健さんの
プラモコラム

その180
 
HGUC ガンダムGP02Aの巻

( HGUC 1/144 ガンダムGP02A/
 RX−78GP02A ガンダム試作2号機「サイサリス」
 「機動戦士ガンダム0083スターダストメモリー」に登場)



 HGUCでGP01、GP03が発売され、センチネル、ポケ戦、Zと、ガンダム系MSがどんどん揃っていく中で、なかなか出してもらえなかったGP02が、ようやくの登場です。我々は3年間の2倍も待ったのですよ。デラーズフリートの諸君は、3年くらいでガタガタ言わない様に(こらこら)。ギミックはMGで確立してるんだから早く出してくれればいいのに・・・と思ってましたが、荷重の問題を考えて、保持力の高いABS関節のノウハウが蓄積されるまで発売を控えていた、という事なのかも知れませんね。

 ポリキャップ完全廃止となったF91と連発での発売ですが、スリムなF91は組み込みスペースの問題、さらには内部再現というMGの仕様と両立出来るのか、という点でのチャレンジでしたが、こちらは重装甲・重装備ゆえ、ABSの保持力の高さを必要とした、という事ですね。社内で複数のチームが、同時進行でABSと格闘してたんだろうな・・・なんて考えると、なんだか目的別の試作ガンダムを同時進行で開発していたアナハイム社みたいですね。では、本題に参りましょう。



 頭部は、目と口が一体になった赤いパーツにマスクを被せ、前後分割のヘルメットでハサミ込む構成。造形的にはチョンマゲと額のシャッターが扇状に広がり、MGよりも設定画のイメージに近づきました。(あれはダクトかと思っていましたが、メインカメラとインテークの保護シャッターだそうです。)側頭部や後頭部はMGよりも形状変化とエッジを強調してあり、凶悪さが良く出ていると思います。

 ボディは、首まで一体になった内部パーツに前後可動式の肩関節軸をセットし、ウエストと一緒に胸パーツにハサミ込む構成。が前後可動しないキットは久しぶりかも?その代わり、GP01以上に細かいディテールが施されています。



 胸部インテークと、ハッチ表面の丸モールド(エアシーリングボルト)は別パーツ化されていて、1つ1つ取り付けていきます。ハッチは、開閉しないためヒンジが目立たず、MGよりも気密性が高そうな印象。ウエストはボールジョイントで可動。赤い腹巻き部分は、他のガンダムタイプよりも柔らかいラインで構成されています。両肩(エリの横)のダクト(?)にも若干角度を付けるなど、単調で無機質なイメージにならない様に気を配ってある様ですね。

 です。フロントスカートは左右独立して可動。サイドスカートは、サーベルホルダーを可動軸にしている特殊なデザイン。サーベルを収納する筒は腰フレームと一体で、その筒にスカート表面装甲を被せ、裏面パーツで押さえる構成となっています。スカート形状は丸みを帯びて、MGよりも設定に忠実な印象です。リアスカートは無可動で、フンドシ後部やベルト状のパイプと一体成型。フンドシ下のフタパーツを外すと、飾り台用の取付け穴が露出します。



 です。モモは前後分割。ABS製のヒザ関節を先に組んでおいて、上側の関節をハサミ込んで組み立てます。モモ上部には、MGの様に内部メカのモールドを表現。形状はMGに準じています。

 スネは、ヒザ関節の下側を左右からハサミ込み、前後の装甲とヒザアーマーを貼り付けていく構成。足の甲に被さる、普段で言う足首アーマーの、厚み部分にふくらみの様な変化を持たせたり、クルブシ辺りの四角い張り出しが、足の内側と外側で異なっていたりと、MGでは見逃していた(あるいは機械的にスッキリ処理していた)細かな部分まで、設定画の特徴を盛り込んであります。



 足首は、ツマ先やカカトに可動部は設けず、クツ・足裏・カカト上部というシンプルなパーツ構成。その代わりに足の甲が独立可動する様になっています。足の甲は単独のユニットの様になっていて、クツにではなく、二重関節になっている足首関節軸の前に接続してあるんですね。MGでは四角く造形されていましたが、今回は台形で、丸みを帯びた印象に変更されています。ツマ先のクロー上面は肉抜きしてありますが、ほとんど見えない所なので、気にならない人はそのままにしておいても良いでしょう。

 肩の球体関節は、肩関節の軸受けも含めてABS製。それを前後分割の肩アーマーでハサミ込みます。フレキシブルスラスターユニットの荷重に負ける事は有りませんが、もし荷重に負けた場合には、肩アーマーと軸受けを噛み合わせて固定してしまう予定でも有ったのかな?軸受けに突起が付いているのを見ると、そんな風にも思ったりします。



