エクゾーストパイプや形状違いのキャノピー3種等が付属する事から、日東からすでに発売されている機体も含めてバリエーション展開が期待出来そうです。もっとも「君たちの応援しだいだぞ!」な部分も大きいと思いますから、ひとり100個は買うて下さいね(笑)。今回は月面カラーを再現する意味も有って白で成形されているのだと思いますが、今後のキットではどうなるのか、興味のある所です。今回の白は光が透けやすい様ですから、薄いグレーが良いのかな?

 それから、キットが一つ出れば、それを改造した作例が本編ストーリー中で活躍し、また次の新製品につながっていく・・・という事を20年以上前から繰り返してきたシリーズです。(ガンプラでも近年盛んになってきていますけど。)C・G・H・Iランナーが含まれていない点などを見ても、バリエーション展開を考慮したランナー配置になってる事とは思いますが、今後はルナポーンからさらに派生した新メカも発表されるんではないかとか、密かに期待してしまうのであります(笑)。WAVEさん、応援してますよ〜。


 おまけ

 AFSはもともと、ホビージャパン誌1982年5月号の特集記事「素晴らしき駄物キット」の中で、ミクロマン強化スーツを改造して作られた物でした。今回は、その強化スーツを紹介したいと思います。



 右から強化スーツ1、2、3。ミクロマン人形が各1体付属し、パーツを各部に装着する仕組みです。各ミクロマンの体型(手足の太さ)に合わせた設計になっているので、指定以外ののミクロマンが装着する事は出来ない様です。



 強化スーツ1。ミクロマン002イリヤが使用します。両肩のミサイルはスプリングで発射可能。ヘルメットを後ろに持ち上げて、ミクロマンの素顔を出す事が出来ます。

 右は付属のコンピューターロボ。ミクロマン単体で遊びたい時は、スーツをコンピューターロボに装着しておく事も出来ます。コンピューターロボは肩・ヒジ・ヒザが可動します。



 強化スーツ2。ミクロマン003ウイリが使用します。AFSマーク1の元になったスーツですね。右肩にミサイルを装備。右はウイリ。スーツはコンピューターロボに装着しています。コンピューターロボは、商品ごとにデザインを変えてあります。



 強化スーツ3。ミクロマン005オルガが使用します。余談ですが、どうやらミクロマンの名前はアイウエオ順に命名されているみたい(未確認ですが)ですね。平成ミクロマンもアーサー、イザム、ウォルター、エジソン、オーディン・・・という調子でしたが、この頃の伝統を引き継いだ物だった様です。

 現在オルガさんが見当たらないので、コンピューターロボに装着させています。モモのアーマーにはポケットが有り、レイガンを収納しています。左手はパワーハンドが開閉。ギミック的には一番充実してるんじゃないでしょうか。AFS(マーク2)のベースとなりました。



 胸の穴はにはミサイルを装着可能。手を添えて構え、覗き込んで狙いをつけている様なシチュエーションですね。



 3体並べてみると、こんな感じ。ミクロマンが着込んだ場合より、コンピューターロボが着込んだ場合の方が身長が高くなります。日東のAFSを組み立てる時、可動用股関節パーツとポーズ固定用股関節パーツのどちらを選択するかで身長が変わってしまったものですが、あれはコレのオマージュだったんでしょうか?(いや、違うでしょ)



 改造前と改造後、夢の共演。AFSにはこの他、スターウォーズやスケールモデルのパーツ、ピンポン玉を切った物などが使われています。(左手のレーザーガンがカメラの形をしてるのが分かるでしょうか?タミヤのレーシングチームに入っている小物パーツです。)

 強化スーツはトイとしてだけでなく、「塗装を楽しんで下さい」という趣旨で、キット状態でも売られていました。おそらく白成形で、それこそルナポーンと並べてみたかったんですが・・・持ってるハズなんですけど見当たりませんでした。残念。

2007.1.18 健 竹史


  

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