健さんの
プラモコラム

その172  MG ギャンの巻

( MG 1/100 ギャン/
 YMS−15 ギャン 「機動戦士ガンダム」に登場)



 ようやくMGにもギャンが登場です。第一報が流れた時には「そうかー、忘れずに出してくれるんだなー」程度にしか思ってなかったんですが、ほとんど日数を置かずにHGUC 旧ザクHGUC ヅダと連続して発売になって、ようやく分かりました。今月は「悲運のツィマッド社特集」だったんですね。(という事は、近いうちにゲルググVer2.0が発売とか?!?!)では早速、本題に入りましょう。



 頭部はHGUCと同様、外装を上半分・マスク・後頭部・アンテナの4パーツに分割。形状は首の辺りにも大きな変化を付けずシンプルで、エッジのシャープな仕上がりが魅力です。モノアイシールドは、上手く傾けてワンパーツ成形。こんな風に抜けるとは思ってなかったので、ちょっと感動しました。

 頭の内部は、中心に通った支柱のコブになった部分に、指輪の様な格好でモノアイがハメ込んであります。つまりピンの先端ではなく、途中がボールジョイントになった様な感じですね。これによってモノアイが上下左右に可動。頭の上半分を支えるフレームが後頭部に通っているので、真後ろまでモノアイを回す事は出来ませんが、表情を付けるには十分です。モノアイを動かす時には、頭の上半分を外してやります。



 ボディは、胸からウエストまで一体のフレームに外装を被せていく構成。はボールジョイントで可動。腹巻きの部分は固定されておらず、適度なガタつきで胸とは別ユニットの様に動いてくれます。コクピットはポリキャップを使ってハッチの開閉を再現。開閉の都合で下にスキマが出来ており、左右も平行で単調な印象。この辺は無可動のHGUCの方が、面白い形をしていると思います。

 内部フレームは円柱状のコア(ジェネレーター?)に動力パイプダクトを取り付けるデザインが面白いですね。説明書では連邦のMSも参考にしたと解説されていますが、ボディの中心にジェネレーターとコクピットを配置し、その上からダクト・肩関節・ランドセルが一体になったAパーツを被せた様にも見えるレイアウトです。ダクトは、完成後も胸のスリットから内部を見る事が出来ます。

ちょっと分かりにくいですが、胸フレームもウエスト同様の円柱形で、その周囲を囲む様に各ユニットを配列してあります。
コアファイターが仕込んでなかったのは残念であります(笑)。そんな設定は無いので、当たり前なんですけどね。

 です。フロントスカートサイドスカートは可動式。HGUCでは固定式でしたし、戦うだけなら脚の動きに不自由は無いかも知れませんが、サーベルを落とした時に、しゃがんて拾う事が出来なければヤバイのであります(笑)。スカート丈はモモに対して若干短い気もしますが、スリムで足長な今風の造形の中では、この位が良いのかも知れません。上半身の中での比率は妥当だと思いますし。リアスカートの長さは十分だと思います。

 各スカートは内側にパーツを貼りこんで厚みとディテールを表現。スカート裏面にダクトが配置されてるのは面白い解釈だと思いました。表面がスッキリしている(装甲にスキが少ない)のは、こういう工夫の結果だという訳です。ギャンゲルググザクに比べて約4割増の出力でビーム兵器を使用可能としていて、同等の放熱対策が必要だと考えられますからね。ゲルググはボディ表面に多数のダクトを配置して、スカート内にバーニアを搭載。ギャンは推力よりも防御力を優先したみたいですね。

1/60 ストライクフリーダムガンダム ライトニングエディションに引き続き、発光ギミックを採用したビームサーベル。明るさは相当なもので、迫力がありますよ。

 フンドシは、左右の股関節が別々に前後スライドするギミックを内蔵。1/100デスティニーガンダムの初回限定パーツの様な、ズレの表現が標準で可能となりました。MGの可動が、また一歩進化した感じですね。

 フンドシ正面のコブ(通称キ○○マ)は、流体パルスアクセラレーターという特殊装置であると解説されています。余剰エネルギーを蓄えておいて、ここぞという時に放出する、一種の加速装置と思えばいいんでしょうか?フェンシングの俊敏な連続突きで勝負に出たシーンでは、これが作動していたのだと思われます。敵の攻撃を受けて破損したり限界を超えた時には切り離されるそうです。キットでも取り外せる様になっていますが、何だかインコムに似ています。