 MGでは、肩アーマーの中で肩球体関節が自由に動く様に設計されていますね。スペースの都合も有りますし、プラモの場合はポージングの自由度が変わってくる程度の話なんですが、MGの方が、実機の運用を考えるとリアリティが有る様に思います。威嚇用の頭部バルカンを除けば、サーベル以外の戦闘手段を持っていない機体ですから、腕を動かす度にフレキシブルスラスターユニットの荷重がかかるのは不利ですからね。

 そんな訳で、フレキシブルスラスターユニットの取付基部である肩アーマーと腕とは、極力独立して動かせる様になっているんじゃないかと思います。フレキシブルスラスターユニットには、肩アーマーの前後に被さらない様に切り欠きが設けてありますが、あれは腕を大きく振った時に、肩アーマー前後のプレートが開くためではないかな?なんて想像してみるんですが、どうでしょう?前後のプレート、ヒンジが付いてる様にも見えるデザインですし。



 です。上腕は筒状にワンパーツ成形されていて、肩球体関節から出ているピンを、上腕に通してヒジ関節に接続します。前腕は左右2分割。中にはABSの可動フレームが仕込んであり、ヒジと手首基部にはシールドの荷重に負けない保持力を持たせています。手首基部には細かなギザギザを使ったラチェットまで仕込んでありますね。良く見たら、腕にはポリキャップが全く使われてないじゃないですか。

 手首は、左右ともリアルなゲンコツが付属。シールドの荷重がかかっても簡単には指が分解しない保持力は大したものです。今度は逆に、持ったシールドを手放させようと分解する時に苦労しますね(笑)。左手首とシールドのグリップは、持たせっ放しで二度と分解しなくて良い様に、もう1セット予備を付けてくれてたら嬉しかったかも。手首関節はボールジョイントですがポリキャップは使われておらず、ABS同士の接続となっています。



 フレキシブルスラスターユニット(両肩のバインダー)は、2基のスラスターが連動して展開するギミックを内蔵。スラスターの間を2本のバーで連結し、前後分割の外装でハサミ込む構成です。バーをシリンダー風にデザインする事も含めて、内容的にはMGと同じ物。先端のスラスターの内側まで装甲で覆われている点が異なりますが、ここもMGでアレンジを加えていた部分ですね。HGUCの方が設定に忠実です。

 2基のスラスターは連動するだけでなく、ノズルがボールジョイントで可動します。MGより良く動く訳ですが、これは余計だったかも。連動しているバーニアは常に同じ方向を向いているから面白いのであって、向きが不揃いにならないよう、接着してしまいたくなるのはボクだけでしょうか?肩との連結部分で自在に動くんだから、それで十分だったんじゃないかと思います。



 後部のバーニアボールジョイントで可動。ここはもっと派手に動いても良かったと思います。最大加速時には連動バーニアと合わせて、6基のバーニアが全て同じ方向(真下)を向きますが、普段はかなり後ろ向きになっていて、前進用のバーニアではないかと思いますし。どうせ囲われていて左右にはほとんど動かないのだし、軸可動でも良かったかも。ユニット全体でも回転可動します。設定画ほど平たくはありませんが、MGよりも丸みを帯びたラインで造形されています。

 フレキシブルスラスターユニット本体は、MGではプロペラント(青い部分)の張り出しが強調されていましたが、今回は大きな変化を付けず、なだらかなラインで構成されています。これはMGでは先端のスラスターを内寄りに配置していたために生じた違いで、改めて見てみると、「プロペラントが張り出している」のではなく「他の部分が細く窮屈」に見える感じですね。HGUCの方が設定に近い上、自然な印象。プロペラントの盛り上がり方も、機体の特徴を良く捉えています。



 肩との接続部分は、ABS製の多軸関節。ユニットを上にハネ上げる他、振ったりヒネったりして調節出来ます。ユニット上面は、バズーカ発射ポーズでバズーカとの干渉を避けるため、ユニット内部に押し込む事が出来る様になっています。MGほど大きく動きませんが、これはMGほどの厚みが無いため、大きく動かす必要が無いんですね。MGが厚めにアレンジしてあっただけで、設定と比べても今回の厚みで十分です。

 バックパックは表裏2パーツの貼り合わせ。バーニアは装備しておらず、核弾頭の貯蔵ユニットとなっている部分ですね。MGではハッチが開いて、実機同様に核弾頭パーツを収納する事が出来ましたが、今回は省略。完成時には見えなくなる背中の取付け面にも、それらしいディテールが施されています。



 武装です。ビームサーベルは、腰のサーベルホルダーから取り出し可能。グリップはワンパーツ成形で、クリアーグリーンのビーム刃が付属します。ツバが無いデザインなので、うっかりしていると手の位置がズレで、ビームの部分を握っていたりします(あちちち!)。展示会等で長時間ディスプレイする時は、両面テープ等でズレ止め対策をしておくと良いかも知れません。

