健さんの
プラモコラム

その173  HGUC 旧ザクの巻

( HGUC 1/144 ザク1/
 MS−05B ザク1 「機動戦士ガンダム」に登場)



 今年の3月、NHKで放送された[あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑」のガンプラ設計士の回、とても良い内容でしたね。ボクの小さい頃には小学校で「はたらくおじさん」という番組を見ていましたが、あれは社会学習といった感じでした。「平成若者仕事図鑑」就職情報の側面が強くて、時代を感じました。

 それにしても、あんなに苦労して開発されたガンプラに、あーでもない、こーでもないと、好き勝手なことを書きまくるとは、我ながらバチ当りな事でありますよ。(しかも数年前までは、この記事をバンダイに送ってましたからねぇ・・・)録画は保存してありますんで、時々見返して反省致しますですハイ。



 ではこれ以上立場が悪くならないうちに本題に移りましょう(笑)。この機体については「旧ザク」と呼びたい世代なんですが、文中では区別しやすく「ザク1」「ザク2」と呼びたいと思います。

 頭部は、ザク2がヘルメットを上下分割していたのに対して、今回は左右に分割。動力パイプが無いので、横に分割ラインが有ると目立ちますからね。MGと同じ要領で頭頂部を分割し、ここを交換する事で、羽根飾り(アンテナ)の付いた隊長機を再現する事が出来ます。それと同時に、頭頂部に分割ラインが通るのを防いでいるんですね。クチバシは側面の支柱の下で分割してあります。



 モノアイはシールで再現。モノアイシールドを左右に動かす事によって、目の動きを再現出来ます。今回は頭蓋が全部取り外せる訳ではないので、アゴの下にツマミを露出させてあります。一旦ボディから頭部を取り外して、ツマヨウジ等で左右に動かしてやりましょう。

 ボディは、動力パイプが無いデザインを活かしてウエストを可動式にしてあります。スカートの上で左右回転、腹の青い部分が腹巻きにメリ込む様にして、若干前かがみにする事も出来ます。腹巻きは胸ブロックにハメ込んであるだけでなく、背中の奥のミゾと板で噛み合っています。胸をヒネった時に、腹巻きはこの噛み合わせ部分によって追従するので、塗膜を傷付けにくい効果が有るかも知れません。

このキットには飾り台が付いていませんが、他のキットから流用する事が出来ます。キービジュアル(メモリアルアクションじゃないのね・・・)、ショルダータックルも宙に浮かせて再現出来ます。

 です。フロントスカートは左右一体で可動。サイドスカートも可動します。サイドスカートはヒートホーク用のハードポイントを左右両側に装備。リアスカートには引き出し式のバズーカラックが仕込んであります。ウエスト可動のためスカートと腹巻きの間にはスキマが有り、腰フレームが丸見えなんですが、前面の形状に変化を持たせたり、サイドスカート取付け部を実際のヒンジの様に造形したり、左右に向かって傾斜面を設けるなどして、プラモっぽい単調な印象にならないよう工夫されています。

 です。モモヒザ関節をハサミ込んでの左右貼り合わせ。股関節周辺が若干エグれた様な(フレームと装甲を意識した?)デザインになっていたり、ヒザの丸モールドにディテールが追加されていたりと、ザク2とは若干異なった形状になっています。

「オレの肩アーマーが真っ赤に燃えるッ!」ファーストガンダムを改めて見ていると、蹴ったり殴ったりの肉弾戦って、意外に多いんですよね。

 ヒザは、ザク2関節メカパーツを筒状に成形していたのに対して、今回は左右貼り合わせ。ポリパーツの外形ピッタリでなく自由な設計が出来る分、大きく力強い造形になりました。ザク2よりもヒザが大きく曲がる様になりましたが、関節部を新設計した事と関係あるのかな?動力パイプが無い分、曲げやすくなったという要素も有ると思います。