立てヒザポーズを取らせる時のコツは、フロントスカートではなく、サイドスカートの所から足を出す事です。その方が、モモが高く上がって自然にまとまります。ツマ先の可動も併用しましょう。

 です。モモは上部にガンダムMk−2の様な球体を仕込んであり、股関節軸のボールジョイントとは別にヒネリ可動が可能。外側に90度程度ヒネる事が出来ます。軽快なフットワークが重要な機体ですし、も球体ですから、ごく自然な解釈じゃないでしょうか。ヒザは二重関節。モモとスネでハサミ込むのではなく、モモとスネ(の関節パーツ)をハサミ込む様になっています。

 スネは、ヒザアーマーから下を、スライド金型を使ってワンパーツ成形。スソの内側にハメ込みピンが無いので、内部ディテールもキレイですね。今回はスソの内部にバーニアが無いのでハメ込みピンを隠しにくく、ワンパーツ化出来ればそれがベストだと思います。



 ヒザ丸パーツを左右から取り付け。ヒザアーマーとふくらはぎを前後から取り付けますが、D12パーツ(ヒザアーマー)が角が尖らない様に配慮してあるため、側面のラインが一部欠けた様になってしまっています。気になる人はパテ等で整形してやると良いでしょう。ヒザアーマー中央の青い部分は埋没した形になっていて、しかも周囲の装甲形状に準じて、真ん中が尖った形をしています。こんな解釈も面白いですね。

 足首関節は、2軸関節+ボールジョイントの二重関節に加えて、関節メカ部の途中で前に折れるギミックを仕込んであります。HGUCザク等の様に足首を引き出して、より大きく動かす事が可能です。ちょっと難しいですけど関節メカ部を横にヒネってやれば、引き出せる方向が前から横に変化するため、より大きく踏ん張ったポーズも取れます。あまり踏ん張らせると、股関節の保持力が負けてコケてしまいますけどね。(マウスパッド等、滑りにくい物の上に立たせると多少踏ん張りが効く様になりますよ。)

ギャンは肩が球体なので、肩関節を前や上に振ってもボディとのスキマが気にならず、とても自然なポーズがとれます。

 足首は、ツマ先が二箇所で折れ曲がるギミックを内蔵。このおかげで「歩く」ポーズが自然に決まります。人間が歩く時、後ろの足は「カカトが浮く」というよりも「ツマ先だけで立つ」状態になりますよね。ほとんどのMSはツマ先が分割されていませんし、分割されていてもサザビーガザCの様に、ツマ先を伸ばす方向に可動する事が多い様に思います。クローではなく、本来のツマ先としてのポーズが取れる、数少ないキットじゃないでしょうか。

 ランドセルは背中の突起にポリキャップで接続してあり、角度を変える事が出来ます。内部メカも再現。露出したインテークと外装では色味の違うグレーを使ってあり、良いアクセントになっています。左右の推進ユニットの外装は、スライド金型を使って筒状に成形してあり、上から被せる様になっているのが面白いと思います。

旧1/100キット(右)との比較。ギャンの全高は19.9メートル。MGはツノを含まないヘルメットの高さを全高と判断しています。旧キットはツノを含んで19.9メートルという判断なのでしょう。・・・って言うか、それよりさらに小さい様です。

 肩アーマーは、前・後・側面の3分割。前後分割でも構わないと思ってましたが、接近戦主体のMSなのでタックルを仕掛ける可能性や、側面の防御力も考慮した、という事でしょうか?ぶつかる可能性の高い部分に継ぎ目が通っているのは面白くありませんからね。腕を横に上げるためのミゾは、引き込み式の装甲で塞いであります。実際は関節パーツの上に装甲が固定されてるだけですが、球の中心からズレた所に回転軸が設定してあるので、引き込まれる様に見えるという仕組みです。