 シールドは、裏側にアトミックバズーカのバレルを収納してあります。上下のホルダーが可動してロックを解除、中央のカバー(?)がグリップの部分で左右に分かれて開き、バレルを取り出します。MGでは上下ホルダーに裏面パーツを用意して厚みを表現してありましたが、今回は簡略化。可動部をシンプルな構成に改めてあります。中央のカバーはMGと異なり、左右非対称のデザインとなっていますが、実は今回の方が設定に忠実です。バズーカの突起部に干渉しない様になっているんですね。

HGUC(左)とMG(右)の比較。プロポーション的には、ほとんど別物といって良いでしょうね。

 表面の冷媒放出ダクトは別パーツ化してあり、フィンのモールドもシャープです。グリップは開閉式カバーのロックを兼ねています。MGでは90度ヒネるとロックが外れるという凝ったギミックも盛り込まれていましたが、今回は一旦取り外し、向きを変えて取り付けるという差し替え式の再現になっています。グリップと手首の幅は、ガタつかないようキツめに調整されています。手首とグリップを外して組み合わせ、その後で腕とシールドに接続してやると良いでしょう。

 それにしても、攻撃されたら困るシールドというのも凄い設定ですが・・・本来核攻撃の時以外は出撃するハズのない機体ですし、任務の重要性から言ってもギリギリまで護衛機と一緒に行動するのが自然ですから、特に問題無いのかも知れませんね。

飾り台を2つ使って対決シーンを再現した例。飾り台を2つ使えば位置関係を調節出来、より自由に構図を決める事が出来ます。

 アトミックバズーカは、基部とバレルの連結ギミックを再現。バレルは左右分割と砲口の3パーツ構成。MGではグリップが可動していましたが、今回は無可動となっています。基部は後部ダクトや連結部を別パーツ化、スコープは横から引き出す事が可能です。

 バズーカ基部は、ABS製の可動アームで右肩後部に接続されています。単純に起き上がるだけでなく、より頭部に密着するよう可動アームが多関節化されていますが、仕組みはMGとほぼ同じ。でも今回はクリアランスが不足していて、あまり役に立っていません。アームの途中をZ字に曲げるよりも、アームの根元からヒネった方が早くて確実ですね。バズーカ側の接続部も、押し込み式の関節でなく、干渉を起こしにくい引き出し式の関節にしてあれば良かったと思います。ヒジを横に張り出す様にして持たせると、構えやすいですよ。

 ところで、腕の後ろに付いている物を手で握るよりも、肩アーマーの上に完全に固定してしまった方が早いんじゃないかとか、核攻撃の時以外は精密射撃なんか行わない機体なんだから、スコープを覗かなくてもバズーカに目と同等のセンサーを付ければいいじゃないかとか、そんな事も思ってしまう訳ですが。当初は核以外の攻撃オプションも予定されていたとする資料も有りますし、その方が、わざわざ機体ナンバーに「A」(アトミック:核装備を示すと思われます)を付けている事の説明も付きます。装備違いのバリエーション機を想像してみるのも楽しいと思いますよ。

ヒジを横に張り出させると、グリップを上手く握れる様です。お試しを。

 飾り台は、SEEDデスティニーシリーズでおなじみの物が付属。フンドシ下の取り付け穴HGUCアッシマー等に準じたスリット状の物で、アダプターを介して接続します。ただ、アッシマー等に付属する可動式飾り台の方が、相性は良い様です。アッシマーより重たい上に、シールドを持つ左側に負荷がかかりますからね。これだけの重量級キットになると、SEEDデスティニーシリーズの物では支柱の継ぎ目のガタつきで、シールドのある左側に若干傾いてしまう様です。

 オマケとして、GP01を飾り台にディスプレイ出来るアダプターも付属。フルバーニアンとの戦いを再現出来ると説明されていますが、もちろん陸戦型にもフィットします。フンドシ下から差し込み、股関節軸にハメ込む形式なので、偶然形が合う機体であれば飾る事が出来ると思いますし、GP01を単品で飾る事だって出来ます。飾り台をキット2体分用意すれば、高低差や向きの異なる、色んなシチュエーションの対決シーンを演出出来ますから、完成見本の写真にとらわれず、いろいろ試してみると良いでしょう。

GP01用のアダプターパーツは、下からだけでなく前からも支柱に接続する事が出来ます。カタパルトで射出され、滑空してるイメージでディスプレイ。

 組立時間は2時間弱でした。MGの迫力に圧倒されつつも感じていた「これが浮遊ポーズで飾れたらなぁ」という不満が、ようやく解消されましたね。バズーカ発射シーンは、この機体のキービジュアルですから。