 スネは、ザク2とほとんど同じ印象に見えますが、若干の違いがあるのか、ザク2付属のミサイルポッドを装備させるとガタつきが有りますね。ポッドの重みで斜めになってしまうので、装備させたい場合は両面テープを使う等、何らかの対策が必要です。

HGUC 量産型ザク2(右)に付属のミサイルポッドを拝借して、取り付けたところ。スネの形がわずかに違う様で、傾いてしまいます。

 ヒザ付近は関節パーツとの間にスキマが空かない様に配慮してあり、ザク2では丸見えだった軸受けが、今回は見えない様に造形してあります。ヒザアーマーは外れにくい様にするためか、スネにハサミ込む構成。ちょっと加工すれば、スネの上から差し込む様に後ハメ出来るんじゃないかと思います。

 足首は、ザク2と同じで上下2分割。足の甲の先端にディテールが追加されていますが、全体の形や足裏パターンはザク2と統一してあります。例によって足首関節引き出し式ですが、今回はスネ側の取付け軸が伸びるのではなく、足首側の軸受けが浮き上がる仕組みです。必要以上に引き出される事が無いので、自然な印象にはなったかな?ザク1の足首とザク2のスネを使えば、もっと関節を引き出せる、無駄にすごいザクが作れますよ。

左からザク1の脚、ザク2の脚、足首をザク1の物に交換したザク2の脚。それぞれ、足首関節を最大まで引き出してあります。

 ランドセルは、本体とバーニア2基の3パーツ構成。ハメ込みピンの大きさが違いますが(強度アップのため?)、ランドセルのサイズはザク2の物と共通。接着剤を使えば交換する事も出来そうです。側面には動力パイプ用の取り付け穴の表現が有り、オプション装備の増設などに利用されたのではないか?という想像をかき立ててくれます。



 肩アーマーは前後2分割で、左肩ブロックの横にポリキャップで連結する方式。スパイクとディテールの有無が異なるだけで、形状はザク2の物と共通の様です。取付け部の互換性も有るので、バリエーション機を作りたい人は肩アーマーを取り替えてみるのも良いでしょう。一番簡単で設定的に無理の無い改造、しかも目を引く部分ですからね。

 です。肩関節軸はザク2と同じ仕組みで前に引き出し可能ですが、ゲート位置が目立たない場所に変更されていて、ヤスリを使わなくてもキレイに仕上がります。こういった配慮は嬉しいですね。ヒジはABSパーツを使った二重関節。従来の方が見映えは良いと思うんですが、HGUC ヘイズル改の時も、腕が良く動くと嬉しかったですもんね。この影響で、上腕は筒状ですが、肩ブロックと前腕に腕フレームをハサミ込む様になっています。

飾り台のピンを、サイドスカートのハードポイントに差し込んでみました。ガンダムが大きいのは気にしないで下さい。強い敵は大きく見えるものなのです。

 ところで、ABSパーツは可動パーツだけに使われていて、武器や関節カバー、バーニア等のグレー部分には通常のプラが使われています。ABSを敬遠するユーザーの声を反映した物なのでしょうね。ABSは多色成形ランナー(と言っても今回は青ばかりなんですけど)の一部として成形してある様なんですが、実際には1枚に連結されておらず、別のランナーとなっています。ルールは自治体ごとに違っている様ですが、ゴミの分別回収に配慮してあるのかも知れませんね。

 前腕は、ザク2に似ていますがヒジアーマーの無いタイプ。ザク2の時と同様、腕の甲側内側は別パーツ化されていて、カラーバリエーションの展開を予感させます。って言うか、A・Bランナーは切り替えだらけ、Aランナーにはさらに多色成形の境い目も用意されています。仕様違いのバリエーションだって有り得るかも知れません。まずは飾り台&ボーナスパーツ付の「黒い三連星トリプル旧ザクセット」あたりから、どうです?