 です。肩関節軸は、前方向への引き出しに比重を置いた前後可動。胸上面の装甲ごと上にも可動します。内部フレームは、ワンパーツの上腕フレームヒジ関節でハサミ込み、それを前腕フレームでハサミ込む構成。上腕は筒状の外装を被せます。前腕は前後分割に加えて、ヒジの丸モールドを別パーツ化、手首でも腕輪の様に分割。これとは別に手首関節カバーが付属します。ハードポイントは設けず、前腕の形状を使ってシールドを保持する仕組みは、HGUCと同じですね。

左から、MG シャア専用ゲルググ、MGギャン、MGガンダムVer.OYW0079。ガンダムと比べると大きいなぁと思いますが、この位の身長が無いと、評価試験する前からゲルググに迫力で負けちゃいますよね。

 手首は、左右とも可動タイプの物が付属します。シールドの保持に握力が必要なため、指の可動部は若干キツめに調整してある様です。中指から小指までは一体成形ですが、切り離せば全ての指が可動式になります。手の平には突起が付いていて、サーベルの保持にはこの突起を使います。



 比較ついでに、旧1/100ギャンを紹介しておきましょう。今見ると寸詰まりの印象を受けますが、設定画には忠実なプロポーションだと思います。スカート前部の切れ込みが小さく、フンドシのボリュームが足りない様に感じます。

 デザインの都合でヒジ・ヒザは大きく動きませんが、肩・モモ・足首などには単独成形の軸受けパーツが使われていて、保持力への配慮が感じられます。股関節は軸を左右別々のパーツにしてあり、ちょっと変わった構成。足首は2軸、股関節は3軸で可動します。

 武装は、サーベル・シールド・ハイドボンブ4個が付属。シールドは仕込み武器の設定を考慮して、裏面がフタで覆われています。

 武装です。ビームサーベルは、LED(発光ダイオード)でビーム刃が光るギミックを内蔵。別売りのCR1220ボタン電池はツバの裏側に仕込んでやります。その都合でツバの裏が妙に厚くなっているんですが、ガンダムより大出力に見えて、かえって説得力が増してるんじゃないでしょうか?グリップ部分はガンダムのサーベルと同程度のボリュームしか有りませんからね。



 ボタン電池収納スペースの横にスライド式のスイッチが付いています。気になる物ではありませんが、スイッチの無い無発光のグリップがもう1本セットされているのが親切で良いですね。こちらはビーム発生器の奥のモールドも再現。ビーム刃はものすごい太さで、HGUCよりも迫力が有ります。スライド金型を使って、ワンパーツの中空成形。ビーム刃は1本のみ付属しますが、どちらのグリップにも取り付ける事が出来ます。

 シールドは、内部メカにハイドボンブをセットし、外周と中央の表面装甲をセット。さらに裏側にはトラスフレームを取り付けるという凝った構成。若干重いのが難点ですが、なかなか見ごたえがあります。ニードルミサイルは内部メカと一体で成形されていて、実機同様、発射口から頭をのぞかせています。劇中のミサイルはシールドと同じ赤色です。グレーの方がミサイルが強調される効果は有りますが、再現性を求める人は塗装してやると良いでしょう。隠し武器は目立たない方が有効ですしね。



 シールドと前腕は、可動式のアームで接続されています。前腕をホールドする仕組みや可動ギミックはHGUCの物に準じていますが、デザインは別物。腕に通してグリップを握らせ、必要に応じて腕側面から前方に展開可能、さらに回転させて位置を調整出来る様になっています。グリップの横にはサーベルホルダーが設けられ、HGUCでは出来無かったサーベルの収納が可能です。でも取り出しの事を考えると、サーベルホルダーは逆向きの方が良かったんじゃないかと思いますね。あるいは根元から起き上がるとか。

 宇宙機雷ハイドボンブは、使用状態の物が3個付属します。ギャンのキットには4個付属するのが伝統なんですが・・・2パーツ貼り合わせ式で、出来は良いですよ。

1/100ワッパ・・・じゃなかった、ハイドボンブ。使用前の状態の物は、2個〜3個つながった状態で成形されています。
それにしても、1/35ワッパの発売が待ち遠しいですね。

 ミサイルも単独成形の物が3個付属し、噴煙を表現したエフェクトパーツを使って発射の瞬間を再現出来ます。噴煙はスモークグレーで成形され、塗装しなくても適度な濃淡が付いているので、手軽な割にリアルな演出を楽しめます。3本の噴煙の長さには差を付けてあり、連射の緊張感を感じさせますが、近頃とある番組のせいで、こういう物が止まってる様に見えてしまうのは実に困ったものです。(笑)