 それにしても、昔は主要な関節にポリキャップが使われ、重要度の低い可動部がプラパーツのみで構成されていた物ですが・・・今は主要な関節ほどABSに置き換わっているため、荷重のかからない箇所ほどポリキャップが多用されているという、逆転現象が起きてますね。なんだか妙な気分です。

GP01用のジョイントが、偶然にもそれなりにフィットしてしまったパワードジム。いや、こんな事しなくてもアッシマーの飾り台が使えるんですけどね。

 ところで、ランナーには切り替えが設けられていますね。バズーカとシールドが除外可能になっているんですが、これは「A」装備でないバリエーション機を発売する予定が有るんでしょうか?それとも使用済みのバズーカを廃棄してフルバーニアンと戦ったシーンを再現する「対決セット」の企画でも有るんでしょうか?もしそうなら、飾り台のベースがソロモンを模していたり、お迎えのカリウス機・キース機も飾れる様になっていると嬉しいですね。




 おまけ

 この機会に、MGガンダムGP02Aも簡単に紹介しておきましょう。このキットは内容よりも、発売前の騒動の方が強烈に印象に残ってますね。「次のMGはドムだと聞いていたのに、なんでGP02になったんですか?!」というユーザーの反応に、ホビージャパン誌上で経緯の説明まで行われ・・・いやはや、熱かったです。

 「GP01から間を置かずにライバル機を出すべきと判断した」「ドムを出す前に、重MSの経験値を上げたかった」・・・おおよそ、そんな説明だったと思います。まぁ、「偽り」の花言葉を持つ機体、サイサリスにはピッタリの、今となっては懐かしい思い出でありますよ(笑)。ついでに言えば、ドムの前にGP02、スーパーガンダムと、4000円の大型キットを連発して、MGの価格帯を上げておいたのは良かったと思いますね。



 プロポーションはHGUCと異なるものの、スコープと目の位置まで検討してバズーカに移動ギミックを仕込むなど、機構の要となる部分はこのキットで完成しています。HGUCに無い要素としては、バックパック横のハッチが開き、核弾頭貯蔵庫の内部まで再現されている事や、発射状態と格納状態の核弾頭までパーツ化されている事が挙げられます。肩アーマーが腕と独立して動く事、肩と上腕の接続がボールジョイントになっている事、ヒジが二重関節になっている事、バズーカを保持するアームの動きに余裕がある事などから、バズーカはスムーズに構えさせる事が出来ると思います。



 面白いのは足首の可動で、クルブシの前後方向から、ボールジョイントでツマ先とカカトが接続されています。開脚した時に、土踏まずと足裏接地面の角度が微妙に違うという面白い効果が得られます。普通に飾っていては見えない部分ですが、こんな部分にヒネリ可動(荷重で沈んだ様にも見える)が有るなんて、メカニカルな感じがして嬉しくなるのはボクだけでしょうか?



 関節にはポリキャップを使ってあり、保持力はABSを多用したHGUCの方が上です。可動指の握力では巨大なシールドを持ち上げる事は不可能ですし、腕の保持力も十分ではありませんから、シールドの下端を、ツマ先のクローに乗せてやり、地面から持ち上げている様に見せかけて飾ってやりましょう。これ、HGUCにも使える手段です。

 スネアーマー(内側)と足首アーマーの間にスキマが出来やすいんですが、これ、説明書の完成見本の写真でもスキマが開いている所を見ると、割と高い頻度で起きる症状なのかも知れません。開脚させた時に足首が干渉して、スネアーマーが押し広げられているのかも。ここに注意して飾ってやると良いでしょう。

2006.8.27 健 竹史


  

HGUC ガンダムGP-02A
HGUC ガンダムGP01
HGUC ガンダムGP01Fb

  

HGUC デンドロビウム
HGUC ガンダムGP-03Sステイメン
HGUC パワード・ジム

  

MG ガンダムGP02A
MG ガトー専用ゲルググ
HGUC リックドムII

 

EXモデル ラビアンローズ
EXモデル アルビオン LIMITED EDITION
EXモデル アルビオン

  

EX-18 アーガマ
EX-23 サラミス&マゼラン
1/400 ムサイ

  

HGメカニクス 1/550 デンドロビウム
HGメカニクス 1/550 ノイエ・ジール
HGメカニクス 1/550 ヴァル・ヴァロ

 

機動戦士ガンダム0083 5.1ch DVD-BOX (初回限定生産)
機動戦士ガンダム 0083 ジオンの残光

 

Gundam 0083 Technical Manual
機動戦士ガンダム0083 ドクメンタ


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