ヒジが二重関節で良く曲がるので、マシンガンを体に引き付けて構える事が出来ます。

 手首は、左右ともリアルなゲンコツが付属します。ハメ込み部分のノウハウも確立された様で、うっかり指と甲が外れるトラブルはほとんど起きないと思います。その他、右手はライフル用の持ち手と、手首関節に角度を付けたバズーカ用の持ち手が付属。左手は指を開いた物が付属します。

旧1/144キット(右)との比較。ウエスト可動のためにアレンジを加えてあるボディは、別物の様な印象ですね。

 この左手は平手というよりも、両手を組み合わせてショルダータックルの構えを再現するための物の様ですね。出来れば旧1/144キットへのオマージュとして、開いた右手も欲しかった所。アニメのキービジュアルが存在する様に、オールドファンには旧キットに植えつけられたキービジュアルという物もあるんです。

 1/144キットの登場は、おそらくガンプラ熱が最高潮に達した瞬間でして、あの当時はプラモ自体がメディアであり、イベントだったと思うんですよ。言うなれば80年代を生きた少年達の、全国規模での共通体験。旧ザクと言えば両平手、完成見本の背景は赤、ポーズは万歳、まさしく旧バンダイマークではありませんか。ウソだと思うなら調べてご覧なさい、NHKがリサーチすれば、おそらく9割の人が「開いた右手は欠かせない」と、おい放せ何をするふじこ(止まらないので略)



 1/144旧型ザク。このキットの登場は衝撃的でした。肩アーマーの独立パーツ化、首の上下可動、交換用手首、肩関節の前後可動。さらに、このキットで初めて導入された訳ではありませんが、開脚可能な股関節、1/144ザク2では実現出来なかった足首の可動。これだけ凝ったのにまだ金型スペースに余裕が有ったためか、ヒートホークのオマケ付き。いや、これは丸腰では遊びにくいだろうという、配慮なのかも知れませんね。

 最後発キットゆえにシリーズ中最も完成されたギミックを持ち、このキットのフォーマットはそのまま
MSVシリーズに引き継がれました。首の上下可動や肩の前後可動は、単にポーズというよりも、表情をつけるレベルに踏み込んだ可動だと言って良いと思います。あるいは、可動範囲こそ不十分ながら、ショルダーアタックのポーズを意識した「メモリアルアクション」的な可動だったのかも知れません。

 時代が進めば
HGUCの様にアップグレードされたキットも登場しますが、このキットの記念碑的な意義は今後も語り継がれると思います。って言うか、今も執念の様に続いている可動の追及は、このキットの背中を追っかけてる様にも思えるんですよね。

 当時は肩をハの字にカットしたり、顔を幅詰めしたりしたものですが、1つ無改造で手元に置いておくのも良いと思いますよ。

 ・・・えー、武装です。ザクマシンガンは初期型の物が付属。上下貼り合わせの銃身に、グリップ・銃口・フォアグリップ・スコープ・マガジンを取り付けて完成。フォアグリップスコープは可動します。マガジンは裏側が空洞ですが、銃身の横に装着してあるため、普段より裏側が見えやすくなっています。気になる人は、パテ等で塞いでやると良いでしょう。

上からザクバズーカ、バズーカラック、スパイクシールド&シュツルムファウスト、ザクマシンガン、右はヒートホークとホルダー。

 スパイクシールドは、表2パーツ、裏面2パーツとハンドルという構成。手でハンドルを握らせて装備します。転用品ですから、これを持たせた場合はザク2が量産された以降に活躍した機体という事になるでしょう。



 シュツルムファウストは、弾頭部分が2パーツ貼り合わせ。手に持たせる他、ジョイントパーツを介してシールド裏に装備出来る様になっています。1本のみ付属しますが、キット2体分のパーツを使えばシールド裏に2本装備させる事も可能です。・・・いや、その場合シールドも2枚ある訳ですが、キット4体分のパーツを使えば最大で4本のシュツルムファウストが装備出来ますね。(なんのこっちゃ)