 おまけに、マ・クベの1/20フィギュアが付属します。この手のフィギュアはワンパーツ成形、大柄のキャラやボリュームのあるスカートに限って前後貼り合わせと相場が決まってたのですが、今回は北宋の壷を持ったポーズを再現するため、左右の手は接着剤で組み立てる様になっています。成形色が肌色でなく白というのも例外的。これは壺の色に合わせたのか(マ・クベはギャンの、ではなく壺のオマケ?!)、今後のスタンダードなのか、気になる所です。って言うか、フィギュアが廃止されてなくて本当に良かったです。今後も付属させて下さいね。

続いては、依頼人が地球の鉱山基地にいた頃手に入れたという北宋の壺が登場!このあと、まさかの鑑定結果にスタジオ騒然!
紳助「えー・・・良ろしかったら今のところ、映画版ではカットしておきますけど・・・?」(笑)

 さらに今回は、このフィギュアのデータをそのまま縮小した1/100フィギュアも付属。EXモデル戦艦シリーズのオマケMS同様、レーザー加工された物なのだと思います。小さいですけど、ちゃんとマ・クベっぽい顔つきに見えますよ。こちらも接着剤使用の2パーツ構成です。従来通りの立ち・座りポーズフィギュアも付属しますが、立ちポーズの物は、珍しく軍服姿。各種Ver2.0みたいに、立たせやすいようベースを付けて欲しかったですね。

ケムール人のイメージで・・・と思ったんですが、これだけ小顔だと、イメージ違いますね(笑)。なんとなく似てるでしょ?ギャンとケムール人。劇場版のアッシマーみたいに補助カメラが3個くらい出てきたらもう、夢に出てきそうです。

 組立時間は2時間10分でした。あんまり待たされたので忘れられてるんじゃないかと心配してましたが、待った甲斐のある充実したキットに仕上がってると思います。上腕やモモは若干接続軸が抜けやすい気がします。ポーズをつけて遊ぶ時には、時々しっかり押し込んでやると良いと思います。

 それにしても、今回何より驚いたのはワンパーツ成形されたモノアイシールドですね。これならMGゾックも発売出来そう。宇宙世紀史上もっとも派手に動くモノアイを、いつの日か見てみたいものです。期待してますよー。


 おまけ




 せっかくなので、HGUC ギャンも軽く紹介しておきましょう。キットはHGUCシリーズの中でも極初期の物で、ガンダムWのHGFA(ハイグレードファイティングアクション)シリーズのポリキャップが使われています。ヒジやヒザはポリパーツが露出し、関節周辺の切り欠きも、あまり内側の見映えが考慮されていません。このあと数点のキットを経て、HGUCのフォーマットが確立していく事になります。



 頭部はモノアイシールドを上下からハサミ込む構成。ウエストは、スカートだけでなくフンドシも左右回転が可能です。ヒザは、モモとスネを組み終えた後で連結出来るポリパーツが使われています。足首はジャバラの継ぎ目で可動する解釈はされていないため、MGとは足裏パターンが別物となっています。



 肩アーマーは、可動用のミゾを塞ぐ工夫が盛り込まれています。MGではさらに進化して、フタパーツとの段差を解消していますね。腕はヒジでヒネるため、上腕は筒状ではなく肩アーマーと一体成形。ちからコブの様な造形が特徴的です。手首は現在のHGUCより若干小さめ。「突き」を再現するため、通常の手首とは別に、手の甲の造形や手首関節を斜めにした右手が付属します。

 シールドは、MGに近いギミックでアームが可動、構え方を変化させる事が出来ます。ビームサーベルにはクリアーのビーム刃が付属。ムク成形でMGに比べると細めですが、他のHGUCに比べれば圧倒的なボリュームですし、フェンシングのイメージには、こちらの方が近いかも知れませんね。

2006.6.14 健 竹史


  

MG ギャン
HGUC 旧ザク
ジオノグラフィ ガルバルディα(赤)


  

MIA ギャン
HGUC ギャン
ギャンの相場理論

HGUC ガンダムGP-02A

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