 ヒートホークは、ザク2と同等の物が付属。腰に装備させる時はホルダーを使用します。ホルダーはザク2の物より取付けピンが短くなっていますが、外観は統一してあります。

ザク1(左)とヅダ(右)のシュツルムファウストの比較。サイズは統一してあります。・・・いや、ちょっと清めの音を叩き込みたくなっただけです。太鼓にはギャンのシールドが良いサイズですね。

 ザクバズーカは、左右分割+砲口の3パーツ構成。このバズーカの事は詳しく知らないんですが、新しい武器が立体化されるのは嬉しい事です。(ボク自身が確かめていないので恐縮なんですが、コミックボンボン82年10月号で発表された専用バズーカが有るそうで、これではないかと思われます。)発売前の情報では200mmと聞いていたんですが、キットの説明書では280mmと解説されており、これが正しければ、お馴染みのバズーカと同じ規格という事になりそうです。上部のフックは、指が通せる程度のスキマが有った方が良いのではないかと思います。



 武器以外の装備として、右肩にオプションのバズーカラックを取り付ける事が出来ます。動力パイプと一体の基部と、可動式ラックの2パーツ構成。ボディ上面の外装を取り外すと取付け穴が露出、上からセットして、動力パイプの先端がランドセル側面にフィットする様にしてやります。

 フンドシ下のフタパーツを外すと、飾り台用の取付け穴が露出。飾り台は付属していませんが、ガザCの飾り台(SEEDデスティニーシリーズの物と同じ)を使ってディスプレイする事が出来ます。キービジュアル「ショルダータックル」は、宙に浮いてこそ様になりますからね。それにしても、HGUC ガンダムが飾り台に対応していないのが残念です。



 組立時間は1時間程度でした。ザク2ほどアニメのイメージを重視していないのか、うるさくならない程度に全身にディテールを追加してあります。HGUCザク2のライバルはスッキリ仕上げのHGUCガンダム、HGUCザク1のライバルはディテールいっぱいのHGUCヅダという、扱いの違いも有るのでしょうね。武器も可動も充実していて、オススメのキットです。

あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑 ホームページ


 おまけ

 今後のバリエーション展開に期待して、MGザク1のカラーバリエーションを紹介しておきましょう。



 MGランバ・ラル専用ザク1。両肩にアーマーが付き、大型のヒートホークを装備。通常サイズのヒートホークは付属しません。胸の装甲形状をはじめ、ボディのディテールが異なっています。そのためボディの装甲、スカートは全て新規パーツ。ランバ・ラルの1/20フィギュアが付属します。



 MGザク1 黒い三連星使用機。基本的にノーマルザク1の色替えですが、スパイクシールドが付属せず、ガイアの1/20フィギュアが付属します。

 ベースとなったMGザク1は、MGザク2のバリエーションキット。新規の外装パーツを用意する一方、フレームは共用となっています。これではまるでEMS−04とEMS−10みたいに、改良されたとウソをついてるみたいですが・・・(笑)。ついでにMG MS−06−R2なんかもフレーム共用ですから、「ザクの皮をかぶった別物」といった印象は無いですね。

 もっとも、この時期のスネフレームは完全再現されている訳ではなく、再現されていない部分も、説明書の内部図解では各機体の違いが描かれています。ザク1は、スネ後部の形をザク2とは別形状にしてあり、外観から中身の違いを想像させる演出も盛り込まれています。なかなかの高等テクであります。

 それでも「モモの横に、まるで動力パイプを通せそうな穴があって、なぜかフタがしてあるんだけど?!」という疑問は残りますが、あまり細かい事は気にせず、むしろパーツ共用から来るザク2との統一感を楽しみたいですね。ザクマシンガン2種、バズーカ、ヒートホーク、スパイクシールドと、武装も豊富なキットです。

2006.6.21 健 竹史


  

HGUC 旧ザク
ジオノグラフィ ガルバルディα(赤)
ジオノグラフィ ガルバルディα(緑)


  

MG 旧ザク
MG 旧ザク ランバラル
MG 旧ザク 黒い三連星

  

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